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あやまち
ふりがな文庫
“
過
(
あやまち
)” の例文
衣の綻びたるは、
墻
(
かき
)
踰
(
こ
)
え
籬
(
まがき
)
を
穿
(
うが
)
ちし時の
過
(
あやまち
)
なり。われ。さらば女はいかなりし。渠。晝見しよりも美しかりき。美しくして
頑
(
かたくな
)
ならざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
火近うなりて物の焼くる音おそろしきに、大路も人多くなりて
所狭
(
ところせ
)
く、ようせずば
過
(
あやまち
)
もありぬべし、疾く逃ぐるこそよかなれと人々云ふ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
子供のうち
過
(
あやまち
)
をして罰せられた時泣くのは、自分のわるかつたことを後悔するのか、罰しられるが悲しいのか、よく区別がつかぬものです。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
過
(
あやまち
)
がなかったと立派な口が
利
(
き
)
けるものはないはずで、人間の良心というものは、ほかの欲望の働く時は眠っていますけれども
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
士は
過
(
あやまち
)
なきを貴しとせず、過を改むるを貴しと為す。善く過を改むるは
固
(
もと
)
より貴しと為すも、善く過を
償
(
つぐな
)
うを尤も貴しと為す。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
▼ もっと見る
然りといへども
小人
(
しょうじん
)
にして
珠
(
たま
)
を抱けば
必
(
かならず
)
過
(
あやまち
)
あり。鏡に
面
(
つら
)
をうつして分を守るは身を全うするの道たるを思はば襤褸買必しも百損といふを得んや。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
夫人は驚いて
轎
(
かご
)
に乗ってゆき、
鑰
(
かぎ
)
を
啓
(
あ
)
けて亭に入った。小翠は
趨
(
はし
)
っていって迎えた。夫人は小翠の手を
捉
(
と
)
って涙を流し、
力
(
つと
)
めて前の
過
(
あやまち
)
を謝した。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
満枝はさすが
過
(
あやまち
)
を悔いたる
風情
(
ふぜい
)
にて、やをら左の
袂
(
たもと
)
を
膝
(
ひざ
)
に
掻載
(
かきの
)
せ、
牡丹
(
ぼたん
)
の
莟
(
つぼみ
)
の如く
揃
(
そろ
)
へる
紅絹裏
(
もみうら
)
の
振
(
ふり
)
を
弄
(
まさぐ
)
りつつ、彼の
咎
(
とがめ
)
を
懼
(
おそ
)
るる
目遣
(
めづかひ
)
してゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
若気
(
わかげ
)
の
過
(
あやまち
)
だった、魔がさしたのかも知れない、ふとした
機
(
はず
)
みに足を踏み外したのが、取返しのつかぬ事になった」
柿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
たとい
一旦
(
いったん
)
は下げたとしても、実は少しも改心しないで、
此方
(
こっち
)
を甘く見くびって、二度も三度も同じ
過
(
あやまち
)
を繰り返すようになりはしないか? そして結局
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
併しすべての人に一様に私が考へてゐる程重大な事であるかどうかは私にもわからない。たゞこれは私一個の
過
(
あやまち
)
をふり返つて見て思ひついた事に過ぎない。
感想の断片
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
彼はそれを自分の
過
(
あやまち
)
ではないとして自ら弁解した。しかし心のうちでは別に不快を覚えてるのでもなかった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
成程花は半開、興は八分、あまりに狂へば
過
(
あやまち
)
に終る、最早夜も一時を過ぎて、宮家の方々も帰りたまひぬ。
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
一たんの
過
(
あやまち
)
から、賀奈女などに
溺
(
おぼ
)
れたのは、惡いには違ひありませんが、死ぬ程の目に逢ひ乍らそれを許してやつた娘も立派なら、今となつて娘の貞女に思ひ當り
銭形平次捕物控:143 仏喜三郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
速
(
すみやか
)
に
過
(
あやまち
)
を改めて一身を慎しみ、或は妻に侮られても憤怒せずして唯恐縮謹慎す可し云々と、双方に向て同一様の教訓を与え、双方共に斯の如く心得なば、夫婦の中
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
さてある日用ありて二里ばかりの所へゆきたる
留守
(
るす
)
、
隣家
(
りんか
)
の者
過
(
あやまち
)
て火を
出
(
いだ
)
したちまち
軒
(
のき
)
にうつりければ、弥左ヱ門が
妻
(
つま
)
二人
(
ふたり
)
の
小児
(
こども
)
をつれて
逃去
(
にげさ
)
り、
命
(
いのち
)
一ツを
助
(
たすか
)
りたるのみ
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
其
中
(
なか
)
のある号で、
Mountain
(
マウンテン
)
Accidents
(
アクシデンツ
)
と題する一篇に
遭
(
あ
)
つて、かつて
心
(
こゝろ
)
を
駭
(
おどろ
)
かした。
夫
(
それ
)
には高山を
攀
(
よ
)
ぢ
上
(
のぼ
)
る冒険者の、怪我
過
(
あやまち
)
が沢山に
並
(
