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自
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おの
ふりがな文庫
“
自
(
おの
)” の例文
悶絶した尾張宗春が、
自
(
おの
)
ずと蘇生したのである。茫然と
四辺
(
あたり
)
を見廻した時、冷っこい物が手に触れた。気が付いて見ると一匹の小蛇!
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
高い
土塀
(
どべい
)
と深い植込とに電車の響も
自
(
おの
)
ずと遠い嵐のように
軟
(
やわら
)
げられてしまうこの
家
(
や
)
の茶室に、自分は折曲げて坐る足の痛さをも
厭
(
いと
)
わず
銀座
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と思いながら美事な香木で作った
格天井
(
ごうてんじょう
)
を見ていましたが、熱い熱い涙が
自
(
おの
)
ずと眼の中に溢れて、左右にわかれて流れ落ちました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
又
(
また
)
かや
此頃
(
このごろ
)
折
(
をり
)
ふしのお
宿
(
とま
)
り、
水曜會
(
すゐようくわい
)
のお
人達
(
ひとたち
)
や、
倶樂部
(
ぐらぶ
)
のお
仲間
(
なかま
)
にいたづらな
御方
(
おかた
)
の
多
(
おほ
)
ければ
夫
(
そ
)
れに
引
(
ひ
)
かれて
自
(
おの
)
づと
身持
(
みもち
)
の
惡
(
わる
)
う
成
(
な
)
り
給
(
たま
)
ふ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しかし定家はそのときすでに、四十から六十におよぶ年齢にさしかかっていて、
自
(
おの
)
ずとこれまでの調子には行かなくなっていた。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
▼ もっと見る
それは無論であるが、時と場所とで、
自
(
おの
)
ずから制限されるのもまた
当前
(
とうぜん
)
である。英国人のかいた
山水
(
さんすい
)
に明るいものは一つもない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
首
(
しゅ
)
の
歌
(
うた
)
が
自
(
おの
)
ずと
私
(
わたくし
)
の
口
(
くち
)
を
突
(
つ
)
いて
出
(
で
)
たのもその
時
(
とき
)
でございます。
真嶺
(
さね
)
刺
(
さ
)
し、
相摸
(
さがむ
)
の
小野
(
おの
)
に、
燃
(
も
)
ゆる
火
(
ひ
)
の、
火中
(
ほなか
)
に
立
(
た
)
ちて、
問
(
と
)
いし
君
(
きみ
)
はも……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
創作家と評論家とは
自
(
おの
)
ずから領分が違ってる。二者共に長ずる少数特殊の人を除いては、創作家は評論をするとボロが出る。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
いさゝかランプの心を
捻
(
ねじ
)
ると、卓子の上の物皆明るく、心も
自
(
おの
)
ずからあらたまる。家族一同手を
膝
(
ひざ
)
に、息をのんで
控
(
ひか
)
えた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
人の
媢
(
そね
)
み心を惹くほどに我子は美しければ、叔母も
生
(
おふ
)
したてたるを
自
(
おの
)
が誇りにして、せめて四位の少将以上ならでは得こそ
嫁
(
あは
)
すまじきなど云ひ罵り
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
一人の教育と一国の教育とは
自
(
おの
)
ずから区別なかるべからず。一人の教育とは、親たる者が我が子を教うることなり。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
わたしも
自
(
おの
)
づと肩身が狹くなつて、世間の人に顏を見られるのが恥かしいやうな氣もするので住み馴れた大阪を立退いて、この山科に隱れてゐるのだ。
近松半二の死
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
当人には別にそれが際どい話だという自覚はなく、ただもう話さずにはいられないで
自
(
おの
)
ずと話しているらしい。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
手に取って打ち返して見れば、さすがに自分の
拵
(
こしら
)
えたもの故、ほんの遊びいたずらとはいいながら、他のあてがわれた仏様よりも愛念の情が
自
(
おの
)
ずと深いわけ。
幕末維新懐古談:17 猫と鼠のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
さては君も今代議士の栄職を
荷
(
にな
)
いたれば、最初の志望は棄てて、かつて政敵たりし政府の
権門家
(
けんもんか
)
に屈従するにこそ、世間
自
(
おの
)
ずから栄達の道に乏しからざるを
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
自
(
おの
)
ずとお上の目も光り、光らば御家断絶とまではきびしいお裁きがないにしても、御役御免、隠居仰付けらる、というような事になり申すと、わしは構わぬが
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
六年前の
丁度
(
ちょうど
)
この時節に、この河原に
充
(
み
)
ち満ちておりました数万の
