トップ
>
有
>
も
ふりがな文庫
“
有
(
も
)” の例文
優しみと若やかな感じとは芸術本来が
有
(
も
)
つべき姿である。これを文芸について云えば、色彩描写たると平面描写たるとは問題でない。
若き姿の文芸
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
かかる世界において個物が客観界において自己を
有
(
も
)
つ、即ち物において自己を有つということが我々が財産を有つということである。
絶対矛盾的自己同一
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
これが年收五萬乃至七萬に上るといふ(椰子の密生した島を
有
(
も
)
つてゐるといふだけで、コプラ採取による收入が年にその位あるのだ)
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
種々
(
いろ/\
)
なる感想が自分の胸に
潮
(
うしほ
)
のやうに集つて来て、其山中の村が何だか自分と深い宿縁を
有
(
も
)
つて居るやうな気が
為
(
し
)
て、何うも
為
(
な
)
らぬ。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
十三絃
(
じゅうさんげん
)
を南部の
菖蒲形
(
しょうぶがた
)
に張って、
象牙
(
ぞうげ
)
に置いた
蒔絵
(
まきえ
)
の
舌
(
した
)
を
気高
(
けだか
)
しと思う
数奇
(
すき
)
も
有
(
も
)
たぬ。宗近君はただ漫然と
聴
(
き
)
いているばかりである。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
ここの品物でとりわけ不思議なのは木工具でありまして、全く他の日本のものと類を異にし、大変朝鮮のものに近い性質を
有
(
も
)
ちます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
彼
(
かれ
)
は
憎惡
(
ぞうを
)
と
嫉妬
(
しつと
)
とを
村落
(
むら
)
の
誰
(
たれ
)
からも
買
(
か
)
はなかつた。
憎惡
(
ぞうを
)
も
嫉妬
(
しつと
)
もない
其處
(
そこ
)
に
故意
(
わざ
)
と
惡評
(
あくひやう
)
を
生
(
う
)
み
出
(
だ
)
す
程
(
ほど
)
百姓
(
ひやくしやう
)
は
邪心
(
じやしん
)
を
有
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
死のうとしている自分の姿が、一度心の中にはいって来ると、どうしても死にきれない、人間はこういう宿命を
有
(
も
)
っているのだろうか。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
イヱスの奥義は幼児の如くになることにあり。イヱスにありて
福
(
さいはひ
)
なるものは、
有
(
も
)
つところ多きものより、有つところ少なきものにあり。
実行的道徳
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
いくら僕の喋ったことに誘惑されたのだからって、あんな奴に同情してやるほど、安価なセンチメンタリズムを僕は
有
(
も
)
っていないよ
偽悪病患者
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
首里にいた時分から昆虫の採集に趣味を
有
(
も
)
つようになり、昆虫のことを書いた本を愛読して、いつも蝶々ばかり追いまわしていた。
私の子供時分
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
彼は私にとりて一の実在であり、一の人格であり、その性情は、私が地上で接触する人間と同様に、顕著なる一つの輪廓を
有
(
も
)
っていた。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
此処に眉間に疵を
有
(
も
)
ってる男があるとする。何だかいやだ、気に喰わないような心持がする。これは
浅間
(
あさま
)
しいようだが実際である。
イエスキリストの友誼
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
母に似て美しく生れた上に、養父母に非常に愛せられ、軈てあの巨万の富を受け継いで男爵夫人となる輝かしい前途を
有
(
も
)
つ身なのです。
消えた霊媒女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
満足せる少数の牛と、最新式耕作機具と、健康な食慾と文芸物の家庭図書館——おもに史劇全集——とを
有
(
も
)
つ、由緒ある小農の一家族。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
頭の蛇は、わが身に
有
(
も
)
った毒のために十分眠ることが出来ないのでしょうか、メヅサの額の上で、始終からだをよじりつづけています。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
平生
(
へいぜい
)
は一
本
(
ぽん
)
きり
帶
(
さ
)
してゐないけれども、二
本帶
(
ほんさ
)
して
歩
(
ある
)
く
資格
(
しかく
)
を
有
(
も
)
つてゐて、
與力
(
よりき
)
や
京武士
(
みやこぶし
)
の
後
(
あと
)
へ
廻
(
まは
)
らなくてもいいだけの
地位
(
ちゐ
)
になつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「往きて汝の
有
(
も
)
てる物をことごとく売りて、貧しき者に施せ。さらば
財宝
(
たから
)
を天に得む」「富めるものの神の国に入るはいかに
難
(
かた
)
いかな」
