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列
>
なら
ふりがな文庫
“
列
(
なら
)” の例文
「若けえ男というのは駿河屋の養子の信次郎だ。年頃から人相がそれに相違ねえ。女は
列
(
なら
)
び茶屋のお米だ。もう一人の男が判らねえ」
半七捕物帳:57 幽霊の観世物
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一階南側に
列
(
なら
)
んでいる窓が恰も巨大な
閘門
(
こうもん
)
のように
夥
(
おびただ
)
しい濁流を奔出させているのであったが、あの小学校が
彼処
(
あそこ
)
に見えるとすると
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
生徒らは先生の方を向いて
列
(
なら
)
んで坐り、一人一人の前には見台が置いてある。そしてその上には、先生のと同じ書物が開かれてある。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
二つ三つ穴の明いた
古薄縁
(
ふるうすべり
)
を前へ
拡
(
ひろ
)
げましたが、
代物
(
しろもの
)
を
列
(
なら
)
べるのを見合せ、葛籠に腰をかけて煙草を呑みながら空を眺めて居ります。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
白樺
(
しらかば
)
の皮を
壁
(
かべ
)
にした殖民地式の小屋だが、内は可なり
濶
(
ひろ
)
くて、
畳
(
たたみ
)
を敷き、奥に
箪笥
(
たんす
)
柳行李
(
やなぎごうり
)
など
列
(
なら
)
べてある。
妻君
(
かみさん
)
も
善
(
よ
)
い顔をして居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
門から玄関までの間に敷き詰めた
御影石
(
みかげいし
)
の上には、一面の打水がしてあって、門の内外には人力車がもうきっしり置き
列
(
なら
)
べてある。
余興
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
桟橋
(
さんばし
)
に
出
(
で
)
て
見
(
み
)
ると、がらんとした
大桟橋
(
だいさんばし
)
の
上屋
(
うはや
)
の
下
(
した
)
に、三つ四つ
卓子
(
テーブル
)
を
列
(
なら
)
べて、
税関
(
ぜいくわん
)
の
役人
(
やくにん
)
が
蝋燭
(
らふそく
)
の
光
(
ひかり
)
で
手荷物
(
てにもつ
)
の
検査
(
けんさ
)
をして
居
(
ゐ
)
る。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
蒙求
(
もうぎゅう
)
風に類似の逸話を
対聯
(
ついれん
)
したので、或る日の逸話に鴎外と私と二人を
列
(
なら
)
べて、堅忍不抜精力人に絶すと同じ文句で並称した後に
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
その漆の木のところに行くと、童子はみんなに
列
(
なら
)
ぶやうに言附けた。そして自分で漆の芽を摘み取ると芽の
摘口
(
つみぐち
)
から白い汁が出て来た。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
と夢中で
饒舌
(
しゃべ
)
る間にスープ皿は引込まされて
更
(
かわ
)
りの皿が客の前に
列
(
なら
)
び「兄さん鮎の御馳走が冷めてしまいます」とお登和嬢の注意。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
赤土が多くなると一寸もある霜柱が凍てた道の上にすくすくと立ち
列
(
なら
)
んで、蹈む草鞋の下でサクサク骨に沁みるような音をたてる。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
S学士の講演にかぎって、その内容の論旨を
列
(
なら
)
べた印刷物が皆に配布された。そこでもここでも紙を開ける音が楽しく聞えて来た。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何となれば酒、煙草、茶、とかう
列
(
なら
)
べて見るだけで、敏感な読者は、毒なくしては人生は極めて殺風景であることを感ぜらるゝであらう。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
しかし美術館が、美しい品を
列
(
なら
)
べるべき使命を帯びている限り、美的価値のことについて曖昧なのは許すべからざる怠慢だと思われます。
日本民芸館について
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
だから、通常の会話では必要と贅沢との間に快適と
列
(
なら
)
べて有用を分類するのであるが、ここではこれらの語のニュアンスを問題としない。
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
鉄管は必ずしも並行に
列
(
なら
)
んでいるわけではないので、幾つも幾つもくぐり抜けているあいだには、迷路の中に迷い込んだのも同然になる。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
民家が
軒
(
のき
)
を
列
(
なら
)
べた村などで屋敷の特色をもって呼びにくい処では、戸主の平兵衛とか源蔵とかの名前を屋敷の名にしているが
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
私の好む順序に、ケンプ・レコードを
列
(
なら
)
