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財布
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さいふ
ふりがな文庫
“
財布
(
さいふ
)” の例文
断
(
ことわ
)
るのもめんどうと
思
(
おも
)
って、
手
(
て
)
ににぎっていた
財布
(
さいふ
)
を、
急
(
きゅう
)
にむしろの
下
(
した
)
に
隠
(
かく
)
して、
目
(
め
)
をつぶって
眠
(
ねむ
)
ったふりをしていたのであります。
善いことをした喜び
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
財布
(
さいふ
)
から五十銭銀貨を三四枚取り出して「これで今夜は酒でも飲んで
通夜
(
つや
)
をするのだ、あすは早くからおれも来て始末をしてやる。」
窮死
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「お前の腑なんてものは、お前の
財布
(
さいふ
)
と同樣で、底が淺過ぎるのだよ、——この一件には、底の知れないほどの深いものがある——」
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、
家
(
うち
)
の
門
(
もん
)
をはひらない
前
(
まへ
)
に、
彼
(
かれ
)
はからつぽになつた
財布
(
さいふ
)
の
中
(
なか
)
と
妻
(
つま
)
の
視線
(
しせん
)
を
思
(
おも
)
ひ
浮
(
うか
)
べながら、その
出來心
(
できごころ
)
を
少
(
すこ
)
し
後悔
(
こうくわい
)
しかけてゐた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
大黒様のついた黄色い
財布
(
さいふ
)
は次第に銭で
膨
(
ふく
)
れて行ったが、彼は次第に先刻からの気分を失いはじめて、だんだん
憂鬱
(
ゆううつ
)
になっていた。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
▼ もっと見る
さし當つての急場の
凌
(
しの
)
ぎに
財布
(
さいふ
)
を差出して、
金切聲
(
かなきりごゑ
)
にも、ヒステリイにも、嘆願にも、抗議にも、
痙攣
(
けいれん
)
にも一切とり合ひませんでした。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
前にいた人が残して行ったらしい大きな古びた
財布
(
さいふ
)
が
片隅
(
かたすみ
)
にあった。一わたり部屋を見まわすと、すぐに妻はベッドに
臥
(
ふ
)
さった。
秋日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
大抵
(
たいてい
)
な人は
財布
(
さいふ
)
の底をはたいて、それを爺さんの手にのせて
遣
(
や
)
りました。私の
乳母
(
ばあや
)
も
巾着
(
きんちゃく
)
にあるだけのお金をみんな遣ってしまいました。
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
「ふふん、駄目だよ、
財布
(
さいふ
)
はしめたよ。どだい根性が太すぎらあ。おれをおだててしぼろうなんて。トンマだといえ! トンマだといえ!」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
見て是は/\
御世話
(
おせわ
)
と
云
(
い
)
ひながら
財布
(
さいふ
)
の
中
(
うち
)
よりぞろ/\と一分金にて十三兩二分取出し
殘
(
のこ
)
らず勘定して質物を
受取
(
うけとり
)
我が家をさしてぞ歸りける
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一人の学者の科学的研究というものはたとえて言わば道ばたに落ちた
財布
(
さいふ
)
を拾うたような簡単なものではなくてたとえばツェペリンの骨組みを
ジャーナリズム雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
どうせ、二十円を取られるのだ。ちっとは、悪口でも言ってやらなければ、合わない、と思った。どろぼうは、既に
財布
(
さいふ
)
を捜し当てた様子で
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「なにが
高
(
たけ
)
えものか。
時
(
とき
)
によったら、
安
(
やす
)
いくらいのもんだ。——だがきょうは
見
(
み
)
たところ、一
朱
(
しゅ
)
はおろか、
財布
(
さいふ
)
の
底
(
そこ
)
にゃ十
文
(
もん
)
もなさそうだの」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
一
圓
(
ゑん
)
の
錢
(
ぜに
)
が
絶
(
た
)
えず
財布
(
さいふ
)
に
在
(
あ
)
り
得
(
う
)
るならば
彼等
(
かれら
)
は
嘆
(
なげ
)
く
處
(
ところ
)
は
無
(
な
)
いのである。
彼
(
かれ
)
は
只
(
たゞ
)
主人
(
しゆじん
)
に
倚
(
よ
)
つて
居
(
ゐ
)
さへすれば
善
(
よ
)
いと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そういう
建築主
(
けんちくぬし
)
は、ないないといいながらも、たくさんのお金を持っていて、「こう高くちゃ、家をたてただけで、
財布
(
さいふ
)
がからになってしまう」
一坪館
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「だから
財布
(
さいふ
)
は、首へ掛けなくちゃならんと言っておいたじゃないか、グルグル
捲
(
ま
)
きにして懐中へ突っ込んでおくから、こんなことになるんだ」
