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名告
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なの
ふりがな文庫
“
名告
(
なの
)” の例文
これまで私に従学したいと云って
名告
(
なの
)
り出た人に、F君のような造詣のあったことは
曾
(
かつ
)
て無い。この側から見れば、F君は奇蹟である。
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
こう、
為朝
(
ためとも
)
は、おらが先祖だ。民間に下って剃刀の名人、鎮西八郎の
末孫
(
ばっそん
)
で、勢い和朝に名も高き、曾我五郎
時致
(
ときむね
)
だッて
名告
(
なの
)
ったでさ。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
文「おい亥太郎殿、お役人様だぞ、控えろ、さア大伴、もう
斯
(
こ
)
うなったら致し方はござらぬ、侍らしく
名告
(
なの
)
って尋常に勝負なさい」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
また源頼朝や北条泰時の帰依の厚かった一代の高僧たる、
栂尾
(
とがのお
)
の
明恵
(
みょうえ
)
上人の如きすら、自ら「非人高弁」と
名告
(
なの
)
っておられたくらいです。
融和問題に関する歴史的考察
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
しかるに、一昨日その親王殿下のご命名式がございまして、
迪宮殿下
(
みちのみやでんか
)
裕仁親王
(
ひろひとしんのう
)
と
名告
(
なの
)
らせらるるということがご発表になりました
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
錦木を娘の家の門に立てた
東人
(
あずまびと
)
とは別で、娘の家のまわりを、自身名と家とを
喚
(
よば
)
うてとおる。これが「よばひ」でもあり「
名告
(
なの
)
り」でもある。
最古日本の女性生活の根柢
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
興
(
おこ
)
させて
新田
(
につた
)
とは
名告
(
なの
)
らすれど
諸事
(
しよじ
)
は
別家
(
べつけ
)
の
格
(
かく
)
に
准
(
じゆん
)
じて
子々孫々
(
しゝそん/\
)
の
末迄
(
すゑまで
)
も
同心
(
どうしん
)
協力
(
けふりよく
)
事
(
こと
)
を
處
(
しよ
)
し
相
(
あひ
)
隔離
(
かくり
)
すべからずといふ
遺旨
(
ゐし
)
かたく
奉戴
(
ほうたい
)
して
代々
(
よゝ
)
交
(
まじは
)
りを
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『
慮外
(
りよぐわい
)
ながら此のわたりの
庵
(
いほり
)
に、近き頃
樣
(
さま
)
を
變
(
か
)
へて都より來られし、
俗名
(
ぞくみやう
)
齋藤時頼と
名告
(
なの
)
る
年壯
(
としわか
)
き武士のお
在
(
は
)
さずや』。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
サンタと
名告
(
なの
)
れる夫人は、嬉しげに我等二人を迎へて、一坐の客達に引合せ、又我等に、
毫
(
すこ
)
しも心をおかで家に在る如く振舞はんことを勸めたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
改
(
あらた
)
めて
名告
(
なの
)
るほどのものではないのですが、
斯
(
こ
)
うした
深
(
ふか
)
い
因縁
(
いんねん
)
の
絆
(
きずな
)
で
結
(
むす
)
ばれている
上
(
うえ
)
からは、
一
(
ひ
)
と
通
(
とお
)
り
自分
(
じぶん
)
の
素性
(
すじょう
)
を
申上
(
もうしあ
)
げて
置
(
お
)
くことに
致
(
いた
)
しましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
売物と
毛遂
(
もうすい
)
が
嚢
(
ふくろ
)
の
錐
(
きり
)
ずっと突っ込んでこなし廻るをわれから悪党と
名告
(
なの
)
る悪党もあるまいと俊雄がどこか
俤
(
おもかげ
)
に残る
温和
(
おとなし
)
振りへ目をつけてうかと口車へ腰を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
そこでさう云ふフランス人がゐるとして、そいつが直接に血腥い事に関係してゐたら、
名告
(
なの
)
つて出はすまいが、さうでないと名告つて出るだらうと思ふのだ。
病院横町の殺人犯
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
犯人自身が自ら
名告
(
なの
)
らぬ限り永遠に誰にも知れぬ筈ではないか。はたして然りとすれば『完全な犯罪』があるかどうかは既に論ずる余地がない。議論の彼岸にあるべきである
殺人迷路:08 (連作探偵小説第八回)
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
それが自分のパリイに出たあとで再縁して、今ではマドレエヌ・ジネストと
名告
(
なの
)
っている。
田舎
(新字新仮名)
/
マルセル・プレヴォー
(著)
で、前原は米屋五兵衛と
変名
(
へんみょう
)
して、相生町三丁目に
店借
(
たなが
)
りして、吉良邸の偵察に従事するし、神崎は
美作屋
(
みまさかや
)
善兵衛と
名告
(
なの
)
って、上杉の白金の
別墅
(
べっしょ
)
にほど近い麻布谷町に一戸を構えた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
四代目市川
鷺十郎
(
さぎじゅうろう
)
の
孫女
(
まごむすめ
)
に当るので俗に「鷺さくさん」と呼ばれた、大阪に「山村」を
名告
(
なの
)
