結婚けつこん)” の例文
代助は此二三年来、凡ての物に対して重きを置かない習慣になつた如く、結婚けつこんに対しても、あまり重きを置く必要を認めてゐない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのは、じつひとたちの、まだ結婚けつこんしない以前いぜんから衣絵きぬゑさんをつてた……とふよりもられてたとつてからう。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これは結婚けつこん先立さきだつて、あたらしいいへてる、その新築しんちくむろ言葉ことばで、同時どうじに、新婚者しんこんしや幸福こうふくいの意味いみ言葉ことばなのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
『だつてあなたは、わたしがやつぱし、ちゝのいふ意味いみ幸福かうふく結婚けつこんもとめ、さうしてまた、それに滿足まんぞくしてきてられるをんなだとしかおもつてない……』
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
ところをとこはうでは、まだ結婚けつこんなんどするつもりがなかつたものだから、『そんなことつてくれてはこまる。自分じぶんはまだ』なんだとかだとかつて曖眛あいまい返事へんじをした、さうだ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
來年らいねんあたりはカフカズへ出掛でかけやうぢやりませんか、乘馬じようばもつてからに彼方此方あちこち驅廻かけまはりませう。さうしてカフカズからかへつたら、此度こんど結婚けつこん祝宴しゆくえんでもげるやうになりませう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
依つて仰せられるには、「あなたと結婚けつこんをしたいと思うが、どうですか」と仰せられますと、「わたくしは何とも申し上げられません。父のオホヤマツミの神が申し上げるでしよう」
不良ふりやう少女せうぢよ沒落ぼつらく」といふ標題みだしもとに、私達わたしたち前後ぜんごしての結婚けつこんを×あたりに落書らくがきされてから、みなもうまるねんすごしました。Kさんがまづ母となり、あなたも間もなく母となりました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
もとより一時の出來心や、不圖ふとした氣紛きまぐれでは無かツたのであるから、さて是れが容易よういに解決される問題で無い。第一つまとしてむかへ取るには餘りに身分の懸隔けんかくがある。家庭かていは斷じて此の結婚けつこん峻拒しゆんきよする。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
出産、保育、結婚けつこん等の人事に關しては未だ探究たんきうの端緒を得ず。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
大岡殿默止だまれなんぢには問ぬぞ其方は先名主惣左衞門が後家にありながら誰か媒妁なかうどにて九郎兵衞のつまにや成しやと申さるゝにおふかはシヤア/\としていへたれ媒酌人なかうどは御座なくと云に大岡殿大音だいおんにて大白痴たはけめ天有ば地あり乾坤けんこん和合陰陽いんやう合體がつたいして夫婦となる一夫一婦と雖も私しに結婚けつこんなすべからずしかるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それには叔父をぢくなつたことやら、いでおこ經濟上けいざいじやう變化へんくわやら、また安之助やすのすけ卒業そつげふやら、卒業後そつげふごひかえてゐる結婚けつこん問題もんだいやらが這入はいつてゐたのだとふ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
出雲人いづもびとつくつた、幾重いくへにもまはす、屏風びようぶとばりるいよ。われ/\、あたらしく結婚けつこんしたものをつゝむために、幾重いくへかこひをつくつてあることよ。あゝ、その幾重いくへ屏風びようぶとばりよ。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
途中とちゆうより、としておうらで、二人ふたり結婚けつこんないまへから、ちぎりをはした少年せうねん学生がくせい一人ひとりある。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
B あゝ、をんながだよ。をんな結婚けつこん申込まをしこんだつてなに不思議ふしぎことはあるまい。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
片眼かためをパチ/\して。『是非ぜひ一つきみ結婚けつこんさせやう……ねえ、結婚けつこんを。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その場合ばあひにはかなら今迄いままでむつまじくごしたなが歳月としつきさかのぼつて、自分達じぶんたち如何いか犧牲ぎせいはらつて、結婚けつこんあへてしたかと當時たうじおもさないわけにはかなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
柏崎海軍少尉かしはざきかいぐんせうゐ夫人ふじんに、民子たみこといつて、一昨年いつさくねん故郷ふるさとなる、福井ふくゐ結婚けつこんしきをあげて、佐世保させぼ移住うつりすんだのが、今度こんど少尉せうゐ出征しゆつせいき、親里おやざと福井ふくゐかへり、神佛しんぶついのり、影膳かげぜんゑつつにあるごと
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
をとこもさすがにすここゝろうごかされたけれども、まだどうあつても結婚けつこんなどの出來できやううへでないので、仕樣しやうがないから葉書はがきりツぱなしで、つちやらかしておいた。ところ葉書はがきつぱりる。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
これがわれ/\の結婚けつこんいは自然しぜんのしるしである。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
其時そのとき宗助そうすけ夫婦ふうふは、最近さいきん消息せうそくとして、安之助やすのすけ結婚けつこんがとう/\はるまでびたこといた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ理論家セオリストとして、友人の結婚けつこんうけがつた。やまなかんで、たにを相手にしてゐるものは、おやの取りめた通りのつまを迎へて、安全な結果を得るのが自然の通則と心得たからである。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)