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
テジマアは
一寸
(
ちょっと
)
うなずいて、ポッケットから
財布
(
さいふ
)
を出し、半紙判の
紙幣
(
しへい
)
を一枚引っぱり出して給仕にそれを
握
(
にぎ
)
らせました。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
するりと抜け出たのは、九寸五分かと思いのほか、
財布
(
さいふ
)
のような包み物である。差し出した白い手の下から、長い
紐
(
ひも
)
がふらふらと
春風
(
しゅんぷう
)
に揺れる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
で、私もそれを自分の
小遣銭
(
こづかいせん
)
に困っている時などは自分の
財布
(
さいふ
)
の中に
蔵
(
しま
)
い込んだこともあるが、さもない時はそのまま黙って主人の前に出した。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
そこで僕の頭に第一に浮かんだ問題は、この
大金
(
たいきん
)
を
入
(
い
)
るべき相当な
財布
(
さいふ
)
を得ることであった。ただちに
袋物屋
(
ふくろものや
)
に走って種々の財布や紙入れを見た。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
武士はそのまま
下駄
(
げた
)
を脱いで上へあがり、つかつかと仏像の前へ往って
懐
(
ふところ
)
の
財布
(
さいふ
)
から小粒の
金
(
かね
)
を出してそれに
供
(
そな
)
えた。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
武士のもつ紙入れとはちがって、うす
穢
(
ぎたな
)
い
財布
(
さいふ
)
だった。窓から、庄次郎の手に、ぽんと、落としてくれたのである。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
参太は胴巻と、革の
財布
(
さいふ
)
と
巾着
(
きんちゃく
)
を取り、二十両を胴巻へ入れてまるめ、三両二分を財布、残りを巾着へ入れた。
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かと思うと、一山いくらのところをあれこれと見まわってから、ごそごそと
帯
(
おび
)
の
間
(
あいだ
)
から
財布
(
さいふ
)
がわりの
封筒
(
ふうとう
)
をとりだす、みすぼらしいおばあさんもあります。
水菓子屋の要吉
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
老人
(
ろうじん
)
はかくしを
探
(
さぐ
)
って、なめし皮の
財布
(
さいふ
)
を引き出した。その中から四
枚
(
まい
)
、
金貨
(
きんか
)
をつかみ出して、
食卓
(
しょくたく
)
の上にならべ、わざとらしくチャラチャラ音をさせた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
乗合い船にのらんとするに、あやにくに客一人もなし。ぜひなく
財布
(
さいふ
)
のそこをはたきて船を
雇
(
やと
)
えば、ひきちがえて客一人あり、いまいましきことかぎりなし。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
いくらか
遣
(
や
)
らうとしたが
小出
(
こだ
)
しの
財布
(
さいふ
)
にお
銭
(
あし
)
がありませんから
紺縮緬
(
こんちりめん
)
の
胴巻
(
どうまき
)
の中から出したは三
両
(
りやう
)
、○
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いや、
色氣
(
いろけ
)
どころか、ほんたうに
北山
(
きたやま
)
だ。……
湯
(
ゆ
)
どうふだ。が、
家内
(
かない
)
の
財布
(
さいふ
)
じりに
當
(
あた
)
つて
見
(
み
)
て、
安直
(
あんちよく
)
な
鯛
(
たひ
)
があれば、……
魴鮄
(
はうぼう
)
でもいゝ、……
希
(
こひねがは
)
くは
菽乳羮
(
ちり
)
にしたい。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それだけでも始末のつかないところへ僕の弟はその
間
(
あいだ
)
におふくろの
財布
(
さいふ
)
を盗むが早いか、キネマか何かを見にいってしまいました。僕は……ほんとうに僕はもう、……
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
もっともあの神田の津賀閑山の店で鎧櫃へひそんでから、まだ一度も
財布
(
さいふ
)
をあらためたことはないけれど、もし落としたとすれば鎧櫃に揺られていたときに相違ない。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
買い物をして見ると葉子は自分の
財布
(
さいふ
)
のすぐ貧しくなって行くのを
怖
(
おそ
)
れないではいられなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
がまぐちや
財布
(
さいふ
)
などのまだ普及せぬ以前、銭はこうして緒に貫いて襟にかける風習があったので、すなわち古来まん中に穴のあいていた理由が、簡単に説明し得られる。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
なぜって、親父さんのほうからは金が引き出せるけれど、その代わり結婚はしてくれず、とどのつまりは、ユダヤ人式のやり口で、
財布
(
さいふ
)
の口を締めてしまうかもしれない。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あれは母親の
財布
(
さいふ
)
をごまかして活動にばかりいくが、あれもなにかに使えるから忠臣にしてやる、やあ酒屋のブルドッグ、あれは馬のかわりにならないから使ってやらない
