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殼
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から
ふりがな文庫
“
殼
(
から
)” の例文
新字:
殻
また
貝殼
(
かひがら
)
の
一方
(
いつぽう
)
しかないといふことは、
自然
(
しぜん
)
にたまつたものでなく、
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
が
食
(
く
)
つて
殼
(
から
)
をすてたものであるといふほかはないのです。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
もぬけの
殼
(
から
)
なりアナヤとばかり
蹴
(
け
)
かへして
起
(
た
)
つ
枕元
(
まくらもと
)
の
行燈
(
あんどん
)
有明
(
ありあけ
)
のかげふつと
消
(
き
)
えて
乳母
(
うば
)
が
涙
(
なみだ
)
の
聲
(
こゑ
)
あわたゞしく
孃
(
ぢやう
)
さまが
孃
(
ぢやう
)
さまが。
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
然
(
しか
)
し
卯平
(
うへい
)
は
其
(
そ
)
の
僅少
(
きんせう
)
な
厚意
(
こうい
)
に
對
(
たい
)
して
窪
(
くぼ
)
んだ
茶色
(
ちやいろ
)
の
眼
(
め
)
を
蹙
(
しが
)
める
樣
(
やう
)
にして、
洗
(
あら
)
ひもせぬ
殼
(
から
)
の
兩端
(
りやうはし
)
に
小
(
ちひ
)
さな
穴
(
あな
)
を
穿
(
うが
)
つて
啜
(
すゝ
)
るのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
常の衣の上に
粗𣑥
(
あらたへ
)
の
汗衫
(
じゆばん
)
を被りたるが、その
衫
(
さん
)
の上に縫附けたる
檸檬
(
リモネ
)
の
殼
(
から
)
は大いなる
鈕
(
ぼたん
)
に
擬
(
まが
)
へたるなり。肩と
鞾
(
くつ
)
とには青菜を結びつけたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
貧乏臭い
殼
(
から
)
に包んで、
巧
(
たくみ
)
にその贅澤さをカムフラージユすることに慣れ、それを
通
(
つう
)
とか意氣とか言つてゐた時代です。
銭形平次捕物控:209 浮世絵の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
それはあまり見馴れすぎてゐた舊文明の
殼
(
から
)
が眼のうらにありすぎるからだ。兩國橋畔の變りかたは實に汚ならしい。
花火と大川端
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それは
核心
(
かくしん
)
に、
殼
(
から
)
と
外皮
(
ぐわいひ
)
を添へることに過ぎないでせう。それらには、彼はなんの用もないのです。その必要以外のものを、私は取つて置くだけのことですわ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
武骨者と人の笑ふを心に誇りし齋藤時頼に、あはれ今無念の涙は一滴も殘らずや。そもや瀧口が此身は
空蝉
(
うつせみ
)
のもぬけの
殼
(
から
)
にて、腐れしまでも昔の膽の一片も殘らぬか。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
薄赤い肉を美しく並べた皿の眞中には、まだ
殼
(
から
)
の出來ぬ眞ん
圓
(
まる
)
く赤い卵が寶玉のやうに光つてゐた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
皇后樣のおいで遊ばされたわけは、ヌリノミの飼つている蟲が、一度は
這
(
は
)
う蟲になり、一度は
殼
(
から
)
になり、一度は飛ぶ鳥になつて、三色に變るめずらしい蟲があります。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
「アゲマキ」という貝は瀟洒な薄黄色の
殼
(
から
)
のなかに、やはり薄黄色の帽子をつけた
片跛
(
かたちんば
)
の人間そのままの姿をして滑稽にもセピア色の褌をしめた小さな而して美味な生物である。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
敢
(
あへ
)
て
未來
(
みらい
)
のことはいはず、
