トップ
>
籬
>
まがき
ふりがな文庫
“
籬
(
まがき
)” の例文
何ぞ
若
(
し
)
かん、俗に混じて、しかも
自
(
みづか
)
ら俗ならざるには。
籬
(
まがき
)
に菊有り。
琴
(
こと
)
に
絃
(
げん
)
無し。
南山
(
なんざん
)
見
来
(
きた
)
れば常に悠々。
寿陵余子
(
じゆりようよし
)
文を
陋屋
(
ろうをく
)
に売る。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たとえば相愛する女と月白く花咲ける
籬
(
まがき
)
に相擁して、無量の悦楽を感じたとする。このときの情緒そのものが大なる目的ではないか。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
しかしウェリントンは叫んだ、「起て、近衛兵、正確にねらえ!」
籬
(
まがき
)
の後ろに伏していたイギリス近衛兵の赤い連隊は立ち上がった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ささやかな
籬
(
まがき
)
を作ったけれども、これを飾る所の立派やかな門は作る事が出来なかった。竹を柱にして車を入れる所を作って居た。
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
庭も
籬
(
まがき
)
も実際荒れていましたから、(里は荒れて人はふりにし宿なれや庭も籬も秋ののらなる)堪えがたい気持ちを覚えました。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
冬が訪れかけて、時々、
霜
(
しも
)
を見る朝もあったが、忘れられた庭の隅や、往来の
籬
(
まがき
)
に、まだ秋の残り香のように、菊の
遅咲
(
おそざ
)
きが匂っていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
衣の綻びたるは、
墻
(
かき
)
踰
(
こ
)
え
籬
(
まがき
)
を
穿
(
うが
)
ちし時の
過
(
あやまち
)
なり。われ。さらば女はいかなりし。渠。晝見しよりも美しかりき。美しくして
頑
(
かたくな
)
ならざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
蝶はいくつか
籬
(
まがき
)
を越え、午後の
街角
(
まちかど
)
に海を見る……。私は壁に海を聴く……。私は本を閉ぢる。私は壁に凭れる。隣りの部屋で二時が打つ。
測量船
(新字旧仮名)
/
三好達治
(著)
仙台市の町はずれには、到るところに杉の木立と
槿
(
むくげ
)
の
籬
(
まがき
)
とが見られる。寺も人家も村落もすべて杉と槿とを背景にしていると云ってもいい。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
家の木戸から、あの道の
籬
(
まがき
)
のそばに、たった一つ淋しそうにころがっているあの、すてきに大きな石のところまで行くんです。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ほんの
一瞬間
(
いっしゅんかん
)
眼をつぶって再び見開けば、どこかその辺の
籬
(
まがき
)
の内に、母が少女の群れに交って遊んでいるかも知れなかった。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
路傍の
籬
(
まがき
)
の向こうには、眼には見えなかったがある庭に
蜜蜂
(
みつばち
)
の巣があって、その
香
(
かん
)
ばしい音楽を空気中にみなぎらしていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ねがはくはカプライアとゴルゴーナとゆるぎいでゝアルノの口に
籬
(
まがき
)
をめぐらし、汝の中なる人々悉く溺れ死ぬるにいたらんことを 八二—八四
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
それで孫が出来れば、孫のためにおもちゃをこしらえる。引っ越しをすれば、越した先の家の破損を繕う。
籬
(
まがき
)
を結い直す。
幕末維新懐古談:41 蘆の葉のおもちゃのはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
明
(
あかる
)
きより
暗
(
くら
)
きに
入
(
い
)
る
處
(
ところ
)
、
暗
(
くら
)
きより
明
(
あかる
)
きに
出
(
い
)
づる
處
(
ところ
)
、
石
(
いし
)
に
添
(
そ
)
ひ、
竹
(
たけ
)
に
添
(
そ
)
ひ、
籬
(
まがき
)
に
立
(
た
)
ち、
戸
(
と
)
に
彳
(
たゝず
)
み、
馬蘭
(
ばらん
)
の
中
(
なか
)
の、
古井
(
ふるゐ
)
の
傍
(
わき
)
に、
紫
(
むらさき
)
の
俤
(
おもかげ
)
なきはあらず。
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ある人が
葡萄園
(
ぶどうえん
)
を造り、
籬
(
まがき
)
を
環
(
めぐ
)
らし、
酒槽
(
さかぶね
)
の穴を掘り、物見の番小屋をたて、すっかり仕度をして農夫どもに貸しておいて、遠くに旅立ちした。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
非常に疲れて、ひどく空腹に苦しみながら、私は
脇道
(
わきみち
)
に外れて小徑に入り、
籬
(
まがき
)
の根元に
蹲
(
うづく
)
