鼓くらべつづみくらべ
庭さきに暖い小春日の光が溢れていた。おおかたは枯れた籬の菊のなかにもう小さくしか咲けなくなった花が一輪だけ、茶色に縮れた枝葉のあいだから、あざやかに白い葩をつつましく覗かせていた。 お留伊は小鼓を打っていた。 町いちばんの絹問屋の娘で、年は …
作品に特徴的な語句
みつ 蒼白あおざ 問屋どいや しゃが じょ かか 宿しゅく なじ たしなみ うたい すさま 津幡つはた はなびら 結地ゆいち つや まがき 袱紗ふくさ またた みは ひとみ しわ 留伊るい すす あふ 溜息ためいき 躍気やっき 鼕々とうとう おご だま ふる 雪蓑ゆきみの 鄭重ていちょう 辛酸しんさん とむら かが あきら のぞ 気臆きおく おお こうむ 前跼まえかが 宿やど ねた ささや たしな すす 双眸そうぼう 友割ともわ すくな とき 凝乎じっ しの 何処どこ 仰有おっしゃ もっ 清浄しょうじょう なみだ ほの ゆが 此処ここ しきみ 曲輪くるわ さか うま おそ とお 微塵みじん 御簾みす 引摺ひきず 小鼓こつづみ