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野暮
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やぼ
ふりがな文庫
“
野暮
(
やぼ
)” の例文
「ト云うと天覧を
仰
(
あお
)
ぐということが無理なことになるが、今更
野暮
(
やぼ
)
を云っても何の役にも立たぬ。悩むがよいサ。苦むがよいサ。」
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
すべての取りまわしも
野暮
(
やぼ
)
ではない。しかしその野暮でないのをひけらかすような処に、お絹には堪まらないほど不快の点が多かった。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
野暮
(
やぼ
)
におびえさせて、お説教ばかり聞かしてもおられねえ、話がもてて来た日にゃ、夜が明けても帰さねえよ、てなことになってくる。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「いえ、もうこれだけ拝見すれば、ほかのは沢山で、そんなに
野暮
(
やぼ
)
でないんだと云う事は分りましたから」と一人で合点している。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「座敷へ上がり込んじゃ興が
醒
(
さ
)
める。
弾
(
ひ
)
く
方
(
ほう
)
も、
聴
(
き
)
く方も、外でこそ流しの味、
金襖
(
きんぶすま
)
では
野暮
(
やぼ
)
になる。そうおっしゃっておくんなさい」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
野暮
(
やぼ
)
先生正に何処かで捨子を拾って来たのだと思うた。爺は唯にや/\笑って居た。
其
(
それ
)
は私生児であった。お春さんの私生児であった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ラジオ放送用の小説なども、私のような
野暮
(
やぼ
)
な田舎者には、とても、うまく書けないのが、わかっていながら、つい引受けてしまいます。
みみずく通信
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「しかしね、藤波さん。私もあまり
野暮
(
やぼ
)
なことはしたくない。この手紙だけは池田甲斐守にとどけてあげてもいいのですが……」
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「いや、これは伊賀の源三郎、あまりに
野暮
(
やぼ
)
でござった。必ずともにあなたの女をお立て申すにつき、ササ、壺をこちらへ……」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
東夷
(
とうい
)
南蛮の類であり、
毛唐人
(
けとうじん
)
の仲間である。この「ヤヷナ」が「野蛮」に通じまた「
野暮
(
やぼ
)
な」に通ずるところに妙味がないとは言われない。
言葉の不思議
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「
今更
(
いまさら
)
あらためて、こんなことを
訊
(
き
)
くのも
野暮
(
やぼ
)
の
沙汰
(
さた
)
だが、おこのさんといいなさるのは、
確
(
たしか
)
にお
前
(
まえ
)
さんの
御内儀
(
ごないぎ
)
だろうのう」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ゾオラが
偶々
(
たま/\
)
醜悪
(
しうあく
)
のまゝを
写
(
うつ
)
せば
青筋
(
あをすじ
)
出して
不道徳
(
ふだうとく
)
文書
(
ぶんしよ
)
なりと
罵
(
のゝし
)
り
叫
(
わめ
)
く事さりとは
野暮
(
やぼ
)
の
行
(
い
)
き
過
(
す
)
ぎ
余
(
あま
)
りに
業々
(
げふ/\
)
しき
振舞
(
ふるまひ
)
なり。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
「驚くなんて
野暮
(
やぼ
)
ですよ。八百屋の配給だけで健康を保って行けないのは、いつかも議会で農商大臣も認めていましたね」
食べもの
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
されどかかる
野暮
(
やぼ
)
評は
暫
(
しばら
)
く棚に上げてずつと推察した処で、池を見て亡き乳母を
懐
(
おも
)
ふといふある少女の懐旧の歌ならんか。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
自分のそんな
野暮
(
やぼ
)
なまじめを繰り返しても
居
(
い
)
なかったが、
今朝
(
けさ
)
の逸作が竹越氏に対する適応性を見て、久しぶりで以前の
愚直
(
ぐちょく
)
な自分を思い出した。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
東京の女たちはそんな
野暮
(
やぼ
)
な和装を纏ってはいないのですのに。それに比べあの
紺絣
(
こんがすり
)
の琉装を見ると如何に品位があるかに打たれざるを得ません。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
それを聞くと多吉は半蔵が無事な帰宅を何よりのよろこびにして、自分らはそんな
野暮
(
やぼ
)
は言わないという顔つきでいる。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「それまで知つてゐるなら、言ふだけ
野暮
(
やぼ
)
だ。なア、東作、昔の
誼
(
よしみ
)