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
また何様な
醉
(
ゑひ
)
どれでも
財布
(
さいふ
)
の始末だけはするものだ。周三も其の通りであツた。幾ら空想に醉はされてゐたと謂ツて、彼は喰はなければ活きて居られぬといふことを知ツてゐた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
痛かったり、つまったりしたのは、お母さんの
財布
(
さいふ
)
の口のほうで、早苗のために売りにいった
珊瑚
(
さんご
)
の玉のついたかんざしは思う
値
(
ね
)
で売れず、洋服を買うことができなかったのだ。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
しかし、ぼくは今日、ロスアンゼルスで買った記念の
財布
(
さいふ
)
のなかから、あのとき大洋丸で、あなたに貰った、
杏
(
あんず
)
の実を、とりだし、ここ
京城
(
けいじょう
)
の
陋屋
(
ろうおく
)
の
陽
(
ひ
)
もささぬ裏庭に
棄
(
す
)
てました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
と、落とした
財布
(
さいふ
)
でも見つけたように、さけびました。なるほど、その
小路
(
こうじ
)
のなかほどに、
紅
(
あか
)
と白のねじ
飴
(
あめ
)
の形をした、
床屋
(
とこや
)
の
看板
(
かんばん
)
が見えました。——克巳の家は床屋さんでした。
いぼ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そして老人はモンパルナスから手を放し、彼の手に
財布
(
さいふ
)
を握らしてやった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
余の伯父はすぐれた
大食家
(
たいしょくか
)
で、維新の初年こゝに泊って
鰻
(
うなぎ
)
の
蒲焼
(
かばやき
)
を散々に食うた為、勘定に
財布
(
さいふ
)
の底をはたき、淀川の三十石に乗る
銭
(
ぜに
)
もないので、
頬冠
(
ほおかむり
)
して川堤を大阪までてく/\歩いたものだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
母は
房
(
ふさ
)
のついた
縞
(
しま
)
の
財布
(
さいふ
)
を出して私の鼻の上で振って見せた。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
うす暗がりに
財布
(
さいふ
)
を出す。
心の姿の研究
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それは
財布
(
さいふ
)
でありました。
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
一
方
(
ぽう
)
、おばあさんは、ほんとうに
居眠
(
いねむ
)
りをしてしまいました。そして
大事
(
だいじ
)
な
財布
(
さいふ
)
を、むしろの
下
(
した
)
に
入
(
い
)
れたことを
忘
(
わす
)
れてしまいました。
善いことをした喜び
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
『
財布
(
さいふ
)
まで下さらうとしたが、私は極りが惡くなつて、その手を振りきつて逃げてしまひました。お陰で今日まで、無事に生き延びた』
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「けちなことァおいてくんねえ。
憚
(
はばか
)
ンながら、あしたあさまで
持越
(
もちこ
)
したら、
腹
(
はら
)
が
冷
(
ひ
)
え
切
(
き
)
っちまうだろうッてくれえ、
今夜
(
こんや
)
は
財布
(
さいふ
)
が
唸
(
うな
)
ってるんだ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
飮
(
のみ
)
代錢は拂ひたれども心氣の
勞
(
つか
)
れにて思はず
暫時
(
しばし
)
居眠
(
ゐねふ
)
り
眼覺
(
めざめ
)
て後此所を立ち出で途中にて心付懷中を見し處に大事の
財布
(
さいふ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
見ると、上着や
靴
(
くつ
)
や
財布
(
さいふ
)
やネクタイピンは、あっちの
枝
(
えだ
)
にぶらさがったり、こっちの根もとにちらばったりしています。
注文の多い料理店
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
竜之助は
財布
(
さいふ
)
を取り出して、小銭百文をパラリと縁台の
蓙
(
ござ
)
の上へ投げ出して、その取るに任せると、黒坂は横目で
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私は露店から一袋十円の
南京豆
(
ナンキンまめ
)
を二袋買い、
財布
(
さいふ
)
をしまって、少し考え、また財布を出して、もう一袋買った。
メリイクリスマス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
“財布”の意味
《名詞》
財布(さいふ)
金銭やカードなどを持ち歩くために入れる布や革で作られた袋。かねいれ、がまぐち、札入れ。
(出典:Wiktionary)
“財布”の解説
財布(さいふ)は、紙幣や硬貨など通貨の携帯に用いる袋または容器である。
なお、漢字の「財」は音を表す「才」と意味を示す「貝」からなる形声文字で、「布」は音を表す「父」と意味を示す「巾」からなる形声文字である。
(出典:Wikipedia)
財
常用漢字
小5
部首:⾙
10画
布
常用漢字
小5
部首:⼱
5画
“財”で始まる語句
財産
財
財嚢
財宝
財寶
財政
財貨
財物
財産家
財界