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無之
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これなく
ふりがな文庫
“
無之
(
これなく
)” の例文
尚お条件として是非年内に挙式の必要
有之旨
(
これあるむね
)
、如何の次第に御座候哉。母も案じ居候間、委細の事情お包み
無之
(
これなく
)
お知らせ
被下度候云々
(
くだされたくそうろううんぬん
)
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
人の上に立つ人にて文学技芸に達したらん者は、人間としては下等の地にをるが通例なれども、実朝は全く例外の人に相違
無之
(
これなく
)
候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
しかしそれは今更後悔致し候とて何の
詮
(
せん
)
も
無之
(
これなく
)
候えば、貴兄と同様今後いかに処すべきかを定め、それによって奮励するのほかなく候
師を失いたる吾々
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
この間などは「
其後
(
そのご
)
別に
恋着
(
れんちゃく
)
せる婦人も
無之
(
これなく
)
、いず
方
(
かた
)
より
艶書
(
えんしょ
)
も参らず、
先
(
ま
)
ず
先
(
ま
)
ず無事に消光
罷
(
まか
)
り在り
候
(
そろ
)
間、
乍憚
(
はばかりながら
)
御休心
可被下候
(
くださるべくそろ
)
」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
実と存じ此方へ渡り承り候へば、右の通にて
無之
(
これなく
)
、マルセイロ吊され、穴の中にて泣きわめき苦しみ相果て候由を承り、伴天連も驚き申候
イノチガケ:――ヨワン・シローテの殉教――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
右御許し下され
度
(
たく
)
、
若
(
も
)
しこの一事を御承引下され候わずば、妾は永遠に君を見ることかなわず、これに過ぎたる悲しみは
無之
(
これなく
)
候。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
茶会御出席に依り御心魂の新粧をも期し得べく、決してむだの事には
無之
(
これなく
)
、まずは
欣然
(
きんぜん
)
御応諾当然と心得申者に御座候。頓首。
不審庵
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
も憚らずいぎたなく熟睡に及びたる
一埒
(
いちらつ
)
何とも申訳の言葉も
無之
(
これなく
)
候
朧気乍
(
おぼろげなが
)
ら昨日の御話に依れば
令閨
(
れいけい
)
御死去に関して何か疑惑を
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
倅幸吉には何の罪も
無之
(
これなく
)
、
飽
(
あ
)
くまでも成瀬屋を
怨
(
うら
)
むは
此
(
この
)
冠兵衛に候。その証拠として近々一家を
鏖
(
みなごろし
)
に仕る可く随分要心堅固に
被遊可
(
あそばさるべ
)
く候 頓首
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
切害仕り候に
聊
(
いさゝ
)
か相違
無之
(
これなく
)
恐入
(
おそれいり
)
奉
(
たてま
)
つり候之に依て如何樣の御仕置に仰付られ候とも
御領主樣
(
ごりやうしゆさま
)
へ對し
御恨
(
おんうらみ
)
は少も御座なく候以上
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
尤もこれは敵にては
無之
(
これなく
)
、火事を見に集まりたる人々のよし、又敵は伊賀を引きつれ、御最期以前に引きあげ候よし、いづれも後に承り申し候。
糸女覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ただ今論文校閲中にて熟読のひまも
無之
(
これなく
)
ただ御高覧のために御廻し致候。『ホトトギス』へのせるともよすともその辺は勿論、御随意に候。以上。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
(彼の件)を見届け候以上は
此
(
こ
)
の家に最早用は
無之
(
これなく
)
且つ居ては
御身
(
おんみ
)
危
(
あやう
)
く候まま、明日にも
暇
(
ひま
)
をお取りなさるべく候——
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『——万一、上杉家の人数くり出しの節。——一党引揚げの場所。——その他の調べ、こちらに於ては手抜かり
無之
(
これなく
)
』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
酒井忠学から家老本多
意気揚
(
いきり
)
へ、「九郎右衛門は何の
