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途切
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とぎ
ふりがな文庫
“
途切
(
とぎ
)” の例文
それで暫らく二人の無邪気な会話は
途切
(
とぎ
)
れたが、着物を畳んでいるお君の手は休まない。米友は両手で
顋
(
あご
)
を押えて下を向いていたが
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
泣きながら云う
嫂
(
あによめ
)
の言葉は
途切
(
とぎ
)
れ途切れにしか聞こえなかった。しかしその途切れ途切れの言葉が鋭い力をもって自分の頭に
応
(
こた
)
えた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこで話もたちまち
途切
(
とぎ
)
れた。途切れたか、途切れなかッたか、風の音に
呑
(
の
)
まれて、わからないが、まずは確かに途切れたらしい。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
その声は力なく、
途切
(
とぎ
)
れ途切れではあったが、臨終の声と云うほどでもなかった。彼女の眼は「何でもいいからそうっとしといて
頂戴
(
ちょうだい
)
ね」
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
たゞ、あの、
此處
(
こゝ
)
は、
何處
(
どこ
)
……
其處
(
そこ
)
……と
私
(
わたし
)
に
言
(
い
)
つて
聞
(
き
)
かしました
時分
(
じぶん
)
だけは、
途切
(
とぎ
)
れたやうに
其
(
そ
)
の
提灯
(
ちやうちん
)
が
隱
(
かく
)
れましたつて。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
家なみが
途切
(
とぎ
)
れて、また一丁ばかり闇が続いた。寺である。墓地の一部が、じかに路に沿っている。古い石塔が、提灯の火で煙のように見える。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
疑ひ、私が
惧
(
おそ
)
れてゐた、その疑ひの色がハナァの面に現はれた。「パンの一片位なら上げてもいゝが、」彼女は一寸言葉を
途切
(
とぎ
)
らせてから云つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
言葉
(
ことば
)
はまた
暫
(
しば
)
らく
途切
(
とぎ
)
れた。と、
程近
(
ほどちか
)
くのイギリス人の
家
(
いへ
)
でいつとなく
鳴
(
な
)
りはじめたピヤノの
音
(
ね
)
が、その
沈默
(
ちんもく
)
をくすぐるやうに
間遠
(
まとほ
)
に
聞
(
き
)
こえて※た。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そこは竹藪が一間程の間
途切
(
とぎ
)
れて、その向う側に、枕木の見える汽車の線路が長々と横わっているのが眺められた。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
皆血相の変った
引歪
(
ひきゆが
)
んだ顔ばかりで、醜態、狼狽、叫喚、大叫喚の
活地獄
(
いきじごく
)
だ。その上から非常汽笛が真白く、モノスゴク、
途切
(
とぎ
)
れ途切れに鳴り響くのだ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
明い電燈の光に満ちた、
墓窖
(
はかあな
)
よりも静な寝室の中には、やがてかすかな泣き声が、
途切
(
とぎ
)
れ途切れに聞え出した。
影
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
話が
途切
(
とぎ
)
れましたが、……僕は今学校の鐘の音に聞きとれていたもんですから……あれを聞くと僕は自分の家のことを思いだします。僕の家は浄土宗の寺です。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
他
(
た
)
の
一人
(
ひとり
)
の
女房
(
にようばう
)
がいつた
時
(
とき
)
噺
(
はなし
)
が
暫時
(
しばらく
)
途切
(
とぎ
)
れて
靜
(
しづ
)
まつた。
一人
(
ひとり
)
の
女房
(
にようばう
)
が
皿
(
さら
)
の
大根
(
だいこ
)
を
手
(
て
)
で
撮
(
つま
)
んで
口
(
くち
)
へ
入
(
い
)
れた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そういう風に話が決まると、二人とも何んだか急にぎこちなくなり、話が
途切
(
とぎ
)
れてしまった。私は鉛筆と紙を借り、次の日のプランを立てるために腹ン
這
(
ば
)
いになった。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
皆の
途切
(
とぎ
)
れ勝ちな話をききながら、啓介は勝手に眠ったり眼を覚したりした。木下が立って行こうとすると、「も少し話さないか。」と啓介は云った。然し別に話すこともなかった。
二つの途
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
言
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
は
勿論
(
もちろん
)
、
秩序
(
ちつじよ
)
なく、
寐言
(
ねごと
)
のやうで、
周章
(
あわて
)
て
見
(
み
)
たり、
途切
(
とぎ
)
れて
見
(
み
)
たり、
何
(
なん
)
だか
意味
(
いみ
)
の
解
(
わか
)
らぬことを
言
(
い
)
ふのであるが、
