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眗
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みまわ
ふりがな文庫
“
眗
(
みまわ
)” の例文
青き
袷
(
あわせ
)
に黒き帯して
瘠
(
や
)
せたるわが姿つくづくと
眗
(
みまわ
)
しながら
寂
(
さみ
)
しき山に腰掛けたる、
何人
(
なにびと
)
もかかる
状
(
さま
)
は、やがて皆
孤児
(
みなしご
)
になるべき
兆
(
きざし
)
なり。
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのままには帰らないで、溝伝いにちょうど
戸外
(
おもて
)
に向った六畳の出窓の前へ来て、
背後向
(
うしろむき
)
に
倚
(
よ
)
りかかって、
前後
(
あとさき
)
を
眗
(
みまわ
)
して、ぼんやりする。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それら、花にも
台
(
うてな
)
にも、
丸柱
(
まるばしら
)
は言うまでもない。
狐格子
(
きつねごうし
)
、
唐戸
(
からど
)
、
桁
(
けた
)
、
梁
(
うつばり
)
、
眗
(
みまわ
)
すものの
此処
(
ここ
)
彼処
(
かしこ
)
、
巡拝
(
じゅんぱい
)
の
札
(
ふだ
)
の貼りつけてないのは殆どない。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おや、」と言って、きょろきょろ
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
しておりまするが、何か気抜のしたらしい。小宮山はずっと寄って、その
背
(
せな
)
を叩かぬばかり
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「落すなんて、そんな間のあるわけはないんだからねえ、頼んだ人は
生命
(
いのち
)
にもかかわる。」と、早口にいってまた
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
した。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
と、思わず釣込まれたようになって、二人とも何かそこへ落ちたように、きょろきょろと土間を
眗
(
みまわ
)
す。
葭簀
(
よしず
)
の屋根に二葉三葉。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
滝太郎は左右を
眗
(
みまわ
)
し、今度は
憚
(
はばか
)
らず、袂から出して、
掌
(
たなそこ
)
に据えたのは、
薔薇
(
ばら
)
の
薫
(
かおり
)
の
蝦茶
(
えびちゃ
)
のリボン、勇美子が
下髪
(
さげがみ
)
を留めていたその飾である。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前に青竹の
埒
(
らち
)
を
結廻
(
ゆいまわ
)
して、その筵の上に、大形の古革鞄ただ
一個
(
ひとつ
)
……
眗
(
みまわ
)
しても
視
(
なが
)
めても、
雨上
(
あまあが
)
りの
湿気
(
しけ
)
た
地
(
つち
)
へ、
藁
(
わら
)
の
散
(
ちら
)
ばった
他
(
ほか
)
に何にも無い。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
売薬は先へ下りたが
立停
(
たちどま
)
ってしきりに
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
している様子、
執念
(
しゅうねん
)
深く何か
巧
(
たく
)
んだかと、快からず続いたが、さてよく見ると
仔細
(
しさい
)
があるわい。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
美女 あの、
捨小舟
(
すておぶね
)
に流されて、海の
贄
(
にえ
)
に取られて
行
(
ゆ
)
く、あの、(
眗
(
みまわ
)
す)これが、嬉しい事なのでしょうか。めでたい事なのでしょうかねえ。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婆さんはこの時、
滝登
(
たきのぼり
)
の懸物、柱かけの生花、月並の発句を書きつけた額などを
静
(
しずか
)
に
眗
(
みまわ
)
したから、判事も釣込まれてなぜとはなくあたりを眺めた。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「へええ、
御串戯
(
ごじょうだん
)
を。」と道の前後を
眗
(
みまわ
)
して、苦笑いをしつつ、
一寸
(
ちょっと
)
頭を掻いたは、
扨
(
さて
)
は、我が
挙動
(
ふるまい
)
を、と思ったろう。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
