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天井
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てんじょう
ふりがな文庫
“
天井
(
てんじょう
)” の例文
するとその声に母親が逆上して、声を荒らげるために親子の叫喚となり、それが、高い
天井
(
てんじょう
)
に反響して、うわん、うわんと
唸
(
うな
)
るのだ。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
通路の
天井
(
てんじょう
)
が非常に高く、千メートル以上もあるような気がした。そのことをタクマ少年にいうと、少年は笑いをかみころしながら
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
框
(
かまち
)
がすぐに
縁
(
えん
)
で、
取附
(
とッつ
)
きがその位牌堂。これには
天井
(
てんじょう
)
から大きな白の
戸帳
(
とばり
)
が
垂
(
た
)
れている。その色だけ
仄
(
ほのか
)
に明くって、
板敷
(
いたじき
)
は暗かった。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二階の正面に
陣取
(
じんど
)
って、舞台や
天井
(
てんじょう
)
、土間、
貴顕
(
きけん
)
のボックスと、ずっと見渡した時、吾着物の中で
土臭
(
つちくさ
)
い
体
(
からだ
)
が
萎縮
(
いしゅく
)
するように感じた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
清逸の心はこのささやかな
攪拌
(
かくはん
)
の後に元どおり沈んでいった。一度聞耳を立てるために
天井
(
てんじょう
)
に向けた顔をまた障子の方に向けなおした。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
それに、
床
(
ゆか
)
はぎしぎし鳴りますし、
天井
(
てんじょう
)
は鏡のガラスでつくられているので、自分の姿が、さかさまにうつって見えるしまつです。
のろまのハンス:――むかしばなしの再話――
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
巌は
繃帯
(
ほうたい
)
だらけの顔を
天井
(
てんじょう
)
に向けたままだまった、父と子はたがいに眼を見あわすことをおそれた。陰惨な沈黙が長いあいだつづいた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
この端麗で、そして威のある姿が、朝の
勤行
(
ごんぎょう
)
に、
天井
(
てんじょう
)
のたかい
伽藍
(
がらん
)
のなかに立つと、大きな本堂の空虚もいっぱいになって見えた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて
乙姫
(
おとひめ
)
さまについて、浦島はずんずん
奥
(
おく
)
へとおって行きました。めのうの
天井
(
てんじょう
)
にさんごの柱、
廊下
(
ろうか
)
にはるりがしきつめてありました。
浦島太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ガラスの向こうは
部屋
(
へや
)
になっていて、部屋の中には、
天井
(
てんじょう
)
までとどきそうな木が立っている。ははあ、クリスマス・ツリーだな。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
かれは
天井
(
てんじょう
)
をあお向いて見た。いつも
塩
(
しお
)
ぶたがかかっていたかぎが目にはいったが、そこにはもう長らくなんにもかかってはいなかった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
余は
天井
(
てんじょう
)
を眺めながら、腹膜炎を
患
(
わず
)
らった
廿歳
(
はたち
)
の昔を思い出した。その時は病気に
障
(
さわ
)
るとかで、すべての飲物を禁ぜられていた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
追いまわすうち、ガウンは一階のホールの
天井
(
てんじょう
)
へパッと
舞
(
ま
)
いあがったかと思うと、落ちてきて、そのまま、へなへなっと動かなくなった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
お母さまも、何気ない表情で
天井
(
てんじょう
)
を見ながら、そのお話を聞いていらっしゃる。なんでも無かったんだ、と私は、ほっとした。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
天井
(
てんじょう
)
を走る電線、卓上の湯呑み、うす汚れた壁。何もかも先刻の風景と変らなかった。私は上衣を肩にかけ、出口の方に歩き出そうとした。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
この話を
天井
(
てんじょう
)
で聞いていた
勘太郎
(
かんたろう
)
は「しめた」と思った。するとその時、
大将
(
たいしょう
)
の
鬼
(
おに
)
が鼻を天井に向けてもがもがさせながら
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
モンパルナスのキャフェ・ド・ラ・クーポールの
天井
(
てんじょう
)
や壁から折り返して来るモダンなシャンデリヤの白い光線は、
仄
(
ほの
)
かにもまた強烈だった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
白布が後を追って来ていて、数間の背後に
身長
(
たけ
)
高く立ち、頭を
天井
(
てんじょう
)
へ届かせそうにしながら、走って来るのが見てとられた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
足も立てられないような汚い
畳
(
たたみ
)
を二三枚歩いて、狭い急な
階子段
(
はしごだん
)
を登り、通された座敷は六畳敷、
煤
(
すす
)