思召
(
おぼしめし
)
も
無之
(
これなく
)
、
以前之通可召出
(
いぜんのとほりめしいだすべし
)
、
且行届候段満足褒美可致
(
かつゆきとどきそろだんまんぞくほうびいたすべし
)
、別段之思召を以て御紋附
麻上下被下置
(
あさがみしもくだしおかる
)
」
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
この不始末、若年の其許に申聞け候は汗顔とも
慚愧
(
ざんき
)
とも申すべきよう
無之
(
これなく
)
、唯々愚しき父を御
憫察
(
びんさつ
)
のほど願入候。
柿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その年来を聞召し候へば、十五六にて諸人を勧め、
斯様
(
かよう
)
の儀を取立て申す儀にては
無之
(
これなく
)
候と思召し候条、四郎が名を借り取立て申すもの
有之
(
これあり
)
と思召し候。
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
(前略)一昨々年春以来他へ転居候為め、御書面昨日
漸
(
やうや
)
く落手致し候次第、その後の
御不沙汰
(
ごぶさた
)
何とも申訳
無之
(
これなく
)
候。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
国家若しくは民族に対する愛も、世の道学先生の言ふが如き没理想的消極的理窟的の者には
無之
(
これなく
)
、実に同一生命の発達に於ける親和協同の血族的因縁に始まり
渋民村より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
殊
(
こと
)
に私をば娘のやうに思ひ、
日頃
(
ひごろ
)
の厚き
情
(
なさけ
)
は海山にも
喩
(
たと
)
へ難きほどに候へば、なかなか
辞
(
ことば
)
を返し候段にては
無之
(
これなく
)
、心弱しとは思ひながら、涙の
零
(
こぼ
)
れ候ばかりにて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
行蔵
(
こうぞう
)
は我に存す、
毀誉
(
きよ
)
は他人の主張、我に
与
(
あず
)
からず我に関せずと
存
(
ぞんじ
)
候
(
そうろう
)
。
各人
(
かくじん
)
へ
御示
(
おしめし
)
御座
(
ござ
)
候
(
そうろう
)
とも
毛頭
(
もうとう
)
異存
(
いぞん
)
無之
(
これなく
)
候
(
そうろう
)
。
御
(
おん
)
差越之
(
さしこしの
)
御草稿
(
ごそうこう
)
は
拝受
(
はいじゅ
)
いたし
度
(
たく
)
、
御許容
(
ごきょよう
)
可被下
(
くださるべく
)
候也
(
そうろう
)
。
瘠我慢の説:03 書簡
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
、
勝海舟
、
榎本武揚
(著)
皆目見当も附かぬ事なれば壁際に難を避けんとする処、陳は手前の背後より
抱付
(
だきつ
)
きて匕首を突刺し其
儘
(
まま
)
何処
(
いずく
)
へか
逃去申候
(
にげさりもうしそうろう
)
、たいへんなる痛手にて最早余命
幾許
(
いくばく
)
も
無之
(
これなく
)
と
存候
(
ぞんじそうろう
)
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
一筆
(
ひとふで
)
しめし上げ
※
(
まいらせそろ
)
。さてとや暑さきびしく
候
(
そうろう
)
ところ、皆様には
奈何
(
いかが
)
御暮しなされ候や。私よりも一向音信いたさず候えども、
御許
(
おんもと
)
よりも御便り
無之
(
これなく
)
候故、日々御案じ申上げ候。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一
筆
(
ふで
)
申上まいらせ候。その後は御ぶさた致し候て、何とも申わけ
無之
(
これなく
)
御免下されたく候。私事これまでの
住居
(
すまい
)
誠に手ぜまに付この
中
(
じゅう
)
右のところへしき移り候まま
御
(
おん
)
知らせ申上候。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
金箔
(
きんぱく
)
を押した
磔刑柱
(
はりつけばしら
)
を馬の前に立てて上洛したのは此時の事で、それがしの
花押
(
かきはん
)
の
鶺鴒
(
せきれい
)
の眼の
睛
(
たま
)
は一
ト
月に三たび処を
易
(
か
)
えまする、此の書面の花押はそれがしの致したるには
無之
(
これなく
)
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一札入申候証文之事
(
いっさついれもうしそうろうしょうもんのこと
)
、私儀御当家様とは何の縁びきも
無之
(
これなく
)
、爾今
門立小唄
(
かどだちこうた
)
その他御迷惑と
相成可一切事
(
あいなるべきいっさいのこと
)
堅く御遠慮申上候、若し破約に於ては御公儀へ出訴なされ候も夢々お恨申す
間敷
(
まじく
)