加茂川の邸へはじめての客と見える、
件
(
くだん
)
の五ツ紋の
青年
(
わかもの
)
は、
立停
(
たちどま
)
って
前後
(
あとさき
)
を
眗
(
みまわ
)
して
猶予
(
ためら
)
っていたのであるが、今
牛乳屋
(
ちちや
)
に教えられたので振向いて
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
咽喉
(
のど
)
が狂って震えがあるので、えへん! と
咳
(
しわぶ
)
いて、
手巾
(
ハンケチ
)
で
擦
(
こす
)
って、
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
したが、湯も水も有るのでない、そこで
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きりきりきり、はたり。——お沢。
面
(
おもて
)
を上げ、
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
し耳を澄ましつつ、やがて階段に
斜
(
ななめ
)
に腰
打掛
(
うちか
)
く。なお耳を傾け傾け、きりきりきり、はたり。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
血も
迸
(
ほとば
)
しらんばかり
壮
(
さかん
)
だった滝太郎の
面
(
おもて
)
を、つくづく見て、またその罪の数を
眗
(
みまわ
)
して、お兼はほっという息を
吐
(
つ
)
いた。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
剪刀
(
はさみ
)
を袖の下へ
秘
(
かく
)
して来て、
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
して、ずぶりと入れると、昔取った千代紙なり、めっきり
裁縫
(
しごと
)
は上達なり、見事な手際でチョキチョキチョキ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
急いで手拭を
懐中
(
ふところ
)
へ突込むと、若手代はそこいらしきりに
前後
(
あとさき
)
を
眗
(
みまわ
)
した、……私は書割の山の陰に
潜
(
ひそ
)
んでいたろう。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、令夫人は仲通りの
前後
(
あとさき
)
を、芝居気の無い娘じみた
眗
(
みまわ
)
し方。で、
件
(
くだん
)
の番小屋の羽目を、奥の方へ誘い入れつつ
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
嫁御が
俯向
(
うつむ
)
けの島田からはじめて、室内を白目沢山で、
虻
(
あぶ
)
の飛ぶように、じろじろと飛廻しに
眗
(
みまわ
)
していたのが、肥った膝で立ちざまにそうして声を掛けた。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのにおいを見附けたそうに、投出している我が手をはじめ、きょろきょろと
眗
(
みまわ
)
す内に、何となくほんのりと、誰だか、
婦
(
おんな
)
の、冷い黒髪の香がしはじめる。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「降って来たもんですから、その何なんですよ、泥でも
刎上
(
はねあ
)
げちゃあ、そのね、」と今更のように懐を
眗
(
みまわ
)
して
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
忌々
(
いまいま
)
しいなあ、道中じゃ
弥次郎兵衛
(
やじろべえ
)
もこれに弱ったっけ、
耐
(
たま
)
ったものではないと、
密
(
そっ
)
と
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
しますると、
塵
(
ちり
)
一ッ
葉
(
ぱ
)
も目を遮らぬこの間の内に床が一つ
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どうだ、
螇蚸
(
ばった
)
、
蟷螂
(
かまきり
)
、」といいながら、お雪と島野を
交
(
かわ
)
る
交
(
がわ
)
る、笑顔で
眗
(
みまわ
)
しても豪傑だから
睨
(
にら
)
むがごとし。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
奴
(
やつ
)
は勝ほこった
体
(
てい
)
で、毛筋も動かぬその
硝子面
(
ビイドロめん
)
を、穴蔵の底に光る朽木のように、
仇艶
(
あだつや
)
を放って
眗
(
みまわ
)
しながら
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
眗
(
みまわ
)
すと、ずらりと車座が残らず顔を見た時、
燈
(
あかり
)
の色が
颯
(
さっ
)
と白く、雪が降込んだように俊吉の目に映った。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と肩がすくんで、
