電話でんわ)” の例文
ナニ人間にんげん世界せかいにも近頃ちかごろ電話でんわだの、ラヂオだのという、重宝ちょうほう機械きかい発明はつめいされたとっしゃるか……それはたいへん結構けっこうなことでございます。
「こんなとき電話でんわがあるとな。」「もうえませう。——こゝにいらつしやい。……わたしつて見張みはつてます。」家内かないはまたそとつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
会社かいしゃ電話でんわをかけてみようか、電話でんわ番号ばんごうをよくきいておけばよかったと、おかあさんは、をもんでいられました。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
にいさん、醫者いしやまでくのはいそいでも時間じかんかりますから、坂井さかゐさんの電話でんわりて、すぐやうたのみませう」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
道子みちこ小岩こいは色町いろまち身売みうりをしたとき年季ねんきと、電話でんわ周旋屋しうせんやと一しよくらした月日つきひとをむねうちかぞかへしながら
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
なほ人智じんちがいよ/\發達はつたつ人口じんこうがどん/\すにつれて、最後さいごには奧山おくやままでもつて家屋かおく橋梁きようりよう器具きぐ機械きかい汽車きしや電車でんしや鐵道てつどう枕木まくらぎ電信でんしん電話でんわはしらといふように
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ほしのやうなをうろ/\させてS、H夫人ふじんが、たよりなさゝうにしてゐるので、M、H夫人ふじんと、N夫人ふじんをもんで電話でんわでもかゝつてないかいなかをボオイにいたりしたが
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
たしとおもはゞかはごと芝居しばゐきもれかは苦情くぜうまをすべき、花見はなみ月見つきみ旦那だんなさまもよほてゝ、ともらぬるそでたのしみ、おかへりのおそとき何處どこまでも電話でんわをかけて、よるくるとも寐給ねたまはず
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
東京に往けば、人間にけます、と皆が云う。むぎ程人間の顔がある東京では、人間の顔見るばかりでも田舎者はくたびれてしまう。其処そこ電話でんわりんが鳴る。電車がとおる。自動車が走る。号外ごうがいが飛ぶ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
警察けいさつから、市内しない全部ぜんぶ映画館えいがかん電話でんわ問合といあわせをした。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
近頃ちかごろ現界げんかいでも、電信でんしんとか、電話でんわとかもうすものが出来できて、うした場合ばあいによく利用りようされるそうでございますが、こちらの世界せかいでする仕事しごと大体だいたいそれにたもので
ことは、わたしいままでところへ、當人たうにんからけた、符牒ふてふばかりの電話でんわれて、實際じつさい顛倒てんだうしていそぐんです。かないでうしますか、つてはわるいんですか。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
きた当座とうざは、自転車じてんしゃるけいこを付近ふきんにいって、することにしました。また、電話でんわをかけることをならいました。まだ田舎いなかにいて、経験けいけんがなかったからです。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのころ半年はんとしあまり足繁あししげかよつてくるおきやくなかで、電話でんわ周旋屋しうせんやをしてゐる田中たなかをとこが、行末ゆくすゑ表向おもてむ正妻せいさいにするとふはなしに、はじめはそのをとこのアパートに
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ついであらはれて水力電氣すいりよくでんきそのものはすべてこの都市とし村落そんらく燈火あかりや、いろ/\の動力どうりよくにも利用りようせられ、電車でんしや電信でんしん電話でんわ電燈でんとう工業用機械動力こうぎようようきかいどうりよくをはじめ、朝夕あさゆふ煑炊にたき、すとうぶや按摩あんま
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
れはれはおさどころいおかた、まあ今宵こよひ何處どこへおとまりにて、昨日あすはどのやうなうそいふておかへあそばすか、ゆふかた倶部樂くらぶ電話でんわをかけしに三ごろにおかへりとのことまた芳原よしはら式部しきぶがもとへではきか
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それから當分たうぶんあひだは、御免ごめんくださいましだの、何方どちらかららつしやいましたのとさかん挨拶あいさつ言葉ことば交換かうくわんされてゐた。其間そのあひだにはちりん/\と電話でんわ假聲こわいろまじつた。すべてが宗助そうすけには陽氣やうきめづらしくきこえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
……其處そこで、道順みちじゆんだから、やすいゑんタクでおさそまをさうかと、もし、もし、電話でんわちう。おとなりのをりる)をけると六丁目ろくちやうめ里見氏宅さとみしたくで、はあ、とうけて、婀娜あだ返事へんじが——幹事かんじ支度したくがありますから
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)