屍
(
しかばね
)
のことも
自
(
おの
)
ずと思い出でられ、ああこれが乱世のすがたなのだ、これが戦乱の実相なのだと
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
この前提が実用上無謀ならざる事は数回同じ実験を繰返す時は
自
(
おの
)
ずから明らかなるべきも、とにかくここに予言者と被予言者との期待に一種の
齟齬
(
そご
)
あるを認め得べし。
自然現象の予報
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
人類
(
じんるい
)
は
前
(
まへ
)
に
述
(
の
)
べましたとほり、
長
(
なが
)
い
年月
(
としつき
)
、
石
(
いし
)
をもつて
器物
(
きぶつ
)
を
造
(
つく
)
つて、
金屬
(
きんぞく
)
を
使用
(
しよう
)
することを
知
(
し
)
らなかつたのでありますが、その
間
(
あひだ
)
に
自
(
おの
)
づと
天然
(
てんねん
)
に
石
(
いし
)
の
間
(
あひだ
)
に
混入
(
こんにゆう
)
したり
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
やがてそのうちにイヴァン・ペトローヴィチの招待のことが
自
(
おの
)
ずと思い出されたので、ひとつトゥールキン家へ乗り込んで、どんな連中なのか見てやろうと
肚
(
はら
)
を決めた。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
『要は、内蔵助の本心に、世上で取沙汰いたすような事実が、あるかないか、それだけを突き止めることだ。浪士共の動きも、そこに重点を置いて観れば
自
(
おの
)
ずと解ろう』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのうち道に敷石が無くなって、歩くと沙塵が立った。そしてだんだん家が疎になってゆき、ついに町は尽きた。そこで道は
自
(
おの
)
ずと低くなっていたから、僕と流とは近づいて来た。
ドナウ源流行
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
数十巻連続物などになると、
自
(
おの
)
ずと筋の上にも場面の上にも同じようなものが出来て、その結局はどれもこれも
芽出
(
めで
)
たし/\の大団円に終るようで、かえって興味がないようである。
活動写真
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
転輪聖王
(
てんりんじょうおう
)
世に出でて四天下を統一する時、七つの宝
自
(
おの
)
ずから現われその所有となる。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ことにその厳として秋霜烈日的なる人格は深く畏敬せられ、
自
(
おの
)
ずと衆人に襟を正さしむるものがあった。そして中村屋にとってはじつによき理解者で、最初からの大切なお得意であった。
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
そして始めて
獲
(
え
)
た勝利であつた。私はブロクルハーストさんの立つてゐた
敷物
(
しきもの
)
の上に、しばらくつゝ立つて征服者の孤獨の感を樂しんでゐた。最初
自
(
おの
)
づと微笑が浮び、昂然と氣勢が上つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
これに反して、東洋においては、法は神または君の作ったもので、人民はかれこれ
喙
(
くちばし
)
を容れるべきものでないとなっておったから、法に関する諺が
自
(
おの
)
ずから人民間には出来なかったものであろう。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
自分でそうと気がつかないでこころに思うことやしぐさにあらわれることが
自
(
おの
)
ずと芝居がかっていてそれがわざとらしくもいやみにもならずにお遊さんの人柄に花やかさをそえ潤おいをつけていた
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
自
(
おの
)
ずと自分の足音さえが鼓膜に響くように思われたときであった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
自
(
おの
)
づ似て父の子なれや子は
激
(
はげ
)
し
堪
(
こら
)
へねば投げぬ手に触るるものは
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
何の苦も無く
自
(
おの
)
づから、滑らかにこそ動くなれ。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
自
(
おの
)
ずと人の心を惹きつけるものを持っていた。
林檎
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
高札の文句や寸法には
自
(
おの
)
ずから型があります。
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
故人の
瑜瑕
(
ゆか
)
並び
蔽
(
おお
)
わざる全的生活は他日再び伝うる機会があるかも知れないが、今日はマダその時機でない。かつ
自
(
おの
)
ずから別に伝うる人があろう。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
夜を守る星の影が
自
(
おの
)
ずと消えて、東の空に
紅殻
(
べにがら
)
を
揉
(
も
)
み込んだ様な時刻に、白城の
刎橋
(
はねばし
)
の上に騎馬の侍が一人あらわれる。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
寒
(
さむ
)
く
感
(
