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しんぼう
ふりがな文庫
“
辛棒
(
しんぼう
)” の例文
「よく、ご
主人
(
しゅじん
)
のいいつけを
守
(
まも
)
って、
辛棒
(
しんぼう
)
するのだよ。」と、お
母
(
かあ
)
さんは、いざゆくというときに、
涙
(
なみだ
)
をふいて、いいきかせました。
子供はばかでなかった
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「どうしてというわけもないが、君なら三日と
辛棒
(
しんぼう
)
ができないだろうと思う。第一僕は銀行業からして僕の目的じゃないのだもの」
非凡なる凡人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「どうだね、
一燻
(
ひとく
)
べあたつたらようがせう、
今
(
いま
)
直
(
すぐ
)
に
明
(
あ
)
くから」と
傭人
(
やとひにん
)
がいつてくれてもお
品
(
しな
)
は
臀
(
しり
)
から
冷
(
ひ
)
えるのを
我慢
(
がまん
)
して
凝然
(
ぢつ
)
と
辛棒
(
しんぼう
)
して
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
かなり食い
辛棒
(
しんぼう
)
で、なんでもないことに顔を赤らめ、あるいは幾時間も黙り込み、あるいは快活にしゃべりたて、すぐに笑ったり泣いたりし
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「じゃ、毛布をあげますから、もう十五分
辛棒
(
しんぼう
)
していたまえ、いいわね」と、いい捨てたまま、
扉
(
ドア
)
は閉ざされて、
如原
(
もとのごとし
)
。
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
叔父さんにあ済まないけれどどこへでも出て、どんな
辛
(
つら
)
い思いをしても
辛棒
(
しんぼう
)
をして、すこしでもいいから出世したいや。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
私たちはこの一つの字にも人間の協力を見ることができ、そうして長い年月の経過を見、
辛棒
(
しんぼう
)
強き労力を読むのである。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
私は照れくさく小田君など長い
辛棒
(
しんぼう
)
の精進に報いるのも悪くないと思ったので、一応おことわりして置いたが、お前ほしいか、というお話であった。
創生記
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今宵限
(
こよひかぎ
)
り
關
(
せき
)
はなくなつて
魂
(
たましゐ
)
一つが
彼
(
あ
)
の
子
(
こ
)
の
身
(
み
)
を
守
(
まも
)
るのと
思
(
おも
)
ひますれば
良人
(
おつと
)
のつらく
當
(
あた
)
る
位
(
くらゐ
)
百
年
(
ねん
)
も
辛棒
(
しんぼう
)
出來
(
でき
)
さうな
事
(
こと
)
、よく
御言葉
(
おことば
)
も
合點
(
がてん
)
が
行
(
ゆ
)
きました
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
辛棒
(
しんぼう
)
したのはつらかったよ! ……南蛮屋から迎えが来て、出て行ったのでサアしめた、はいって来たというものさ。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
見得の張りたいところを裏長屋で
辛棒
(
しんぼう
)
しているのだから、察してやらなければならないのを、チンコッきりに
厭
(
あ
)
きはてた父親は、一緒に住まわせなければ
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
先生の絵具を溶かせてもらうまでに至る事は随分の
辛棒
(
しんぼう
)
が必要だった事である。勿論昔は絵具の練り方作り方が一つの修業でもあり、画家の職責でもあった。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
どうしてこんな
処
(
ところ
)
に一
週間
(
しゅうかん
)
といられよう、まして一
年
(
ねん
)
、二
年
(
ねん
)
など
到底
(
とうてい
)
辛棒
(
しんぼう
)
をされるものでないと
思
(
おも
)
い
付
(
つ
)
いた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
およそ研究というものは、
辛棒
(
しんぼう
)
くらべみたいなものだ。忍耐心がないと成功はおぼつかない。……とにかく、装置の再建ができたら、また来て、見てあげよう。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
辻斬が嫌になったら、その時こそ、この幽霊も消えてなくなるだろう、まあ、それまでは
辛棒
(
しんぼう
)
していてくれ
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「士族の
女
(
むすめ
)
で
健気
(
けなげ
)
にも商売を始めたものがあるという
噂
(
うわさ
)
を聞いて、わたしはわざわざ買いに来ました。どうぞ中途で
罷
(
や
)
めないで、
辛棒
(
しんぼう
)
をし
徹
(
とお
)
して、人の手本になって下さい」
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「女道樂が過ぎて勘當になり、親類の者が口をきいて、此家へ預けられました。三年
辛棒
(
しんぼう
)
して下男を勤めたら、親父に詫をして、家へ歸してやる約束で——へエ、家は百姓で」
銭形平次捕物控:251 槍と焔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「じゃ、あたしん所へいらっしゃいな。もうすぐ夜が明けるから、しばらくの
辛棒
(
