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急足
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いそぎあし
ふりがな文庫
“
急足
(
いそぎあし
)” の例文
卯の花の礼心には、
砧
(
きぬた
)
まき、紅梅餅、と思っただけで、広小路へさえ
急足
(
いそぎあし
)
、そんな暇は貰えなかったから訪ねる事が出来なかった。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夏の
炎天
(
えんてん
)
ではないからよいようなものの
跣足
(
すあし
)
に
被
(
かぶ
)
り
髪
(
がみ
)
——まるで赤く無い
金太郎
(
きんたろう
)
といったような
風体
(
ふうてい
)
で、
急足
(
いそぎあし
)
で
遣
(
や
)
って来た。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
今しもその、五六軒
彼方
(
かなた
)
の加藤医院へ、
晩餐
(
ゆふめし
)
の
準備
(
したく
)
の豆腐でも買つて来たらしい白い前掛の
下婢
(
げぢよ
)
が
急足
(
いそぎあし
)
に入つて行つた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と立ちつづく
小家
(
こいえ
)
の前で歌ったが金にならないと見たか歌いも
了
(
おわ
)
らず、元の
急足
(
いそぎあし
)
で
吉原土手
(
よしわらどて
)
の方へ行ってしまった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
忌々
(
いま/\
)
しさうに頭を
振
(
ふつ
)
て、急に
急足
(
いそぎあし
)
で
愛宕町
(
あたごちやう
)
の
闇
(
くら
)
い狭い
路地
(
ろぢ
)
をぐる/\
廻
(
まは
)
つて
漸
(
やつ
)
と
格子戸
(
かうしど
)
の小さな二
階屋
(
かいや
)
に「小川」と薄暗い
瓦斯燈
(
がすとう
)
の
点
(
つ
)
けてあるのを
発見
(
めつ
)
けた。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
いと更に
面
(
おもて
)
の
裹
(
つつ
)
まほしきこの場を、頭巾脱ぎたる彼の
可羞
(
はづか
)
しさと切なさとは
幾許
(
いかばかり
)
なりけん、
打赧
(
うちあか
)
めたる顔は
措
(
お
)
き所あらぬやうに、
人堵
(
ひとがき
)
の内を
急足
(
いそぎあし
)
に
辿
(
たど
)
りたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
斯麼
(
こんな
)
奴に見込まれては
溜
(
たま
)
らないと思つて、
急足
(
いそぎあし
)
で
伊太利
(
イタリイ
)
銀行の前へ出て折好く来合せた六号の電車に飛乗つてサンタ・マリア・デレ・グラツチイ
寺
(
じ
)
の方に
向
(
むか
)
つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
かう云つて
随
(
つ
)
いて来る母親から次第に遠く離れて
双子
(
ふたご
)
は
急足
(
いそぎあし
)
で女子学院に添つた道を歩くのであつた。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
部屋々々へ膳を運ぶ忙がしそうな足音が廊下に轟いて、何番さんがお急ぎですよ、なぞと二階から金切声で
聒
(
かしま
)
しく
喚
(
わめ
)
く中を、バタバタと
急足
(
いそぎあし
)
に二人ばかり来る女の足音が私の部屋の前で止ると
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
出帆に遅れまいとする船員が三人、買物の包みを抱えて為吉の前を
急足
(
いそぎあし
)
に通った。濃い
咽管
(
パイプ
)
煙草の
薫
(
かお
)
りが彼の嗅覚を突いた。と、遠い外国の港街が幻のように為吉の眼に浮んで消えた。彼は決心した。
上海された男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
『や、
寢※
(
ねす
)
ぎたぞ。』と
急
(
いそ
)
ぎ
飛起
(
とびお
)
き、
衣服
(
ゐふく
)
を
更
(
あらた
)
め、
櫛髮
(
くしけづり
)
を
終
(
をは
)
つて、
急足
(
いそぎあし
)
に
食堂
(
しよくどう
)
へ
出
(
で
)
て
見
(
み
)
ると、
壯麗
(
さうれい
)
なる
食卓
(
しよくたく
)
の
正面
(
しようめん
)
には
船
(
ふね
)
の
規則
(
きそく
)
として
例
(
れい
)
のビール
樽
(
だる
)
船長
(
せんちやう
)
は
威儀
(
ゐぎ
)
を
正
(
たゞ
)
