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尖
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とが
ふりがな文庫
“
尖
(
とが
)” の例文
また例のやつが彼の腹の中で初まった。すると急に元気づいて来て、口を
尖
(
とが
)
らし、口笛で何かでたらめのマーチをやり出したりした。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
見違えるほど痩せ細って、
頬骨
(
ほおぼね
)
は
尖
(
とが
)
り、目は
青隈
(
あおぐま
)
をとったよう、
眉間
(
みけん
)
にも血、腕にも血、足にも血……。ふた目とみられぬ姿である。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またいう、コンモードは水陸ともに棲む、
長
(
たけ
)
十五フィート周十八インチ、頭
扁
(
ひらた
)
く
濶
(
ひろ
)
く、尾細長くて
尖
(
とが
)
る、褐色で脊と脇に栗色を点す。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
心配
(
しんぱい
)
さうに
木々
(
きゞ
)
の
間
(
あひだ
)
を
覗
(
のぞ
)
き
廻
(
まは
)
つてゐましたが、
軈
(
やが
)
て
其頭
(
そのあたま
)
の
眞上
(
まうへ
)
にあつた
小
(
ちひ
)
さな
尖
(
とが
)
つた
木
(
き
)
の
皮
(
かは
)
に、ひよいと
眼
(
め
)
が
着
(
つ
)
きました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
いっぽうはまた
萱屋根
(
かややね
)
だけでなく、
藁
(
わら
)
やその他の植物で葺いたものがいろいろあって、それはいずれもみな三角がうんと
尖
(
とが
)
っている。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
私は半分寝床から体を
這
(
は
)
ひ出しながら、口を
尖
(
とが
)
らせながら、
呟
(
つぶや
)
くやうに云つた。さう云ふ私を、兄は非難しようとさへしなかつた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
最早
(
もはや
)
、最後かと思う時に、鎮守の
社
(
やしろ
)
が目の前にあることに心着いたのであります。同時に峰の
尖
(
とが
)
ったような
真白
(
まっしろ
)
な杉の大木を見ました。
雪霊続記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
窟の中央の窪んだ処に
諧譃
(
おど
)
けた人物が寄つて、尖柱戯(向うに立てゝある
尖
(
とが
)
つた木の柱を、こちらから木の丸を
転
(
ころが
)
し掛けて倒す戯)
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
夫は
怪訝
(
けげん
)
そうな目で彼女を見た。土佐犬のような顔! が、その犬のように
尖
(
とが
)
った口を急に
侮蔑
(
ぶべつ
)
の笑いに
歪
(
ゆが
)
めて彼女の夫は駆けだした。
猟奇の街
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
しかしそんな言いわけらしい事を聞かなくても、僕は飲食物の入物の形を気にする程、細かく
尖
(
とが
)
った神経を持ってはいないのであった。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
繁さん、真面目のような、我ながらびっくりしたような顔で、口を
尖
(
とが
)
らせ乍ら、一生懸命本をつめている。前日にきまったのですって。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
げに街道に据ゑたる關の、上に二三の
尖
(
とが
)
れる塔を戴きたる、その側なる天然の洞穴、遠景たるべき山腹の村落、皆好畫料とぞ思はるゝ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彼女は頭も
毬栗
(
いがぐり
)
で、
頬
(
ほお
)
はげっそり
削
(
そ
)
げ鼻は
尖
(
とが
)
り、手も
蝋色
(
ろういろ
)
に
痩
(
や
)
せ細っていたが、病気は急性の肺炎に、腹膜と
腎臓
(
じんぞう
)
の併発症があり
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
とにかくしかしそれにしてもと、あんまりお帽子の
菱
(
ひし
)
がたが神経質にまあ
一寸
(
ちょっと
)
詩人のやうに鋭く
尖
(
とが
)
っていささかご
人体
(
にんてい
)
にかゝはりますが
電車
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
碧色の瞳は何処と信って
確
(
し
)
っかり見詰めないような平静な光りを
漾
(
ただ
)
よわせて居る。が、時折り突き入るように
尖
(
とが
)
ってきらめくこともある。
決闘場
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
もともと淋しい顔立ちだったが、日本を離れてから、目立って神経質になり、
尖
(
とが
)
りが添っていたのが、晴ればれして見えるので
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
恐ろしく神経を
尖
(
とが
)
