“墓窖”の読み方と例文
読み方割合
はかあな100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
明い電燈の光に満ちた、墓窖はかあなよりも静な寝室の中には、やがてかすかな泣き声が、途切とぎれ途切れに聞え出した。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なによりもまず一家の墓窖はかあなを内側から造作なくあけることができるように作りかえた。墓のなかへずっと突き出ている長い槓杆てこをちょっと押せば鉄の門がぱっと開くようにした。
この墓窖はかあなのような陰々たる空気の中で、時代の埃を浴びた物静けさが、そして、様々な秒刻の音が、未だに破られないのは、恐らく誰一人として、つめきった呼吸いきを吐き出さないからであろう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)