裳
(
もすそ
)
わなわな、
瞳
(
ひとみ
)
を据えて
恐々
(
こわごわ
)
仰ぐ、天井の高い事。前後左右は、どのくらいあるか分らず、
凄
(
すご
)
くて
眗
(
みまわ
)
すことさえならぬ、
蚊帳
(
かや
)
に寂しき寝乱れ姿。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
威勢よく、(開けます)とやろうとする、その
扉
(
ひらき
)
の見当が附かぬから、
臥床
(
ねどこ
)
に片手
支
(
つ
)
いたなり、
熟
(
じっ
)
と
室
(
ま
)
の内を
眗
(
みまわ
)
しながら、耳を傾けると、それ切り物の
気勢
(
けはい
)
がせぬ。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前後
(
あとさき
)
を
眗
(
みまわ
)
しながら、
密
(
そっ
)
とその縄を取って
曳
(
ひ
)
くと、
等閑
(
なおざり
)
に土の割目に刺したらしい、竹の根はぐらぐらとして、縄がずるずると
手繰
(
たぐ
)
られた。慌てて放して、後へ
退
(
さが
)
った。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おや、おや。」と口の
中
(
うち
)
、女中は
極
(
きまり
)
の悪そうに顔を赤らめながら、変な顔をして座中を
眗
(
みまわ
)
すと、誰も居ないで
寂
(
しん
)
として、
釜
(
かま
)
の湯がチンチン、途切れてはチンという。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寂
(
さみ
)
しいにも、第一
此
(
こ
)
の家には、旅人の来て宿るものは一
人
(
にん
)
も無い、と
茶店
(
ちゃみせ
)
で聞いた——
泊
(
とまり
)
がさて無いばかりか、
眗
(
みまわ
)
して見ても、がらんとした
古家
(
ふるいえ
)
の中に、其の
婦
(
おんな
)
ばかり。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
(眠うなったのかい、もうお寝か。)といったが
坐
(
すわ
)
り直ってふと気がついたように
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
した。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
密
(
そっ
)
と、下へ
屈
(
かが
)
むようにしてその御神燈を
眗
(
みまわ
)
すと、
他
(
ほか
)
に
小草
(
おぐさ
)
の影は無い、染次、と記した
一葉
(
ひとは
)
のみ。で、それさえ、もと居たらしい
芸妓
(
げいしゃ
)
の上へ
貼紙
(
はりがみ
)
をしたのに記してあった。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(後で洗いますよ。)と
丸
(
まろ
)
げて落した。
手巾
(
ハンケチ
)
は草の中。何の、後で洗うまでには、蛇が来て抱くか、
山𤢖
(
やまおとこ
)
が
接吻
(
キッス
)
をしよう、とそこいらを
眗
(
みまわ
)
しましたが、おっかなびっくり。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
急
(
あせ
)
って、
踠
(
もが
)
いて、立ったり居たり、
汀
(
みぎわ
)
もそちこち、場所を変えてうろついて見込んだが、ふと心づいて
眗
(
みまわ
)
せば、早や何が
染
(
そま
)
るでもなく、緑は緑、青は青で、樹の間は
薄暮合
(
うすくれあい
)
。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただもう
遁
(
に
)
げ出したくッてね、そこいら
眗
(
みまわ
)
すけれど、
貴下
(
あなた
)
の姿も見えなかったんですもの。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とふと
眗
(
みまわ
)
したが、今夜は
素
(
もと
)
より降ってはいない、がさあ、幾日ぐらいの月だろうか、薄曇りに唯
茫
(
ぼう
)
として、暗くはないが月は見えない、星一つ影もささなかった、風も吹かぬ。
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
第一、多勢の客の出入に、茶の給仕さえ鞠子はあやしい、と早瀬は
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
したが——後で知れた——留守中は、
実家
(
さと
)
の
抱
(
かかえ
)
車夫が夜
宿
(
とま
)
りに来て、昼はその女房が来ていたので。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お貞は聞きつつ
微笑
(
ほほえ
)
みたりしが、ふと立ちて店に
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
き、往来の左右を
視
(
