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迫
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せ
ふりがな文庫
“
迫
(
せ
)” の例文
蘿月は六十に近いこの年まで
今日
(
きょう
)
ほど困った事、
辛
(
つら
)
い感情に
迫
(
せ
)
められた事はないと思ったのである。妹お豊のたのみも無理ではない。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これは(一)の明瞭性とも関係の深いことがらだが、また黒白二色の
迫
(
せ
)
り合ひをして、快適な緊張感をかもしださせる根源をなしてゐる。
秋艸道人の書について
(新字旧仮名)
/
吉野秀雄
(著)
一
群
(
むれ
)
の人がぴったり
迫
(
せ
)
ぎ合って入日の方に向いて行くのが、暗い形に見えるのだ。多くは自分の
輪廓
(
りんかく
)
に
圧
(
お
)
されているように背中を曲げている。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
我中情は此の如く詠歎の聲を
迫
(
せ
)
り出して、我をしてダヰツトの故事の最も當時の感興を寓するに宜しきを覺えしめしなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
唯
(
ただ
)
是
(
こ
)
れ日本の外交の
序開
(
じょびら
)
きでこそあれ、ソレほど喜ぶ
訳
(
わ
)
けもないが、その時の情に
迫
(
せ
)
まれば夢中にならずには居られない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
「俺は案外大胆だな、今夜が最初の実戦だが、大して怖くも恐ろしくもない。うむ、これなら人間が切れる。……よしよしこっちから
迫
(
せ
)
り詰めてやれ」
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
たしか
走水
(
はしりみず
)
という
所
(
ところ
)
は
浦賀
(
うらが
)
の
入江
(
いりえ
)
からさまで
遠
(
とお
)
くもない、
海
(
うみ
)
と
山
(
やま
)
との
迫
(
せ
)
り
合
(
あ
)
った
狭
(
せま
)
い
漁村
(
ぎょそん
)
で、そして
姫
(
ひめ
)
のお
祠
(
やしろ
)
は、その
村
(
むら
)
の
小高
(
こだか
)
い
崖
(
がけ
)
の
半腹
(
はんぷく
)
に
建
(
た
)
って
居
(
お
)
り
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
すると不思議! その穴の一つ一つに、何か黒いものが見えたと思ったら、それが
徐々
(
じょじょ
)
に上に
迫
(
せ
)
り上ってきた。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
池について庭裏の
森端
(
もりはな
)
まで進み、
樗
(
おおち
)
の大樹の下闇の露もしとどなところにしゃがみこんでいると、月影も透かさぬほど密々と幹を
迫
(
せ
)
りあった森の木の間から
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「さう
迫
(
せ
)
いても仕やうがありやへん——外へ融通してあるのが、今月末に返る云うてるのやさかい、なア。」
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
叢
(
くさむら
)
の中からぬっと
迫
(
せ
)
り出して来て笠を
撥
(
は
)
ね
除
(
の
)
け、
脇差
(
わきざし
)
を抜いて見得を切るあの顔そっくり。その顔で
癇癪玉
(
かんしゃくだま
)
を破裂させるのだから、たいがいの者がぴりぴりした。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
古人はこれを望み見てセリとは
迫
(
せ
)
りこ迫りこして生えているからそれでそういうのだといっているが、果してそれが語原であるか否かなお再考を要する様に思う。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
そこでそのオシクマの王がイサヒの宿禰と共に追い
迫
(
せ
)
められて、湖上に浮んで歌いました歌
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
段〻と昼になったり夜になったりする
迫
(
せ
)
りつめた時をいうのであって、とかくに魚は今までちっとも出て来なかったのが、まづみになって急に出て来たりなんかするものです。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼は外界に抵抗している自身の力に朗らかな勝利を感じた。同時に、彼は死が
錐
(
きり
)
のような鋭さをもって
迫
(
せ
)
めよるのを皮膚に感じると、再び銅貨を掴んで滅茶苦茶に投げ続けた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
失せし夫婦の弔ふ者もあらで
闇路
(
やみぢ
)
の奥に打棄てられたるを悲く、あはれ
猶
(
なほ
)
少時
(
しばし
)
留らずやと、いと
迫
(
せ
)
めて乞ひ
縋
(
すが
)
ると覚ゆるに、行くにも忍びず、又立還りて積みたる土に
息
(
いこ
)
へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
手紙を前に披げて、ヂツと腕組をしてゐた源太郎は、稍暫くしてから、空になつた食器が籠に入つて雇女の手で河の中から
迫
(
せ
)
り上つて來たのを見たので、突然銀場の方を向いて
鱧の皮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
甚之助
(
じんのすけ
)