けた
天井
(
てんじょう
)
低く頭を圧し、畳も黒く壁も黒い。
非凡なる凡人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
終戦のときには、西口家の
倉庫
(
そうこ
)
にも、軍の
物資
(
ぶっし
)
が
天井
(
てんじょう
)
まで積みあげてあるという
噂
(
うわさ
)
もあったが、ほんとうかうそかさえも分からずにすぎている。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「あの
壁
(
かべ
)
の上にあがったら……、あの山にあがったら……、あの
雲
(
くも
)
にあがったら……、そしてあの空の
天井
(
てんじょう
)
の上に……」
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
二人
(
ふたり
)
は
色
(
いろ
)
とりどりの
金平糖
(
こんぺいとう
)
を、
天井
(
てんじょう
)
に
向
(
む
)
かって
投
(
な
)
げあげてはそれを
口
(
くち
)
でとめようとしましたが、うまく
口
(
くち
)
にはいるときもあれば、
鼻
(
はな
)
にあたったり
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
けれど、また
町
(
まち
)
の
人家
(
じんか
)
の
店頭
(
みせさき
)
に
巣
(
す
)
を
造
(
つく
)
って
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れるころになると、みんな
家
(
いえ
)
の
中
(
なか
)
の
天井
(
てんじょう
)
の
巣
(
す
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
はい
)
って
休
(
やす
)
みます。
つばめの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ゴーシュが叫びますといきなり
天井
(
てんじょう
)
の穴からぽろんと音がして一
疋
(
ぴき
)
の灰いろの鳥が降りて来ました。床へとまったのを見るとそれはかっこうでした。
セロ弾きのゴーシュ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その気持の張りと柳吉が帰って来た喜びとで、その夜興奮して眠れず、眼をピカピカ光らせて低い
天井
(
てんじょう
)
を
睨
(
にら
)
んでいた。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
張
(
は
)
ったばかりの
天井
(
てんじょう
)
にふんの
砂子
(
すなご
)
を
散
(
ち
)
らしたり、馬の
眼瞼
(
がんけん
)
をなめただらして
盲目
(
もうもく
)
にする
厄介
(
やっかい
)
ものとも見られていた。
蛆の効用
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼女
(
かのじょ
)
の借りた傍屋は、いかにも古びて
手狭
(
てぜま
)
で、おまけに
天井
(
てんじょう
)
の低い家なので、いくらか
小金
(
こがね
)
を持った連中なら、とても住む気にはならないからである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
行燈
(
あんどん
)
をとりに立とうとした時、ちょうど眼のまえの空に、
天井
(
てんじょう
)
から糸を垂れて降りてきた一匹の
子蜘蛛
(
こぐも
)
を見つけた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
天井
(
てんじょう
)
といわず、床下までも、残るところもなく捜索しましたが、インド人の姿はどこにも発見されませんでした。
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
(大納言、嬉し気な表情)
昨夜
(
ゆんべ
)
、あれの部屋に行って、ふと何気なく見ましたところが、お
手紙
(
ふみ
)
は
鶴
(
つる
)
に折られて、
天井
(
てんじょう
)
からぶるさがっておりましたじゃ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
家中の畳の数や電燈の数は固よりのこと、障子の
格子
(
こうし
)
や
天井
(
てんじょう
)
の
桟
(
さん
)
まで数えている。数に兎角興味がある。この間銀座へ行く途中、電車に故障があった時
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
室内の区劃の上に現わるる二元性としては、まず
天井
(
てんじょう
)
と
牀
(
ゆか
)
との対立が両者の材料上の相違によって強調される。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
先にここに入りし際は、穴のように思いしに、夜明けて見れば
天井
(
てんじょう
)
高く、なかなか首をつるべきかかりもなし。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
縁
(
へり
)
に金を入れた白い
天井
(
てんじょう
)
、赤いモロッコ皮の
椅子
(
いす
)
や長椅子、壁に
懸
(
か
)
かっているナポレオン一世の肖像画、
彫刻
(
ほり
)
のある
黒檀
(
こくたん
)
の大きな書棚、鏡のついた大理石の
煖炉
(
だんろ
)
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すると、そこには、
当惑
(
とうわく
)
して
天井
(
てんじょう
)
を見ている顔や、にがりきって演壇をにらんでいる顔がならんでいた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
壁の石が
湿気
(
しっけ
)
を帯びて光っている。にんじんの髪の毛は、
天井
(
てんじょう
)
をこするのだ。彼はそこにいると自分の
家
(
うち
)
にいる気がし、そこでは
邪魔
(
じゃま
)
っけな
玩具
(
おもちゃ
)
なんかいらない。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
