和尚をしやう)” の例文
忘れてゐて、あわてて持つて行くと、もうひつには米は一粒も残つてゐない。あの和尚をしやうめ、一日二日米を食はずにゐたと見える。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
和尚をしやうさん、こゝにある団扇うちは長川谷町はせがはちやう待合まちあひ梅廼屋うめのや団扇うちはですか」「左様さやうです」「梅廼屋うめのや此方こちら檀家だんかでございますか」
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
わたし一層いつそ藥研やげん生肝いきぎもをおろされようとも、お醫師いしや母屋おもやはうまうかとおもひました。和尚をしやう可厭いやらしさに。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
家搜索やさがし致さんが此儀は御承知なりやと云ひければ和尚をしやう微笑ほゝゑみ夫は御勝手次第に家搜やさがしでも何でも致されよと一かう平氣へいきなり掃部然らばとて本堂を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きつねひました。きつね調戯からかふつもりでわざと桃林和尚たうりんをしやう機嫌きげんるやうにしましたが、かしこ和尚をしやうさんはなか/\そのりませんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そして渠は、子供の時、あの鯉を釣つて、寺の和尚をしやうと自分の父とにひどく叱られたことがあるのを思ひ出してゐた。
十二月十二日に貧しい百姓の菊次さんは、雲華寺うんげじ和尚をしやうさんが米初穂こめはつほをあつめて廻るのにお供していきました。
百姓の足、坊さんの足 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
庫裡の奧には、住持の春嚴和尚をしやうと小坊主の岩良が、鼠に引き殘された、坊主びなのやうに淋しく控へてをりました。六十過ぎの痩せた老僧と、十四五の小坊主です。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
まむしが居ますよ。そらこの間のやうに、鼻の頭をまれて、のどれ上つてお寺の和尚をしやうさんのやうにこんな大きな顔になつて来ると、ほんとうに心配ぢやないか。いいかい。
愚助ぐすけは忘れん坊でありました。何を教へましても、ぐ忘れてしまふので、お父様は愚助を馬鹿ばかだと思ひ込んで、お寺の和尚をしやうさまに相談にまゐりました。すると和尚さまは
愚助大和尚 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
田舎ゐなかの寺は呑気のんきでいいな。」と留守の和尚をしやうの部屋へ座りながら云つた。
曠日 (新字旧仮名) / 佐佐木茂索(著)
和尚をしやう、親切に幾日でもゐろといふ。
いちやつけ和尚をしやう
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うら田圃たんぼへ出て見るとおくはうの物置きの中に素裸体すつぱだかとしころ三十二三になるをとこ棒縛ぼうしばりになつてるのを見て、和尚をしやうおどろき、なか飛込とびこんでて、僧
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
申立なば定めし其和尚をしやうをも呼出よびいだし九助が寺へ參りし刻限こくげん歸宅きたく時刻じこく等も取たゞしありしならんと申さるゝに藤八されば其儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
和尚をしやうさん、和尚をしやうさん、こちらは大層たいそういお住居すまゐですね。このむら澤山たくさんうちがありましても、こちらにかなふところはありません。村中むらぢうだい一の建物たてものです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
和尚をしやうが、わたしまへこしかゞめて、いたあかざ頤杖あごづゑにして、しろひげおよがせおよがせ、くちかないで、身體中からだぢうをじろ/\と覗込のぞきこむではござんせんか。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それでも、此間、雨のふるさびしい日に、うした拍子か、大方おほかた和尚をしやうさんも淋しかつたんだんべい。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
庫裏くりから訪づれると、住職の大けん和尚をしやうは老齡の上、この事件で本堂再建の望みもフイになり、落膽して床に就いて居るといふので、執事しつじ鐵了てつれうといふ四十年輩の僧侶が逢つてくれました。
銭形平次捕物控:274 贋金 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
お寺の和尚をしやうさんに怒鳴りつけられたときも、蔵の中へ閉ぢこめられるときも泣かなかつた栄蔵は、今どういふわけで泣けるのか解らなかつたが、ほほを伝ふ涙をとめることが出来なかつた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
なし已に其議も調のひければ急に本堂ほんだうわきなる座敷に上段をしつらへ前にみすおろし赤川大膳藤井左京の兩人は繼上下つぎかみしもにて其前にひかへ傍らに天忠和尚をしやう紫の衣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いえなにもありませぬよ、何卒どうぞみなさん此方こちらへおいでなすつてナニ本堂ほんだうたばこんだつてかまやアしませぬ。其中そのうち和尚をしやうが出てる。和「ハイうも御愁傷ごしうしやうな事で。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
とうさんがはじめてあがつた小學校せうがくかうも、この和尚をしやうさんのむおてらちかくにありました。小學校せうがくかう生徒せいときつねがついたとつて、一大騷おほさわぎをしたことがありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
始めは一里ほど隔つた法類のT寺がそれを監督したが、そこの和尚をしやうも二三年して死んでしまつたので、あとは村の世話人が留守居などを置いて間に合せて来た。寺は唯荒るゝに任せた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
あにじやに見着みつかつたうへからは安穩あんのんむらにはられぬ、とおもふと、てら和尚をしやうまで一所いつしよつて、いまにも兩親りやうしんをはじめとして、ドヤ/\押寄おしよせてさうにおもはれ、さすがに小助こすけあわたゞしく
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
住職の春嚴和尚をしやうが、子供のやうに喜んだのも無理のないことです。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
和尚をしやうさんが旅に出られてから毎晩ですね。」
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
きみ、いてたよ。——花袋くわたいふのは上州じやうしう或大寺あるおほでら和尚をしやうなんだ、花袋和尚くわたいをしやう
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すると和尚をしやうさんの手許てもと長谷川町はせがはちやう待合まちあひ梅廼屋うめのや団扇うちはが二ほんりますから、はてな此寺このてら梅廼屋うめのや団扇うちはのあるのはういふわけか、こと塩原しほばらはかにも梅廼屋うめのや塔婆たふばが立つてりましたから
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
學院がくゐんつかはして子弟していともなはしむれば、なるがゆゑ同窓どうさうはづかしめらる。さら街西がいせい僧院そうゐんりてひと心靜こゝろしづかにしよましむるに、ることわづかじゆんなるに、和尚をしやうのために狂暴きやうばううつたへらる。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
顔色かほいろあをざめたすみ法衣ころもの、がんばり入道にふだうかげうすさも不気味ぶきみ和尚をしやうなまづでもけたか、とおもふたが、——く/\の次第しだいぢや、御出家ごしゆつけ、……大方おほかた亡霊ばうれい廻向えかうたのむであらうとおもふで、功徳くどく
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたし檀那寺だんなでら和尚をしやうの、それも隱居いんきよしたのかとおもひました。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
までおほきくもないてらで、和尚をしやうばあさんと二人ふたりむ。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)