途中とちゆう)” の例文
同伴者つれ親類しんるゐ義母おつかさんであつた。此人このひと途中とちゆう萬事ばんじ自分じぶん世話せわいて、病人びやうにんなる自分じぶんはらまでおくとゞけるやくもつたのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
明治十二年めいじじゆうにねんふね横濱よこはまきまして、そのころ出來できてゐました汽車きしや東京とうきよう途中とちゆう汽車きしやまどからそこらへん風景ふうけいながめてをりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
えゝ、一寸ちよいと引合ひきあはせまをしまする。このをとこの、明日みやうにち双六谷すごろくだに途中とちゆうまで御案内ごあんないしまするで。さあ、ぬし、お知己ちかづきつてけや。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
途中とちゆう事故じこがあつて、ちやく時間じかんめづらしく三十分程ぷんほどおくれたのを、宗助そうすけ過失くわしつでゞもあるかのやうに、待草臥まちくたびれた氣色けしきであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もしそこを通過つうかするのがよるであるならば、ばされた赤熱鎔岩せきねつようがん斜面しやめんながくだつて、あるひ途中とちゆうまり、あるひ海中かいちゆうまで進入しんにゆうするのがられるが
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
途中とちゆう一晩ひとばんとまつたといふやうなことをいつて勘次かんじこゝろせはしくまで理由わけをいはなかつた。勘次かんじやうやくおしなたのまれてたのだといふことをつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
みちはなか/\きのふのやうにははかどらない。途中とちゆう午飯ひるめしつて、西にしかたむかつたころ國清寺こくせいじの三もんいた。智者大師ちしやだいし滅後めつごに、ずゐ煬帝やうだいてたとてらである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
高原こうげん高山こうざんのぼ途中とちゆうとりがわれ/\の足音あしおとおどろいて、ふいにつことがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
返す返すもくやしき熱海の御別おんわかれの後の思、又いつぞや田鶴見たずみ子爵の邸内にて図らぬ御見致候ごけんいたしさふらふ而来このかたの胸の内、其後そののち途中とちゆうにて御変おんかは被成候なされさふらふ荒尾様あらをさま御目おんめに懸り、しみじみ御物語おんものがたり致候事いたしさふらふことなど
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
大船おほふなはつしてしまへば最早もう國府津こふづくのをほか途中とちゆうなにることは出來できないとおもふと、淺間あさましいことには殘念ざんねんたまらない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
嵯峨さがからやまけて高雄たかをある途中とちゆうで、御米およね着物きものすそくつて、長襦袢ながじゆばんだけ足袋たびうへまでいて、ほそかさつゑにした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ときがつかなかつたが、ときかへりがけに案山子かゝし歩行あるうしろからると、途中とちゆう一里塚いちりづかのやうな小蔭こかげがあつて、まつ其処そこに、こずえひくえだれた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「それぢやどうした、途中とちゆう見付みつけてたんだから一ぴきやつてねえか」勘次かんじランプをおしな枕元まくらもとつていわしつゝみいた。いわしランプのひかりできら/\とあをえた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
御米およね草履ぞうりいてあとちた。はなしおほくはをとこだけ受持うけもつた。それもながくはなかつた。途中とちゆうまで宗助そうすけ一人ひとりわかれて、自分じぶんうちかへつたからである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ところを、歩行ある途中とちゆう人一人ひとひとりにもはなんだ、がへばをんなでも山猫やまねこでも、みな坊主ばうず姿すがたえやうとおもつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
雲飛は所謂いはゆ掌中しやうちゆうたまうばはれ殆どなうとまでした、諸所しよ/\に人をしてさがさしたが踪跡ゆきがたまるしれない、其中二三年ち或日途中とちゆうでふと盆石ぼんせきを賣て居る者に出遇であつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)