なら
)
べてあつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
嗚呼
(
ああ
)
盲目なる
哉
(
かな
)
地上の人類、
汝等
(
なんじら
)
は神の名に
於
(
おい
)
て
過
(
あやまち
)
を犯せる人の子の生命を断ちつつある。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
あるいは
謙遜
(
けんそん
)
に過ぎて卑屈になる
恐
(
おそれ
)
もありとするものもあるであろうが、仮りに僕自身は個人としてこの
過
(
あやまち
)
があるとしても、国民全体はなかなか謙遜の態度を
執
(
と
)
る恐もないから
真の愛国心
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
然りと雖も、小人の
過
(
あやまち
)
や
刻薄
(
こくはく
)
、長者の
過
(
あやまち
)
や
寛厚
(
かんこう
)
、帝の過を
観
(
み
)
て帝の人となりを知るべし。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
われわれに取っては漢文を誤読するような
過
(
あやまち
)
をせずに済む。それが先ずありがたい。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
今になつて、私は、堅實にしてゐればよかつたと思ふ——その氣持は神樣が御存じだ! あなたが
過
(
あやまち
)
に誘ひ込まれた時には、
後悔
(
こうくわい
)
といふことをお恐れなさい。後悔は人生の毒ですよ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
父母、太郎夫婦、此の恐ろしかりつる事を聞きて、いよよ豊雄が
過
(
あやまち
)
ならぬを
憐
(
あはれ
)
み、かつは
妖怪
(
もののけ
)
の
執
(
しふ
)
ねきを恐れける。かくて
三〇一
鰥
(
やむを
)
にてあらするにこそ。妻むかへさせんとてはかりける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
ヨブのこの言たるパウロの「我れみずから
省
(
かえりみ
)
るに
過
(
あやまち
)
あるを覚えず、されどもこれによりて義とせられず、我を
審判
(
さば
)
く者は主なり」(コリント前四の四)とその精神を一にするものであって
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
其
(
そ
)
の
諫説
(
かんぜい
)
して
君
(
きみ
)
の
顏
(
かほ
)
を
犯
(
をか
)
すに
至
(
いた
)
つては、
此
(
こ
)
れ
所謂
(
いはゆる
)
進
(
すす
)
みては
忠
(
ちう
)
を
盡
(
つく
)
すを
思
(
おも
)
ひ、
退
(
しりぞ
)
いては
過
(
あやまち
)
を
補
(
おぎな
)
ふを
思
(
おも
)
ふ
者
(
もの
)
なる
哉
(
かな
)
。
(七三)
假令
(
もし
)
晏子
(
あんし
)
にして
在
(
あ
)
らば、
余
(
よ
)
之
(
これ
)
が
爲
(
た
)
めに
鞭
(
むち
)
を
執
(
と
)
ると
雖
(
いへど
)
も
忻慕
(
きんぼ
)
する
所
(
ところ
)
なり。
国訳史記列伝:02 管晏列伝第二
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
*あゝ
叟
(
おぢ
)
、我の
過
(
あやまち
)
を君は正しく説き得たり、 115
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
「おお、二度と
過
(
あやまち
)
をせぬのが、何よりじゃ。」
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
過
(
あやまち
)
すとも、自ら
暁
(
さと
)
らざりし
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
男は自分の
過
(
あやまち
)
を謝した。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
われは物語の昔日の
過
(
あやまち
)
に及ばんことを
慮
(
おもんぱか
)
りしに、この
御館
(
みたち
)
を遠ざかりたりしことをだに言ひ出づる人なく、老公は優しさ舊に倍して我を
欵待
(
もてな
)
し給ひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
此間寺僧にして能く
過
(
あやまち
)
を悔いて、一旦處分した墓を再建したものは、恐らくは
唯
(
たゞ
)
昌林院主一人あるのみであらう。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
夜明けぬれど夫婦の出で来ざりけるは、
過
(
あやまち
)
など有りしにはあらずやと、警官は出張して捜索に及べり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
さてある日用ありて二里ばかりの所へゆきたる
留守
(
るす
)
、
隣家
(
りんか
)
の者
過
(
あやまち
)
て火を
出
(
いだ
)
したちまち
軒
(
のき
)
にうつりければ、弥左ヱ門が
妻
(
つま
)
二人
(
ふたり
)
の
小児
(
こども
)
をつれて
逃去
(
にげさ
)
り、
命
(
いのち
)
一ツを
助
(
たすか
)
りたるのみ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
山に
馴
(
な
)
れた兄が酢川岳などで
過
(
あやまち
)
をするはずはない、兄は生きている、きっと生きているのだ。
峠の手毬唄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
流儀の
奧傅祕事
(
おくでんひじ
)
、
悉
(
こと/″\
)
くお前に傅へた上は、あの『禁制の祕曲』も
還
(
かへ
)
しても宜いやうなものだが、何んと言つても、まだ三十前の若さでは、萬一の
過
(
あやまち