かぎりなく
口惜
(
くや
)
しがり、
先
(
ま
)
づ
父君
(
ちヽぎみ
)
に
歎
(
なげ
)
き
母君
(
はヽぎみ
)
を
責
(
せ
)
め、
長幼
(
ふたり
)
の
令孃
(
ひめ
)
に
當
(
あた
)
りあるきて、
中姉樣
(
ちうねえさま
)
を
窘
(
いぢ
)
め
出
(
だ
)
すことヽ
恨
(
う
)
らみ、
僕
(
ぼく
)
をも
一處
(
とも
)
にやれと
迫
(
せ
)
まり、
令孃
(
ひめ
)
に
對
(
むか
)
へば
譯
(
わけ
)
もなく
甘
(
あま
)
へて
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
天平十一年
大伴坂上郎女
(
おおとものさかのうえのいらつめ
)
の歌に、「ますらをの
高円
(
たかまと
)
山に
迫
(
せ
)
めたれば里に
下
(
お
)
りける
鼯鼠
(
むささび
)
ぞこれ」(巻六・一〇二八)というのがあり、これは実際この小獣を捕えた時の歌で寓意でなく
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
汝もし我に報いんとならばこの国この民に
事
(
つか
)
えよ、かの家なく路頭に迷う老婦は我なり、我に尽さんと欲せば彼女に尽せ、かの貧に
迫
(
せ
)
められて身を恥辱の中に沈むる可憐の少女は我なり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
しかし、もうその時には、子路がいかにも
迫
(
せ
)
きこんだ調子で、口を出していた。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
此の相續人になツた資格の
裏
(
うら
)
には、
種馬
(
たねうま
)
といふ
義務
(
ぎむ
)
が
擔
(
にな
)
はせられてゐた。それで彼が甘三四と]なると、もう其の
候補者
(
こうほじや
)
まで
作
(
こしら
)
へて、結婚を
迫
(
せ
)
まられた。無論周三は、此の要求を峻拒した。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
要領よく黒塗りの枠の下から
迫
(
せ
)
り上って夫人の前に平伏することが出来た。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼れが秘密を見現すは今なり、と余は思切ッて同行せざるの遺憾を
述
(
のぶ
)
るに「
爾
(
そう
)
さ、なに構うものか、来るなら一緒にお
出
(
いで
)
なさい、随分面白いかも知れませぬから」
斯
(
か
)
く聞きて余は嬉しさに
心
(
こゝろ
)
迫
(
せ
)
き
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
『急ぎませう。急ぎませう。』と松子は後から
迫
(
せ
)
き立てた。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
迫
(
せ
)
り上げられて来ますね。あの人です。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
見る眼も
迫
(
せ
)
かれ、安からぬ
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
竹藪に
迫
(
せ
)
め騷がし
長塚節歌集:2 中
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
蘿月
(
らげつ
)
は六十に近いこの年まで
今日
(
けふ
)
ほど困つた事、
辛
(
つら
)
い感情に
迫
(
せ
)
められた事はないと思つたのである。妹お
豊
(
とよ
)
のたのみも無理ではない。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
迫
(
せ
)
めては若い女の熱い血に觸れて、過ぎ去つた心の海の洋々たる響きを今一度取り返して見たいのである。
泡鳴五部作:01 発展
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
口惜
(
くちを
)
しとの色は
絶
(
したた
)
かその
面
(
おもて
)
に
上
(
のぼ
)
れり。貫一は彼が意見の父と
相容
(
あひい
)
れずして、
年来
(
としごろ
)
別居せる内情を
詳
(
つまびら
)
かに知れば、
迫
(
せ
)
めてその喜ぶべきをも、
却
(
かへ
)
つてかく
憂
(
うれひ
)
と
為
(
な
)
す
故
(
ゆゑ
)
を
暁
(
さと
)
れるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
手紙を前に
披
(
ひろ
)
げて、ヂツと腕組をしてゐた源太郎は、
稍
(
やゝ
)
暫くしてから、
空
(
から
)
になつた食器が籠に入つて雇女の手で河の中から
迫
(
せ
)
り上つて来たのを見たので、突然銀場の方を向いて
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
ここに追ひ
迫
(
せ
)
め敗りて、
沙沙那美
(
ささなみ
)
七
に出でて、悉にその軍を斬りつ。ここにその忍熊の王、
伊佐比
(
いさひ
)
の宿禰と共に追ひ迫めらえて、船に乘り、海
八
に浮きて、歌よみして曰ひしく
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
「こんな土壇場へ
迫
(
せ
)
り詰まるまでいったい、何をしていたんだい」
怪しの館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何れほどか私の心が
迫
(
せ
)
かれたでしょう。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
地の底から己は
迫
(
せ
)
り上がって来て