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
春雪
霏々
(
ひひ
)
、このゆうべに一会なかるべけんやと存じ候。万障を排して、本日午後五時頃より御参会くだされ
度
(
たく
)
、ほかにも五、六名の同席者あるべくと存じ候。但し例の俳句会には
無之
(
これなく
)
候。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一簡
(
いっかん
)
奉啓上候
(
けいじょうそうろう
)
余寒
(
よかん
)
未難去候得共
(
いまださりがたくそうらえども
)
益々御壮健
恐悦至極
(
きょうえつしごく
)
に
奉存候
(
ぞんじそうろう
)
然者
(
しかれば
)
当屋敷
御上
(
おかみ
)
始め重役の銘々少しも
異状
(
かわり
)
無之
(
これなく
)
御安意可被下候
(
ごあんいくださるべくそうろう
)
就
(
つい
)
ては昨年九月只今思い
出
(
だし
)
候ても誠に御気の毒に心得候御尊父を
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
昨夜
恙
(
つつが
)
なく帰宅致し候
儘
(
まま
)
御安心
被下度
(
くだされたく
)
、
此
(
こ
)
の
度
(
たび
)
はまことに御忙しき折柄種々御心配ばかり相懸け候うて申訳も
無之
(
これなく
)
、幾重にも
御詫
(
おわび
)
申上候、御前に御高恩をも謝し奉り、
御詫
(
おわび
)
も致し度候いしが
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
小生なども其
積
(
つもり
)
にて、日々勉学いたし候事に候。物書くこともあながち多く書くがよろしきには
無之
(
これなく
)
、読む方を廃せざる
限
(
かぎり
)
は
休居
(
やすみおり
)
候ても憂ふるに足らずと存じ候。歳暮御忙しき事と御察し申上候。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「拝啓唯今御著『閑話休題』拝受大いに
忝
(
かたじけな
)
く、今度の読書の材料豊富感謝奉り候、小説に御精根傾けあらるる事尊敬慶賀無上に御座候、小生晩春よりかけて元気
無之
(
これなく
)
候、今度元気回復いたしたし、万々頓首、」
茂吉の一面
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
赤坂の方も何ぞかわり候事も
無之
(
これなく
)
先日より
逗子
(
ずし
)
の別荘の方へ
一同
(
みなみな
)
まいり加藤家も皆々
興津
(
おきつ
)
の方へまいり東京はさびしきことに相成り参らせ候
幾
(
いく
)
も一緒に逗子に
罷
(
まか
)
り越し無事相つとめおり参らせ候
御伝言
(
おんことづけ
)
の趣申しつかわし候ところ当人も涙を
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
人の上に立つ人にて文学技芸に達したらん者は人間としては下等の地に居るが通例なれども、実朝は全く例外の人に相違
無之
(
これなく
)
候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
もっとも世俗的な
浅薄
(
せんぱく
)
な考えにのみ
焦慮
(
しょうりょ
)
致し、一歩立ちいって根本的に考えるという事ほとんど
無之
(
これなく
)
、はずかしき次第に候う。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
陳者
(
のぶれば
)
蒔岡様之件その後協議申候処御縁
無之
(
これなく
)
申候間何卒御先方様へその旨御伝願上候御都合も有之候事
故
(
ゆえ
)
取急ぎ御返事申上候
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
貴殿入手の歡喜天は、三國傳來の秘佛にして、俗人の私すべきものに
無之
(
これなく
)
、早速當方に引渡され度く此の段確と申入候。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
老生もとより
愚昧
(
ぐまい
)
と
雖
(
いえど
)
も教えて責を負わざる無反省の教師にては
無之
(
これなく
)
、昨夕、老骨奮起一番して弓の道場を訪れ申候。
花吹雪
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「明日参上いたすべく
候
(
そうろう
)
に付、
外
(
ほか
)
に御用事なくば、御待下されたく候。
尤
(
もっと
)
も当方も用事にては
無之
(
これなく
)
候」としてある。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
秀林院様は少しもお優しきところ
無之
(
これなく
)
、賢女ぶらるることを第一となされ候へば、お側に居り候ても、浮きたる話などは相成らず、
兎角
(
とかく
)
気のつまるばかりに候
間
(
あひだ
)
糸女覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