らせ、程度次第では、絵図面を引いて公儀の許しを受けなければ、
謀叛
(
むほん
)
同様に
見做
(
みな
)
される場合もあったのです。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
次に出来る場合というのは、土の表面に小
凹凸
(
おうとつ
)
があって、その中の
尖
(
とが
)
った点から凍り初めた場合であるということを確めている。
「霜柱の研究」について
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
それから鼻のくろい子供が唇をむっと
尖
(
とが
)
らせ、烈しい口調で相手に何か耳うちした。私は彼のからだを両手でゆすぶって叫んだ。
猿ヶ島
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
鮎子さんが、口を
尖
(
とが
)
らせて何かしゃべっている。ピロちゃんとトクさんが、ひどく仔細らしい顔つきで、いちいちそれにうなずいている。
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
大次郎はこのごろ、人が変ったように、神経が
尖
(
とが
)
り、千浪に対しても、以前とは打ってかわって、荒あらしい声を放つのだった。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
人の世界の投ぐる影、
尖
(
とが
)
れる
端
(
はし
)
となる處なるこの天は、クリストの凱旋に加はる魂の中彼をば最も先に受けたり 一一八—一二〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
米友は猿のような口を
尖
(
とが
)
らして火を吹く。お玉は上着を脱いでしまうと下着、その上着だけを米友が手早く取って干場へかける。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
兄貴が口を
尖
(
とが
)
らしても、にんじんが黙りこくっていても、それで、「さよなら」が延びるわけではない。別れなければならない時が来た。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
鷹
(
たか
)
の
羽音
(
はおと
)
でもあるやうに
唸
(
うな
)
つて
來
(
き
)
た
音
(
おと
)
は、その
竹竿
(
たけざを
)
を
手
(
て
)
にした
人
(
ひと
)
が
口端
(
くちばた
)
を
尖
(
とが
)
らせてプウ/\
何
(
なに
)
か
吹
(
ふ
)
く
眞似
(
まね
)
をして
見
(
み
)
せた
聲
(
こゑ
)
でした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
狐のように
尖
(
とが
)
った顔をした残忍そのもののような高利貸の
玉島
(
たましま
)
の、古鞄を小脇に
掻
(
か
)
い込んで、テクテク歩いている姿に変った。
罠に掛った人
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
と、たちまち、どんな隙を見つけ出したか、大蛸はその
尖
(
とが
)
つた口を、まるで電光のやうな速さで、海豚の胸の真つ
只中
(
ただなか
)
に、ぐさりと一突き!
動く海底
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
ところが人形には、
薄
(
うす
)
い
着物
(
きもの
)
の下に
釘
(
くぎ
)
がいっぱい、
尖
(
とが
)
った
先
(
さき
)
を外に
向
(
む
)
けてつまっているのです。いくら
大蛇
(
おろち
)
でもたまりません。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
まず驚くほど
痩
(
や
)
せていた、薄く化粧をしているらしいが、顔色もわるく、
窶
(
やつ
)
れてみえ、まるい二重顎だったのが、こけたように
尖
(
とが
)
っていた。
落ち梅記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
伸びた
口髭
(
くちひげ
)
をグイ/\引つ張り/\詩を考へてゐた狂詩人は、私が問ふと矢にはに跳ね起き
顎
(
あご
)
を前方に突き出し唇を
尖
(
とが
)
らせて
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
コーリヤは眼が鈴のように丸くって大きく、常にくるくる動めいている、そして顔にどっか
尖
(
とが
)
ったところのある少年だった。
渦巻ける烏の群
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
しかし
法華経
(
ほけきょう
)
信者の母は妻の言葉も聞えないように、悪い熱をさますつもりか、一生懸命に口を
尖
(
とが
)
らせ、ふうふう多加志の頭を吹いた。………
子供の病気:一游亭に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
もう一方の助手はいつもすぐそのマフラーを、たえず動いている長い
尖
(
とが
)
った指でKの顔から払いのけはしたのだが、事はよくはならなかった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
女の先生の印象はいい加減なものだったが、理髪師の方は「此処のところが
尖
(
とが
)
っていた。」とか、非常にはっきりしていた。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
神経の
尖
(