まつて了つた。が、暫くも經たぬ内にまた歩き出した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それのおのづからに破れ
籬
(
まがき
)
かなんかに
倚
(
よ
)
りかゝり咲きに星光日精の美をあらはしたのを賞美したことだらうと想はれて
菊 食物としての
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
模様は「山水」のほか「
四君子
(
しくんし
)
」とか「
籬
(
まがき
)
に
牡丹
(
ぼたん
)
」とか、おそらく二十種近くありましょうが、中で特に
持映
(
もてはや
)
されましたのは山水絵でありました。
益子の絵土瓶
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
駅を下りてからの長い桜並木は、まだ
莟
(
つぼみ
)
が堅くて、
籬
(
まがき
)
の中には盛りの過ぎた白梅が、風もないのにこぼれておりました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
その
匍匐
(
ほふく
)
する
有様
(
ありさま
)
を見て
居
(
お
)
りますと、あるときは
籬
(
まがき
)
の上を進む
蛞蝓
(
なめくじ
)
のように、又あるときは天狗の面の鼻が徐々に伸びて行くかのように見えるのです。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
なんだ菊が
彫
(
ほ
)
ってある。
小癪
(
こしゃく
)
にも
籬
(
まがき
)
が彫ってある。汚い油垢が溜って居る。それで居て、これを見ると恋しいのはどういうわけだ。ままよ嗅いでみてやれ
百喩経
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
青疊に
煎茶
(
せんちや
)
の道具、廣々とした庭の
籬
(
まがき
)
に、紅紫白黄亂れ咲く菊を眺めて、いかにも心憎き處置振り、金と時間とに飽かした、豐かさが隅々までも行き屆きます。
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
混凝土の
泥溝
(
どぶ
)
をもった道路が、青い雑草の中に砂利の直線で碁盤縞に膨れあがった。碁盤目の中には、十字に
椹
(
さわら
)
の
籬
(
まがき
)
が組まれた。雑草は雨毎に
蔓延
(
はびこ
)
って行った。
都会地図の膨脹
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
そして都合よく
籬
(
まがき
)
や柵や壁で区分されているが、しかるに他方は、これらの利便は何も有たないとすれば、一方の使用に対しては、他方の使用に対してよりも
経済学及び課税の諸原理
(新字新仮名)
/
デイヴィッド・リカード
(著)
菊植ゆる
籬
(
まがき
)
または
廁
(
かわや
)
の窓の
竹格子
(
たけごうし
)
なぞの損じたるを
自
(
みずか
)
ら庭の竹藪より竹
切来
(
きりきた
)
りて結びつくろふ
戯
(
たわむれ
)
もまた家を
外
(
そと
)
なる
白馬銀鞍
(
はくばぎんあん
)
の
公子
(
こうし
)
たちが知る所にあらざるべし。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そして遠い曾祖母の過去に於て、かれらの先祖が縁組をした如く、今も同じやうな縁組があり、のどかな村落の
籬
(
まがき
)
の中では、昔のやうに、牛や鷄の聲がしてゐる。
宿命
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
が、そうこうしているうちに、一人の品のいい青年が中庭からお這入りになっていらしって、目の
疎
(
あら
)
い
籬
(
まがき
)
の前にお立ち止まりになられたのが
簾
(
みす
)
ごしに認められた。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そこで二人は、手早く
籬
(
まがき
)
から杭を二本ひき抜いて、それへ袋を一つ載せると、肩に担いで歩き出した。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
籬
(
まがき
)
の菊の枯れ枯れに、うつろふ色を御覧じても、御身の上とや思しけむ、仏のおん前へ参らせ給ひて
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
構内は人影も
疎
(
まば
)
らなほどの裏淋しさ、
象徴樹
(
トピアリー
)
の
籬
(
まがき
)
が揺れ、枯枝が走りざわめいて、その中から、
湧然
(
ようぜん
)
と捲き起ってくるのが、礼拝堂で行われている、
御憐憫
(
ミセリコルディア
)
の合唱だった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
庭の松が
枝
(
え
)
に
釣
(
つる
)
したる、
仄
(
ほの
)
暗き
鐵燈籠
(
かなどうろう
)
の光に
檐前
(
のきさき
)
を照らさせて、障子一重の内には振鈴の聲、急がず緩まず、四曼不離の夜毎の
行業
(
かうごふ
)
に慣れそめてか、
籬
(
まがき
)
の蟲の
駭
(
おどろ
)
かん樣も見えず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
心ない身も秋の夕暮には
哀
(
あわれ
)
を知るが習い、
況
(
ま
)
して文三は糸目の切れた
奴凧
(
やっこだこ
)
の身の上、その時々の風次第で
落着先
(
おちつくさき
)
は
籬
(
まがき
)
の梅か物干の
竿
(
さお
)