して
着席
(
ちやくせき
)
し、それより
左右
(
さゆう
)
の
兩側
(
りやうがわ
)
に
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
良寛さんは、前かがみになつて、野道を
急足
(
いそぎあし
)
でいつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
そして元来た方へ
急足
(
いそぎあし
)
で引返していった。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ぐるツと
取卷
(
とりま
)
かれて
恥
(
はづか
)
しいので、アタフタし、
駈
(
か
)
け
出
(
だ
)
したい
位
(
くらゐ
)
急足
(
いそぎあし
)
で
踏出
(
ふみだ
)
すと、おもいもの
抱
(
だ
)
いた
上
(
うへ
)
に、
落着
(
おちつ
)
かないからなりふりを
失
(
うしな
)
つた。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と立ちつゞく
小家
(
こいへ
)
の前で歌つたが金にならないと見たか歌ひも
了
(
をは
)
らず、元の
急足
(
いそぎあし
)
で
吉原土手
(
よしはらどて
)
の
方
(
はう
)
へ行つてしまつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
奥の
方
(
かた
)
なる
響動
(
どよみ
)
の
劇
(
はげし
)
きに紛れて、取合はんともせざりければ、二人の車夫は声を合せて
訪
(
おとな
)
ひつつ、格子戸を
連打
(
つづけうち
)
にすれば、やがて
急足
(
いそぎあし
)
の音立てて人は
出
(
い
)
で
来
(
き
)
ぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
と
四辺
(
あたり
)
憚からぬ澄んだ声が響いて、色
褪
(
あ
)
せた紫の袴を
靡
(
なび
)
かせ乍ら、一人の女が
急足
(
いそぎあし
)
に
追駆
(
おつか
)
けて来た。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そら
又
(
また
)
化性
(
けしやう
)
のものだと、
急足
(
いそぎあし
)
に
谷中
(
やなか
)
に
着
(
つ
)
く。いつも
變
(
かは
)
らぬ
景色
(
けしき
)
ながら、
腕
(
うで
)
と
島田
(
しまだ
)
におびえし
擧句
(
あげく
)
の、
心細
(
こゝろぼそ
)
さいはむ
方
(
かた
)
なし。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
智恵子は
一歩
(
ひとあし
)
毎に顔が益々
上気
(
のぼせ
)
て来る様に感じた。何がなしに、吉野と昌作が
背後
(
うしろ
)
から
急足
(
いそぎあし
)
で
追駆
(
おつか
)
けて来る様な気がする。それが、
一歩
(
ひとあし
)
々々に近づいて来る……………
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
母はかく
挨拶
(
あいさつ
)
しつつ彼を迎へて立てり。宮は
其方
(
そなた
)
を見向きもやらで、彼の
急足
(
いそぎあし
)
に
近
(
ちかづ
)
く音を聞けり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
急足
(
いそぎあし
)
に黒壁さして立戻る、十
間
(
けん
)
ばかり
間
(
あい
)
を置きて、
背後
(
うしろ
)
よりぬき足さし足、
密
(
ひそか
)
に歩を運ぶはかの乞食僧なり。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
汚れた
萌黄
(
もえぎ
)
の
裁着
(
たッつけ
)
に、
泥草鞋
(
どろわらじ
)
の乾いた
埃
(
ほこり
)
も、
霞
(
かすみ
)
が麦にかかるよう、
志
(
こころざ
)
して
何処
(
どこ
)
へ
行
(
ゆ
)
く。
早
(
はや
)
その太鼓を
打留
(
うちや
)
めて、
急足
(
いそぎあし
)
に近づいた。いずれも子獅子の
角兵衛
(
かくべえ
)
大小
(
だいしょう
)
。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
隙
(
すか
)
さず、この不気味な和郎を、女房から押隔てて、荷を
真中
(
まんなか
)
へ振込むと、
流眄
(
しりめ
)
に一
睨
(
にら
)
み、直ぐ、
急足
(
いそぎあし
)
になるあとから、和郎は、のそのそ——
大
(
おおき
)
な影を引いて続く。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あい、」といいすてに、
急足
(
いそぎあし
)
で、与吉は見る