赤坂傳馬町二丁目長助店元麹町三丁目浪人藤崎道十郎後家願人みつ 其方儀願ひ出候
目安
(
めやす
)
を
取調
(
とりしら
)
べる處
事實
(
じじつ
)
相違
(
さうゐ
)
無之
(
これなく
)
且
(
かつ
)
永年
(
えいねん
)
夫
(
をつと
)
無實
(
むじつ
)
の
罪科
(
ざいくわ
)
に
逢
(
あひ
)
しを
歎
(
なげ
)
かは
敷
(
しく
)
心得
貞節
(
ていせつ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
貴書中既に就職面会にて銓衡委員と衝突したるやの
箇条有之
(
かじょうこれあり
)
、小生、
有之哉
(
これあるかな
)
と案を
拍
(
う
)
ち申候。元来人間は社会に尽す為め業務に従うに
無之
(
これなく
)
、全く自家生計の為めに御座候。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その後は存外の御無沙汰、平に御海恕
可被下
(
くださるべく
)
候。御恵贈の『新俳句』一巻今日学校にて落手、御厚意の段難有奉拝謝候。小生爾来俳境日々退歩、昨今は現に一句も
無之
(
これなく
)
候。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
大事の御身までも世の
廃
(
すた
)
り物に致させ候かと思ひまゐらせ候へば、何と申候私の罪の程かと、今更
御申訳
(
おんまをしわけ
)
の致しやうも
無之
(
これなく
)
、唯そら
可恐
(
おそろ
)
しさに消えも
入度
(
いりた
)
く
存
(
ぞんじ
)
まゐらせ候。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
且
(
かつ
)
又
(
また
)
、此方共は、籠城して、途を開くべき為には
無之
(
これなく
)
、ただ各〻城と共に自滅の覚悟にて候。
日本名婦伝:小野寺十内の妻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
門北お御所の
方
(
かた
)
に当り一道の火気を発し、甚だ騒々
敷
(
しく
)
候間、
是
(
これ
)
阪兵への内応と申居り候間、忽に鎮定、その内に伏見の砲声も追々遠く相成り、京軍勝利の様子に相成り候まゝ終夜砲声
鈍
(
にぶ
)
る事
無之
(
これなく
)
鳥羽伏見の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
就而者
(
ついては
)
御草稿を御遣し下され候はゞ
骨折
(
ほねおり
)
拝見仕可く候。此頃高野俊蔵よりも、近業の詩文
堆
(
つい
)
を成し
候得共
(
そうらえども
)
一向相談する人も
無之
(
これなく
)
、
何卒
(
なにとぞ
)
旧稿と思召し御遠慮なく
御刪正
(
ごさんせい
)
下され度く候。
箇様
(
かよう
)
申し来り候。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
幾百年の間常に腐敗したる和歌の上にも、特に腐敗の甚しき時代あるが如く、われらの如き
常病人
(
じょうびょうにん
)
も特に病気に
罹
(
かか
)
る事
有之
(
これあり
)
閉口之外
無之
(
これなく
)
候。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
某
(
それがし
)
儀
(
ぎ
)
今年今月今日切腹して
相果
(
あいはて
)
候
(
そろ
)
事いかにも
唐突
(
とうとつ
)
の
至
(
いたり
)
にて、弥五右衛門
奴
(
め
)
老耄
(
ろうもう
)
したるか、乱心したるかと申候者も
可有之
(
これあるべく
)
候
(
そうら
)
えども、決して左様の事には
無之
(
これなく
)
候
(
そろ
)
。
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「………何分この頃は物価高く、二三年前とは驚くほどの相違にて、さしたる
贅沢
(
ぜいたく
)
を致さざるにも
不拘
(
かかわらず
)
、月々の経費に追われ、都会生活もなかなか容易に
無之
(
これなく
)
、………」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私事
空
(
むなし
)
く相成候とも、決して
余
(
よ
)
の病にては
無之
(
これなく
)
、
御前様
(
おんまへさま
)
御事
(
おんこと
)
を
思死
(
おもひじに
)
に
死候
(
しにさふらふ
)
ものと、
何卒
(
なにとぞ
)
々々
御愍
(
おんあはれ
)
み
被下
(
くだされ
)
、
其段
(
そのだん
)
はゆめゆめ
詐
(
いつはり
)
にては
無御座
(
ござなく
)
、みづから堅く信じ居候事に御座候。
金色夜叉
(新字旧仮名)
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尾崎紅葉
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
之
漢検準1級
部首:⼃
4画
“無之”で始まる語句
無之候
無之由
無之事
無之旨
無之筈
無之次第
無之候得者