)
があつては取返しがつかぬ。
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小翠は自分の
過
(
あやまち
)
を
慙
(
は
)
じて王夫妻の前へいってあやまった。王はちょうど免官になって不平な際であったから怒って口を
尖
(
とが
)
らして
罵
(
ののし
)
った。小翠も怒って元豊の所へいっていった。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
犯人の方に
過
(
あやまち
)
の弊があったとするも、法律の方に刑罰の一層の弊がありはしなかったであろうか。
秤
(
はかり
)
の一方に、
贖罪
(
しょくざい
)
の盛らるる一方の皿に、過度の重さがなかったであろうか。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その中のある号で、
Mountain
(
マウンテン
)
Accidents
(
アクシデンツ
)
と題する一篇に遭って、かつて心を
駭
(
おどろ
)
かした。それには高山を
攀
(
よ
)
じ上る冒険者の、怪我
過
(
あやまち
)
が沢山に並べてあった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
残酷の
豎儒
(
じゅじゅ
)
となし、諸王は太祖の遺体なり、
孝康
(
こうこう
)
の
手足
(
しゅそく
)
なりとなし、
之
(
これ
)
を待つことの厚からずして、周王
湘
(
しょう
)
王
代
(
だい
)
王
斉
(
せい
)
王をして不幸ならしめたるは、朝廷の
為
(
ため
)
に計る者の
過
(
あやまち
)
にして
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
正妻を愛するのは、妻の人格を重んじ、自己の家と子供との利害を合理的に考え合せて愛するので、妻に
過
(
あやまち
)
があればこれを責めて改悛させるその愛情は一時的の感情に止まらぬのである。
真の愛国心
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
昨日
(
きのう
)
となれば何事もただなつかし。何ぞ事の是非を
究
(
きわ
)
めて
彼我
(
ひが
)
の
過
(
あやまち
)
を
明
(
あきらか
)
にするの要あらんや。青春まことに
一夢
(
いちむ
)
。老の
寝覚
(
ねざ
)
めに思出の種一つにても多からんこそせめての慰めなるべけれ。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
夫
(
それ
)
を
怒
(
いかり
)
罵
(
ののしり
)
て
止
(
やま
)
ざれば
約々
(
せわ/\
)
しく
腹立
(
はらたつ
)
こと
多
(
おおく
)
して家の内静ならず。悪しき事あらば折々
言教
(
いいおしえ
)
て誤を
直
(
なおす
)
べし。少の
過
(
あやまち
)
は
忍
(
こらえ
)
て
怒
(
いかる
)
べからず、心の内には
憐
(
あわれみ
)
て
外
(
ほか
)
には行規を堅く
訓
(
おしえ
)
て怠らぬ様に使ふべし。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
アカイア中の至上者を尊とまざりし
過
(
あやまち
)
を
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
且述作の事たる、功あれば又
過
(
あやまち
)
がある。
言
(
こと
)
一たび口より発し、文一たび筆に上るときは、いかなる博聞達識を以てしても、
醇中
(
じゆんちゆう
)
に
疵
(
し
)
を交ふることを免れない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
われ等は只だ羅馬に伴ひ歸りて、曾て
過
(
あやまち
)
ありしアントニオは地中海の底の藻屑となりぬ、今こゝに來たるはその昔幼く
可哀
(
かは
)
ゆかりしアントニオなりと云はん。夫人。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
苦を抜かんが為に、我は値無き死を辞せざるべきか、
過
(
あやまち
)
を償はんが為に、我は楽まざる生を忍ぶべきか。
碌々
(
ろくろく
)
の生は
易
(
やす
)
し、死は
即
(
すなは
)
ち
難
(
かた
)
し。碌々の死は易し、生は
則
(
すなは
)
ち難し。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
駱駝
(
らくだ
)
の黒い帽子、ロイド眼鏡、——それだけならよくあるでしょうが、赤帽の荷物と衝突して、手の甲を
怪我
(
けが
)
なすったのを、駅夫は見て居たんですって、赤帽には
過
(
あやまち
)
がなかったので
身代りの花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
当初彼らの頭脳に痛く
応
(
こた
)
えたのは、彼らの
過
(
あやまち
)
が安井の前途に及ぼした影響であった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「だが若いうちはその場の行きがかりで
過
(
あやまち
)
もあるものだ、酒を呑みながらの口論、いつまでもこだわっておることはあるまい、いい加減に忘れるがよいぞ」「これは仰せとも覚えませぬ」
備前名弓伝
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
曬
(
さら
)
した
古法帖
(
こほうじょう
)
の上に大きな
馬蠅
(
うまばえ
)
が飛んで来たので、老人は立って追いながら、「
過
(
あやまち
)
を改むるに
憚
(
はばか
)
ること
勿
(
なか
)
れ。若い時の事はどうもいたし方がない。人間の善悪はむしろ晩節にあるのだよ。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
過
常用漢字
小5
部首:⾡
12画
“過”を含む語句
過失
通過
過日
過去
過般
看過
経過
行過
過言
過程
過誤
經過
打過
過多
好過
遣過
擦過傷
過激
過不及
正午過
...