とが
)
った現代の子供たちはおそらくこの花火に対して、その昔の私たちほどの興味を持っていないであろうと思われる。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
我々の
闖入
(
ちんにゅう
)
してきたのに神経を
尖
(
とが
)
らせているこの国の人たちにとっては、決して嬉しい感情のものではなかったに違いない。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
がさがさに割られて
尖
(
とが
)
り切った氷の破片が、
嚢
(
ふくろ
)
の中で落ちつく間、私は父の
禿
(
は
)
げ上った額の
外
(
はずれ
)
でそれを柔らかに
抑
(
おさ
)
えていた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ラランの
悪知慧
(
わるぢえ
)
は
有名
(
いうめい
)
なもので、ほかの
鳥
(
とり
)
がうまく
飛
(
と
)
んでるのを
見
(
み
)
ると、
近寄
(
ちかよ
)
つては
自分
(
じぶん
)
の
尖
(
とが
)
つた
嘴先
(
くちさき
)
でチクリと
刺
(
さ
)
して
墜落
(
ついらく
)
させてしまふのだ。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
福々爺もやや福々爺で無くなった。それでも
流石
(
さすが
)
に
尖
(
とが
)
り声などは出さず、やさしい気でいじらしい此女を、いたわるように
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
胸の肉が膨らんでいて下の方へ手を当ててみると
肋骨
(
あばらぼね
)
の
中央
(
まんなか
)
の一番
終
(
しま
)
いが突出て
尖
(
とが
)
って、それで柔いのは若鳥の証拠です。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そしてその真白な谷の向うに、何処かの教会の
尖
(
とが
)
った屋根らしいものが雪の間から幻かなんぞのように見え隠れしていた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
やゝ色づいた
樺
(
かば
)
、楢、イタヤ、などの
梢
(
こずえ
)
から
尖
(
とが
)
った頭の
赭
(
あか
)
い駒が岳が時々顔を
出
(
だ
)
す。
寂
(
さび
)
しい景色である。北海道の気が
総身
(
そうみ
)
にしみて感ぜられる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それを又、一々、神経を
尖
(
とが
)
らせて、その都度誰れに頼まれたでもなく、
尠
(
すくな
)
くともハガキ代の自腹を切ってやる馬鹿があるかと、蔑視されもしよう。
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
アフリカ某
地方
(
ちはう
)
の土人は
土堀
(
つちほ
)
り用の
尖
(
とが
)
りたる
棒
(
ぼう
)
に
石製
(
せきせい
)
の
輪
(
わ
)
をば
鍔
(
つば
)
の如くに
篏
(
は
)
めて
重
(
をも
)
りとし、此
道具
(
どうぐ
)
の
功力
(
こうりよく
)
を増す事有り。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
が大きく
尖
(
とが
)
って見えた。その
逞
(
たくま
)
しい首を見ていると、耐えていた泪が鼻の裏にしみて、私は遠い時計の方を白々と見るより仕方がなかった。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
突然清逸の注意は
母家
(
おもや
)
の茶の間の方に
牽
(
ひ
)
き曲げられた。ばかげて声高な純次に譲らないほど父の声も高く
尖
(
とが
)
っていた。言い争いの
発端
(
ほったん
)
は判らない。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
おいねさんにそのままじゃと近所の人のいうとおり、ミチは母親に生写しで、広い生えぎわや、
尖
(
とが
)
ったようにやせた顔つきなどまったく似ている。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
ウツボグサの紫花の四本の雄蕊は尖端が
二
(
ふ
)
た
叉
(
また
)
になっていて、その一方の叉には
葯
(
やく
)
があるのに他の一方はそれがなくて
尖
(
とが
)
ったままで反り曲っている。
高原
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
庄造は
酸
(
す
)
つぱいやうな顔をして、口を
尖
(
とが
)
らせて
俯向
(
うつむ
)
いてしまつた。母から云はせて福子を
宥
(
なだ
)
める
目算
(
もくさん
)
でゐたのが、すつかり外れてしまつたのである。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
四年目で耳に触れた兄の声は、相変らず
尖
(
とが
)
っていた。辰男はその声を聞くと同時に、ペンを筆筒に収めてインキ
壺
(
つぼ
)
に
蓋
(
ふた
)
をした。ランプをも吹消した。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
尖
漢検準1級
部首:⼩
6画
“尖”を含む語句
尖端
尖塔
尖頭
槍尖
刀尖
鋒尖
尖々
筆尖
尖頂
尖角
切尖
爪尖
尖鋭
剣尖
足尖
尖鋭化
尖先
肺尖加答児
火尖
刃尖
...