何處
(
どこ
)
かに
又
(
また
)
善良
(
ぜんりやう
)
なる
性質
(
せいしつ
)
が
微
(
ほのか
)
に
聞
(
きこ
)
える、
其言
(
そのことば
)
の
中
(
うち
)
か、
聲
(
こゑ
)
の
中
(
うち
)
かに
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
お綱が話を
途切
(
とぎ
)
らすと、弦之丞もまたいつまでも、取りつきにくく無口でいた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遠足の野路の子供の列
途切
(
とぎ
)
れ
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
ふと
聞
(
きこ
)
えて
途切
(
とぎ
)
れた……
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
途切
(
とぎ
)
れては
孕
(
はら
)
まれて
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
千代子は
途切
(
とぎ
)
れ途切れの言葉で、
先刻
(
さっき
)
自分が
夕飯
(
ゆうめし
)
の世話をしていた時の、
平生
(
ふだん
)
と異ならない元気な様子を、何遍もくり返して聞かした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのまま
暫
(
しば
)
らく
詞
(
ことば
)
は
途切
(
とぎ
)
れた。青木さんも
奧
(
おく
)
さんも明るい、
楽
(
たの
)
しげな
表情
(
へうじやう
)
で、
身動
(
みうご
)
きもせずに
考
(
かんが
)
へこんでゐた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
独り言のような洋一の言葉は、一瞬間彼等親子の会話を
途切
(
とぎ
)
らせるだけの力があった。が、お絹はすぐに居ずまいを直すと、ちらりと賢造の顔を
睨
(
にら
)
みながら
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのキラキラした光りの海を青い、冷たい風が
途切
(
とぎ
)
れ途切れに吹きまくって、横町から五階の窓まで吹き上げて、妾の頬を撫でて行くのがトテモ気持ちがいい。
ココナットの実
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「多分私は身を
委
(
ゆだ
)
ねるやうな家を他に見附けるまで此處にとめていたゞくでせう。」しかし私はもう長い言葉を云ふに堪へないやうに感じて言葉を
途切
(
とぎ
)
らせた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
小間物屋は、グビリグビリとはじめて、親方との話が
途切
(
とぎ
)
れると
面
(
かお
)
を七兵衛の方へ持って来て
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
卯平
(
うへい
)
は
銜
(
くは
)
へた
煙管
(
きせる
)
を
少
(
すこ
)
し
顫
(
ふる
)
へる
手
(
て
)
に
持
(
も
)
つて
途切
(
とぎ
)
れながら
漸
(
やうや
)
く
此
(
こ
)
れだけいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
言
(
い
)
う
所
(
ところ
)
は
勿論
(
もちろん
)
、
秩序
(
ちつじょ
)
なく、
寐言
(
ねごと
)
のようで、
周章
(
あわて
)
て
見
(
み
)
たり、
途切
(
とぎ
)
れて
見
(
み
)
たり、
何
(
なん
)
だか
意味
(
いみ
)
の
解
(
わか
)
らぬことを
言
(
い
)
うのであるが、どこかにまた
善良
(
ぜんりょう
)
なる
性質
(
せいしつ
)
が
微
(
ほのか
)
に
聞
(
きこ
)
える、その
言
(
ことば
)
の
中
(
うち
)
か、
声
(
こえ
)
の
中
(
うち
)
かに
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
会話はぷつんと
途切
(
とぎ
)
れてしまった。帳場は二度の会見でこの野蛮人をどう取扱わねばならぬかを飲み込んだと思った。面と向って
埒
(
らち
)
のあく奴ではない。うっかり女房にでも愛想を見せれば
大事
(
おおごと
)
になる。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
走りながら、明智が
途切
(
とぎ
)
れ途切れに叫ぶ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と言ってちょっと言葉が
途切
(
とぎ
)
れる。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あら、また
途切
(
とぎ
)
れた……
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
一度
途切
(
とぎ
)
れた
村鍛冶
(
むらかじ
)
の音は、今日山里に立つ秋を、
幾重
(
いくえ
)
の
稲妻
(
いなずま
)
に
砕
(
くだ
)
くつもりか、かあんかあんと澄み切った空の底に響き渡る。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
言葉
(
ことば
)
はそれなりに
途切
(
とぎ
)
れて、青木さんは
庭
(
には
)
の
暗
(
くら
)
やみの
方
(
はう
)
に
眺
(
なが
)
め入り、
奧
(
おく
)
さんは
針
(
はり
)
の
手
(
て
)
を
再
(
ふたゝ
)
び
動
(
うご
)