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
彼は既に読みたいと思うかずかずの書籍を
有
(
も
)
っていたが、
覚束
(
おぼつか
)
ない彼の語学の知識では多くはまだ書架の飾り物であるに過ぎなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
されどいへ、汝はこれを己が財布の中に
有
(
も
)
つや。我即ち。然り、そを
鑄
(
い
)
し
樣
(
さま
)
に何の疑はしき事もなきまで光りて
圓
(
まる
)
し。 八五—八七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
頭の悪いものは、分りやすい事でも分りにくい代りにまたほんとうに分らない事を分らせ得る可能性をも
有
(
も
)
っているようである。
断片(Ⅱ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
限のない未来を
有
(
も
)
っている我々の国民にとっては、過去の千四、五百年は、個人に比較していうと、極めて短い幼童期であろう。
陳言套語
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
私の玩具道楽、しかも我楽多玩具に趣味を
有
(
も
)
っているのは、少年時代の昔を懐しむ心、それがどうも根本になっているようです。
我楽多玩具
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
理由はどうあろうとも、旗色の悪いほうに味方せずんばやまぬ性癖を私は
有
(
も
)
っている。私は或る日、三田君に向ってこう言った。
散華
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その顏つきも、どこか脂肪じみて處女らしい垢ぬけしないあの晩にくらべると、一枚ばかり皮膚をヒン剥いたやうな美しさを
有
(
も
)
つてゐた。
蒼白き巣窟
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
露ほどの愛情を
有
(
も
)
たぬ
女性
(
をんな
)
の生涯、その女性を中心とした一家の運命、見る聞くに如何ばかり吾等若い者の胸を凍らしめて居るであらう。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
今云った国際問題等に興味を
有
(
も
)
つに至って
浦塩
(
うらじお
)
から満洲に
入
(
い
)
り、更に蒙古に
入
(
い
)
ろうとして、
暫時
(
しばし
)
警務学堂に奉職していた事なんぞがある。
予が半生の懺悔
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
汝
(
ンガ
)
の
夫
(
オド
)
ア
何歳
(
ナンボ
)
だバ。
吾
(
ワイ
)
のナ
今歳
(
コドシ
)
二十六だネ。
何
(
なに
)
、
笑
(
わら
)
ふんダバ。
汝
(
ンガ
)
の
阿母
(
オガ
)
の
姉
(
あね
)
ダテ
二十歳
(
ハダヂ
)
も
下
(
した
)
の
男
(
ヲドゴ
)
有
(
も
)
たけアせ。
吾
(
ワ
)
だけアそれ
程
(
ほど
)
違
(
チガ
)
はねエネ。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
商船会社の志望者といつても、もとは大抵
胡瓜
(
きうり
)
や
馬鈴薯
(
じやがいも
)
と同じやうに
陸
(
をか
)
の上で生れたので、それ/″\自分の故郷といふのを
有
(
も
)
つてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
フイイレンチエ
随一
(
ずゐいち
)
の大寺院ドオモは十四世紀以来数百年を費して大成し、
伊太利
(
イタリイ
)
ゴシツク建築中最も著しい特色を
有
(
も
)
つて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
しかしながら、もしもコンミニストが、文学を認めたとしたならば、文学の
有
(
も
)
つ此の科学のごとき冷静な特質をも認めねばならぬであろう。
新感覚派とコンミニズム文学
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
定の父親は
赭
(
あか
)
ら顔の酒食ひで陸に暮してゐた頃から定職がなかつたと同様、川に追はれて来てもやはり彼の船は定つた航路を
有
(
も
)
たなかつた。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
我々は今迄議論以外
若
(
もし
)
くは以上の事として取扱はれてゐた「趣味」といふものに対して、もつと厳粛な態度を
有
(
も
)
たねばならぬ。
弓町より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
後から考えると、私はこの時から、この画家の人柄やその文章の真実性などに対し、
漸
(
ようや
)
く疑惑を
有
(
も
)
ち始めたもののようである。
御萩と七種粥
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
この山とこの池とは二重に反対した暗示を
有
(
も
)
った
容貌
(
かたち
)
を上下に向け合っている、春の雪が解けて、池に小波立つときだけ
艶
(
あで
)
やかに
莞爾
(
にっこり
)
する
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
しかるに君が既に千金を
捐
(
す
)
てて贋品を
有
(
も
)
っているということになると、君は知らなくても自分は心に
愧
(
は
)
じぬという訳にはゆかぬではないか。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「多勢子供も
