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著
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つ
ふりがな文庫
“
著
(
つ
)” の例文
著
(
つ
)
いた晩はどうもなかつたの。繪端書屋の女の子が、あたしのお
煎餅
(
せんべ
)
を泥坊したのよ。それをあたしがめつけたんで大騷ぎだつたわ。
梅龍の話
(旧字旧仮名)
/
小山内薫
(著)
そしてその場所に
著
(
つ
)
くと、急に平らな
如何
(
いか
)
にも屋敷趾らしい開けた土地があった。開けたといっても、それは亡霊の住む土地である。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
秀麿は少し返事に
躊躇
(
ちゅうちょ
)
するらしく見えた。「それは舟の中でも色々考えてみましたが、どうも当分手が
著
(
つ
)
けられそうもないのです。」
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
池の西には小堂を置きて
弥陀
(
みだ
)
を安んじ、池の東には小閣を開いて
書籍
(
しょじゃく
)
を納め、池北には低屋を起して妻子を
著
(
つ
)
けり、と記している。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
右の
件
(
くだり
)
、
船戸
(
ふなど
)
の神より下、邊津甲斐辨羅の神より前、
十二神
(
とをまりふたはしら
)
は、身に
著
(
つ
)
けたる物を脱ぎうてたまひしに因りて、
生
(
な
)
りませる神なり。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
▼ もっと見る
唐制に模して位階も定め、服色も定め、年号も定め置き、
唐
(
から
)
ぶりたる
冠衣
(
かんい
)
を
著
(
つ
)
け候とも、日本人が組織したる政府は日本政府と可申候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
世は義満の花の御所のあとを承けて、武断将軍
義教
(
よしのり
)
に及ぶ時代だから、芸能の世界では種々新しいうごきが目に
著
(
つ
)
きはじめている。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
果然
(
かぜん
)
、列車が興安駅に
著
(
つ
)
くか著かない
裡
(
うち
)
に、早くも警備軍の一隊がドヤドヤと車内に乱入すると、
矢庭
(
やにわ
)
に全員の自由を
拘束
(
こうそく
)
してしまった。
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
許宣はしかたなしに
鞋
(
くつ
)
を脱ぎ
襪
(
くつした
)
も
除
(
と
)
ってそれをいっしょに縛って腰に
著
(
つ
)
け、
赤脚
(
はだし
)
になって四聖観の簷下を離れて湖縁へと走った。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
虎曰く共に闘うべし、汝に道を借さずと。猪また語るらく、虎汝暫く待て、我れ我が祖父伝来の
鎧
(
よろい
)
を
著
(
つ
)
け来って戦うべしという。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
もとの
吉田玉造
(
よしだたまぞう
)
とか
桐竹紋十郎
(
きりたけもんじゅうろう
)
とか言ったような老人が
上下
(
かみしも
)
を
著
(
つ
)
けて、
立役
(
たちやく
)
とか
立女形
(
たておやま
)
とかの人形を使っておったものであるが
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
六
時
(
じ
)
が七
時
(
じ
)
になつても、
船
(
ふね
)
はひた/\と
波止場
(
はとば
)
の
際
(
きは
)
まで
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せて
居
(
ゐ
)
ながら、まだなか/\
著
(
つ
)
けさうにない。
其
(
そ
)
のうち
又
(
また
)
しても
銅鑼
(
どら
)
が
鳴
(
な
)
る。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
「夜帰って来て、幾階もある階段を昇るのに、長い
蝋
(
ろう
)
マッチに火を附けて持ちます。それが消える頃には部屋の前に
著
(
つ
)
きます」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
女はそれを気にするように、すこし車を早めながら、太秦まで往き
著
(
つ
)
いて寺にはいってしまうと、いつかもうその男車は見えなくなっていた。
姨捨
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
反抗が
嫌
(
いや
)
なら嫌で、もっと
落
(
お
)
ち
著
(
つ
)
いていればよかったろうと思われたに違いない。暴風も一過すれば必ず収まるものである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
すての馬上の姿を見ると、貝ノ馬介の
小方
(
こかた
)
十人に、袴野の小方十人は機先を制せられて、勢好く
著
(
つ
)
いたすてを見上げた。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
硬玉の頸飾を
著
(
つ
)
けた鬚深い有力者達が、より/\相談をした。
身内
(
みうち
)
の無いシャクの爲に辯じようとする者は一人も無い。
狐憑
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
(『
白虎通
(
びゃっこつう
)
』に曰く、「
魂魄
(
こんぱく
)
