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済
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すま
ふりがな文庫
“
済
(
すま
)” の例文
旧字:
濟
しかし、持彦は
悠然
(
ゆうぜん
)
として水をあび、そしてみそぎの行いを
済
(
すま
)
したのである。それを
見澄
(
みすま
)
した上の官人は
小気味宜
(
こきみよ
)
げに
嗤
(
わら
)
っていった。
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
西の
方
(
かた
)
に山の見ゆる町の、
上
(
かみ
)
の
方
(
かた
)
へ遊びに行つて居たが、約束を忘れなかつたから
晩方
(
ばんがた
)
に
引返
(
ひっかえ
)
した。
之
(
これ
)
から
夕餉
(
ゆうげ
)
を
済
(
すま
)
してといふつもり。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、
貴方
(
あなた
)
はよい
時代
(
じだい
)
が
来
(
こ
)
ようと
済
(
すま
)
してもいられるでしょうが、いや、
私
(
わたくし
)
の
言
(
い
)
うことは
卑
(
いやし
)
いかも
知
(
し
)
れません、
笑止
(
おか
)
しければお
笑
(
わら
)
い
下
(
くだ
)
さい。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
六時、朝食を
済
(
すま
)
し、右手の
磧
(
かわら
)
につき、最近の鞍部目的に登る、僅か十町つい目先きのようだ、が険しくて
隙取
(
ひまど
)
れ、一時間ばかりかかった。
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
彼奴
(
きゃつ
)
め
長久保
(
ながくぼ
)
のあやしき女の
許
(
もと
)
に
居続
(
いつづけ
)
して妻の
最期
(
さいご
)
を
余所
(
よそ
)
に見る事憎しとてお辰をあわれみ助け
葬式
(
ともらい
)
済
(
すま
)
したるが、七蔵
此後
(
こののち
)
愈
(
いよいよ
)
身持
(
みもち
)
放埒
(
ほうらつ
)
となり
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
濃いお納戸地の
袷
(
あわせ
)
と、黒っぽい帯までが、行い
済
(
すま
)
した聖僧の法衣に見えて、顔のやつれ、膝に揃えた十指のわななき、限りない痛々しさです。
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
わたくしは、この部屋にもこれ以上居づらい気がしましたし、うっかりすると、おきみにまた来られそうなので、急いで勘定を
済
(
すま
)
して立上り
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
これはつまりインドで所用を
済
(
すま
)
して帰る時分に、その書面を示して始めてチベットに帰ることを許される手続きになって居るのでございます。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
私はただ二階の六畳を借りているばかりで、食事はすべて外で
済
(
すま
)
して帰る。私が遅く帰る時分には、暗いランプの下に老婆は茫然と坐っている。
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかし丁度日曜日に当って夜学校を口実にも出来ない処から
夕飯
(
ゆうめし
)
を
済
(
すま
)
すが否やまだ日の落ちぬ
中
(
うち
)
ふいと
家
(
うち
)
を出てしまった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
秋蘭は古風な水色の
皮襖
(
ピーオ
)
を着て、紫檀の椅子に
凭
(
よ
)
りながら手紙の封を切っていた。彼女は朝の挨拶を
済
(
すま
)
すと足の痛みの
柔
(
やわら
)
ぎを告げて礼を述べた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
文士という肩書の無い
白地
(
しろじ
)
の
尋常
(
ただ
)
の人間に戻り、ああ、
済
(
すま
)
なかった、という一念になり、我を忘れ、世間を忘れて、私は……私は遂に泣いた……
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
エマルソン言えることあり、最も冷淡なる哲学者といえども恋愛の猛勢に駆られて
逍遙
(
しょうよう
)
徘徊
(
はいかい
)
せし少壮なりし時の霊魂が負うたる
債
(
おいめ
)
を
済
(
すま
)
す
能
(
あた
)
わずと。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ロオランスの出るジユリヤンの
画室
(
アトリエ
)
の前にある
珈琲店
(
カフエエ
)
で皆𤍠い
珈琲
(
カフエエ
)
と
麺麭
(
パン
)
とを取つて
廉
(
やす
)
い
朝飯
(
あさめし
)
を腰も掛けずに
済
(
すま
)
せた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
あなたも
済
(
すま
)
していなくっちゃいけません。——何を云っても冷淡に済ましていなくっちゃいけません。けっしてこちらから、
一言
(
ひとこと
)
も云わないのです。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
洗吉さんは先に御飯をお
済
(
すま
)
しになつて、子供かなぞのやうに、自分の頸を抱へて唐紙の根に寝転んでお出でになる。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
と主従
連立
(
つれだ
)
って屋敷へお帰りに成ると、お國は二度
恟
(
びっく
)
りしたが、素知らぬ顔で此の晩は済んでしまい、
翌朝
(
よくあさ