か、見極めの附かぬところが浮世とは言いながら
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
破れた
籬
(
まがき
)
の前に座して野菊と語った
陶淵明
(
とうえんめい
)
や、たそがれに、
西湖
(
せいこ
)
の梅花の間を
逍遙
(
しょうよう
)
しながら、暗香浮動の趣に我れを忘れた
林和靖
(
りんかせい
)
のごとく、花の生まれ故郷に花をたずねる人々である。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
芭蕉の葉色、秋風を笑ひて
籬
(
まがき
)
を
蓋
(
おほ
)
へる微かなる
住家
(
すみか
)
より、ゆかしき
音
(
ね
)
の洩れきこゆるに、仇心浮きて
其
(
そ
)
が
中
(
なか
)
を
覗
(
うかゞ
)
ひ見れば、年老いたる盲女の琵琶を弾ずる面影
凛乎
(
りんこ
)
として、俗世の物ならず。
秋窓雑記
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
犬に追はれた家室さんは忽ち
野干
(
やかん
)
となつて
籬
(
まがき
)
の上に乘つてゐる。
紅染
(
くれなゐぞ
)
めの
裳
(
も
)
を着て、
裳裾
(
もすそ
)
をひいて遊んでゐる妻の
容姿
(
すがた
)
は、狐といへど
窈窕
(
ようちよう
)
としてゐたので、夫は去りゆく妻を戀ひしたつて
春宵戯語
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
総
檜
(
ひのき
)
の木口
数寄
(
すき
)
を
凝
(
こ
)
らし、
犬黄楊
(
いぬつげ
)
の
籬
(
まがき
)
の
裡
(
うち
)
、自然石の
手水鉢
(
てうづばち
)
あり。
筧
(
かけひ
)
の水に苔
蒸
(
む
)
したるとほり新しき手拭を吊したるなぞ、かゝる山中の風情とも覚えず。又、方丈の側面の小庭に古木の梅あり。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかして往々
籬
(
まがき
)
となせり。土佐にて土用竹という。その根茎短きが為めにその稈は一処に叢生し、あえて遠く鞭を引くなし。その稈は火縄を製しその葉はすこぶる美なり。裏面殊に白色を帯ぶ。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
折々に夫人が摘んだばかりの
籬
(
まがき
)
の小花を凝視めたり、静かに話しをしてゐるうちに、ふと深い眸を真弓の健やかな光に充ちた両の瞳にぢいつと注いだりされる時など、真弓は娘らしい直感で素早く
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
庭さきに暖い小春日の光が
溢
(
あふ
)
れていた。おおかたは枯れた
籬
(
まがき
)
の菊のなかにもう小さくしか咲けなくなった花が一輪だけ、茶色に縮れた枝葉のあいだから、あざやかに白い
葩
(
はなびら
)
をつつましく
覗
(
のぞ
)
かせていた。
鼓くらべ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
扨
(
さて
)
こそ雪に成りぬるなれ、伯母様さぞや寒からんと
炬燵
(
こたつ
)
のもとに思ひやれば、いとど降る雪
用捨
(
ようしや
)
なく綿をなげて、時の間に隠くれけり庭も
籬
(
まがき
)
も、我が
肘
(
ひぢ
)
かけ窓ほそく開らけば一目に見ゆる裏の耕地の
雪の日
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
夏菊のしろき
籬
(
まがき
)
の角にして日のいちじるき光に遇ひぬ
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
籬
(
まがき
)
のそばに、まだ花のない萩のひとむらがある。
顎十郎捕物帳:24 蠑螈
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
喜「何うか
籬
(
まがき
)
の方へお
出
(
いで
)
を願います」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
花に、
籬
(
まがき
)
に、
園生
(
そのふ
)
の
上
(
うへ
)
に飛びかひて
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
...
籬
(
まがき
)
みち。』『ああ、
妻
(
め
)
の止利よ、 ...
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
籬
(
まがき
)
あり菊の
凭
(
もた
)
るるよすがあり
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
晝の間
籬
(
まがき
)
を固く
結
(
ゆ
)
へど
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
籬
(
まがき
)
の陰にさける見て
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
暮るる
籬
(
まがき
)
や
群青
(
ぐんじやう
)
の
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
籬
漢検1級
部首:⽵
25画
“籬”を含む語句
籬外草満地
大籬
籬落
竹籬
瑞籬
雛飛欲越籬
籬高堕三四
呼雛籬外雞
杉籬
籬根
生籬
東籬
神籬
透籬
眞籬根
籬外
籬高随三四
総籬
籬際
采菊東籬下
...