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こくげん
ふりがな文庫
“
刻限
(
こくげん
)” の例文
エヘン! と職分、ただそれにだけ忠実な中西
弥惣兵衛
(
やそべえ
)
は、再三
咳
(
せき
)
ばらいをして、かれの耳へ冬の風より辛く、
刻限
(
こくげん
)
の約束をうながした。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで、その
刻限
(
こくげん
)
まで二階に隱れて待ち、茂兵衞が小用に起きた一寸の
隙
(
すき
)
に、二階から降りて、自分の部屋に戻つたのだらう。
銭形平次捕物控:176 一番札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
申立なば定めし其
和尚
(
をしやう
)
をも
呼出
(
よびいだ
)
し九助が寺へ參りし
刻限
(
こくげん
)
歸宅
(
きたく
)
の
時刻
(
じこく
)
等も取
糺
(
たゞし
)
ありしならんと申さるゝに藤八
然
(
され
)
ば其儀を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
また
室
(
へや
)
を出る事の
叶
(
かな
)
わない余は、朝から晩までほとんど仰ぎ見た試しがないのだから、こう云うのも実は
廂
(
ひさし
)
の先に余る空の
端
(
はし
)
だけを
目当
(
めあて
)
に想像した
刻限
(
こくげん
)
である。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
時
(
とき
)
は
丁度
(
ちやうど
)
四
時過
(
じす
)
ぎ。
毎
(
いつ
)
もなら
院長
(
ゐんちやう
)
は
自分
(
じぶん
)
の
室
(
へや
)
から
室
(
へや
)
へと
歩
(
ある
)
いてゐると、ダリユシカが、
麥酒
(
ビール
)
は
旦那樣
(
だんなさま
)
如何
(
いかゞ
)
ですか、と
問
(
と
)
ふ
刻限
(
こくげん
)
。
戸外
(
こぐわい
)
は
靜
(
しづか
)
に
晴渡
(
はれわた
)
つた
天氣
(
てんき
)
である。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
それへ縁側続きの隠居から年寄が来て加わるのが例になっている。昨夜もお祖父さんは
刻限
(
こくげん
)
を
違
(
たが
)
えず
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
あとで
聞
(
き
)
くと、
此
(
こ
)
の
夜汽車
(
よぎしや
)
が、
箱根
(
はこね
)
の
隧道
(
トンネル
)
を
潛
(
くゞ
)
つて
鐵橋
(
てつけう
)
を
渡
(
わた
)
る
刻限
(
こくげん
)
には、
内
(
うち
)
に
留守
(
るす
)
をした
女中
(
ぢよちう
)
が、
女主人
(
をんなしゆじん
)
のためにお
題目
(
だいもく
)
を
稱
(
とな
)
へると
言
(
い
)
ふ
約束
(
やくそく
)
だつたのださうである。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
うら淋しいながらに、ちょうど
上
(
のぼ
)
り
下
(
くだ
)
りの旅の人があわてて宿をとる
刻限
(
こくげん
)
とて、客引きの声もかしましく、この奥州街道に沿う町にもさすがに夕ぐれはあわただしい。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
昼乳
(
ひるちち
)
をしぼる
刻限
(
こくげん
)
になった。女が
若衆
(
わかしゅう
)
をおこす。細君は
花前
(
はなまえ
)
にひととおりのさしずをしてくださいというてきた。ほかのふたりの
若
(
わか
)
いものは運動場の
乳牛
(
にゅうぎゅう
)
を入れにかかる。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「このつぎの
日曜日
(
にちようび
)
が洗礼です。
刻限
(
こくげん
)
をみはからって、いらしってください」と言いました。
死神の名づけ親(第一話)
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
真夜中
(
まよなか
)
すぎになって、いつものとおり
天子
(
てんし
)
さまがおこりをお
病
(
や
)
みになる
刻限
(
こくげん
)
になりました。
八幡太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ほんに長い旅でござんすから、
暦
(
こよみ
)
のよい日をえらむのが
肝腎
(
かんじん
)
。わたしもその
刻限
(
こくげん
)
には北を
心中浪華の春雨
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
尤も今日は、
刻限
(
こくげん
)
が
遲
(
おそ
)
いせいか、一羽も見えない。唯、
所々
(
ところどころ
)
、崩れかゝつた、さうしてその
崩
(
くづ
)
れ目に長い草のはへた
石段
(
いしだん
)
の上に、
鴉
(
からす
)
の
糞
(
くそ
)
