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かわい
ふりがな文庫
“
可愛
(
かわい
)” の例文
いつでも
猫
(
ねこ
)
ッ
可愛
(
かわい
)
がりに愛されていて、身体こそ、六尺、十九貫もありましたが、ベビイ・フェイスの、
未
(
ま
)
だ、ほんとに子供でした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
髭
(
ひげ
)
むしやの
鳥居
(
とりゐ
)
さまが
口
(
くち
)
から、
逢
(
あ
)
ふた
初手
(
しよて
)
から
可愛
(
かわい
)
さがと
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
るやうな
御詞
(
おことば
)
をうかゞふのも、
例
(
れい
)
の
澤木
(
さわぎ
)
さまが
落人
(
おちうど
)
の
梅川
(
うめがは
)
を
遊
(
あそば
)
して
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
はじめて、白玉のごとき姿を顕す……一
人
(
にん
)
の
立女形
(
たておやま
)
、撫肩しなりと
脛
(
はぎ
)
をしめつつ
褄
(
つま
)
を取った
状
(
さま
)
に、
内端
(
うちわ
)
に
可愛
(
かわい
)
らしい足を運んで出た。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
知らぬ人も少なかろうがこの例を一つだけ挙げておこう。
伊勢
(
いせ
)
では
櫛田川
(
くしだがわ
)
のほとりのある村で、
可愛
(
かわい
)
い童子が
樹
(
き
)
の上にいるのを見て
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ちょうど女の歩きつきの形のままに脱いだ跡が
可愛
(
かわい
)
らしく
嬌態
(
しな
)
をしている。それを見ると私はたちまち何ともいえない
嫉妬
(
しっと
)
を感じた。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
▼ もっと見る
それでも
宅中
(
うちじゅう
)
で一番私を
可愛
(
かわい
)
がってくれたものは母だという強い親しみの心が、母に対する私の記憶の
中
(
うち
)
には、いつでも
籠
(
こも
)
っている。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それだからこの息子は
可愛
(
かわい
)
いよ」。片腹痛い
言
(
こと
)
まで云ッてやがて下女が持込む岡持の
蓋
(
ふた
)
を取ッて見るよりまた意地の汚い
言
(
こと
)
をいう。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
然
(
しか
)
し、逸作達が批判的に見る世の子供達は一見
可愛
(
かわい
)
らしい形態をした
嫌味
(
いやみ
)
な
悪
(
あく
)
どい、無教養な粗暴な、
而
(
し
)
かもやり切れない存在だ。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
久「
己
(
おら
)
ア
此家
(
こっち
)
の旦那の身寄りだというので、
皆
(
みんな
)
に大きに
可愛
(
かわい
)
がられらア、この
家
(
うち
)
の
身上
(
しんしょう
)
は去年から金持になったから、おらも鼻が高い」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
キーシュは、あるエスキモーの村で、どの雪小屋よりも一番みじめな雪小屋にお母さんと二人っきりで住んでいる
可愛
(
かわい
)
らしい少年でした。
負けない少年
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
「あたしは、女の子が欲しいわ。どんなに
可愛
(
かわい
)
いでしょうね。それに女の子だったら、きっと車庫の中もきれいにお掃除してくれるわ。」
やんちゃオートバイ
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
それを聞いて、甚兵衛はひどく
当惑
(
とうわく
)
しました。大事に
可愛
(
かわい
)
がってる黒馬の腹を、悪魔の宿に貸そうなどとは、夢にも思わないことでした。
天下一の馬
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
まだ組合なんか無かった頃の、皆
可愛
(
かわい
)
い子分達の中心に、大きく坐って、祝杯などを挙げた当時のことなどが、彼に
甦
(
よみがえ
)
って来た。
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
彼女の顔は、昨日より一層
魅力
(
みりょく
)
が増して見えた。目鼻だちが何から何まで、実にほっそりと
磨
(
みが
)
かれて、じつに
聡明
(
そうめい
)
で実に
可愛
(
かわい
)
らしかった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「よし、もうお前を止めやしない。思う存分にするがよい。わしの
可愛
(
かわい
)
い豹の
敵討
(
かたきう
)
ちだ。どうともお前の思うようにするがよい」
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ルピック氏——(彼はにんじんを
可愛
(
かわい
)
がっている。しかし、いっこう、かまいつけない。
絶
(
た
)
えず、商用のため、
東奔西走
(
とうほんせいそう
)
しているからだ)
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
僕がからかうって! 僕は三か月のあいだもあんなに期待をもって僕を一心に見つめていた