べてみよう。ただしこの中の『月光ソナタ』と『ワルドシュタイン・ソナタ』は甚だしく録音が悪い。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
瀬すじの優しいところに
列
(
なら
)
んだ目高が二人の話声が水面に落ちるころには、驚いて神経深く乱れた。ふたりは
殆
(
ほとん
)
ど大人のように黙り合っていた。
童話
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
控所には、級が新しくなつて
列
(
なら
)
ぶべき場所の解らなくなつた生徒が、ワヤワヤと騒いでゐた。秋野は其間を縫つて歩いて
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
最初は、続いて階下の薬物室を調べるような法水の
口吻
(
くちぶり
)
だったが、彼はにわかに予定を変えて、古式具足の
列
(
なら
)
んでいる
拱廊
(
そでろうか
)
の中に入って行った。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
床はといへば板を
列
(
なら
)
べた上に筵を敷いただけ、それで家の中へ水が這入つて来ないやうに家の周囲に溝を作へるのです。
私有農場から共産農団へ
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
その為め構内車夫等は私の家の前にいつぱい
俥
(
くるま
)
を
列
(
なら
)
べて客の寄り勝手を悪くしたり、
他所
(
よそ
)
から客を乗せて来る場合は他の宿屋へ送り込んだりした。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
「そんなにこちらの言葉を御信用がないならば、二つの鼎を
列
(
なら
)
べて御覧になったらば
如何
(
いかが
)
です」と一方はいったが、それでも一方は信疑
相半
(
あいなかば
)
して
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
表に待つてゐた三四郎が、気が付いて見ると、
店先
(
みせさき
)
の
硝子張
(
がらすばり
)
の
棚
(
たな
)
に櫛だの
花簪
(
はなかんざし
)
だのが
列
(
なら
)
べてある。三四郎は妙に思つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それはバタの油を
拵
(
こしら
)
えてラサの
釈迦牟尼如来
(
しゃかむににょらい
)
の前に
列
(
なら
)
んである黄金の燈明台に、そのバタの油を
注
(
つ
)
いで上げるのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
見世物
(
みせもの
)
には
猿芝居
(
さるしばい
)
、
山雀
(
やまがら
)
の曲芸、ろくろ首、山男、地獄極楽のからくりなどという、もうこの頃ではたんと見られないものが軒を
列
(
なら
)
べて出ていました。
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
「今年はこゝいらに
列
(
なら
)
べたいと存じますが、いかがでせう。御異存が有りませんでしたら、
何
(
ど
)
うか
御作
(
おさく
)
を一枚……」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『
品物
(
しなもの
)
ばかり
列
(
なら
)
べ
立
(
た
)
てたつて
何
(
なん
)
の
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
つか?』と
海龜
(
うみがめ
)
は
遮
(
さへぎ
)
つて、『
幾
(
いく
)
ら
云
(
い
)
つても
説明
(
せつめい
)
しないから。こんなに
錯雜紛糾
(
ごたくさ
)
したことを
聞
(
き
)
いたことがない!』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「いまそれぞれに役割を付けて申し渡す。——
楊林
(
ようりん
)
、
薛永
(
せつえい
)
、
李雲
(
りうん
)
、
楽和
(
がくわ
)
、それと
湯隆
(
とうりゅう
)
。そしてもう一名
戴宗
(
たいそう
)
も。——ずっと揃ってここへ
列
(
なら
)
んでくれい」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
パリに遊んだ人々は誰でもセーヌ左岸に
列
(
なら
)
んでいる
古本屋
(
ブキニスト
)
を決して忘れないだろう。店と云っても、家ではない。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
雨が降って外へ出られないから、
乃公達
(
おれたち
)
はお父さんの書斎で五目
列
(
なら
)
べや挾み将棋をして音なしく遊んだ。
終
(
しまい
)
に清が財産差押ごっこをしようといい出した。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
食卓
(
テーブル
)
の
對端
(
むかふ
)
には、
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
他
(
ほか
)
三名
(
さんめい
)
の
水兵
(
すいへい
)
が
行儀
(
ぎようぎ
)
よく
列
(
なら
)
び、
此方
(
こなた
)
には、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
を
中
(
なか
)
に
挿
(
はさ
)
んで、
大佐
(
たいさ
)
と
私
(
わたくし
)
とが
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
に
肩
(
かた
)
を
並
(
なら
)
べて、
頓
(
やが
)
て
晩餐
(
ばんさん
)
は
始
(
はじ