有
(
も
)
ってみたが、こんな
意地張
(
いじっぱり
)
は一人もありゃしない」母親はお島を
捻
(
ひね
)
りもつぶしたいような調子で父親と争った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
このウバ桜は
怡顔斎
(
いがんさい
)
の『
桜品
(
おうひん
)
』では婆彼岸と別のものになっていれど、私はこれは多分同種であろうと思う理由を
有
(
も
)
っている。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
譬
(
たと
)
へば、
吝嗇者
(
りんしょくもの
)
のやうに
貨
(
たから
)
は
夥
(
おびたゞ
)
しう
有
(
も
)
ってをっても、
正
(
たゞ
)
しう
用
(
もち
)
ふることを
知
(
し
)
らぬ、
姿
(
すがた
)
をも、
戀
(
こひ
)
をも、
分別
(
ふんべつ
)
をも、
其身
(
そのみ
)
の
盛飾
(
かざり
)
となるやうには。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
されば彼の友とするところは、それらの一つを以て優に彼以上に価する人士にあらざるは無し。
実
(
げ
)
に彼は美き友を
有
(
も
)
てるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
あなたはたしかに
特別
(
とくべつ
)
の
御用
(
ごよう
)
を
有
(
も
)
って
生
(
うま
)
れた
人
(
ひと
)
に
相違
(
そうい
)
ない……。
私
(
わたくし
)
の
指導役
(
しどうやく
)
の
神
(
かみ
)
さまもそんなことを
言
(
い
)
って
居
(
お
)
られました……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
夫婦して
一
(
ひと
)
つコップから好きな酒を飲み合い、
暫時
(
しばし
)
も離れぬので、一名
鴛鴦
(
おし
)
の称がある。夫婦は農家の出だが、別に
耕
(
たがや
)
す可き田畑も
有
(
も
)
たぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
有
(
も
)
っており、ある時にはある特定物の効用を言い表わし、またある時にはその物の所有が
齎
(
もた
)
らす所の他の財貨を購買する力を
経済学及び課税の諸原理
(新字新仮名)
/
デイヴィッド・リカード
(著)
事
(
こと
)
に
依
(
よ
)
つたら、
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
たちの
有
(
も
)
つてゐる
主
(
しゆ
)
の
御血汐
(
おんちしほ
)
で、この
身
(
み
)
が
癒
(
なほ
)
るかも
知
(
し
)
れぬ。
血
(
ち
)
を
思
(
おも
)
ふことも
度々
(
たびたび
)
だ。この
歯
(
は
)
なら
咬付
(
かみつ
)
ける。
真白
(
まつしろ
)
の
歯
(
は
)
だ。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
といって、のこのこその店へ入り込んで、天下の重大事である
如
(
ごと
)
く、誤記を指摘訂正してやる勇気をも
有
(
も
)
たぬ性分でもある。
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
わが
日本民族
(
にほんみんぞく
)
は
靈智
(
れいち
)
靈能
(
れいのう
)
を
有
(
も
)
つてゐる。
炳乎
(
へいこ
)
たる
獨特
(
どくとく
)
の
文化
(
ぶんくわ
)
を
有
(
いう
)
してゐる。
素
(
もと
)
より
拓拔氏
(
たくばつし
)
や
印度人
(
いんどじん
)
やトルコ
人
(
じん
)
の
比
(
ひ
)
ではない。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
H21は、その
有
(
も
)
てるすべてを彼らに与えて、彼らから聴き出した知識を
逐一
(
ちくいち
)
もっとも敏速に
通牒
(
つうちょう
)
せよ——そして、一つの注意が付加された。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
うっとうしいと言う言葉は、用い処はほぼもっさりと似ているが、も少し
陰鬱
(
いんうつ
)
であり深刻な味を
有
(
も
)
ち多少のうるささを持つ。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
かかる保証を
有
(
も
)
ちながら、私が所有地解放を断行しなかったのは、私としてはなはだ怠慢であったので、諸君に対しことさら面目ない次第です。
小作人への告別
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
自分が呪つた権力は現在の政治が
有
(
も
)
つてゐるそれでは勿論ない。理想の上の妨害物たる権力そのものを指すのであつた。
計画
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
“有”の意味
《名詞》
(あり)存在すること。主に表やリストの中で 無 と対比して用いる。
《動詞》
(あ-り)ある。もつ。
(出典:Wiktionary)
“有”の解説
有(う、sa: bhava)とは、仏教用語で衆生としての生存、存在状態を表すことばである。
(出典:Wikipedia)
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
“有”を含む語句
所有
難有
有合
有難
有無
有名
有之候
仰有
有様
有之
中有
有情
有所
未曾有
有明
希有
有為
有仰
有司
有平糖
...