が、點々と白くこびりついてゐるのが見える。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
賓人
(
まれびと
)
よ、
笑
(
わら
)
ひ
事
(
ごと
)
ではありませぬ、
魔
(
ま
)
の
日
(
ひ
)
魔
(
ま
)
の
刻
(
こく
)
といふのは、
一年中
(
いちねんちゆう
)
でも
一番
(
いちばん
)
に
不吉
(
ふきつ
)
な
時
(
とき
)
なのです、
他
(
ほか
)
の
日
(
ひ
)
の
澤山
(
たくさん
)
あるのに、
此
(
この
)
日
(
ひ
)
、
此
(
この
)
刻限
(
こくげん
)
に
御出帆
(
ごしゆつぱん
)
になるといふのは
何
(
な
)
んの
因果
(
いんぐわ
)
でせう
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
およそ竜燈といふものおほかたは春夏秋なり。諸国にある㕝諸書にしるしたるを見るに、いづれもおなじさまにて海よりも
出
(
いで
)
、山よりもくだる。毎年其日其
刻限
(
こくげん
)
、定りある事甚
奇異
(
きい
)
なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
夜
(
よる
)
の
中
(
うち
)
でも、いちばんしんとした、
寒
(
さむ
)
い
刻限
(
こくげん
)
でありました。
ある夜の星たちの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「馬鹿なことを言へ。——ところで、もう赤いお神籤を取りに來る
刻限
(
こくげん
)
だらう。これを元の通り格子へ結んで置いてくれ」
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、其処では一度別れて、約束の
刻限
(
こくげん
)
に、数右衛門が通用門から出て行くと、庄左衛門は先に外へ出て居て、灰色の
宵空
(
よいぞら
)
をながめながら立っていた。
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時
(
とき
)
は
丁度
(
ちょうど
)
四
時過
(
じす
)
ぎ。いつもなら
院長
(
いんちょう
)
は
自分
(
じぶん
)
の
室
(
へや
)
から
室
(
へや
)
へと
歩
(
ある
)
いていると、ダリュシカが、
麦酒
(
ビール
)
は
旦那様
(
だんなさま
)
如何
(
いかが
)
ですか、と
問
(
と
)
う
刻限
(
こくげん
)
。
戸外
(
こがい
)
は
静
(
しずか
)
に
晴渡
(
はれわた
)
った
天気
(
てんき
)
である。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
刻限
(
こくげん
)
といひ、みゝづくの
窓
(
まど
)
をのぞくのから、
飛移
(
とびうつ
)
るあとをためて、
天井
(
てんじやう
)
の
隅
(
すみ
)
へトン、トコ、トン、トコ、トン——
三晩
(
みばん
)
めは、
娘
(
むすめ
)
も
家内
(
かない
)
も
三人
(
さんにん
)
起
(
お
)
き
直
(
なほ
)
つて
聞
(
き
)
いたのである。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
付
(
つ
)
て飛石に
押
(
おし
)
たるものならんか右二ヶ條の
趣
(
おもむ
)
き
而已
(
のみ
)
にても心付べき
筈
(
はず
)
なり
是
(
これ
)
調
(
しら
)
べし人の
過
(
あやま
)
りにして
勿々
(
なか/\
)
罪は斷し
難
(
がた
)
し且又其夜傳吉が參りし
占
(
うらな
)
ひ者を呼で傳吉の歸りし
刻限
(
こくげん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
近頃
(
ちかごろ
)
御米
(
およね
)
は
時々
(
とき/″\
)
夜明前
(
よあけまへ
)
の
車
(
くるま
)
の
音
(
おと
)
を
聞
(
き
)
いて
驚
(
おど
)
ろかされる
事
(
こと
)
があつた。さうして
夫
(
それ
)
を
思
(
おも
)
ひ
合
(
あ
)
はせると、
何時
(
いつ
)
も
似寄
(
によ
)
つた
刻限
(
こくげん
)
なので、
必竟
(
ひつきやう
)
は
毎朝
(
まいあさ
)
同
(
おな
)
じ
車
(
くるま
)
が
同
(
おな
)
じ
所
(
ところ
)
を
通
(
とほ
)
るのだらうと
推測
(
すゐそく
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
およそ竜燈といふものおほかたは春夏秋なり。諸国にある㕝諸書にしるしたるを見るに、いづれもおなじさまにて海よりも
出
(
いで
)
、山よりもくだる。毎年其日其
刻限
(
こくげん
)
、定りある事甚
奇異
(
きい
)
なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
もっとも今日は、
刻限
(
こくげん
)
が遅いせいか、一羽も見えない。ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草のはえた石段の上に、鴉の