しんぼう
)
よ。」
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
しかしせっかく主人が熱心に筆を
執
(
と
)
っているのを動いては気の毒だと思って、じっと
辛棒
(
しんぼう
)
しておった。彼は今吾輩の輪廓をかき上げて顔のあたりを
色彩
(
いろど
)
っている。吾輩は自白する。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は不様な格好で、這いつくばい、壁に鼻の頭をすりつけて、
辛棒
(
しんぼう
)
強く、小さな穴を覗き込むのだが、その向う側には、凡そ奇怪で
絢爛
(
けんらん
)
な、地獄の覗き絵がくりひろげられていた。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その友人は、
遂
(
つい
)
に
辛棒
(
しんぼう
)
仕切れなくなって、夜になると、友人の下宿へ行って寝た。
取り交ぜて
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
随分窮屈で
辛
(
つら
)
いでしょうけれども、暫くの間と思いますから
辛棒
(
しんぼう
)
してくれませんか
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『
戯談
(
じやうだん
)
いふな。三千メートルのまつたゞ
中
(
なか
)
だぞ。
辛棒
(
しんぼう
)
しろ、
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
いやつだ。』
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
☆私はその女を雇っていたため、食い
辛棒
(
しんぼう
)
の切ない気持にされてしまった。
曲者
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
然れども地底の岩を音なしに流るゝ水こそ地面を
膏腴
(
かうゆ
)
にする者なり、彼れ数学者が人知らず
辛棒
(
しんぼう
)
せし結果は我人民の推理力を養うて第十九世紀科学
跋扈
(
ばつこ
)
の潮流に合することを
能
(
よ
)
くせしめたりき。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
という烈しい誘惑を押えながら、敦夫は
辛棒
(
しんぼう
)
強く男の通過ぎるのを待った。——そして黒い外套の頭巾が、全く蘆の
彼方
(
かなた
)
へ見えなくなるのを見定めて、沼の
縁
(
へり
)
を例の裸岩の方へと進んで行った。
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
とじ込められて
辛棒
(
しんぼう
)
しているなんてことが、考えられるかい。
グロリア・スコット号
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
「いや、そんな事はありません。もう二三日の
辛棒
(
しんぼう
)
です。」
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
でも来月までは
辛棒
(
しんぼう
)
していただかねばなりません。
獄中への手紙:03 一九三六年(昭和十一年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
なにさ、この
辛棒
(
しんぼう
)
が
肝心
(
かんじん
)
!
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
信吉
(
しんきち
)
や、
体
(
からだ
)
を
大事
(
だいじ
)
にして、よく
辛棒
(
しんぼう
)
をするのだよ。」と、
目
(
め
)
に
涙
(
なみだ
)
を
浮
(
う
)
かべていった
母親
(
ははおや
)
の
言葉
(
ことば
)
を
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
し、また、
同時
(
どうじ
)
に
風雨の晩の小僧さん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この旅は私たちに
辛棒
(
しんぼう
)
強い努力を要した。それは砂中に黄金を捜す
倦怠
(
けんたい
)
な仕事とさしたる変りはない。それほど地方の民藝は深く
匿
(
かく
)
れて姿を現さない。
地方の民芸
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
嘘
(
うそ
)
か
誠
(
まこと
)
か九十九
夜
(
よ
)
の
辛棒
(
しんぼう
)
をなさりませ、
菊
(
きく
)
の
井
(
ゐ
)
のお
力
(
りき
)
は
鑄型
(
いがた
)
に
入
(
はい
)
つた
女
(
おんな
)
でござんせぬ、
又
(
また
)
形
(
なり
)
のかはる
事
(
こと
)
もありまするといふ、
旦那
(
だんな
)
お
歸
(
かへ
)
りと
聞
(
きい
)
て
朋輩
(
ほうばい
)
の
女
(
をんな
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
奈何
(
どう
)
して
這麼處
(
こんなところ
)
に一
週間
(
しうかん
)
とゐられやう、
况
(
ま
)
して一
年
(
ねん
)
、二
年
(
ねん
)
など
到底
(
たうてい
)
辛棒
(
しんぼう
)
をされるものでないと
思
(
おも
)
ひ
付
(
つ
)
いた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「ねえ国枝君、松竹を出るのは考えものだよ、松竹は今でも大したものだが、将来はもっと大したものになるのだから、わがままを起こさずに
辛棒
(
しんぼう
)
したらどうかね」
今昔茶話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これなら下宿屋に居るも同じことだと思ふ
位
(
くらゐ
)
なら
未
(
ま
)
だ
辛棒
(
しんぼう
)
も出来るが銀之助の腹の底には
或物
(