る舞の家筋が二三軒ある中で最も純粋な昔の型を伝えていると云われていた人の稽古場へ
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
さうして置いて、水車場の普請に行けと云はれた時、同志者は揃つて
名告
(
なの
)
り出た。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
エルリングというのは古い、立派な、
北国
(
ほっこく
)
の王の名である。それを靴を磨く男が
名告
(
なの
)
っている。ドイツにもフリイドリヒという奴僕はいる。しかしまさかアルミニウスという名は付けない。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
天帝の
愛子
(
あいし
)
、運命の
寵臣
(
ちょうしん
)
、人の
中
(
うち
)
の人、男の
中
(
なか
)
の男と世の人の尊重の的、
健羨
(
けんせん
)
の府となる昔
所謂
(
いわゆる
)
お役人様、今の所謂官員さま、後の世になれば社会の公僕とか何とか
名告
(
なの
)
るべき方々も出た。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そいつは公々然として己の敵だと
名告
(
なの
)
る。そいつは個個の善意の団体を離れて、独立して働く。そいつの意志の要求する所のものは何か。答へて曰く。己の死である。なぜ己の死を欲するか。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
君は一部だと
名告
(
なの
)
る。そして全体で己の前にいるのか。1345
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
ことさら我
名告
(
なの
)
らずも夜のふけてとどと叩くは酒の神と知れ
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
片側ずつがその名を
名告
(
なの
)
っていた。
旧聞日本橋:02 町の構成
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
こう言うとな、大概生意気な
奴
(
やつ
)
は、名を聞くんなら、自分から
名告
(
なの
)
れと、手数を掛けるのがお
極
(
きま
)
りだ。……俺はな、お
前
(
めえ
)
の名を
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
文「いや/\名なんどを
名告
(
なの
)
るような者ではありません、
無禄
(
むろく
)
無官の浪人で業平橋に
居
(
お
)
る波島文治郎と申すものでございます」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
男は阿部守衛の門人津下四郎左衛門と
名告
(
なの
)
つて、さて能呂にかう云つた。自分は兼てより尊王の志を
懐
(
いだ
)
いてゐるものである。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
彼
(
あ
)
の
人
(
ひと
)
あれ
程
(
ほど
)
の
身
(
み
)
にて
人
(
ひと
)
の
性
(
せい
)
をば
名告
(
なの
)
らずともと
誹
(
そし
)
りしも
有
(
あり
)
けれど、
心安
(
こゝろやす
)
う
志
(
こゝろざす
)
す
道
(
みち
)
に
走
(
はし
)
つて、
内
(
うち
)
を
顧
(
かへり
)
みる
疚
(
やま
)
しさの
無
(
な
)
きは、これ
皆
(
みな
)
養父
(
やうふ
)
が
賜物
(
たまもの
)
ぞかし
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それにも拘らず溺死者の死体は外に怪しい
箇処
(
ところ
)
も無いので、其儘受取人として
名告
(
なの
)
つて出たかの娘つ子に
下渡
(
さげわた
)
された。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
番付
(
ばんづけ
)
には
流石
(
さすが
)
にわが
實
(
まこと
)
の
苗字
(
めうじ
)
をしるさんことの恥かしくて、假にチエンチイと
名告
(
なの
)
りたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
また九州の
隼人
(
はやと
)
だとて、帰化の支那人だとて、朝鮮人だとて、皆そうであります。坂上田村麿がよしやアイヌの出であったとしても、彼は支那人の子孫だと自ら
名告
(
なの
)
っておりました。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
こうなれば、あの女はもう自分の死後も自分の妻と
名告
(
なの
)
ることはできない。妻も子も永遠に日蔭の身である。もっとも、同志の士は皆妻子を離別してきたというが、それとこれとは話が違う。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
入神中
(
にゅうしんちゅう
)
のT
女
(
じょ
)
の
意識
(
いしき
)
は
奥
(
おく
)
の
方
(
ほう
)
に
微
(
かす
)
かに
残
(
のこ
)
ってはいるが、それは
全然
(
ぜんぜん
)
受身
(
うけみ
)
の
状態
(
じょうたい
)
に
置
(
お
)
かれ、そして
彼女
(
かのじょ
)
とは
全然
(
ぜんぜん
)
別個
(
べっこ
)
の
存在
(
そんざい
)
——
小櫻姫
(
こざくらひめ
)
と
名告
(
なの
)
る
他
(
た
)
の
人格
(
じんかく
)
が
彼女
(
かのじょ
)
の
体躯
(
たいく
)
を
司配
(
しはい
)
して、
任意
(
にんい
)
に
口
(
くち
)
を
動
(
うご
)
かし
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
敵の様子が変ったのは自分が昨夜此れ/\のことをしたからだと
名告
(
なの
)
って出れば、味方は
俄
(
にわ
)
かに
生色
(
せいしょく
)