。その三百八十兩を、この彦兵衞の顏に免じて返してくれ、きつと恩に
被
(
き
)
る——」
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
仮令
(
たとい
)
泥棒にもせよ、貴様程の奴が、姿を現してくれたのだから、一概に
野暮
(
やぼ
)
な業もせぬつもりだ。こう申したとて、貴様を
威
(
おど
)
そうとする気持ではない。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
その上、まぐろが熱し過ぎるというのは
野暮
(
やぼ
)
である。まぐろの
生
(
なま
)
っ
気
(
け
)
を好まない人は
余儀
(
よぎ
)
ないことであるが、前者のやり方の茶漬けに越したことはない。
鮪の茶漬け
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
青木は、大声に給仕を呼ぶのも
野暮
(
やぼ
)
だと思ったので、先ず椅子につく為に、片隅の鉢植の葉蔭へ這入って行った。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
命婦は
真赤
(
まっか
)
になっていた。
臙脂
(
えんじ
)
の我慢のできないようないやな色に出た
直衣
(
のうし
)
で、裏も
野暮
(
やぼ
)
に濃い、思いきり下品なその端々が外から見えているのである。
源氏物語:06 末摘花
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
甚だ
野暮
(
やぼ
)
な次第であるが、三組の夫婦づれで心斎橋を散歩した時、あまりにのどが
乾
(
かわ
)
いたのでお茶でも飲みましょうといったが、その適当な家がないのだ
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
地位や権勢を利用して他人の所有物を
強奪
(
ごうだつ
)
するのでは、
身
(
み
)
も
蓋
(
ふた
)
もない
野暮
(
やぼ
)
な話で、自慢にも何もなりはしない。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
石井柏亭の気に入つたのは
此
(
この
)
姿
(
ステイル
)
だと思つたが、僕には十数年
前
(
ぜん
)
の日本の
田舎
(
ゐなか
)
の女学生を見る様で
野暮
(
やぼ
)
臭かつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ただ四五年の間絶えず茶屋酒に親んで来て修業が
大分
(
だいぶん
)
に積んで来た上の彼としては、
野暮
(
やぼ
)
臭いことを云つて一一女の所行を数へ立てて、女房かなにかのやうに
瘢痕
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
さもなくば
紅
(
くれない
)
の
毛氈
(
もうせん
)
敷かれて
花牌
(
はなふだ
)
など落ち散るにふさわしかるべき二階の
一室
(
ひとま
)
に、わざと電燈の
野暮
(
やぼ
)
を避けて例の
和洋行燈
(
あんどうらんぷ
)
を据え、取り散らしたる杯盤の間に
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
私の上衣やズボンなども、躯よりは大きめの少しだぶだぶしているようなのが好きだ。私にとっては、なんによらず
野暮
(
やぼ
)
という様式位、居心地のいいものはない。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
意気
(
いき
)
でも
野暮
(
やぼ
)
でもなく、なおまた、若くもなく
老
(
ふ
)
けてもいない、そしてばかでも高慢でもない代りに、そう
悧巧
(
りこう
)
でも
愚図
(
ぐず
)
でもないような彼女と同棲しうるときの
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
女子の
悋気
(
りんき
)
はなほ
恕
(
ゆる
)
すべし。男子が
嫉妬
(
しっと
)
こそ哀れにも
浅間
(
あさま
)
しき限りなれ。そもそも嫉妬は私欲の迷にして
羨怨
(
せんえん
)
の心
憤怒
(
ふんぬ
)
と化して復讐の悪意を
醸
(
かも
)
す。
野暮
(
やぼ
)
の
骨頂
(
こっちょう
)
なり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
なんでも、その時の話に、おでんという
女
(
ひと
)
は
伝法
(
でんぽう
)
な毒婦じゃなくって、
野暮
(
やぼ
)
な、克明な女だから、そういうふうに
演
(
や
)
るっていったことだが——そうかも知れないね。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そして、ただ
自分
(
じぶん
)
の
野暮
(
やぼ
)
がうらめしく、
悲
(
かな
)
しく、
気恥
(
きは
)
ずかしくなって、
深
(
ふか
)
いため
息
(
いき
)
をつくのでした。
しいたげられた天才
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
シテ見ると一夫一婦の説も
隠然
(
いんぜん
)
の中には随分勢力のあるもので、
就
(
つい
)
ては今の世に多妻の悪弊を
除
(
のぞい
)
て文明風にするなんと論ずるは
野暮
(
やぼ
)
だと云うような説があるけれども
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
尤
(
もっと
)
も若い男のことだから、美しい女給の誰かにお
思召
(
ぼしめし
)
のあったらしいことは言うだけ
野暮
(
やぼ
)
である。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
