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恨
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うらみ
ふりがな文庫
“
恨
(
うらみ
)” の例文
それを、いま自分が、争議中の一切の
恨
(
うらみ
)
を水に流して、自ら貰い下げに行くことは、どれだけ彼らに大きな影響を与えることだろう。
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
それは紛れもない多与里——曾てはお七のモテルになって、散々恋の遊戯をした相手の、多与里の
恨
(
うらみ
)
に燃ゆる顔ではありませんか。
奇談クラブ〔戦後版〕:02 左京の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
まことに
御尤
(
ごもっと
)
もではございますが、あなたは萩原様にお
恨
(
うらみ
)
がございましょうとも、
私共
(
わたくしども
)
夫婦は萩原様のお蔭で斯うやっているので
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いな、彼女は初恋の人に対する心と肉体との操を守りながら、初恋を蹂み躙られた
恨
(
うらみ
)
を、多くの男性に報いてゐたと云つてもよかつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
平太郎は
知行
(
ちぎょう
)
二百石の
側役
(
そばやく
)
で、
算筆
(
さんぴつ
)
に達した老人であったが、
平生
(
へいぜい
)
の行状から推して見ても、
恨
(
うらみ
)
を受けるような人物では決してなかった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
一
(
ひ
)
ト月過ぎ
二
(
ふ
)
タ月
過
(
すぎ
)
ても
此
(
この
)
恨
(
うらみ
)
綿々
(
めんめん
)
ろう/\として、
筑紫琴
(
つくしごと
)
習う
隣家
(
となり
)
の
妓
(
こ
)
がうたう唱歌も我に引き
較
(
くら
)
べて絶ゆる事なく悲しきを、コロリン
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「四ツの鼓は世の中に世の中に。恋という事も。
恨
(
うらみ
)
ということも」——という謡曲の文句を思い出しながら私は気を押し鎮めた。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
けれども僕は里子のことを思うと、
恨
(
うらみ
)
も
怒
(
いかり
)
も消えて、たゞ限りなき
悲哀
(
かなしみ
)
に沈み、この悲哀の底には愛と絶望が戦うて居るのです。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかし藩の必ずこれを
阻格
(
そかく
)
すべきことは、母子皆これを知っていた。
約
(
つづ
)
めて言えば、弘前を去る成善には母を
質
(
ち
)
とするに似た
恨
(
うらみ
)
があった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
しかし自分がそんな空怖しい役目を引受けて、何の
恨
(
うらみ
)
もない若旦那に無実の云い懸けをするなどとは、飛んでも無いことだと
彼女
(
かれ
)
は又思った。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
草
(
くさ
)
を
刈
(
かる
)
鎌
(
かま
)
をさへ
買求
(
かひもとむ
)
るほどなりければ、火の
為
(
ため
)
に
貧
(
まづし
)
くなりしに家を
焼
(
やき
)
たる
隣家
(
りんか
)
へ
対
(
むか
)
ひて
一言
(
いちごん
)
の
恨
(
うらみ
)
をいはず、
交
(
まじは
)
り
親
(
したし
)
むこと常にかはらざりけり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
雪
(
すゝが
)
ん物と思ふより庄兵衞に會ひ云々と申すに因て
僥倖
(
さいはひ
)
なれば只今よりして彼方へ
赴
(
おもむ
)
き
仇
(
あだ
)
を殺して身の明を立んと思へど我私しの
恨
(
うらみ
)
を以て他人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
恨
(
うらみ
)
? 恨でも
春恨
(
しゅんこん
)
とか云う、詩的のものならば格別、ただの恨では余り俗である。いろいろに考えた末、しまいにようやくこれだと気がついた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ロミオ
捕
(
とら
)
はれうと、
死罪
(
しざい
)
にならうと、
恨
(
うらみ
)
はない、
卿
(
そもじ
)
の
望
(
のぞみ
)
とあれば。あの
灰色
(
はひいろ
)
は
朝
(
あさ
)
の
眼
(
め
)
で
無
(
な
)
いとも
言
(
い
)
はう、ありゃ
嫦娥
(
シンシヤ
)
の
額
(
ひたひ
)
から
照返
(
てりかへ
)
す
白光
(
びゃくくわう
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
高く廻らした煉瓦塀も、人の
恨
(
うらみ
)
を
遮断
(
しゃだん
)
するものであった。そのてっぺんには、
硝子
(
ガラス
)
の破片が隙間なく植えつけてあった。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
生は歌よみに向ひて何の
恨
(
うらみ
)
も持たぬに、かく罵詈がましき言を放たねばならぬやうに相成候心のほど
御察被下
(
おさっしくだされ
)