現在
(
げんざい
)
既
(
すで
)
に
其
(
そ
)
の
姿
(
すがた
)
になつて
居
(
ゐ
)
るのではないか、
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
した
或者
(
あるもの
)
は、
鳴
(
な
)
き、
且
(
か
)
つ
飛
(
と
)
び、
或者
(
あるもの
)
は、
走
(
はし
)
り、
且
(
か
)
つ
食
(
くら
)
ふ、けれども
衣
(
きぬ
)
を
脱
(
ぬ
)
いで
出
(
で
)
た
蛇
(
へび
)
は、
殘
(
のこ
)
した
殼
(
から
)
より
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
御者
(
ぎょしゃ
)
は
懶惰
(
ぶしゃう
)
な
婢
(
はしため
)
の
指頭
(
ゆびさき
)
から
發掘
(
ほじりだ
)
す
彼
(
か
)
の
圓蟲
(
まるむし
)
といふ
奴
(
やつ
)
の
半分
(
はんぶん
)
がたも
無
(
な
)
い
鼠裝束
(
ねずみしゃうぞく
)
の
小
(
ちひ
)
さい
羽蟲
(
はむし
)
、
車體
(
しゃたい
)
は
榛
(
はしばみ
)
の
實
(
み
)
の
殼
(
から
)
、それをば
太古
(
おほむかし
)
から
妖精
(
すだま
)
の
車工
(
くるまし
)
と
定
(
きま
)
ってゐる
栗鼠
(
りす
)
と
蠐螬
(
ぢむし
)
とが
製
(
つく
)
りをった。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
まいまいつむりの
脆
(
もろ
)
い
殼
(
から
)
の
邊
(
あたり
)
へ
メランコリア
(旧字旧仮名)
/
三富朽葉
(著)
爆實
(
はぜみ
)
の
殼
(
から
)
に。——今ははた
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
くぐもる
殼
(
から
)
は
生
(
お
)
ひかはり
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
今
(
いま
)
まで
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んだり、それを
保存
(
ほぞん
)
するには
椰子
(
やし
)
の
實
(
み
)
の
殼
(
から
)
のようなものとか、
貝類
(
かひるい
)
の
殼
(
から
)
とかを
使
(
つか
)
ふことの
他
(
ほか
)
はなかつたのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
「それが親分、唯の行方不知とはワケが違ひますよ。何しろ内から戸締りをしたまんま、床が
藻拔
(
もぬ
)
けの
殼
(
から
)
で、寢んでゐた筈の娘が煙のやうに——斯う」
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
初秋
(
しよしう
)
の
風
(
かぜ
)
が
吊放
(
つりはな
)
しの
蚊帳
(
かや
)
の
裾
(
すそ
)
をさら/\と
吹
(
ふ
)
いて、
疾
(
とう
)
から
玉蜀黍
(
たうもろこし
)
が
竈
(
かまど
)
の
灰
(
はひ
)
の
中
(
なか
)
でぱり/\と
威勢
(
ゐせい
)
よく
燃
(
も
)
える
麥藁
(
むぎわら
)
の
火
(
ひ
)
に
燒
(
や
)
かれて、
其
(
そ
)
の
殼
(
から
)
がそつちにもこつちにも
捨
(
す
)
てられる。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
おあとから
行
(
ゆき
)
まする、
戀
(
こひ
)
しき
君
(
きみ
)
、さる
詞
(
ことば
)
をば
次第
(
しだい
)
なく
並
(
なら
)
べて、
身
(
み
)
は
此處
(
こゝ
)
に
心
(
こゝろ
)
はもぬけの
殼
(
から
)
になりたれば、
人
(
ひと
)
の
言
(
い
)
へるは
聞分
(
きゝわ
)
くるよしも
無
(
な
)
く、
樂
(
たの
)
しげに
笑
(
わら
)
ふは
無心
(
むしん
)
の
昔
(
むかし
)
を
夢
(
ゆめ
)
みてなるべく
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
こやつが
住
(
す
)
むべきモンタギューが
腰
(
こし
)
なる
宿
(
やど
)
は
裳脱
(
もぬけ
)
の
殼
(
から
)
で、
無慚
(
むざん
)
や、
愛女
(
むすめ
)
の
胸
(
むね
)
が
鞘
(
さや