)
まつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
松倉
(
まつくら
)
の
旧時
(
むかし
)
の属官ばかりが
列
(
なら
)
んで居るだろう、罪人の方が余程エライ、オイ貴様はドウして居るのだと云うような調子で、私は側から見て
可笑
(
おか
)
しかった。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
改札口を出ると、一人の車夫を探し出して来てそれに荷物を運ばせて、停車場前に
列
(
なら
)
んでいる、汽車の待合所を兼ねた小さな
旅舎
(
はたご
)
の一つへと上って行った。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
飛石のように
列
(
なら
)
んでいるのであるからもう島影を発見しなければならぬが、相変らず
茫漠
(
ぼうばく
)
たる水また水である。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
一応こちらの事情を聞いた上で、ガラス戸棚からさまざまな器具を取りおろして、それを卓上に
列
(
なら
)
べて、それらの器具の使用法について詳しい説明をする。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
忙
(
あわ
)
てて紙で押えて涙を拭き取り、自分の写真と
列
(
なら
)
べて見て、また泣いた上で元のように紙に包んで傍に置いた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
かくも見事な崇高な古仏がたくさん
列
(
なら
)
んでいて、しかも人間はいつまでも救われぬ存在としてつづいてきた。どちらを向いても仏像の山、万巻の経典である。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
駅
(
えき
)
のどの家ももう戸を
閉
(
し
)
めてしまって、
一面
(
いちめん
)
の星の下に、
棟々
(
むねむね
)
が黒く
列
(
なら
)
びました。その時童子はふと水の
流
(
なが
)
れる音を聞かれました。そしてしばらく考えてから
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その
時
(
とき
)
、
空
(
そら
)
から
雲
(
くも
)
に
乘
(
の
)
つた
人々
(
ひと/″\
)
が
降
(
お
)
りて
來
(
き
)
て、
地面
(
じめん
)
から
五尺
(
ごしやく
)
ばかりの
空中
(
くうちゆう
)
に、ずらりと
立
(
た
)
ち
列
(
なら
)
びました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
埠頭は五階
家
(
や
)
が同じ
格好
(
かくかう
)
の屋根を揃へて一線に
列
(
なら
)
んだのを遠望すると、大きな灰色の下駄
箱
(
はこ
)
を並べた様に醜かつたが、近づいて見ると其れ程不快な色でも無かつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
いずれも名前に
象
(
かたど
)
った、白虎、青竜、玄武、朱雀、の紋を付けた衣裳を着、さも
業々
(
ぎょうぎょう
)
しく押し
列
(
なら
)
んだ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
三歳四歳では
唯
(
た
)
だ表紙の美しい絵を土用干のやうに
列
(
なら
)
べて、
此
(
この
)
武士は立派だの、此娘は可愛いなんて……お待ちなさい、少し
可笑
(
をか
)
しくなるけれど、悪く取りつこなし。
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
手紙の終わりには、なおいろいろの弁解が付け加えてあって、やや
辻褄
(
つじつま
)
の合わない点もあるが、筆者はすこぶる注意して書いたらしく、くどくどと
列
(
なら
)
べ立ててあった。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
ひたすら十七の首を
列
(
なら
)
べるべく、復讐に余念ないのだが——その一
轍心
(
てつしん
)
のすがたを見るにつけ、お妙は、そうして物事に精魂を打ち込む殿方のお心もちを、
頼
(
たの
)
もしい
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
世上の
假説
(
かせつ
)
何ものぞ、われは
唯
(
たゞ
)
窓に
出
(
い
)
でゝ、
夜
(
よる
)
を開き、眼にはかの一
齊
(
せい
)
に
列
(
なら
)
びたる數字となりて
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
『読売』の芋兵衛は襖落しといひ、石田局といひ、十二分に能通を
列
(
なら
)
べて留飲をさげしなるべし。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
病院の玄関で、病室附の看護婦が四五人立ち
列
(
なら
)
んで一斉に送りかけた声が、長く私の耳に残つた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
突当りは棚で、茶碗やら徳利やら乱雑に
列
(
なら
)
んでいる、左の方は真暗で分らないが、恐らく家族の寝間であろう、ここでも飴を売るかして、小さな曲物が片隅に積んである。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
列
常用漢字
小3
部首:⼑
6画
“列”を含む語句
行列
一列
列車
二列
柱列
虎列剌
立列
陳列場
陳列
虎列拉
列竝
列挙
幾列
列子
歯列
家列
列並
査列斯
羅列
堵列
...