糞
(
ふん
)
が、点々と白くこびりついているのが見える。
羅生門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何
(
な
)
んと
恐
(
おそ
)
ろしいでは
御座
(
ござ
)
いませんか、
魔
(
ま
)
の
刻限
(
こくげん
)
ですもの。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
越
(
こし
)
申上
置
(
おか
)
ざれば
叶
(
かな
)
ふ可らずと是も明朝
明六時
(
あけむつ
)
のお太鼓に登城の用意を申付られたり
既
(
すで
)
にして
翌日
(
よくじつ
)
御城
(
おんしろ
)
のお太鼓
六
(
むつ
)
の
刻限
(
こくげん
)
鼕々
(
とう/\
)
と
鳴響
(
なりひゞ
)
けば松平伊豆守殿には登城門よりハヤ
駕籠
(
かご
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
大沼
(
おほぬま
)
の
刻限
(
こくげん
)
も、
村里
(
むらざと
)
と
変
(
かは
)
り
無
(
な
)
う、やがて
丑満
(
うしみつ
)
と
思
(
おも
)
ふ、
昨夜
(
ゆふべ
)
の
頃
(
ころ
)
、ソレ
此処
(
こゝ
)
で、と
網
(
あみ
)
を
取
(
と
)
つたが、
其
(
そ
)
の
晩
(
ばん
)
は
上
(
うへ
)
へ
引揚
(
ひきあ
)
げる
迄
(
まで
)
もなく、
足代
(
あじろ
)
の
上
(
うへ
)
から
水
(
みづ
)
を
覗
(
のぞ
)
くと
歴然
(
あり/\
)
と
又
(
また
)
顔
(
かほ
)
が
映
(
うつ
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
もう曉方近く風は薄寒くなりますが、三輪の萬七と約束した
刻限
(
こくげん
)
は次第に近づきます。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
男は毎晩、
磯山
(
いそやま
)
を越えて、娘の家の近くまで
通
(
かよ
)
って来る。すると娘も、
刻限
(
こくげん
)
を見計らって、そっと家をぬけ出して来る。が、娘の方は、母親の手前をかねるので、ややもすると、遅れやすい。
貉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「気をつけて行くことだぜ、物騒な
刻限
(
こくげん
)
だ」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
譬
(
たと
)
へば
幻
(
まぼろし
)
の
女
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
に
憧
(
あこ
)
がるゝのは、
老
(
おひ
)
の
身
(
み
)
に
取
(
と
)
り、
極楽
(
ごくらく
)
を
望
(
のぞ
)
むと
同
(
おな
)
じと
為
(
す
)
る。けれども
其
(
そ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
やうには、……
沼
(
ぬま
)
へ
出掛
(
でか
)
けて、
四
(
よ
)
つ
手場
(
でば
)
に
蹲
(
つくば
)
つて、
或
(
ある
)
刻限
(
こくげん
)
まで
待
(
ま
)
たねばならぬ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「泥棒の入つた日と
刻限
(
こくげん
)
を念入りに聽くんだ——それから入つた手口だ」
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
こう云う具合でその翌日になると、益々新蔵は気が気でなくなって、泰さんの電話がかかるのを今か今かと待っていましたが、ようやく昨日と同じ
刻限
(
こくげん
)
になって、約束通り電話口へ呼び出されました。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
勅使出迎えの
刻限
(
こくげん
)
が迫った。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お町が殺された
刻限
(
こくげん
)
に、お前さんは何處に居なすつたか訊きたいんだ」
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
刻限
(
こくげん
)
、
到限
(
こくげん
)
。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「母親が刺された
刻限
(
こくげん
)
に、町内の風呂に居なかつたんだらう」
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
刻限
(
こくげん
)
は?」
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“刻限”の意味
《名詞》
定められた時刻。定刻。
時刻。
(出典:Wiktionary)
刻
常用漢字
小6
部首:⼑
8画
限
常用漢字
小5
部首:⾩
9画
“刻限”で始まる語句
刻限外