けん)” の例文
宗助そうすけにも御米およねにもおもけないほどたまきやくなので、二人ふたりともなにようがあつての訪問はうもんだらうとすゐしたが、はたして小六ころくくわんするけんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それがさ、一けんぢやからたまらぬて、るとうぐら/\してやはらかにずる/\とひさうぢやから、わつといふと引跨ひんまたいでこしをどさり。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
致すはこゝのこと林藏はよいとしことほかずき夫故大方然樣さやうな一けんでも御座りませうが主有者ぬしあるものに手を出すの密夫まをとこなどは致ませんが只々たゞ/\ぜに
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
寵愛ちょうあいいよいよ厚きを加えたが、その後きさきちょうおとろえたとき、かつて食い残した品を捧げた無礼のけんによりてばっせられたという。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ぽんと背中せなかをたたかれて、つづけにかされたのが、柳湯やなぎゆで、金蔵きんぞうがしゃべったという、橘屋たちばなやの一けんであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
あめいとはずいださんとせしが、あゝ彼奴あいつだと一トことふりかへつて、美登利みどりさんんだつてもはしないよ、一けんだもの、と自分じぶんつむりまるめてせぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それゆえ、主君しゅくん直参じきさん浜松城はままつじょうの人々に、その代試合だいじあいをいらいするが、そのけん異存いぞんがあるならしょうちできぬ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おや兄弟きやうだいもないぼくには、こんなばんすこぶ感心かんしんしないので、おまけに下宿住げしゆくずまひ所謂いはゆる半夜燈前十年事、一時和雨到心頭といふ一けんだから堪忍たまつたものでない
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
御勤役ごきんやくもないころのことでござりました。岡部樣をかべさまの一けんから、しようもないことが、殿樣とのさまのおしまして。‥‥』と、玄竹げんちくまるあたまり/\つた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
橘姫たちばなひめ御物語おんものがたりずこれにてりといたしますが、ただわたくしとして、ちょっとここで申添もうしそえてきたいとおもいますのは、海神かいじんいかりのけんでございます。
「そうかい。そいつは初耳はつみみだな。よしきた。そのけんもなお念入ねんいりにあらつてみろ。それからきみには、金魚屋きんぎょやとパチンコのことを調しらべてきてもらいたいんだがね」
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
すると金港堂きんかうどうけんの話が有つて、硯友社けんいうしやとの関係をちたいやうな口吻くちぶりそれよろしいけれど、文庫ぶんこ連載れんさいしてある小説の続稿ぞくかうだけは送つてもらひたいとたのんだ、承諾しようだくした、しかるに一向いつかう寄来よこさん
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
だい日本にほん神話しんわ地震ぢしんくわんするけんがないやうである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
マーキュ しかけた一けんを、めいとは如何どうぢゃ?
然程さるほどに大岡越前守殿には段右衞門前名ぜんみやう畔倉重四郎一けんに付享保きやうほ十一年十二月みぎかゝり合の者共一どう白洲しらすよび出され夫々それ/″\に其罪科ざいくわを申渡されける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ただ一つここで御披露ごひろうしてきたいとおもいますことは、神馬しんめけんで……。つまり不図ふとした動機どうきから小桜神社こざくらじんじゃ神馬しんめが一とうあらたにわれることになったのでございます。
八百屋やをやきちらう大工だいく太吉たきちがさつぱりとかげせぬがなんとかせしとふにこのけんであげられましたと、かほ眞中まんなかゆびをさして、なん子細しさいなく取立とりたてゝうわさをするものもなし
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ところが美濃守殿みののかみどのの一けんで、はゞ五まん千石ぜんごくいへつかつぶれるかを、其方そちたなごころにぎつたも同樣どうやう、どんなひがかりでもけられるところだと、内々ない/\注意ちういしてゐると、潔白けつぱく其方そち
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
御依頼ごいらい唱歌しやうかけん我等われら三人さんにんとも同意どういいたさふらふ
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
されば嘉川家一けん大岡殿追々おひ/\吟味詰の上一同口書相濟しかば彌々いよ/\享保四年三月廿二日一同呼出よびいだされ大岡殿申渡し左之通り
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
れで丁度てうど加减かげんつかれて仕舞しまう、そんなにおまへ正直しようぢきつとまものかと嘲笑あざわらふやうにへば、おほきにさといふ、相手あいて茂助もすけがもとのやすらうがこゑなり、正直しようぢきといえば此處こゝ旦的だんつきが一けんもの
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)