ばなし)” の例文
「きっとそうだよ。ありそうで、なかったり、なおりそうで、なおらないようなものをむかしひとは、たとえばなしつくったのかもしれない。」
草原の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしこんな高山絶頂の野営中に地震に出逢うとは、一生に再び有る事やら無い事やら、これも後日一つばなしの記念となるであろう。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
ただ其折そのおり弟橘姫様おとたちばなひめさま御自身ごじしんくちづからもらされたとおむかしおもばなし——これはせめてその一端いったんなりとここでおつたえしてきたいとぞんじます。
○「小声でやってくだせえ、みんなそらっぺえばなしで面白くねえ、旦那が武者修行をした時の、蟒蛇うわばみ退治たいじたとか何とかいうきついのを聞きたいね」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
けれども自然にる世間ばなしといふよりも、寧ろある問題を回避するため世間話せけんばなしだから、両方共に緊張きんちようはらそこかんじてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なにをいってるんだ。これがおめえ、こそこそばなしにしてられるかい。おいらァだれが好きだといって、浜村屋はまむらや太夫たゆうくれえ、きな役者衆やくしゃしゅうはねえんだよ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
田舎沙門いなかしゃもんとはちがい、なかなか博識で、北京ほっけいの都会ばなしもゆたかだったから、宋江と呉用とは、茶炉ちゃろに茶を煮ては、よくこの和尚と、風談ふうだんを興じ合っていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ベンヺ そのかぜうかばなしに、大分だいぶんときつぶれた。ようせぬと、夜會やくわいてゝ、時後ときおくれになってしまはう。
も一ツのかめしゅの方だって、手をおッつけりゃ血になるだ、なぞと、ひそひそばなしるのでござって
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今だにひとばなしのこつてるのは、此際このさいの事です、なんでも雑誌を売らなければかんとふので、発行日はつかうびには石橋いしばしわたしかばんの中へ何十部なんじふぶんで、さうして学校へ出る
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今、実は、あの人の、身の上ばなしつていふのを聴かされたんですの。あなた、お聴きになつた?
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
湯殿口や前二階で、ひそひそばなしをしている二人の姿が、妹達の目にも立つようになって来た。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あるとき、けだものたちが、大ぜいもりの中にあつまって、めいめいかってなじまんばなしをはじめました。するとみんなのはなしいていた獅子ししが、さもさもうるさいというようなかおをして
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
その頃の英語の教科書で習つたこの感傷的なたとばなしは、和作の心に適切だつた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
「そりゃ、前者は芸術品で、後者は通俗も通俗、幼稚なおとぎばなしじゃないか」
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
その時、私は蔵の二階から、ひそひそばなしの声を、それも男女二人の話声はなしごえを、洩れ聞いたのでございました。男の声はいうまでもなく門野のでしたが、相手の女は一体全体何者でございましょうか。
人でなしの恋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
シガー(たばこ)とシュガー(さとう)をまちがえて、たばこをいにやったら、さとうをってきたというような、わらいばなしのようなしくじりもありましたが、もっとけっさくもうまれました。
そこで、王子おうじは、じぶんのうえばなしをしました。
うわさばなし
おいらのまえじゃ、はだまでせて、うつさせるおまえじゃないか、相手あいてだれであろうと、ここで一時いっとき、茶のみばなしをするだけだ。心持こころもよくってやるがいいわな
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
真面目な顔をして嘘ばっかりいてる、みんそらっぺいばなしでいけねえ、おれのは本当だ、此のうちに聞いた人もあるだろう、なんの話さ、大変だな、己ア江戸の者だ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
代助はさうさと笑つたが、此方面にはあまり興味がないのみならず、今日けふ平生いつもの様に普通の世間ばなしをする気でないので、社会主義の事はそれなりにして置いた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
二人ふたりは、そこでこんなばなしをしました。たがいに、あたまげて、あたりの景色けしきをながめました。毎日まいにちている景色けしきでも、あたらしいかんじをたびこころあたえるものです。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
ここでひとかわっているのは、私達わたくしたちほとんどすこしも現世時代げんせじだいおもばなしをしなかったことで、しひょっとそれをろうとすると、なにやらくちつまってしまうようにかんじられるのでした。
小庭こにはへだてた奧座敷おくざしき男女なんによ打交うちまじりのひそ/\ばなし本所ほんじよも、あのあんまおくはうぢやあわたしいやアよ、とわかこゑなまめかしさ。旦那だんな業平橋なりひらばしあたりうございますよ。おほゝ、とけたこゑおそろしさ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しろふく兵隊へいたいさんはベッドのうえよこになっているもの、あるいは、こしをかけているもの、また、すわっているもの、また、松葉まつばづえをかかえてばなしをしているもの
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
三四郎にも馬鹿気ばかげてゐる所が頗る可笑おかしいんだが、はゝいひ条が、全く事実を離れた作りばなしでないのだから、其所そこに気が付いた時には、成程軽卒な事をしてわるかつたと少しく後悔した。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勿論もちろん叱言こゞとつたつて、かへるはうではお約束やくそくの(つらみづ)だらうけれど、仕事しごとをしてとき一寸ちよつと合方あひかたにあつてもし、うたに……「いけかへるのひそ/\ばなしいての……」と寸法すんぱふわるくない。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
番新「なにを智慧エ附けるんだよ、長次はんコソ/\ばなしなどをして」
卓上の談話はおもに平凡な世間ばなしであつた。はじめのうちは、それさへあまり興味がらない様に見えた。ちゝう云ふ場合には、よく自分のきな書画骨董のはなしを持ちすのをつねとしてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
このときの、アカギタニタニタニがいつまでもおうちわらばなしたねとなりました。
古いはさみ (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、煙突えんとつは、太陽たいように、うえばなしをしたあとで、たのみました。
煙突と柳 (新字新仮名) / 小川未明(著)