)
になると隣の源次郎が
済
(
すま
)
してやってまいり
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これは適当の方法をもって必ず皆
済
(
すま
)
していただかねばなりません。私はそれを諸君全体に寄付して、向後の費途に
充
(
あ
)
てるよう取り計らうつもりでいます。
小作人への告別
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
中幕の両優を「天下無類、古今無類」といふ四字にて
済
(
すま
)
せ、片市と松助の
涎
(
よだれ
)
くりと三助とを評せしは大利口なり。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
賭博
(
とばく
)
現行犯で長野へ引かれ、一年ほどまた臭い飯を食ふ事になつたが、二度目に帰つて来た時は、もう村でも何うする事も出来ない程の
悪漢
(
わるもの
)
に成り
済
(
すま
)
して
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
そういう一家の危機を外に学んでいる兄や妹に今日が日までも一切知らせずに
済
(
すま
)
すことが出来たのであった。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
仮想の男になり
済
(
すま
)
したTが、ヒョッコリとやって来た、最初は、細君、その男をTだといって聞かなんだが、Tの友人が訪ねて来ても、まるで話が合わなかったり
一人二役
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
看送
(
みおく
)
り
済
(
すま
)
し更に余が
方
(
かた
)
に打向いて「
最
(
も
)
う
何
(
ど
)
うしても藻西太郎の
仕業
(
しわざ
)
と認める外は無い」と
嘆息
(
たんそく
)
せり。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ソレカラ仏蘭西を出発して
葡萄牙
(
ポルトガル
)
のリスボンに寄港し、使節の公用を
済
(
すま
)
して又船に乗り、地中海に入り、
印度
(
インド
)
洋に出て、海上無事、日本に
帰
(
かえっ
)
て見れば攘夷論の真盛りだ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
やっと葬送を
済
(
すま
)
したのがつい二ヶ月程前であるが、
折角
(
せっかく
)
手入
(
ていれ
)
を加えてただ空けておくのも何だから、お借し申したような次第であるが、さては左様でございますかという。
白い光と上野の鐘
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
途中は長い廊下、
真闇
(
まっくら
)
の
中
(
なか
)
で何やら
摺違
(
すれちが
)
つたやうな物の
気息
(
けはい
)
がする、
之
(
これ
)
と同時に何とは無しに
後
(
あと
)
へ引戻されるやうな心地がした。けれども、別に意にも
介
(
と
)
めず、用を
済
(
すま
)
して寝床へ帰つた。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「床屋だ?」老公は
仰山
(
ぎやうさん
)
さうなその
身装
(
みなり
)
をも一度じろつと見直した。大臣だつたら冷汗を掻き、次官局長の
輩
(
てあひ
)
だつたら神経衰弱にもなりさうな眼附だつたが、床屋はけろりと
済
(
すま
)
した顔をしてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
判決を
済
(
すま
)
してしまいたいって検事さんの予定だったんだそうですが、
先刻
(
さっき
)
も申上げたようになるべく判決を遅くらしてくれって青山さんの註文で、菱沼さん、ムキになってネバり続けた甲斐あって
あやつり裁判
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
食事を
済
(
すま
)
すと、ギルは前夜の言葉を忘れずに泉原を促して
家
(
うち
)
を出た。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
『何でもありませんよ。』と、
済
(
すま
)
し返つて、吉野の顔をチラと見た。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その八太郎が、
或
(
あ
)
る日、やはり遠い町へ
使
(
つかひ
)
に行つた時のことです。用を
済
(
すま
)
してぼんやり帰りかけると町外れの木の下に、白と黒との小さな子犬が二匹、一つ
処
(
ところ
)
にかたまつて、くんくん泣いてゐました。
犬の八公
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
質素な葬式も
済
(
すま
)
してそれも終った。
千ヶ寺詣
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
ひとりで
泣
(
な
)
いて
済
(
すま
)
さうか。
桜さく島:春のかはたれ
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
と
嫉妬
(
しっと
)
の勢い
凄
(
すさ
)
まじきに大原も途方にくれ「ナニ少し
御馳走
(
ごちそう
)
になっていたものですから遅くなったのです。途中まででもお出迎いに参らなければ
済
(
すみ
)
ません」お代嬢「
済
(
すむ
)
も
済
(
すま
)
ないもあるもんか自分が
好
(
すき
)
であの子と狂い廻っていた癖に。あの子が大事か、親が大事か、満さんに解んねいか」
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
今度の旅は、一体はじめは、仲仙道線で故郷へ着いて、そこで、
一事
(
あるよう
)
を
済
(
すま
)
したあとを、姫路行の汽車で東京へ帰ろうとしたのでありました。