かん
)
ずるのは
山
(
やま
)
が
深
(
ふか
)
いからではない。ここはもうそろそろ
天狗界
(
てんぐかい
)
に
近
(
ちか
)
いので、一
帯
(
たい
)
の
空気
(
くうき
)
が
自
(
おの
)
ずと
異
(
ちが
)
って
来
(
き
)
たのじゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
父
(
ちゝ
)
にまで
遠慮
(
ゑんりよ
)
がちなれば
自
(
おの
)
づから
詞
(
ことば
)
かずも
多
(
おほ
)
からず、一
目
(
め
)
に
見
(
み
)
わたした
處
(
ところ
)
では
柔和
(
おとな
)
しい
温順
(
すなほ
)
の
娘
(
むすめ
)
といふばかり、
格別
(
かくべつ
)
利發
(
りはつ
)
ともはげしいとも
人
(
ひと
)
は
思
(
おも
)
ふまじ
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あるいはその鬼たり蛇たるの際にも、
自
(
おの
)
ずから父母の至情を存するといわんか、有情を以て無情の事を行えば、余輩は結局その情のある所を知らざるなり。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その
瞼
(
まぶた
)
の内側が
自
(
おの
)
ずと熱くなって、何ともいえない息苦しい
塊
(
かた
)
まりが、
咽喉
(
のど
)
の奥から、鼻の穴の奥の方へギクギクとコミ上げて来るのを自覚しながら……。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
電車の
響
(
ひびき
)
も
自
(
おの
)
ずと遠い嵐のように
軟
(
やわら
)
げられてしまうこの
家
(
や
)
の茶室に、自分は折曲げて坐る足の痛さをも厭わず、
幾度
(
いくたび
)
か湯のたぎる茶釜の
調
(
しらべ
)
に、耳を澄まして
銀座界隈
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
島津家の女忍び衆、烏組発明の捕り物道具、さあトヤ駕籠だトヤ駕籠だ! 二間の
彼方
(
あなた
)
へトンと据え、戸をひらくと
自
(
おの
)
ずから、スルスルと人を引き込みます。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かくて妾は
宛然
(
さながら
)
甘酒に酔いたる如くに興奮し、結ばれがちの精神も引き立ちて、互いに尊敬の念も起り、時には
氤氳
(
いんうん
)
たる
口気
(
こうき
)
に接して
自
(
おの
)
ずから
野鄙
(
やひ
)
の情も
失
(
う
)
せ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
六年前の
丁度
(
ちょうど
)
この時節に、この河原に
充
(
み
)
ち満ちてをりました数万の
屍
(
しかばね
)
のことも
自
(
おの
)
づと思ひ出でられ、ああこれが乱世のすがたなのだ、これが戦乱の実相なのだと
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
定評あるものを
愉
(
たの
)
しむのが早道でもあるし、また自然そうするのほかない事情もあるだろうから、純粋にそれを愉しむという態度を持つ人には、
自
(
おの
)
ずと芸道的色彩
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
感応
(
かんのう
)
ありて、一念の誠
御心
(
みこころ
)
に
協
(
かな
)
い、
珠運
(
しゅうん
)
は
自
(
おの
)
が
帰依仏
(
きえぶつ
)
の
来迎
(
らいごう
)
に
辱
(
かたじけ
)
なくも
拯
(
すく
)
いとられて
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかしともかくも芸術家のうちで自然そのものを直接に見て何物かを見出そうという人があれば、その根本の態度や採るべき方法には
自
(
おの
)
ずから科学者と共通点を見出す事が出来てもよい訳である。
津田青楓君の画と南画の芸術的価値
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
仏説に
摩竭陀
(
まかだ
)
国の長者、美麗な男児を生むと同日に、蔵中
自
(
おの
)
ずから金象を生じ、出入にこの児を離れず、大小便ただ
好
(
よ
)
く金を出す、阿闍世王これを奪わんとて王宮に召し、
件
(
くだん
)
の男名は象護を出だし
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
私も元気づきミユンヘンの事では一日の長がある様な態度を
自
(
おの
)
づから示して、夕食を共にした後、けふ見て来た宗教関係の下宿“
Hospitz
(
ホスピツツ
)
”に案内し、私は日本媼にたのんでソフアの上に寝た。
南京虫日記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
自
(
おの
)
ずと会得することが出来た今まで肉体の
交渉
(
こうしょう
)
はありながら師弟の差別に
隔
(
へだ
)
てられていた心と心とが始めてひしと
抱
(
だ
)
き
合
(
あ
)
い一つに流れて行くのを感じた少年の頃
押入
(
おしい
)
れの中の暗黒世界で三味線の稽古を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
退屈男の口からは
自
(
おの
)
ずと皮肉交りな冷笑がほころびました。
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
自
常用漢字
小2
部首:⾃
6画
“自”を含む語句
自分
自然
自動車
自由
各自
自家
自己
自身
自暴自棄
自白
自然生
自惚
自宅
不自由
乗合自動車
耳面刀自
自若
自然薯
自儘
自鳴鐘
...