すなわち
天井
(
てんじょう
)
の
小旦那
(
こだんな
)
という言葉さえできているが、是などもやはりまた近年の変化かと思われる。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
天井
(
てんじょう
)
から
床下
(
ゆかした
)
から、押入も、戸棚も、
土竈
(
へっつい
)
の中も、羽目板の後ろも、絶対に見落さないはずですが、夜中までかかって、小刀一挺、いや、針一本見付からなかったのです。
銭形平次捕物控:072 買った遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おしまいには、見上げて居る
天井
(
てんじょう
)
に、幾つも/\妻の顔が、現れて、媚びのある微笑を送った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
お
城
(
しろ
)
へつきますと、お
妃
(
きさき
)
さまは女の子を上の三つのへやにつれていきました。見れば、どのへやにもそれはそれはみごとなアサが、
床
(
ゆか
)
から
天井
(
てんじょう
)
までぎっしりつまっています。
三人の糸くり女
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
玄関
(
げんかん
)
の
先
(
さき
)
はこの
別室全体
(
べっしつぜんたい
)
を
占
(
し
)
めている
広
(
ひろ
)
い
間
(
ま
)
、これが六
号室
(
ごうしつ
)
である。
浅黄色
(
あさぎいろ
)
のペンキ
塗
(
ぬり
)
の
壁
(
かべ
)
は
汚
(
よご
)
れて、
天井
(
てんじょう
)
は
燻
(
くすぶ
)
っている。
冬
(
ふゆ
)
に
暖炉
(
だんろ
)
が
烟
(
けぶ
)
って
炭気
(
たんき
)
に
罩
(
こ
)
められたものと
見
(
み
)
える。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
健ちゃんは、
煤
(
すす
)
けた
天井
(
てんじょう
)
から
薬袋
(
くすりぶくろ
)
を降して見知らぬ男のひとのところへ持ってゆきました。
蛙
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そこで何でも
彼
(
か
)
でも
良
(
い
)
いお茶良いお茶と金に
飽
(
あ
)
かして、
天井
(
てんじょう
)
知らずに珍奇なお茶を手に入れては、それを自慢にして会合を催したり、ピクニックを試みたりして行くうちには
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
この大きな石の
建物
(
たてもの
)
は、
壁
(
かべ
)
と
天井
(
てんじょう
)
がたいへん
厚
(
あつ
)
いので、内がわには、ただ厚い壁だけがあるようなありさまです。
階段
(
かいだん
)
も
廊下
(
ろうか
)
もせまくて、
部屋
(
へや
)
はほんのわずかしかありません。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
口を開けっ放しにして
天井
(
てんじょう
)
ばかり見ているもの、眼をしかめたり閉じたりぐるぐるまわしたりしているもの、
洟汁
(
はな
)
を絶えず舌の先で
啜
(
すす
)
っているもの——いちおうは正面を向いて
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
音無く
天井
(
てんじょう
)
を走るだけでも、その業を申し立てればお取り立てになる程のものだ。貴様も、つまらない遠慮を抜きにして、この家へだけは、一芸の達者として、威張って出入りするがいい
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
二十七日、払暁
荷車
(
にぐるま
)
に乗りて鉄道をゆく。さきにのりし箱に
比
(
くら
)
ぶれば、はるかに
勝
(
まさ
)
れり。固より
撥条
(
バネ
)
なきことは同じけれど、壁なく
天井
(
てんじょう
)
なきために、風のかよいよくて心地あしきことなし。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
私
(
わたくし
)
自身
(
じしん
)
も
山
(
やま
)
の
修行場
(
しゅぎょうば
)
へ
移
(
うつ
)
るまでは、
矢張
(
やは
)
り
岩屋
(
いわや
)
住
(
ずま
)
いをいたしましたが、しかし、ここはずっと
大
(
おお
)
がかりに
出来
(
でき
)
た
岩屋
(
いわや
)
で、
両側
(
りょうがわ
)
も
天井
(
てんじょう
)
ももの
凄
(
すご
)
いほどギザギザした
荒削
(
あらけず
)
りの
巌
(
いわ
)
になって
居
(
い
)
ました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
僕はあんまりわがままをやったもので、お坊さんの感情を害したらしいんです。それでどうも具合がわるくて、もう一度見たいのを
辛抱
(
しんぼう
)
しているんです。ええ、夢殿の
天井
(
てんじょう
)
だの柱だのの具合を。——
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
と、病人の眼は半眼に見開かれて、斜めに、寝台の
裾
(
すそ
)
の方の
天井
(
てんじょう
)
に注がれたまま、凝然と動かなくなっていた。「死んだのだ」———私はそう思って傍へ寄り、手に触れてみると、冷たくなっていた。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
“天井”の意味
《名詞》
天井 (てんじょう)
建造物の内部において、部屋の上方を限る面。
ものの上の部分。
「天井値」を参照。
(出典:Wiktionary)
“天井”の解説
天井(てんじょう)とは、部屋など構造物内部の上側の面である。天井仕上材及び天井下地構成材の総称である。
(出典:Wikipedia)
天
常用漢字
小1
部首:⼤
4画
井
常用漢字
小4
部首:⼆
4画
“天井”で始まる語句
天井裏
天井張
天井板
天井窓
天井持
天井睨
天井石
天井絵
天井釣
天井際