)
!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
されば
水筋
(
みづすぢ
)
の
緩
(
ゆる
)
むあたり、
水仙
(
すゐせん
)
の
葉
(
は
)
寒
(
さむ
)
く、
花
(
はな
)
暖
(
あたゝか
)
に
薫
(
かを
)
りしか。
刈
(
かり
)
あとの
粟畑
(
あはばたけ
)
に
山鳥
(
やまどり
)
の
姿
(
すがた
)
あらはに、
引棄
(
ひきす
)
てし
豆
(
まめ
)
の
殼
(
から
)
さら/\と
鳴
(
な
)
るを
見
(
み
)
れば、
一抹
(
いちまつ
)
の
紅塵
(
こうぢん
)
、
手鞠
(
てまり
)
に
似
(
に
)
て、
輕
(
かろ
)
く
巷
(
ちまた
)
の
上
(
うへ
)
に
飛
(
と
)
べり。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
牡蠣
(
かき
)
の
殼
(
から
)
なる牡蠣の身の
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
榛實
(
はしばみ
)
の
殼
(
から
)
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
極刑中の極刑を以つて
戒
(
いま
)
しめられるところに、無智なるが故の爲政者の恐怖と、封建性の
殼
(
から
)
を守り拔かうとする見かけだけの嚴重さがあつたわけです。
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
即
(
すなは
)
ち
人
(
ひと
)
と
家
(
いへ
)
とは、
榮
(
さか
)
えるので、
恁
(
かゝ
)
る
景色
(
けしき
)
の
俤
(
おもかげ
)
がなくならうとする、
其
(
そ
)
の
末路
(
まつろ
)
を
示
(
しめ
)
して、
滅亡
(
めつばう
)
の
兆
(
てう
)
を
表
(
あら
)
はすので、
詮
(
せん
)
ずるに、
蛇
(
へび
)
は
進
(
すゝ
)
んで
衣
(
ころも
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ、
蝉
(
せみ
)
は
榮
(
さか
)
えて
殼
(
から
)
を
棄
(
す
)
てる、
人
(
ひと
)
と
家
(
いへ
)
とが、
皆
(
みな
)
他
(
た
)
の
光榮
(
くわうえい
)
あり
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
貝の
殼
(
から
)
なる
片葉
(
かたは
)
もて
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
唐紙を押し倒すやうに飛込んで行くと、お糸の床は
藻拔
(
もぬ
)
けの
殼
(
から
)
で、その側に女中のお千代が、あまりの事に尻餅を突いたなり、ろくに口もきけません。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
殼
(
から
)
の
双葉
(
もろは
)
に
晶玉
(
しやうぎよく
)
を
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
用人川前市助は、その高慢な
殼
(
から
)
をかなぐり捨ててゝ、疊の上に兩手を落すのです。千本金之丞も、それに誘はれて、膝に置いた手を、不器用らしく滑らせました。
銭形平次捕物控:204 美女罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それが、翌る朝見ると床は敷いてあつたが、お姉樣は
藻拔
(
もぬ
)
けの
殼
(
から
)
であつたと言ふんでせう。——床の中で聲を掛けたとすると、その後で着換をして脱出したわけですね」
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「でも、あの娘は、こちとらには喰ひつけませんよ。用心深く
殼
(
から
)
の中へ入つて居るやうで」
銭形平次捕物控:300 系図の刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
堅い
殼
(
から
)
の中に閉ぢ籠つてしまつたといふ心持です。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
殼
部首:⽎
12画
“殼”を含む語句
枳殼
貝殼
麻殼
吹殼
蠣殼町
枳殼垣
紅殼
灰殼
脱殼
出殼
地殼
殼枳寺
吸殼
躯殼
貝殼灰
貝殼器
讀殼
死殼
蝉殼
殼蕎麥
...