いゝえ)” の例文
『ハ、いゝえ。』とのどつまつた樣に言つて、山内は其ずるさうな眼を一層狡さうに光らして、短かい髭を捻つてゐる信吾の顏をちらと見た。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いゝえ、まだしてげません。……おはなしかなくツちや……でないとそでくはへたり、つたり、惡戲いたづらをして邪魔じやまなんですもの。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
梅子は握られし銀子の手を一ときは力をめて握り返へしつ「いゝえ、銀子さん、私は学校こゝに居た時と少しも変らず、貴嬢を真実の姉とおもつて居るんです」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
いゝえ、死んだのなら却て斷念あきらめがつきますが別れたぎり、如何なつたのか行方いきがたが知れないのですよ。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いゝえだ読んで見ません。』斯う銀之助は答へた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いゝえ、そんな事はありません。」
此頃このごろからだがだるいとえておなまけさんになんなすつたよ、いゝえまるおろかなのではございません、なんでもちやんと心得こゝろえります。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえ貴方あなた一人で見なくちや可けないの。』と言ひながら、富江は何やら袂から出して掌に忍ばせて昌作に渡す。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いゝえ、私の苦悶くもんが何で教会の損害になりませう、篠田さん、私の苦悶の原因と申すは、今日こんにち教会の上に、けても青年の人々かたがたの上に降りかゝつた大きな不幸悲哀で御座います」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
いゝえ、お知己ちかづきでも、お見知越みしりごしのものでもありません。眞個まつたく唯今たゞいま行違ゆきちがひましたばかり……ですから失禮しつれいなんですけれども。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえ、違ひません、決して違ひません。』と主張して、衣服きものの事まで詳しく言つた。そして斯う附け加へた。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いゝえ——心配と云ふ程のこともありませんがネ——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
しまか、みつか、はたきけて——おちよ、いゝえう/\……矢張やつぱりこれは、はなしなかで、わに片足かたあし食切くひきられたと土人どじんか。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえ。』と無造作に答へて縁側に腰を掛けた。『吉野さん、貴方、日向さんと同じ汽車でしたらう?』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いゝえ、おはづかしい、御目おめけるやうなのではござりません。それに、夜店よみせひましたので、お新造樣しんぞさまれましてはきたなうござります。」
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえ、構ひませんから、も少し借して下さい。』と言つて却々なか/\放さない。母親は笑つて居た。
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いゝえ可厭いやかぜいたんです……そして、ばん可恐おそろしい、氣味きみわるばうさんに、忌々いま/\しいかねたゝかれましたから……」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いゝえ、本年度の學齡兒童數は?』
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いゝえ、それまででもないんです……だれにもとひますうちにも、差配さはいさんへは、けて内證ないしようになすつてくださいまし。」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わたしは、わたしころされるんでございませうか、ときながらまをしますとね、年上としうへかたが、いゝえ、お仙人せんにんのおとぎをしますばかりです、それは仕方しかたがござんせん。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえ御婦人ごふじんかぎつたことはありますまいとも。……げんわたくし迷惑めいわくをしたんですから……だれだつて見境みさかひはないんでせう。其奴そいつ砂利じやりつかんで滅茶々々めちや/\擲附ぶツつけるんです。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえ雖然けれども不意ふいだつたら、おげなすつてもんだんでせう。お怪我けがほどもなかつたんでせうのに。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえぞんじません。)といふときたちまをかすべからざるものになつたから、わしくちをつぐむと、婦人をんなは、さぢげてきぬちりはらふてうま前足まへあししたちいさな親仁おやぢ見向みむいて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえ、つゞれさせぢやありません。蟋蟀こほろぎは、わたしだいすきなんです。まあ、きますわね……可愛かはいい、やさしい、あはれなこゑを、だれが、貴方あなた殿方とのがただつて……お可厭いやではないでせう。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いゝえ私等わたくしども東京とうきやう修行しゆぎやうまゐつてるものでござるが、今度こんど國許くにもとちゝ急病きふびやうまを電報でんぱうかゝつて、それかへるのでござるが、いそいで見舞みまはんければなりませんので、むをふねにしました。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いゝえうぞ、失礼しつれいながらお名告なのください。御覧ごらんとほり、わたくしうかしてる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『へい、いゝえ山深やまふかまゐつたのが、近廻ちかまはりへ引上ひきあげてたでござります。』
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえ、まあ、ながしたはうは、おどく娑婆しやば一人ひとり流産りうざんをしませうけれど、そんなことよりおまへさん、はしわたらないまへだと、まだうにか、仕樣しやう分別ふんべつもありましたらうけれど、氣短きみじか飛越とびこしてしまつてさ。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まへさんは稼人かせぎにんだ、いそがしからう、此處こゝいよ。いゝえ遠慮ゑんりよをするんぢやない。はじめからさかくるまからりるつもりではひつたんだ。ともさんとれて、れでるのをすんぢやないから。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえいたのですよ。」
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえ歸途かへりいのよ。」
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえ、)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)