波間なみま)” の例文
ただ、その証拠しょうこに、もはや、このオルガンの音色ねいろうみうえをころがっても、さかなが、波間なみまねるようなことはなかったのであります。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは波間なみまに一台の黄金こがねづくりの車があって、その上に裸体らたいの美の女神ヴィーナスが髪をくしけずりながら艶然えんぜんと笑っているのであった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
若者わかものおもはずはしました。るがうち波間なみまはなれ、大空おほぞら海原うなばらたへなるひかり滿ち、老人らうじん若者わかもの恍惚くわうこつとして此景色このけしきうたれてました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そのきさきを描き女神めがみを描き、あるくれないの島にれなして波間なみまに浮ぶナンフ或は妖艶の人魚の姫。或はまた四季の眺めを形取かたどる肉付のよきポモンの女神。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
いまそのうるはしく殊勝けなげなる夫人ふじんが、印度洋インドやう波間なみまえずなつたといては、他事ひとごとおもはれぬと、そゞろにあわれもようしたる大佐たいさは、暫時しばらくしてくちひらいた。
こうして、女は、手つだいをした男といっしょに、あなをあけたふねにのせられて、海につきだされました。ふたりは、まもなく波間なみまにしずんでしまいました。
みぎうたうたおわるとともに、いつしかわたくしからだくる波間なみまおどってりました、そのときちらとはいしたわがきみのはっとおどろかれた御面影おんおもかげ——それが現世げんせでの見納みおさめでございました。
八幡船ばはんせんの親船がかえってきたのだ。もうすぐそこ——島から数町の波間なみまのちかくへ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
王子のこころのなかには、花よめのことだけしかありません。短刀は、人魚のひいさまの手のなかでふるえました。——でも、そのとき、ひいさまは短刀を波間なみまとおく投げ入れました。
したなる流にはわれ一葉いちようの舟をうかべて、かなたへむきてもろ手高く挙げ、おもてにかぎりなき愛を見せたり。舟のめぐりには数知られぬ、『ニックセン』、『ニュムフェン』などの形波間なみまより出でて揶揄やゆす。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
いかづちの火の岩に落ち波間なみまに落ちて消ゆるまも
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
波間なみまにもがく白い手の
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
かかるくろ波間なみま
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ゆふほし波間なみましづ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
このとき、二郎じろうは、ふとおきほうますと、そこにはわきたように、あかふねあおうみ波間なみまかんでいたのであります。
赤い船のお客 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくしいま春枝夫人はるえふじん波間なみましづんだといても、どうも不幸ふこうなる最後さいごげられたとはおもはれない、あるひ意外いぐわい救助すくひて、子ープルスなる良君をつともとかへつて、今頃いまごろかへつ
そのきさきを描き女神めがみを描き、あるくれないの島に群れなして波間なみまに浮ぶナンフ或は妖艶ようえんの人魚の姫。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それから十五分ほどたって、四隻がてんでに舷側げんそくから火をふきながら、仲よく揃って、ぶくぶくと波間なみまに沈み去ったその壮観そうかんたるや、とても私の筆紙ひっしつくし得るものではなかった。
入海いりうみ波間なみまにも
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
つばめはしきりに、そらんでいています。ふねかげは、くろく、ちょうどかべたように、あお波間なみまえたり、かくれたりします。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
此時このとき不意ふいに、波間なみまからをどつて、艇中ていちう飛込とびこんだ一尾いつぴき小魚こざかな日出雄少年ひでをせうねん小猫こねこごとひるがへして、つておさへた。『に、にがしては。』とわたくし周章あはてゝ、そのうへまろびかゝつた。
けると、はるかした波間なみまに、あかふねが、暴風ぼうふうのために、くつがえっているのをました。それは、おうさまのおむかえにされたあかふねです。
赤い船とつばめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
余は甲板上の前檣ぜんしょうにもたれて四方を見渡すに、眼に入るかぎり船もなく島もなく、ただ気味悪きほどの蒼き波間なみまに、一頭の巨鯨の潮ふけるが見ゆるばかり、かかる光景を見ては
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
あるのこと、いくそうかのふねは、いつものごとくあお波間なみまかんで、りょうをしていたのです。すると、天気てんきがにわかにかわって、ひどい暴風ぼうふうとなりました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのときうみなか音楽おんがくひびいて、一個ひとつおおきなかめが波間なみまて、うみなか子供こどもむかえにきました。
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二人ふたりは、同時どうじさけびました。あか夕日ゆうひは、ちょうど波間なみましずもうとしています。二人ふたりは、とおあるいてきたみちをかえりながら、いわうえこしろしてやすみました。
トム吉と宝石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
にんはあるいわうえちまして、きれいなたいまいいろくもそらんでいました。むすめらはっているあかかみちいさないしつつんで、それを波間なみまめがけてげました。
夕焼け物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はるか、かなたには、海岸かいがん小高こだかやまにある、神社じんじゃ燈火あかりがちらちらと波間なみまえていました。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、あかふねかげは、波間なみまにうすれて、えたり、えたりしています。
赤い船のお客 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はるかの波間なみましまえたのでおおいによろこび、こころはげましました。
不死の薬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、波間なみまに、あかふねえると
赤い船とつばめ (新字新仮名) / 小川未明(著)