たく候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「それなら、もう一つたずねるが、トラ十以外の者で、誰かこのミマツ曲馬団に対して
恨
(
うらみ
)
を抱いていた者はないか」
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
我この
恨
(
うらみ
)
を懐いて煩悶
終
(
つい
)
に死を決するに至る。既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし。始めて知る、大なる悲観は大なる楽観に一致するを。
巌頭の感
(新字新仮名)
/
藤村操
(著)
そこで小僧は和尚のたくらみに
恨
(
うらみ
)
骨髄に徹してゐたので、和尚の
運
(
めぐ
)
らした不埒な魂胆を権十に洩らしたのである。
村のひと騒ぎ
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
微月
(
うすづき
)
に照されて竹の幹にそうて立っていた、
可憐
(
かれん
)
な女の
容
(
さま
)
を浮べると、伯父に対する
恨
(
うらみ
)
も、心の苦痛も、皆消えてしまって、はては涙になってしまった。
倩娘
(新字新仮名)
/
陳玄祐
(著)
恨
(
うらみ
)
は長し人魂か何かしらず筋を引く光り物のお寺の山といふ小高き処より、折ふし飛べるを見し者ありと伝へぬ。
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
父母寵愛して
恣
(
ほしいまま
)
に
育
(
そだて
)
ぬれば、
夫
(
おっと
)
の家に行て心ず気随にて夫に
疏
(
うとま
)
れ、又は舅の
誨
(
おし
)
へ
正
(
ただし
)
ければ堪がたく思ひ舅を
恨
(
うらみ
)
誹
(
そし
)
り、
中
(
なか
)
悪敷
(
あしく
)
成て終には追出され恥をさらす。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
栄二 そんな
恨
(
うらみ
)
が言いたい位なら、わざわざ訪ねて来やしません。わたしが何かを言う以上に、今度の戦争じゃ貴女はひどい打撃を受けられた筈でしょう。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
誓つたけれども、この無残な
死状
(
しにざま
)
を見ては、罪も
恨
(
うらみ
)
も皆消えた! 赦したぞ、宮!
俺
(
おれ
)
は心の底から赦したぞ!
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
自分の前に倒れているその男を見ると、別に憎くもなければ、
恨
(
うらみ
)
を持っているのでもないことが、始めて自覚された。それが不思議なことのように思われた。
橇
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
ドリスがいかに巧みに機嫌を取ってくれても、歓楽の天地の
閾
(
しきい
)
の外に立って、中に這入る事の出来ない
恨
(
うらみ
)
を
霽
(
は
)
らすには足らない。詰まらない友達が羨ましい。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
「お父さんはそんな、
恨
(
うらみ
)
を受ける様な事をしていたのかい。新聞には
遺恨
(
いこん
)
の殺人らしいと出ていたが」
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
人生
恨
(
うらみ
)
多
(
おほ
)
き四月の廿一日堺兄は幼児を病妻に托して巣鴨の獄に
赴
(
おもむ
)
けり、而して余は自ら「火の柱」の印刷校正に当らざるべからず、是れ
豈
(
あ
)
に兄が余に出版を
慫慂
(
しようよう
)
し
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「
恨
(
うらみ
)
を受けているような事はないと存じます」こう云いながら、彼は側に立っていた青木を見つけて
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
八蔵は泰助に
恨
(
うらみ
)
あれば、その頭蓋骨は砕かれけん髪の毛に黒血
凝
(
かたま
)
りつきて、頬より胸に
鮮血
(
なまち
)
迸
(
ほとばし
)
り眼を塞ぎ歯を
切
(
しば
)
り、二目とは見られぬ様にて、死しおれるにもかかわらず。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
言
(
い
)
ふ
迄
(
まで
)
も
無
(
な
)
く、
弦月丸
(
げんげつまる
)
は
其時
(
そのとき
)
無限
(
むげん
)
の
恨
(
うらみ
)
を
飮
(
の
)
んで、
印度洋
(
インドやう
)
の
海底
(
かいてい
)
に
沈沒
(
ちんぼつ
)
せしめられたのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
その女王の
恨
(
うらみ
)
が消えずに、今も火山の煙となって、燃え上っているのでは、ないだろうか。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
自己は自己である。愛した女だとて、自己の
総
(
すべ
)
てを占領することは出来ない。それが出来ない為めに死んだとて、
恨
(
うらみ
)
を
他
(
ひと
)
に投げかけて死んだとて、それが誰の責任になるであらう。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
貴殿に対しては恩も
恨
(
うらみ
)
もなき身なれど、このお
小夜殿
(
おさよどの
)
は恩儀ある我が師の
娘御
(
むすめご
)
なり。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