可愛
(
かわい
)
い弟を悲しませるようなことはしないよ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
主婦はそう言っておどおどしている女客の浅ぐろい顔を見たが、妙に浅ぐろいために何か可憐な
可愛
(
かわい
)
げのある顔つきであった。
三階の家
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
赤い
焔
(
ほのお
)
に
包
(
つつ
)
まれて、
歎
(
なげ
)
き叫んで手足をもだえ、落ちて参る五人、それからしまいに
只
(
ただ
)
一人、
完
(
まった
)
いものは
可愛
(
かわい
)
らしい天の
子供
(
こども
)
でございました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その美しい山吹が秋陽に半顔を照らしながらシクシク泣いているのであるから、ちょっと形容出来がたいほど
可愛
(
かわい
)
らしく見えるのであった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
他にたくさん、私を
可愛
(
かわい
)
がって下さる老人のお金持などあるような気がします。げんにこないだも、妙な縁談みたいなものがあったのです。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そう
言
(
い
)
いながら、
私
(
わたくし
)
は
成
(
な
)
るべく
先方
(
むこう
)
を
驚
(
おどろ
)
かさないように、
徐
(
しず
)
かに
徐
(
しず
)
かに
腰
(
こし
)
を
降
(
おろ
)
して、この
可愛
(
かわい
)
い
少女
(
しょうじょ
)
とさし
向
(
むか
)
いになりました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
目端
(
めはし
)
の利くところから、主人に
可愛
(
かわい
)
がられ、十八までそこの奥向きの小間使として働き、やがて
馬喰町
(
ばくろちょう
)
のある
仕舞
(
しも
)
うた家に片着いたのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
信一郎の顔をじっと見詰めている夫人の
高貴
(
ノーブル
)
な
厳
(
おごそ
)
かに美しい面が、信一郎の心の内の静子の
慎
(
つつま
)
しい
可愛
(
かわい
)
い面影を打ち消した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
岩と土とからなる非情の山に、憎いとか
可愛
(
かわい
)
いとかいう人間の情をかけるのは、いささか変であるが、私は可愛くてならぬ山を一つもっている。
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
「高木の家では、いい嫁さんを当てたものだ。気だてはよし、働きものだし、
隠居
(
いんきょ
)
さんも自慢の
可愛
(
かわい
)
い嫁さんだからね。」
万年青
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
私は今彼らが噛み合っている気味の悪い噛み方や、今彼らが突っ張っている前肢の——それで人の胸を突っ張るときの
可愛
(
かわい
)
い力やを思い出した。
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
……僕は、めちゃめちゃに幸福だ! (足早に、ニーナを迎えに行く。彼女登場)さあ、
可愛
(
かわい
)
い魔女が来た、僕の夢が……
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そうすると後で叔父さんに
対
(
むか
)
って、源三はほんとに
可愛
(
かわい
)
い児ですよ、わたしが血の道で口が
不味
(
まず
)
くってお
飯
(
まんま
)
が食べられないって云いましたらネ
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
避けるとするも行く先きの永い子供は
可愛
(
かわい
)
そうだ一命に掛けても外国人の奴隷にさしたくない
或
(
あるい
)
は
耶蘇
(
やそ
)
宗の坊主にして
福沢諭吉
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
いよいよ夫婦が
仲好
(
なかよ
)
く暮すようにして、こんな手紙などてんで問題にならなかったと云う所を見せてやり、二人が同じようにリリーを
可愛
(
かわい
)
がって
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
子家鴨
(
こあひる
)
はあのきれいな
鳥達
(
とりたち
)
を
嫉
(
ねた
)
ましく
思
(
おも
)
ったのではありませんでしたけれども、
自分
(
じぶん
)
もあんなに
可愛
(
かわい
)
らしかったらなあとは、しきりに
考
(
かんが
)
えました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
女は私が三文文士であることを知っているので、男に
可愛
(
かわい
)
く見えるにはどうすればよいかということを
細々
(
こまごま
)
と
訊
(
たず
)
ねた。
いずこへ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「他の奴らは未だ残っております、
可愛
(
かわい
)
そうに、若い奴らだから女を恋しがって、ね、それでも、俺のいう事を聞いて黙って働いていまさあ……。」
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
つまりわが子
可愛
(
かわい
)