殺す様な方でないし、只お前さんへ執心が有った処から角力取と喧嘩、ありゃア一体角力の方がいけないよ、変に力が有ってねえ、あれだけは先生
甚
(
ひど
)
く
野暮
(
やぼ
)
になりますな
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「大丈夫だよ。そんなこたあ、いうだけ
野暮
(
やぼ
)
さ。ヘッヘッヘヘヘヘ」三上は表へ出て行った。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
どこから手に入れるかって君、聞くだけ
野暮
(
やぼ
)
だよ。
強
(
あなが
)
ちに北九州ばかりとは云わない。全国各地の炭山、金山、鉱山の中に、本気で試掘を出願しているのがドレ位あると思う。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
人間が見て、俺たちを黒いと云ふと
同一
(
おなじ
)
かい、別して今来た
親仁
(
おやじ
)
などは、鉄棒同然、腕に、火の舌を
搦
(
から
)
めて吹いて、右の不思議な花を
微塵
(
みじん
)
にせうと
苛
(
あせ
)
つて
居
(
お
)
るわ。
野暮
(
やぼ
)
めがな。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
吾人を以て之を見る是れ彼れの正直なる所なり。彼れは自ら
野暮
(
やぼ
)
と呼ばるゝを嫌ふべし。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
国民学校の前に
茶店
(
ちゃみせ
)
風の家があって、その前に縁台を置き、二三人の特攻隊員が腰かけ、酒をのんでいた。二十歳前後の若者である。白い絹のマフラーが、変に
野暮
(
やぼ
)
ったく見えた。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
その癖、お徳はその男の名前も知らなければ、
居所
(
いどころ
)
も知らない。それ所か、国籍さえわからないんだ。女房持か、独り者か——そんな事は勿論、
尋
(
き
)
くだけ、
野暮
(
やぼ
)
さ。可笑しいだろう。
片恋
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これこれ何だ、
野暮
(
やぼ
)
な声を出すな。殺しはしない、折っぺしょるだけだ。取ったこの手を逆にひねる。するとメリメリと音がする。骨のつがいが離れるのさ。と腕がブランコになる。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
すなわち「いき」をも「上品」をも
均
(
ひと
)
しく要素として
包摂
(
ほうせつ
)
し、「
野暮
(
やぼ
)
」「下品」などに対して、趣味の「繊巧」または「卓越」を表明している。次に coquet という語がある。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
田舍物
(
いなかもの
)
いなか
者
(
もの
)
と
町内
(
てうない
)
の
娘
(
むすめ
)
どもに
笑
(
わら
)
はれしを
口惜
(
くや
)
しがりて、三
日
(
か
)
三
夜
(
よ
)
泣
(
な
)
きつゞけし
事
(
こと
)
も
有
(
あり
)
しが、
今
(
いま
)
は
我
(
わ
)
れより
人々
(
ひと/″\
)
を
嘲
(
あざけ
)
りて、
野暮
(
やぼ
)
な
姿
(
すがた
)
と
打
(
うち
)
つけの
惡
(
にく
)
まれ
口
(
ぐち
)
を、
言
(
い
)
ひ
返
(
かへ
)
すものも
無
(
な
)
く
成
(
な
)
りぬ。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
野暮
(
やぼ
)
なことを言ふのアお止しよ、辰つアん」とお銀ちやんが口を出した。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
もっとも一代の方では寺田の
野暮
(
やぼ
)
な
生真面目
(
きまじめ
)
さを見込んだのかも知れない。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
あれは梅干
婆
(
ばゝあ
)
と云ふのぢやから、
最早
(
もう
)
嫉
(
や
)
くの
何
(
ど
)
うのと云ふ年ぢや無いわい、安心しちよるが
可
(
よ
)
い、——其れよりも世の中に
野暮
(
やぼ
)
なは、
其方
(
そち
)
の伯父ぢや、
昔時
(
むかし
)
は壮士ぢやらうが、浪人ぢやらうが
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
いつにない髪を
唐人髷
(
とうじんまげ
)
に結うて、銘仙の着物に、浅黄色の
繻子
(
しゅす
)
の帯の
野暮
(
やぼ
)
なのもこの人なればこそよく似合う。小柄な
体躯
(
からだ
)
をたおやかに、ちょっと
欝金色
(
うこんいろ
)
の
薔薇釵
(
ばらかざし
)
を気にしながら振り向いて見る。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
いかにも西洋じみた
野暮
(
やぼ
)
くさい
綿入
(
わたい
)
れを着ている葉子であった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
中にはあの生人形の大山スッテン童子——いうだけ
野暮
(
やぼ
)
だが
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
“野暮”の解説
野暮(やぼ)とは、洗練されていない様を表す語である。「いき」の反対の形容である。
(出典:Wikipedia)
野
常用漢字
小2
部首:⾥
11画
暮
常用漢字
小6
部首:⽇
14画
“野暮”で始まる語句
野暮天
野暮臭
野暮仁
野暮堅
野暮的