かしはじめた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
しかし言葉が
途切
(
とぎ
)
れたのは、ほんの数秒の
間
(
あいだ
)
である。男の顔には見る見る内に、了解の色が
漲
(
みなぎ
)
って来た。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
せっかくのことに、勢いこんで歌い出したのに、急に息がつまったもののように
途切
(
とぎ
)
れて
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
部屋の中をチラリと見まわした呉羽は、切株のテーブルの上に肘を突いて兆策の耳に顔を近付けた。兆策も熱心にモジャモジャの頭を傾けた。低い声が部屋中にシンシンと
途切
(
とぎ
)
れ散る。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
其處
(
そこ
)
にも
堀
(
ほり
)
の
邊
(
ほとり
)
の
赤
(
あか
)
い
實
(
み
)
の
錆
(
さ
)
びた
野茨
(
のばら
)
の
枝
(
えだ
)
に
堅
(
たて
)
に
成
(
な
)
つたり
横
(
よこ
)
に
成
(
な
)
つたりして、ずん/\と
消
(
き
)
え
行
(
ゆ
)
く
雪
(
ゆき
)
を
悦
(
よろこ
)
ぶやうに
頬白
(
ほゝじろ
)
がちよん/\と
渡
(
わた
)
つた。
夕方
(
ゆふがた
)
には
田圃
(
たんぼ
)
の
白
(
しろ
)
い
線
(
せん
)
も
途切
(
とぎ
)
れ/\に
成
(
な
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それで勿論話は
途切
(
とぎ
)
れてしまつたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
夫人は
途切
(
とぎ
)
れ途切れに答えた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
津田は
追窮
(
ついきゅう
)
もしなかった。お延もそれ以上説明する面倒を取らなかった。二人はちょっと会話を
途切
(
とぎ
)
らした後でまた実際問題に立ち戻った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
岸邊
(
きしべ
)
に
丸
(
まる
)
くかたまつてゐた
兵士
(
へいし
)
の
集團
(
しふだん
)
はあわてて
駈
(
か
)
け
出
(
だ
)
した。
私
(
わたし
)
もそれに
續
(
つづ
)
いた。そして、
途切
(
とぎ
)
れに
小隊
(
せうたい
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
つて
漸
(
やうや
)
くもとの
隊伍
(
たいご
)
に
歸
(
かへ
)
つた。
劇
(
はげ
)
しい
息切
(
いきぎ
)
れがした。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
素戔嗚
(
すさのお
)
はしばらく黙っていた。するとまた
思兼尊
(
おもいかねのみこと
)
が彼の非凡な腕力へ
途切
(
とぎ
)
れた話頭を持って行った。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ここで、また話が
途切
(
とぎ
)
れます。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
空気銃の
御蔭
(
おかげ
)
で、みんながまた
満遍
(
まんべん
)
なく口を
利
(
き
)
くようになった。結婚が再び彼らの話頭に
上
(
のぼ
)
った。それは
途切
(
とぎ
)
れた前の続きに相違なかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すると甚太夫は
途切
(
とぎ
)
れ途切れに、彼が瀬沼兵衛をつけ
狙
(
ねら
)
う敵打の
仔細
(
しさい
)
を話し出した。彼の声はかすかであったが、言葉は長物語の間にも、さらに乱れる
容子
(
ようす
)
がなかった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かう
云
(
い
)
ひ
續
(
つづ
)
けて、
高岡軍曹
(
たかをかぐんそう
)
はやがて
詞
(
ことば
)
を
途切
(
とぎ
)
つたが、それでもまだ
賞
(
ほ
)
め
足
(
た
)
りなかつたのか、モシヤモシヤの
髭面
(
ひげづら
)
をいきませて、
感
(
かん
)
に
餘
(
あま
)
つたやうに
中根
(
なかね
)
二
等卒
(
とうそつ
)
の
顏
(
かほ
)
を
見詰
(
みつ
)
めた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
こう云う時に重宝なのは迷亭君で、話の
途切
(
とぎ
)
れた時、
極
(
きま
)
りの悪い時、眠くなった時、困った時、どんな時でも必ず横合から飛び出してくる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
賢造は何か考えるように、ちょいと言葉を
途切
(
とぎ
)
らせたが、やがて美津に茶をつがせながら
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と、
軍曹
(
ぐんそう
)
は
詞
(
ことば
)
を
途切
(
とぎ
)
つてドタンと、
軍隊靴
(
ぐんたいぐつ
)
で
大地
(
だいち
)
を
踏
(
ふ
)
みつけた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
途
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“途”で始まる語句
途
途中
途端
途々
途方
途絶
途轍
途次
途上
途断