さからの事に違いあんめいから、そりゃそのうちどうにかなるよ、心配せんで着々実行にかかるさ。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
茶色
(
ちゃいろ
)
な
髪
(
かみ
)
をかぶったような
男
(
おとこ
)
の
児
(
こ
)
の
人形
(
にんぎょう
)
で、それを
寝
(
ね
)
かせば
眼
(
め
)
をつぶり、
起
(
お
)
こせばぱっちりと
可愛
(
かわい
)
い
眼
(
め
)
を
見開
(
みひら
)
いた。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それは
形
(
かたち
)
が
小
(
ちひ
)
さく、また
腰
(
こし
)
に
下
(
さ
)
げた
飾
(
かざ
)
り
物
(
もの
)
も
小
(
ちひ
)
さく
可愛
(
かわい
)
らしいので、
多分
(
たぶん
)
王樣
(
おうさま
)
の
子供
(
こども
)
のお
墓
(
はか
)
だらうと
想像
(
そう/″\
)
されます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
けれども、こんな海苔巻のようなものが夏になると、あの
透明
(
とうめい
)
な
翅
(
はね
)
をした
蛾
(
が
)
になるのかと想像すると、なんだか
可愛
(
かわい
)
らしい気もしないことはありません。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「わしらがやうな勤めの身で、
可愛
(
かわい
)
と思ふ人もなし、思うて
呉
(
く
)
れるお客もまた、広い世界にないものぢやわいな」
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
春
(
はる
)
、
美
(
うつく
)
しい
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
くのが
見
(
み
)
たく、
夏
(
なつ
)
の
暑
(
あつ
)
いときに
涼
(
すゞ
)
しい
木蔭
(
こかげ
)
が
欲
(
ほ
)
しい
以上
(
いじよう
)
は、
庭
(
には
)
の
木
(
き
)
でも、
町
(
まち
)
のなみ
木
(
き
)
でも、
同
(
おな
)
じように
可愛
(
かわい
)
がつてやらねばなりません。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
「残念だなあ。
可愛
(
かわい
)
い顔をしている下士官だ。あんな少年を見殺にするのは、敵ながら可哀そうな気がするね。」
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
独身のせいか、同じ二十五でも、真弓は肌こそ荒れていたがずっと子供っぽく若々しく、気持ちも
可愛
(
かわい
)
らしい。もう、その差はきっと縮まらないのだろう。
一人ぼっちのプレゼント
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
と
言
(
い
)
うと、それを
下
(
した
)
へ
垂
(
た
)
らしました。
王子
(
おうじ
)
は
登
(
のぼ
)
って
来
(
き
)
たが、
上
(
うえ
)
には
可愛
(
かわい
)
いラプンツェルの
代
(
かわ
)
りに、
魔女
(
まじょ
)
が、
意地
(
いじ
)
のわるい、
恐
(
こわ
)
らしい
眼
(
め
)
で、
睨
(
にら
)
んで
居
(
い
)
ました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
その子供らしい熱心さが、一党の中でも通人の名の高い十内には、
可笑
(
おか
)
しいと同時に、
可愛
(
かわい
)
かったのであろう。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
隅の方の椅子に腰をおろして、紅茶と菓子を註文すると、十六七の
可愛
(
かわい
)
らしい娘が註文の品々を運んで来た。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あの
可愛
(
かわい
)
らしい兎や鳩や、その他の動物を殺すことを少しも可哀想だとは思わなかった。それは人間の征服性の興味が、慈悲心を超越しているからであろう。
首を失った蜻蛉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
スターベア大総督の一人娘で、大総督は、トマト姫を目の中に入れても痛くないほど、
可愛
(
かわい
)
がっていられる。
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ふだん姉を
可愛
(
かわい
)
がって、荒い言葉一つかけたこともない父が、人前もなくこんなにも
罵
(
ののし
)
りつけているのは、姉の死を
悼
(
いた
)
む父の痛恨の一種だったかも知れません。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そして
可愛
(
かわい
)
い初孫の顔を見た瞬間に、
勃然
(
ぼつぜん
)
として心の底に人間の弱さをおぼえた風間老看守の心境も、なんだか、わかるような気がしきりにし始めるのだった。
灯台鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
その蝶々をなぜ殺したの? 毛虫を殺すのは蝶々を殺すのと同じことでしょ?……
御覧
(
ごらん
)
!
可哀
(
かわい
)
そうに……今は毛むぐじゃらで、あんまり
可愛
(
かわい
)
らしくないけど
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
“可愛”で始まる語句
可愛想
可愛相
可愛気
可愛御堂
可愛児
可愛好
可愛嶽
可愛いお方