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洋燈
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ランプ
ふりがな文庫
“
洋燈
(
ランプ
)” の例文
新字:
洋灯
室
(
へや
)
に入つて
洋燈
(
ランプ
)
を點けるのも
懶
(
ものう
)
いので、暫くは
戲談口
(
じやうだんぐち
)
などきき合ひながら、
黄昏
(
たそがれ
)
の微光の漂つて居る室の中に、長々と寢轉んでゐた。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
もの優しく肩が動くと、その蝋の火が、件の絵襖の穴を
覘
(
のぞ
)
く……その火が、
洋燈
(
ランプ
)
の
心
(
しん
)
の中へ、
𤏋
(
ぱっ
)
と入って、一つになったようだった。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
其
(
その
)
代
(
かは
)
り
小六
(
ころく
)
さん、
憚
(
はゞか
)
り
樣
(
さま
)
。
座敷
(
ざしき
)
の
戸
(
と
)
を
閉
(
た
)
てて、
洋燈
(
ランプ
)
を
點
(
つ
)
けて
頂戴
(
ちやうだい
)
。
今
(
いま
)
私
(
わたし
)
も
清
(
きよ
)
も
手
(
て
)
が
放
(
はな
)
せない
所
(
ところ
)
だから」と
依頼
(
たの
)
んだ。
小六
(
ころく
)
は
簡單
(
かんたん
)
に
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
高瀬は
屋外
(
そと
)
まで
洋燈
(
ランプ
)
を持出して、暗い道を照らして見せたが、やがて家の中へ入って見ると、余計にシーンとした夜の
寂寥
(
さびしさ
)
が残った。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
自分の
困憊
(
こんぱい
)
の状察すべしである。
恰
(
あたか
)
も此時、
洋燈
(
ランプ
)
片手に花郷が戸を明けた。彼は極めて
怪訝
(
くわいが
)
に堪へぬといつた様な顔をして、盛岡弁で
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
のみならず、一本芯の
洋燈
(
ランプ
)
は仄暗いけれども、その光が、額から頬にかけて流れている所は、キメをいっそう細やかに見せていた。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
まぶしいくらい
洋燈
(
ランプ
)
の光りを浴びてきらきらと光っているのを、私は自分でも意外なくらいな冷静さをもって認めることが出来た。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
生徒は
鬼魅
(
きみ
)
が悪くなったので、
寝床
(
ねどこ
)
を飛びだして二階へあがり、
洋燈
(
ランプ
)
の
燈
(
ひ
)
を明るくして
顫
(
ふる
)
えていると、間もなく二人の生徒が帰って来た。
女の姿
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
恨めしそうに跡を
目送
(
みおく
)
ッて文三は暫らく
立在
(
たたずん
)
でいたが、やがて二階へ上ッて来て、まず手探りで
洋燈
(
ランプ
)
を点じて
机辺
(
つくえのほとり
)
に
蹲踞
(
そんこ
)
してから、さて
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
洋燈
(
ランプ
)
の光
明
(
あきら
)
かなる四畳半の書斎、かの女の若々しい心は色彩ある恋物語に
憧
(
あこが
)
れ渡って、表情ある眼は更に深い深い意味を
以
(
もっ
)
て輝きわたった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
その上には、もとは燃えるような緑色だったらしい卓子掛けが載って居り、その上には何のつもりか、古い
洋燈
(
ランプ
)
がただ一つ置かれてあった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それ所か、
明
(
あかる
)
い空気
洋燈
(
ランプ
)
の光を囲んで、しばらく膳に向っている
間
(
あいだ
)
に、彼の細君の
溌剌
(
はつらつ
)
たる才気は、すっかり私を敬服させてしまいました。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昨夕私は机を部屋の真中へ持出し、外山教授、彼の友人生田氏〔?〕及び私の助手の松村氏を招いて、石油
洋燈
(
ランプ
)
を享楽させた。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
そこで
特
(
ことさら
)
に
洋燈
(
ランプ
)
を取って左の手にしてその図に
近〻
(
ちかぢか
)
と臨んで、
洋燈
(
ランプ
)
を動かしては光りの強いところを観ようとする部分〻〻に移しながら看た。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
女中は闇の中から手探りにやつと、
洋燈
(
ランプ
)
を探し当てゝ火を点じたが、ほの暗い光は、一層瑠璃子の心を滅入らしてしまつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「これは何かの具合でこの穴にずっと昔の空気が残っていたんだ。」といいながら又懐中
洋燈
(
ランプ
)
を点じてそれを高く
翳
(
かざ
)
して隈なく四辺を見回した。
月世界跋渉記
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
赤ん坊のころ、若い母親の不注意から、
釣
(
つり
)
らんぷの下へ