内
(
うち
)
に
間近
(
まぢか
)
な渋色の橋の上を、黒い
半被
(
はっぴ
)
で渡った。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あい、」といひすてに、
急足
(
いそぎあし
)
で、
與吉
(
よきち
)
は
見
(
み
)
る
内
(
うち
)
に
間近
(
まぢか
)
な
澁色
(
しぶいろ
)
の
橋
(
はし
)
の
上
(
うへ
)
を、
黒
(
くろ
)
い
半被
(
はつぴ
)
で
渡
(
わた
)
つた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
右の方へかくれたから、角へ出て見ようと、
急足
(
いそぎあし
)
に出よう、とすると、
馴
(
な
)
れない
跛
(
びっこ
)
ですから、腕へ台についた杖を忘れて、
躓
(
つまず
)
いて、のめったので、
生爪
(
なまづめ
)
をはがしたのです。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しばらくして、大分
鎮
(
しず
)
まった時だった。幕あきに間もなさそうで、
急足
(
いそぎあし
)
になる
往来
(
ゆきき
)
の中を、また竹の
扉
(
ひらき
)
からひょいと出たのは、娘を世話した男衆でね。手に弁当を一つ持っていました。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蝙蝠
(
こうもり
)
が黒く、見えては隠れる横町、総曲輪から裏の
旅籠町
(
はたごまち
)
という
大通
(
おおどおり
)
に通ずる小路を、ひとしきり
急足
(
いそぎあし
)
の
往来
(
ゆきき
)
があった後へ、もの
淋
(
さみ
)
しそうな姿で
歩行
(
ある
)
いて来たのは、大人しやかな学生風の
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婦人
(
おんな
)
は
唯
(
ただ
)
御新姐
(
ごしんぞ
)
一人、それを取巻く如くにして、どやどやと
些
(
ち
)
と
急足
(
いそぎあし
)
で、
浪打際
(
なみうちぎわ
)
の方へ通ったが、その
人数
(
にんず
)
じゃ、
空頼
(
そらだの
)
めの、
余所
(
よそ
)
ながら目礼
処
(
どころ
)
の騒ぎかい、
貴下
(
あなた
)
、その五人の男というのが。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
片辺
(
かたえ
)
に
引添
(
ひっそ
)
い、米は前へ立ってすらすらと入るのを、蔵屋の
床几
(
しょうぎ
)
に居た両人、島野と義作がこれを
差覗
(
さしのぞ
)
いて、
慌
(
あわただ
)
しくひょいと立って、体と体が
縒
(
よ
)
れるように並んで、
急足
(
いそぎあし
)
につかつかと出た。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
はてさて、いやどうも何でござりまして、ええ、廊下を
急足
(
いそぎあし
)
にすたすたお通んなすったと申して、成程、
跫音
(
あしおと
)
がしなかったなぞと、女は申しますが、それは早や、気のせいでござりましょう。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二足
(
ふたあし
)
が
三足
(
みあし
)
、
五足
(
いつあし
)
が
十足
(
とあし
)
になって段々深く入るほど——
此処
(
ここ
)
まで来たのに見ないで帰るも
残惜
(
のこりおし
)
い気もする上に、何んだか、
旧
(
もと
)
へ帰るより、前へ出る方が
路
(
みち
)
も
明
(
あかる
)
いかと思われて、
些
(
ち
)
と
急足
(
いそぎあし
)
になると
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
簪
(
かんざし
)
をまだささず、
黒繻子
(
くろじゅす
)
の襟の
白粉垢
(
おしろいあか
)
の冷たそうな、かすりの不断着をあわれに着て、……
前垂
(
まえだれ
)
と帯の間へ、古風に
手拭
(
てぬぐい
)
を
細
(
こまか
)
く挟んだ
雛妓
(
おしゃく
)
が、殊勝にも、お
参詣
(
まいり
)
の
戻
(
もどり
)
らしい……
急足
(
いそぎあし
)
に、つつッと出た。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
急足
(
いそぎあし
)
になつて
來
(
く
)
る。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
急
常用漢字
小3
部首:⼼
9画
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
“急”で始まる語句
急
急遽
急須
急込
急湍
急立
急激
急病
急度
急勾配