雪霊続記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
然
(
しか
)
し
丁度
(
ちやうど
)
日曜日に
当
(
あた
)
つて
夜学校
(
やがくかう
)
を
口実
(
こうじつ
)
にも
出来
(
でき
)
ない
処
(
ところ
)
から
夕飯
(
ゆふめし
)
を
済
(
すま
)
すが
否
(
いな
)
やまだ
日
(
ひ
)
の落ちぬ
中
(
うち
)
ふいと
家
(
うち
)
を出てしまつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
之を見ると、私は卒然として、「ああ
済
(
すま
)
なかった……」と思った。此刹那に理窟はない、非凡も、平凡も、何もない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
食事が
未
(
ま
)
だ済まないと云ふと、食べないで居ると
身体
(
からだ
)
が余計に疲れるからと云つて、よろよろと歩く私を
伴
(
つ
)
れて氏は一度
済
(
すま
)
して帰つた食堂へ
復
(
また
)
行つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
丁度十二月
朔日
(
ついたち
)
のことで、いつも寺では早く
朝飯
(
あさはん
)
を
済
(
すま
)
すところからして、丑松の部屋へも袈裟治が膳を運んで来た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
金は、
幾何
(
いくら
)
も残っていなかった。おあいは、葬式を
済
(
すま
)
して、仏事を奇麗に営んだ。せめて、これが亡き叔母に対して尽すべきつとめであるように思った。
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
うッかり外を歩くと女が
打突
(
ぶッつか
)
って来て女の
瘤
(
こぶ
)
が七つも一緒に出来るというくらいの若旦那だが、
済
(
すま
)
してゝ
其様
(
そんな
)
に安く売る身体じゃアねえと云ってるくらいのもので
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
けれども
中
(
なか
)
にあつた
手紙
(
てがみ
)
は、状箱とは正反対に、簡単な言文一致で用を
済
(
すま
)
してゐた。
此間
(
このあひだ
)
わざ/\
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れた時は、
御依頼
(
おたのみ
)
通り取り
計
(
はから
)
ひかねて、御気の毒をした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
主人が
跣足
(
はだし
)
になって働いているというのだから細君が
奥様然
(
おくさまぜん
)
と
済
(
すま
)
してはおられぬはずで、こういう家の
主人
(
あるじ
)
というものは、俗にいう
罰
(
ばち
)
も
利生
(
りしょう
)
もある人であるによって
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
食事を
済
(
すま
)
して、〆治を帰してしまうと、私は荒されたちゃぶ台を前に、ボンヤリと坐っていました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
二十九歳の時に夜逃を
為
(
し
)
て、この東京に
遣
(
や
)
つて来て、蕎麦屋の
坦夫
(
かつぎ
)
、質屋の手伝、湯屋の三助とそれからそれへと辛抱して、今では
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
一軒の湯屋の主人と成り
済
(
すま
)
して
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
彼にとってジョーンは
碇
(
いかり
)
であった。時には厄介千万であったが、又時には落付かせて呉れる
錘
(
おもり
)
であった。嫌に取り
済
(
すま
)
したのが生意気に見えて
癪
(
しゃく
)
に触ったが、
懐
(
なつ
)
かしくも思った。
決闘場
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一つ物好きのようだが、道心堅固に行い
済
(
すま
)
した、目黒の尼を
還俗
(
げんぞく
)
さして、お客のような妾のような、奉公人のような内儀のような、——そんな扱いをして、うんと高い給金を出して可愛がってやろう。
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
美術の批評家になり
済
(
すま
)
して
了
(
しま
)
つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その日の主人役が客に
済
(
すま
)
ずとあって、
死
(
しん
)
だもののようになってるのを引起し、二人両手を取って、
小刀
(
ナイフ
)
で前髪を切って、座敷をつッ立った。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
去年の末に幸ひ美奈子の長篇小説が
某
(
なにがし
)
新聞社へ買取られたので、其の稿料で大崎村の諸
払
(
はらひ
)
の
滞
(
とゞこほ
)
りやら麹町の新居の敷金やら引越料やらを
辛
(
やつ
)
と
済
(
すま
)
す事が出来た。
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
“済”の解説
済(せい)または倭 済(わ せい、生没年不詳)は、5世紀中頃(古墳時代中期)の倭王倭王済(日本人名大辞典)。「倭王済」とも倭王済(日本人名大辞典)。
興・武の父で、「倭の五王」の1人。第19代允恭天皇に比定する説が有力視される。
(出典:Wikipedia)
済
常用漢字
小6
部首:⽔
11画
“済”を含む語句
相済
聞済
内済
済南
返済
百済
事済
仕済
済度
日済
成済
経済
多士済々
救済
取済
百済寺
不相済
済寧
百済野
御済
...