蚊帳
(
かや
)
を釣って寝させておいたら、どうした事か
洋燈
(
ランプ
)
がおちて蚊帳の天井が燃えあがった。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ふたたび子どもにうながされてようやく座敷へ上がる。姉はばさばさ掃き立てている。
洋燈
(
ランプ
)
が
煌々
(
こうこう
)
として昼のうす暗かった反対に気持ちがよい。
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
細川が入って来ても
頭
(
かしら
)
を上げないので、愈々
訝
(
いぶ
)
かしく
能
(
よ
)
く見ると
蒼
(
あお
)
ざめた
頬
(
ほお
)
に涙が流れているのが
洋燈
(
ランプ
)
の光にありありと
解
(
わか
)
る。校長は
喫驚
(
びっく
)
りして
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
お国は
洋燈
(
ランプ
)
を降したり、火を消したり、茶道具を洗ったり、いつもの通り働いていたが、これも気のない顔をしていた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
甚だしい心配の度に腹に
固
(
かた
)
い固まりが出来る彼女の習慣の、その兆しを下腹部に感じながら、彼女は
洋燈
(
ランプ
)
を掃除した。
不幸
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
一人でゐてもゐられるものの、なまじ、二人で慰め顔に、エネチアまがひの古い
洋燈
(
ランプ
)
など
点
(
とぼ
)
して見るので悲しくなる。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
この句の詩情が歌うものは、こうした
闇黒
(
あんこく
)
、
寂寥
(
せきりょう
)
、孤独の中に環境している、
洋燈
(
ランプ
)
のような人間生活の侘しさである。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
こんなものが、みんな天井から下つてゐる石油
洋燈
(
ランプ
)
の光と、私が外套と帽子のまゝ腰かけてゐる傍の、氣持ちのいゝ
煖爐
(
だんろ
)
の火で、あなた方に見える。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
いつの間にか、日は暮れて、
洋燈
(
ランプ
)
に火が入れられていた。人々は疲れあぐんだ
態
(
てい
)
で煙草だけを、やけにあげていた。
雪
(新字新仮名)
/
楠田匡介
(著)
旗岡巡査の姿は、やはり前の位置に、壁を背にして、
憮然
(
ぶぜん
)
と腕組みしているのが
洋燈
(
ランプ
)
の光に見出されたが、誰一人、その姿を顧みる者などはなかった。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
凩が
凄
(
すさま
)
じく吼え狂うと、
洋燈
(
ランプ
)
の光が明るくなって、
卓
(
テーブル
)
の上の
林檎
(
りんご
)
はいよいよ
紅
(
あか
)
く暖炉の火はだんだん
暖
(
あたたか
)
くなった。
少年・春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
汚点
(
しみ
)
だらけな壁に童子のような私の影が黒く写った。風が吹き
込
(
こ
)
むたび、
洋燈
(
ランプ
)
のホヤの先きが燃え上って、
誰
(
だれ
)
か「雨が近い」と云いながら町を通っている。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
山木剛造は今しも
晩餐
(
ばんさん
)
を終りしならん、大きなる熊の毛皮にドツかと
胡座
(
あぐら
)
かきて、仰げる広き額には
微醺
(
びくん
)
の色を帯びて、カンカンと輝ける
洋燈
(
ランプ
)
の光に照れり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「ああそう」と虫の
呼気
(
いき
)
のように応えたが、サモきまりが悪そうに受け取って、
淡暗
(
うすぐら
)
い
洋燈
(
ランプ
)
の光ですかして見たが、「どうもありがとう」と迷惑そうに会釈する。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
やがて
吻
(
ほっ
)
という息を
吐
(
つ
)
いてみると、
蘇生
(
よみがえ
)
った様に
躯
(
からだ
)
が楽になって、女も
何時
(
いつ
)
しか、もう
其処
(
そこ
)
には居なかった、
洋燈
(
ランプ
)
も
矢張
(
やはり
)
もとの如く
点
(
つ
)
いていて、本が
枕許
(
まくらもと
)
にあるばかりだ。
女の膝
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
といったきり、
洋燈
(
ランプ
)
をそこに取り落して終った。この様子に東助は吃驚して駆け寄りながら
月世界競争探検
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
私は薄暗い、ぼんやりした
洋燈
(
ランプ
)
の光の中に、幽霊のやうに
窶
(
やつ
)
れた彼女の姿を見出した。髪を麻の如く乱し、浅黄の手拭で鉢巻をして、前に積まれた蒲団に凭れて坐つて居た。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
其後
(
そのあと
)
から
直
(
す
)
ぐに
其角
(
そのかど
)
を
曲
(
まが
)
りましたが、もう
兎
(
うさぎ
)
の
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
えませんでした。
愛
(
あい
)
ちやんは
屋根
(
やね
)
からずらりと一
列
(
れつ
)
に