とはなんのいいぞ。魂はなお伝伝のごとし。行きて外に休まず、情を
主
(
つかさど
)
る。魄は迫然として人に
著
(
つ
)
きて性を主る」と)
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
男子側から如何に多くの婦人問題を出されても、婦人自身に目を
覚
(
さま
)
さねばこの問題の正しい解決は
著
(
つ
)
かないであろう。
婦人と思想
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
それから鏡に向って胸当をつけ、鼻の孔からのぞいていた鼻毛を二本ひっこ抜くと、間髪を入れず、ピカピカ光る
蔓苔桃
(
つるこけもも
)
いろの燕尾服を
著
(
つ
)
けていた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
駅員室のせまい暗がりのなかでふと黒く蠢いたのは、たぶん宿直の駅員が終電車の
著
(
つ
)
いた音で眼をさましたのであろう。しかし起きて来る気配もない。
道
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
わたしは
上海
(
シャンハイ
)
に
著
(
つ
)
くや否や、一本の
仮辮子
(
つけまげ
)
を買取り——その時二円の市価であった——
家
(
うち
)
へ帰るまで付けて歩いた。
頭髪の故事
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
駄々
(
だゞ
)
を
捏
(
こ
)
ぬて、
泣癖
(
なきくせ
)
が
著
(
つ
)
いたらしい。への
字
(
じ
)
形
(
なり
)
の
曲形口
(
いがみぐち
)
、
兩
(
りやう
)
の
頬邊
(
ほゝべた
)
へ
高慢
(
かうまん
)
な
筋
(
すぢ
)
を
入
(
い
)
れて、
澁
(
しぶ
)
を
刷
(
は
)
いたやうな
顏色
(
がんしよく
)
。
山の手小景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は兄の
病臥
(
びょうが
)
している山の事務所を引き
揚
(
あ
)
げて、その時K市のステーションへ
著
(
つ
)
いたばかりであったが、旅行先から急電によって、兄の見舞いに来たので
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
裏見の滝に
著
(
つ
)
く。茶店に人無し。外国の婦人のまだうら若きと見ゆるが靴の上に草鞋をはき、一人は橋の上に立ち、一人は岩に腰うちかけて絵など写すめり。
滝見の旅
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
友人の家に
著
(
つ
)
くより、翌日の大阪行きの船の時刻を問い合せ、午後七時頃とあるに、今更ながら胸騒がしぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
熊野では、これと同じ事を、
普陀落渡海
(
ふだらくとかい
)
と言うた。観音の浄土に往生する意味であって、
淼々
(
びょうびょう
)
たる海波を
漕
(
こ
)
ぎきって到り
著
(
つ
)
く、と信じていたのがあわれである。
山越しの阿弥陀像の画因
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
といいながら
此方
(
こっち
)
へ泳ぎ
著
(
つ
)
き、
上
(
あが
)
りにかゝる処を小三郎が飛び込んでズーンと惣兵衞の肩先深く斬り込む。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しん、とした
此
(
こ
)
の光線の落ち
著
(
つ
)
きのなかに、穏やかに明るく画像は彼の前に展けた。彼はその前面二尺ばかりに歩を止めて、おもむろに画像を見上げ見下ろした。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
父も私もこういう光景を見るのは生れてからはじめてであった。私の元気はこれを見たので回復して日の暮れに
作並
(
さくなみ
)
温泉に
著
(
つ
)
いた。その日の行程十五里ほどである。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
吾々の一行が湖の隅の小さな宿屋に
著
(
つ
)
くや否や、そこの女将は附近の全教区の貧困と窮乏を訴え始めた。彼女は曰う、国の産物は少いのに、住民は充ち満ちている。
人口論:02 第二篇 近代ヨオロッパ諸国における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
交番で
鼠
(
ねずみ
)
を買上げることになってから、もうかれこれ三十年もたったであろう。東洋の黒死病の歴史なども、この方面より筆を
著
(
つ
)
けるならば文学になり得ると思う。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
瑠璃
(
るり
)
色なる不二の
翅脈
(
しみやく
)
なだらかに、
絮
(
じよ
)
の如き積雪を
膚
(
はだへ
)
の衣に
著
(
つ
)
けて、
悠々
(
いう/\
)
と天空に
伸
(
の
)
ぶるを仰ぐに、絶高にして
一朶
(
いちだ
)
の
芙蓉
(
ふよう
)
、人間の光学的分析を許さゞる天色を
佩
(
お
)
ぶ
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
ブレスト発の列車がレンヌ駅に
著
(
つ
)
いた時、その一貨車の扉の破壊されているのが見出だされた。
探偵小説アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
「おい、
寢
(
ね
)
ちやあ
危
(
あぶな
)
いぞ‥‥」と、
私
(
わたし
)
は
度毎
(
たびごと
)
にハラハラして
彼
(
かれ
)
の
脊中
(
せなか
)
を
叩
(
たた
)
き
著
(
つ
)
けた。が、