あるもの
)
がある。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「奥さま、もうすこしのご
辛棒
(
しんぼう
)
ですよ。」と大声で
叱咤
(
しった
)
することがある。
満願
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼は自分の
貪食
(
どんしょく
)
に腹がたった。きびしくみずから責めた。腹のことばかり考えてる食い
辛棒
(
しんぼう
)
だとみずから見なした。が実は彼には腹はほとんどなかった。
痩
(
や
)
せ犬よりもなおほっそりした腹だった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「はははは。もうすこしの
辛棒
(
しんぼう
)
だ」
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
よく
辛棒
(
しんぼう
)
した。
千世子(二)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「よく、ご
主人
(
しゅじん
)
のいいつけを
守
(
まも
)
って、
辛棒
(
しんぼう
)
するのだよ。そして、
平常
(
ふだん
)
は、
出
(
で
)
られないが、お
正月
(
しょうがつ
)
にでもなったら、ゆっくり
遊
(
あそ
)
びにおいでよ。」
真吉とお母さん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
片親
(
かたおや
)
に
成
(
な
)
るかと
思
(
おも
)
ひますると
意地
(
いぢ
)
もなく
我慢
(
がまん
)
もなく、
詫
(
わび
)
て
機嫌
(
きげん
)
を
取
(
と
)
つて、
何
(
なん
)
でも
無
(
な
)
い
事
(
こと
)
に
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
つて、
今日
(
けふ
)
までも
物言
(
ものい
)
はず
辛棒
(
しんぼう
)
して
居
(
を
)
りました、
御父樣
(
おとつさん
)
、
御母樣
(
おつかさん
)
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此處
(
こゝ
)
を
發見
(
みつけ
)
た
時
(
とき
)
、
僕
(
ぼく
)
は
思
(
おも
)
つた
此處
(
こゝ
)
で
釣
(
つ
)
るなら
釣
(
つ
)
れないでも
半日位
(
はんにちぐらゐ
)
は
辛棒
(
しんぼう
)
が
出來
(
でき
)
ると
思
(
おも
)
つた。
處
(
ところ
)
が
僕
(
ぼく
)
が
釣初
(
つりはじ
)
めると
間
(
ま
)
もなく
後背
(
うしろ
)
から『
釣
(
つ
)
れますか』と
唐突
(
だしぬけ
)
に
聲
(
こゑ
)
を
掛
(
か
)
けた
者
(
もの
)
がある。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
それが彼らに仕事をさせているのであります。のみならず彼らの多くは
辛棒
(
しんぼう
)
強く年期奉公を経て、腕を磨いてきた工人たちであります。その腕前には並ならぬ修行が控えています。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
でその言葉もわかってはいたが、言葉で軽蔑されるのと、手でピチャピチャたたかれるのと、この二つを比較してみると、まだまだ前者の方が
辛棒
(
しんぼう
)
ができた。で、やっぱり捉えない。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
金
(
きん
)
さんは、その
後
(
ご
)
、
遺言
(
ゆいごん
)
を
守
(
まも
)
って、
本屋
(
ほんや
)
の
小僧
(
こぞう
)
さんとなり、よく
辛棒
(
しんぼう
)
をしました。そして、一
人
(
にん
)
まえになってから、
小
(
ちい
)
さな
店
(
みせ
)
を
持
(
も
)
ったのであります。
春風の吹く町
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
夫
(
そ
)
れはまだ/\
辛棒
(
しんぼう
)
もしませうけれど、二
言
(
こと
)
目
(
め
)
には
教育
(
けういく
)
のない
身
(
み
)
、
教育
(
けういく
)
のない
身
(
み
)
と
御蔑
(
おさげす
)
みなさる、それは
素
(
もと
)
より
華族
(
くわぞく
)
女學校
(
ぢよがくかう
)
の
椅子
(
いす
)
にかゝつて
育
(
そだ
)
つた
物
(
もの
)
ではないに
相違
(
さうゐ
)
なく
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
暫
(
しばら
)
くは
其
(
その
)
まゝで
居
(
ゐ
)
たが
遂
(
つひ
)
に
辛棒
(
しんぼう
)
しきれなくなり、
少年
(
こども
)
は
眄目
(
ながしめ
)
に
父
(
ちゝ
)
を見て、
鈍
(
にぶ
)
い
聲
(
こゑ
)
で
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「こまったものだの。出来たら
辛棒
(
しんぼう
)
おし。もう
直
(
じき
)
だから」
猿ヶ京片耳伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「もうすこし
辛棒
(
しんぼう
)
しておいで、じきに
春
(
はる
)
になる。そうすれば、
水
(
みず
)
の
上
(
うえ
)
が
明
(
あか
)
るくなって、
水
(
みず
)
もあたたまりますよ。そうなったら、
自由
(
じゆう
)
に
泳
(
およ
)
ぐことを
許
(
ゆる
)
してあげよう。」
魚と白鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
辛
常用漢字
中学
部首:⾟
7画
棒
常用漢字
小6
部首:⽊
12画
“辛”で始まる語句
辛
辛辣
辛抱
辛苦
辛夷
辛酸
辛気
辛子
辛防
辛々