吊
(
つ
)
られた
洋燈
(
ランプ
)
の
輝
(
かゞや
)
いてる、
長
(
なが
)
くて
低
(
ひく
)
い
大廣間
(
おほびろま
)
に
出
(
で
)
ました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「そうです、そうです」と、その時、中央のテーブルに置かれた古風な
洋燈
(
ランプ
)
の
灯
(
あかり
)
がかすかに揺れたほどの大声で、隅の方から叫んだものがあるので、会員は一斉にその方をながめた。
痴人の復讐
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
一人の若い紳士が降りたのであるが、
洋燈
(
ランプ
)
の光でちらと見た顏に見覺えがあると思つた。わたしが乘りだしてよく確めようとすると、先方と目があつた。間違つてはゐなかつたのだ。
駅伝馬車
(旧字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
始めて
洋燈
(
ランプ
)
が移入された当時の洋燈は、パリーだとか
倫敦辺
(
ロンドンあたり
)
で出来た舶来品で、割合に
明
(
あかる
)
いものであったが、困ることには「ほや」などが
壊
(
こわ
)
れても、部分的な破損を補う事が不可能で
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
わが
輩
(
はい
)
が往年
塾
(
じゅく
)
にあったとき、食堂で茶碗類をこわすものがあると、人に強い
奴
(
やつ
)
と思われ、自分もまたそう思うらしく、あるいは
洋燈
(
ランプ
)
でも
叩
(
たた
)
きこわすと、強い
奴
(
やつ
)
と
賞
(
ほ
)
め
讃
(
たた
)
えられた時代もあった。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ロシア人の巡邏が長剣を鳴らして通り過ぎる。手風琴に合わして朝鮮唄の哀調が漂って来る。隣家の古着屋の老婆が、
洋燈
(
ランプ
)
のほやを掃除しながら、店先いっぱいに古着の下がった間から顔を出す。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
木之助はそこで、毎晩胡弓の上手な
牛飼
(
うしかい
)
の家へ習いに
通
(
かよ
)
った。まだ電燈がない
頃
(
ころ
)
なので、牛飼の小さい家には
煤
(
すす
)
で黒い天井から
洋燈
(
ランプ
)
が
吊
(
つ
)
り
下
(
さが
)
り、その下で木之助は好きな胡弓を牛飼について弾いた。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
同校の正門内に卒業生の寄付に係る作法実習用の茶室が
竣工
(
しゅんこう
)
したため、自然不要に帰し、火災直前までは物置として保存されおり、階上階下には運動会用具その他、古
黒板
(
こくばん
)
、古
洋燈
(
ランプ
)
、空瓶、古バケツ
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
平田は廊下の
洋燈
(
ランプ
)
を意味もなく見上げている。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
洋燈
(
ランプ
)
さん、わたしあなたに
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
洋燈
(
ランプ
)
、
版繪
(
はんゑ
)
、
茶
(
ちや
)
、
茶菓子
(
ちやぐわし
)
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
点じられない
洋燈
(
ランプ
)
を
小熊秀雄全集-06:詩集(5)飛ぶ橇
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
もの
優
(
やさ
)
しく
肩
(
かた
)
が
動
(
うご
)
くと、
其
(
そ
)
の
蝋
(
らふ
)
の
火
(
ひ
)
が、
件
(
くだん
)
の
繪襖
(
ゑぶすま
)
の
穴
(
あな
)
を
覘
(
のぞ
)
く……
其
(
そ
)
の
火
(
ひ
)
が、
洋燈
(
ランプ
)
の
心
(
しん
)
の
中
(
なか
)
へ、
𤏋
(
ぱつ
)
と
入
(
はひ
)
つて、
一
(
ひと
)
つに
成
(
な
)
つたやうだつた。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
洋燈
(
ランプ
)
より榾火の焔のあかりの方が強い樣な爐端で、私の持つて來た一升壜の開かれた時、思ひもかけぬ三人の大男が其處に入つて來た。
みなかみ紀行
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
投げだした左の足の長い親指の
反
(
そ
)
ったまで、しどけない御姿は花やかな
洋燈
(
ランプ
)
の夜の光に映りまして、昼よりは
反
(
かえっ
)
て御美しく思われました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
細君は
裁縫
(
しごと
)
が一番好きであった。
夜
(
よる
)
眼が
冴
(
さ
)
えて
寐
(
ね
)
られない時などは、一時でも二時でも構わずに、細い針の目を
洋燈
(
ランプ
)
の下に運ばせていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
廣い玄關には
洋燈
(
ランプ
)
の光のみ眩しく照つて、人影も無い。渠は
自暴糞
(
やけくそ
)
に足を下駄に突懸けたが、下駄は
飜筋斗
(
もんどり
)
を打つて三尺許り彼方に轉んだ。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
洋
常用漢字
小3
部首:⽔
9画
燈
部首:⽕
16画
“洋燈”で始まる語句
洋燈許