を取り返し、無駄な心配から救われる訳でもあり、第一法師丸自身がいかに面目を
施
(
ほどこ
)
すことか
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
家
(
うち
)
を間違えたか知らと、
一寸
(
ちょっと
)
狼狽したが、標札に確に
小狐
(
おぎつね
)
三平とあったに違いないから、姓名を
名告
(
なの
)
って今着いた事を言うと、若い女は
怪訝
(
けげん
)
な顔をして、
一寸
(
ちょっと
)
お待ちなさいと言って
引込
(
ひっこ
)
んだぎり
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
自分が先へ
名告
(
なの
)
るが
好
(
い
)
い。互の身の上だろう。8825
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
その時は別の名を
名告
(
なの
)
つてゐた。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
しかし御覧の通り、木の
端
(
はし
)
同然のものでありますので、別に
名告
(
なの
)
りますほどの苗字とてもありませぬ。愚僧は泉岳寺の
味噌摺
(
みそすり
)
坊主でござる。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
光徳は
小字
(
おさなな
)
を
徳治郎
(
とくじろう
)
といったが、この時
更
(
あらた
)
めて三右衛門を
名告
(
なの
)
った。外神田の店はこの頃まだ迷庵の
姪
(
てつ
)
光長
(
こうちょう
)
の代であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と飯島平左衞門は孝心に感じ、
機
(
おり
)
を見て
自
(
みずか
)
ら孝助の
敵
(
かたき
)
と
名告
(
なの
)
り、討たれてやろうと常に心に掛けて居りました。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
されど我胸は高く跳りて、今
渠
(
かれ
)
に
對
(
むか
)
ひて
名告
(
なの
)
り合ふことを欲せず、又能はざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「三教指帰」に自ら仮名乞児と
名告
(
なの
)
られ、栂尾の高僧明恵上人は、「摧邪輪」に自ら非人高弁と署名せられているのである、この乞児・非人と、エタの起原と言われたキヨメ・河原者の徒と
特殊部落と寺院
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
詩人と
名告
(
なの
)
って出られた以上は、220
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
あゝ、
花
(
はな
)
も
恁
(
か
)
う
乱
(
みだ
)
れぬうち、
雲
(
くも
)
の
中
(
うち
)
から
奥様
(
おくさま
)
を
助
(
たす
)
け
出
(
だ
)
し、こゝへ
並
(
なら
)
べて、
蝶
(
てふ
)
の
蔭
(
かげ
)
から、
貴下
(
あなた
)
の
喜
(
よろこ
)
ぶ
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て、
其
(
そ
)
の
後
(
あと
)
で
名告
(
なの
)
りたうごさんした。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
関藤藤陰が石川氏を冒してゐた中間に、暫く関氏五郎若くは石川氏関五郎と
名告
(
なの
)
つたと云ふ一の証拠を得むことを欲する。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
先代が頂戴の名を附けて居ては成らぬと云うので、信州水内郡の水と白島村の島の字を取って
苗字
(
みょうじ
)
に致し、これに父の旧名太一を
名告
(
なの
)
って水島太一と致したが
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もっとも厳格なる意味から云えば、施主の供養に生きる如法の僧侶の如きもやはり乞食で、弘法大師の「三教指帰」には、自己を仏教の代表者とし、これを「仮名乞児」と
名告
(
なの
)
らせているのである。
賤民概説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
門外に来てゐるのは二
人
(
にん
)
の少年であつた。一
人
(
にん
)
は東組町
同心
(
どうしん
)
吉見九郎右衛門
(
よしみくらうゑもん
)
の
倅
(
せがれ
)
英太郎
(
えいたらう
)
、今一人は同組同心
河合郷左衛門
(
かはひがうざゑもん
)
の倅
八十次郎
(
やそじらう
)
と
名告
(
なの
)
つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
とぽんとしていた小女の喜野が立とうとする、と、
名告
(
なの
)
ったお千が、打傾いて、優しく口許をちょいと曲げて傾いて
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先
(
ま
)
ず追々腕も出来て来たか、
生兵法
(
なまびょうほう
)
は敗れを取ると云う
譬
(
たと
)
えも有るから、ひょっと途中で水司又市に
出遇
(
であ
)
っても一人で敵と
名告
(
なの
)
って斬掛ける事は決して成らぬ
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
わざわざ自分の素性はエタであると
名告
(
なの
)
るものばかりでもあるまじく、いずれは適当なる隠れ家を得ずして、これらのエタ部落に落ちこみ、遂に見懸人穢多という事になったのであろうと思われる。
エタ源流考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
名
常用漢字
小1
部首:⼝
6画
告
常用漢字
小5
部首:⼝
7画
“名”で始まる語句
名
名残
名代
名前
名誉
名人
名聞
名高
名題
名主