瞬間
(
しゆんかん
)
にひよいと
氣
(
き
)
が
附
(
つ
)
いて
足元
(
あしもと
)
を
堅
(
かた
)
めるだけで、また
直
(
す
)
ぐにひよろつき
出
(
だ
)
すのであつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
今や足跡
殆
(
ほと
)
んど
遍
(
あまね
)
かられんとする日本アルプスにも、この山ばかりは、
何人
(
なんぴと
)
も手を
著
(
つ
)
け得ざるものとして、愛山家の間に功名の目標となれるが如き感ありしに、会員田部隆次氏は
越中劍岳先登記
(新字新仮名)
/
柴崎芳太郎
(著)
デリベレイトに狙いすましては一筆ずつ
著
(
つ
)
けて行ったものだろうと想像される。そういう点で、これらの絵は、有り来りの油絵よりは、むしろ東洋画に接近しているかもしれない。
二科会展覧会雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
四壁沈々、澄み
徹
(
とほ
)
りたる
星夜
(
ほしよ
)
の空の如く、わが心一念の
翳
(
くもり
)
を
著
(
つ
)
けず、
冴
(
さ
)
えに冴えたり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
大學側
(
だいがくがは
)
でも、
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
、
新發見
(
しんはつけん
)
の
横穴
(
よこあな
)
に
就
(
つひ
)
て
調査
(
てうさ
)
を
續
(
つゞ
)
けられたのみで、それ
限
(
かぎ
)
り、
他
(
た
)
の
發掘
(
はつくつ
)
を
中止
(
ちうし
)
され、十一
日
(
にち
)
には
坪井博士
(
つぼゐはかせ
)
の
講演
(
かうえん
)
があつたゞけで、
瓢箪山大發掘
(
ひやうたんやまだいはつくつ
)
の一
段落
(
だんらく
)
は
著
(
つ
)
いた。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
暫
(
しばら
)
くの間は何事も手に
著
(
つ
)
かず、自分で自分に腹を立てて、
檻
(
おり
)
に入れられた猛獣の
如
(
ごと
)
く部屋の中をウロウロしながら、そこらじゅうの物を八つ
中
(
あた
)
りに叩きつけたり、破いたりします。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
選って、襦袢の中へ縫い込んで置く積りだから、肌身離さず身に
著
(
つ
)
けて置きなさい
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
而かも其の聖人に及ばざるも亦此に在り。聖人は平生の
言動
(
げんどう
)
一として訓に非ざるは無し。而て※するに
臨
(
のぞ
)
みて、未だ必しも遺訓を
爲
(
つく
)
らず。
死生
(
しせい
)
を
視
(
み
)
ること眞に
晝夜
(
ちうや
)
の如し、
念
(
ねん
)
を
著
(
つ
)
くる所無し。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
幹には深々と苔をつけた梅の木が、
僅
(
わずか
)
に二輪か三輪の花を
著
(
つ
)
けている。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
今
著
(
つ
)
いた新聞紙に台風の惨害が書いてあるが、沿岸で大部船舶が遭難し、人死にも多い。私は江ノ島の大通り——それは事実唯一の通りである——を写生しようとする誘惑に耐え兼ねた(図159)。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
姉が知らせたので長野から夜行で今
著
(
つ
)
いたところだった。
母の死
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
元日の絶句に「樗散逢春鬢欲斑。船如屋小一家閑。拝年客到無著処。混在図書雞犬間。」〔樗散春ニ逢ヒテ鬢斑ナラント欲ス/船ノ如ク屋小ナレド一家閑ナリ/拝年客到リテ
著
(
つ
)
ク処無ク/混リテ図書雞犬ノ間ニ在リ〕
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
保は三河国
宝飯郡
(
ほいごおり
)
国府町
(
こふまち
)
に
著
(
つ
)
いて、
長泉寺
(
ちょうせんじ
)
の隠居所を借りて住んだ。そして九月三十日に愛知県中学校長に任ずという辞令を受けた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
感情に本づく事は
勿論
(
もちろん
)
にて、ただうつくしいとか、
綺麗
(
きれい
)
とか、うれしいとか、楽しいとかいふ語を
著
(
つ
)
くると著けぬとの相違に候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
貴婦人は崔を席に
著
(
つ
)
かした。若い婢が十人位来て崔に酒を勧めた。崔は豪傑の
性
(
たち
)
であった。彼は勧められるままに飲んで陶然として酔うた。
崔書生
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
晋安王来りしも進む能わず、聡手を以て頭を
按
(
おさ
)
え地に
著
(
つ
)
けその両目を閉ざしめ、王を召し展礼せしむとはなかなか
豪
(
えら
)
い坊主だ。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
“著”の意味
《名詞》
(チョ)書物を書くこと。また、その書物。
(チョ)明らかなこと。
(出典:Wiktionary)
著
常用漢字
小6
部首:⾋
11画
“著”を含む語句
著名
執著
頓著
落著
顕著
無頓著
愛著
著書
撞著
著作
貪著
著物
著者
著述
瞞著
著手
逢著
巾著
新著聞集
下著
...