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
とて
取次
(
とりつ
)
ぐ
文
(
ふみ
)
の
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
りても
涙
(
なみだ
)
ほろほろ
膝
(
ひざ
)
に
落
(
お
)
ちぬ
義理
(
ぎり
)
といふもの
世
(
よ
)
に
無
(
な
)
かりせば
云
(
い
)
ひたきこといと
多
(
おほ
)
し
別
(
わか
)
れしよりの
辛苦
(
しんく
)
は
如何
(
いか
)
に
或
(
あ
)
る
時
(
とき
)
はあらぬ
人
(
ひと
)
に
迫
(
せ
)
まられて
身
(
み
)
の
遁
(
のが
)
ればの
無
(
な
)
かりし
時
(
とき
)
操
(
みさを
)
はおもし
命
(
いのち
)
は
鵞毛
(
がもう
)
の
雪
(
ゆき
)
の
夜
(
よ
)
に
刄
(
やいば
)
手
(
て
)
に
取
(
と
)
りしことも
有
(
あり
)
けり
或時
(
あるとき
)
はお
行衛
(
ゆくゑ
)
たづね
詫
(
わび
)
て
恨
(
うら
)
みは
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私は一目弟の顔を見ると、同じ血から生れて、自分と
能
(
よ
)
く似ているその顔を見ると、何ともいえない残酷な感激に
迫
(
せ
)
められました。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
迫
(
せ
)
めて被布が道行きで、道行きがメリンスなどでなく、且、都會じみた柄であつたらいいのに——かの女がいい氣になつて着てゐるのを幸ひに、何も新調してやらないのも
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
科野
(
しなの
)
の國の
洲羽
(
すは
)
の海
一四
に
迫
(
せ
)
め到りて、殺さむとしたまふ時に、建御名方の神白さく
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
貫一はこの五年間の家族を
迫
(
せ
)
めての一人も余さず、家倉と共に
焚尽
(
やきつく
)
されて一夜の中に
儚
(
はかな
)
くなり
了
(
をは
)
れるに会ひては、おのれが
懐裡
(
ふところ
)
の物の
故無
(
ゆゑな
)
く消失せにけんやうにも頼み難く覚えて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「お館同志の競争は、家臣同志の競争でござる。そいつが
迫
(
せ
)
り合うと喧嘩になる。喧嘩のどんづまりは果たし合い! これはもうもう決まった話だ。そこで喧嘩! そこで果たし合い! 勝負だア——」
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
つまり外形容貌の美に
打
(
うた
)
れると共に、直ちに何の理由もなく其の人の思想知識、凡ての人格に對して深い敬慕の念に
迫
(
せ
)
められるのである。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「
迫
(
せ
)
めて——けさ——早くでも」と、また例の荒い息使ひになつて、「歸りやええのに!」
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
かれその軍、悉に破れて逃げ
散
(
あら
)
けぬ。ここにその逃ぐる軍を追ひ
迫
(
せ
)
めて、
久須婆
(
くすば
)
の
渡
(
わたり
)
一一
に到りし時に、みな迫めらえ
窘
(
たしな
)
みて、
屎
(
くそ
)
出でて、
褌
(
はかま
)
に懸かりき。かれ
其地
(
そこ
)
に名づけて
屎褌
(
くそはかま
)
といふ。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
血に塗られた一竿子忠綱を、突き出すとヌッと
迫
(
せ
)
り詰めた。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
休むにしても今日の半日、これから午後の三時までをどうして
何処
(
どこ
)
に消費しようかという問題の解決に
迫
(
せ
)
められた。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
が、その失はれた心の落ち付きを
迫
(
せ
)
めて無理にも取り返すつもりで、今書きかけてゐる議論——それは藝術と實行とは合致すべき物だと云ふ説明——の筆を轉じて、かの女を慰める手紙を書いた。
泡鳴五部作:01 発展
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
休むにしても
今日
(
けふ
)
の
半日
(
はんにち
)
、これから午後の三時までをどうして
何処
(
どこ
)
に消費しやうかと
云
(
い
)
ふ問題の解決に
迫
(
せ
)
められた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
幸い乗換の切符は手の
中
(
うち
)
にある。自分は
浅間
(
あさま
)
しいこの都会の中心から一飛びに深川へ行こう——深川へ逃げて行こうという押えられぬ欲望に
迫
(
せ
)
められた。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“迫”の解説
迫・迫り(せり)とは、舞台の床の一部をくりぬき、そこに昇降装置を施した舞台機構。役者や大道具を奈落から舞台上に押し上げたり(迫り上げ)、逆に奈落に引き下ろしたり(迫り下げ)することにより、意表をついた演出や迅速な舞台転換を可能とする。
(出典:Wikipedia)
迫
常用漢字
中学
部首:⾡
8画
“迫”を含む語句
脅迫
圧迫
迫害
切迫
窮迫
壓迫
迫持
急迫
迫込
追迫
押迫
逼迫
脅迫状
差迫
切迫詰
威迫
強迫
迫上
恐迫
大迫
...