なが
)
め、
旧
(
もと
)
の座に帰りて
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
し、また板敷に伸上りて、裏庭より勝手などを、
巨細
(
こさい
)
に見て座に就きつ。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「強いて信じたくないとは願わんのです、紳士のために。なぜ、そんなら貴下は、その新聞包みを棄つるに際して、きょろきょろ
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
したり、
胡乱々々
(
うろうろ
)
往来
(
ゆきき
)
をしたんじゃね。」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きょろきょろ
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
したが、まさか消え失せたのじゃあるまい、と直ぐに
突切
(
つッき
)
ってぐるりと廻ると、裏木戸に早や
山茶花
(
さざんか
)
が咲いていて、そこを境に巣鴨の卯之吉が庭になりまさ。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仁右衛門は
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
し、あまたたび
口籠
(
くちごも
)
りながら、相済みましねえ、お客様、御出家、宰八
此方
(
こなた
)
にはなおの事、四十年来の
知己
(
ちかづき
)
が、余り気心を知らんようで、面目もない次第じゃ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……しとやかな姉さんが、急に何だか、そわついて、あっちこっち
眗
(
みまわ
)
しましたが、高い処にこう立つと、風が
攫
(
さら
)
って、すっと、雲の上へ持って
行
(
ゆ
)
きそうで
危
(
あぶな
)
ッかしいように見えます。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
幾度遣っても
笥
(
たかんな
)
の皮を
剥
(
む
)
くに異ならずでありまするから、呆れ果てて
摚
(
どう
)
と尻餅、
茫然
(
ぼんやり
)
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
しますると、神農様の画像を掛けた、さっき女が通したのと同じ部屋へ、おやおやおや。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
開
(
あ
)
けかけた蓋を
慌
(
あわ
)
てて
圧
(
おさ
)
えて、きょろきょろと
其処
(
そこ
)
ら
眗
(
みまわ
)
したそうでございますよ。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
腕も器量も
凄
(
すご
)
いのが、
唐桟
(
とうざん
)
ずくめのいなせな
形
(
なり
)
で、
暴風雨
(
あらし
)
に屋根を取られたような
人立
(
ひとだち
)
のする我家の帳場を、
一渡
(
ひとわたり
)
眗
(
みまわ
)
しながら、悠々として、長火鉢の向側、これがその座に敷いてある
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
目の光の
晃々
(
きらきら
)
と
冴
(
さ
)
えたに似ず、あんぐりと口を開けて、厚い下唇を垂れたのが、別に見るものもない茶店の世帯を、きょろきょろと
眗
(
みまわ
)
していたのがあって——お百姓に、船頭殿は稼ぎ時
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「小僧さん、まあお上り、菊枝さん、きいちゃん。」と言って部屋の内を
眗
(
みまわ
)
すと、ぼんぼん時計、花瓶の菊、置床の上の雑誌、貸本が二三冊、それから自分の
身体
(
からだ
)
が箪笥の前にあるばかり。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
実はこの
媼
(
おうな
)
、お米に椅子を払って招じられると、帯の
間
(
あい
)
からぬいと青切符をわざとらしく抜出して手に持ちながら、勿体ない
私
(
わたくし
)
風情がといいいい貴夫人の一行をじろりと
眗
(
みまわ
)
し、
躙
(
にじ
)
り寄って
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それはお前様、あの
徒
(
てあい
)
と申しますものは、……まあ、海へ出て岸をば
眗
(
みまわ
)
して
御覧
(
ごろう
)
じまし。
巌
(
いわ
)
の窪みはどこもかしこも、
賭博
(
ばくち
)
の
壺
(
つぼ
)
に、
鰒
(
あわび
)
の
蓋
(
ふた
)
。
蟹
(
かに
)
の穴でない処は、皆
意銭
(
あないち
)
のあとでござります。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眗
部首:⽬
10画