都の人も見ぬを
恨
(
うらみ
)
に聞え侍るを、我が身
稚
(
をさな
)
きより、人おほき所、
或
(
ある
)
は道の
長手
(
ながて
)
をあゆみては、必ず
二五五
気
(
け
)
のぼりてくるしき病あれば、
二五六
従駕
(
みとも
)
にえ出で立ち侍らぬぞいと
憂
(
うれた
)
けれ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
こう気が
附
(
つい
)
て見ると文三は幾分か
恨
(
うらみ
)
が晴れた。叔母がそう憎くはなくなった、イヤ
寧
(
むし
)
ろ叔母に対して気の毒に成ッて来た。文三の
今我
(
こんが
)
は
故吾
(
こご
)
でない、シカシお政の故吾も今我でない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
母親は男が
捕
(
とら
)
えられ引き立てられて行くを見て、滝のように血の流るる中より、おのれは
恨
(
うらみ
)
も
抱
(
いだ
)
かずに死ぬるなれば、孫四郎は
宥
(
ゆる
)
したまわれという。これを聞きて心を
動
(
うご
)
かさぬ者はなかりき。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
... さればわれその
厚意
(
こころざし
)
に
愛
(
め
)
で、おつつけ彼の黒衣とやらんを
討
(
うっ
)
て、爾がために
恨
(
うらみ
)
を
雪
(
すす
)
がん。心安く
成仏
(
じょうぶつ
)
せよ」「こは有難き
御命
(
おおせ
)
かな。かくては思ひ置くこともなし、
疾
(
と
)
くわが
咽喉
(
のど
)
を
噬
(
か
)
みたまへ」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
〽鐘に
恨
(
うらみ
)
は数々ござる、初夜の鐘を撞く時は、諸行無常と響くなり……。
京鹿子娘道成寺
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
唇の処へ持って行く時、ちょっと
恨
(
うらみ
)
をふくんだ眼をして、私を見ました。
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
「あなたは私を忘れましたか」と、修験者は
恨
(
うらみ
)
を
籠
(
こ
)
めた
詞
(
ことば
)
で云いました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
『香玉はわが愛妻、絳雪はわが良友、卿そも院中第幾株、いづれの木立ぞと、
疾
(
と
)
く聞えよかし。わが
家
(
や
)
のうちに抱へ移して、かの香玉の悪人に奪ひ去られて百年の
恨
(
うらみ
)
貽
(
のこ
)
ししわざはひ再びせさせじ』
『聊斎志異』より
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
けれどもこの人の、いまの静けさに
憎
(
にくし
)
みを返す人があろうか。この人のわたしを
庇
(
かば
)
い通した永い年月を
他所
(
よそ
)
ながら眺めてその人達も
恨
(
うらみ
)
をおさめて居るに相違あるまい。もういくたりの
児
(
こ
)
の父となって。
愛よ愛
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その手紙には非道く悲しい事も書かず、
恨
(
うらみ
)
がましい事も書かず、つい貴方のお心にわたしの心がよう分って、貴方が今一
度
(
ど
)
わたしを可哀く思って少しばかり泣いて下さるように書きたいと存じました。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
亡国の歌は残つて玉樹空し 美人の罪は麗花と同じ
紅鵑
(
こうけん
)
血は
灑
(
そそ
)
ぐ
春城
(
しゆんじよう
)
の雨 白蝶魂は寒し
秋塚
(
しゆうちよう
)
の風 死々生々
業
(
ごう
)
滅し難し 心々念々
恨
(
うらみ
)
何ぞ
窮
(
きわ
)
まらん 憐れむべし房総佳山水
渾
(
すべ
)
て魔雲障霧の中に落つ
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
人生
(
じんせい
)
の
恨
(
うらみ
)
、この
病
(
やまい
)
の
一大要素
(
いちだいようそ
)
ならずんばあらじ。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
と赤羽君は腕
捲
(
まく
)
りをした。
恨
(
うらみ
)
骨髄
(
こつずい
)
に徹している。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
いまぞ
恨
(
うらみ
)
の矢をはなつ声 荷兮
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
尽
(
つ
)
きせぬ
恨
(
うらみ
)
に 泣くねは
共々
(
ともども
)
七里ヶ浜の哀歌
(新字新仮名)
/
三角錫子
(著)
恨
(
うらみ
)
を日本国に晴さん
汽船が太平洋を横断するまで
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
“恨”の解説
恨(ハン)は、朝鮮文化においての思考様式の一つで、感情的なしこりや、痛恨、悲哀、無常観をさす朝鮮語の概念。歴史学者の古田博司は朝鮮文化における恨を「伝統規範からみて責任を他者に押し付けられない状況のもとで、階層型秩序で下位に置かれた不満の累積とその解消願望」と説明している。
(出典:Wikipedia)
恨
常用漢字
中学
部首:⼼
9画
“恨”を含む語句
怨恨
御恨
悔恨
長恨歌
遺恨
逆恨
痛恨
憤恨
意趣遺恨
意恨
多恨
此恨
可恨
恨事
忿恨
恨気
万恨
慙恨
此遺恨
秋恨
...