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停
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とど
ふりがな文庫
“
停
(
とど
)” の例文
ジサ女、年中何の月にも属せず、太陽天に
停
(
とど
)
まって動かぬと信ぜらるる日を
択
(
えら
)
び、身に
罟
(
あみ
)
を
被
(
おお
)
ったのみ故、裸とも著衣とも言えぬ。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
されど近年かくの如きものを見ること稀なれば淺草觀音堂のむかしなど思出でゝ杖を
停
(
とど
)
むること暫くなり。歸宅後一睡。寤めて後小説執筆。
荷風戦後日歴 第一
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「
私
(
わっち
)
かい、」と滝太歩を
停
(
とど
)
めて振返ると、木蔭を
径
(
こみち
)
へずッと出たのは、
先刻
(
さっき
)
から様子を伺っていた
婦人
(
おんな
)
である。透かして見るより懐しげに
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし彼はただこの平等の思想にのみ
停
(
とど
)
まらなかった。そこに停まりそれを徹底せしめたのは、むしろ同時代の念仏宗である。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
湖水はこの処にて、次第々々に深くなりて、
勾配
(
こうばい
)
ゆるやかなりければ、舟の
停
(
とど
)
まりしあたりも、水は五尺に足らざるべし。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
西洋人の馬車が
店前
(
てんぜん
)
に
停
(
とど
)
まって盛装した婦人が自分でハムの
片腿
(
かたもも
)
を下げている事も沢山ある。日本の貴夫人が食品屋へ入ったのは見た事がない。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
此時
忽
(
たちま
)
ち
轣轆
(
れきろく
)
たる車声、
万籟
(
ばんらい
)
死せる深夜の
寂寞
(
せきばく
)
を驚かして、山木の門前に
停
(
とど
)
まれり、剛一は足をとどめてキツとなれり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
しかも植物式の囚われ方をしたものの
中
(
うち
)
で偉大なものになると、鳥を宿し、星を
停
(
とど
)
め、雲を払い、風に
吼
(
ほ
)
えて、素晴らしい偉観を呈するのがあります。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
第五十九条 裁判ノ
対審
(
たいしん
)
判決ハ
之
(
これ
)
ヲ公開ス但シ
安寧秩序
(
あんねいちつじょ
)
又ハ風俗ヲ害スルノ
虞
(
おそれ
)
アルトキハ法律ニ
依
(
よ
)
リ又ハ裁判所ノ決議ヲ
以
(
もっ
)
テ
対審
(
たいしん
)
ノ公開ヲ
停
(
とど
)
ムルコトヲ
得
(
う
)
大日本帝国憲法
(旧字旧仮名)
/
日本国
(著)
「
岫
(
しゅう
)
に
停
(
とど
)
まるも
雲
(
くも
)
、岫を出ずるも雲、
会
(
かい
)
するも雲、別るるも雲、何をか一
定
(
じょう
)
を期せん。——おさらば、おさらば」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
探偵小説の謎も
能
(
あた
)
うかぎり卑近な常識的な材料を使い、その推理の難易程度もこの辺の中庸に
停
(
とど
)
め、
且
(
か
)
つその謎の答が相当センセイショナルなものを……。
軍用鼠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大原野で
鳳輦
(
ほうれん
)
が
停
(
とど
)
められ、高官たちは天幕の中で食事をしたり、正装を
直衣
(
のうし
)
や狩衣に改めたりしているころに、六条院の大臣から酒や菓子の献上品が届いた。
源氏物語:29 行幸
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
と例の大声で
罵
(
ののし
)
るのが手に取るように聞えた。村長は驚いて誰が
叱咤
(
しか
)
られるのかとそのまま足を
停
(
とど
)
めて聞耳を
聳
(
た
)
てていると、内から老僕倉蔵がそっと出て来た。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
『あゝ
餘
(
あま
)
りに哀れなる物語に、
法體
(
ほつたい
)
にも恥ぢず、思はず落涙に及びたり。
主婦
(
あるじ
)
が
言
(
ことば
)
に從ひ、愚僧は之れより其の戀塚とやらに立寄りて、暫し
𢌞向
(
ゑかう
)
の杖を
停
(
とど
)
めん』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
この時
忙
(
せは
)
しげに聞えし靴音ははや
止
(
や
)
みたり。人は
出去
(
いでさ
)
りしにあらで、七八間
彼方
(
あなた
)
なる木蔭に足を
停
(
とど
)
めて、忍びやかに様子を窺ふなるを、
此方
(
こなた
)
の
三人
(
みたり
)
は
誰
(
たれ
)
も知らず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「死刑ノ宣告ヲ受タル婦女懐胎ナルトキハ
其
(
その
)
執行ヲ
停
(
とど
)
メ分娩後一百日ヲ
経
(
ふ
)
ルニアラザレバ刑ヲ行ズ」
遺伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
酒場
(
バー
)
の前を過ぎて、時間表の
掲
(
かか
)
げてある大時計のわきを通りかゝった時、泉原は群集の中に何ものかを見つけたと見えて、呻くような低い叫をあげてハタと足を
停
(
とど
)
めた。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
しかしながら煙は
固
(
もと
)
より
一所
(
いっしょ
)
に
停
(
とど
)
まるものではない、その性質として上へ上へと立ち登るのだから主人の眼もこの煙りの
髪毛
(
かみげ
)
と
縺
(
もつ
)
れ合う奇観を落ちなく見ようとすれば
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
元豊は馬でその
牆
(
へい
)
の外を通っていたが、中から笑い声が聞えるので、馬を
停
(
とど
)
め、従者に
鞍
(
くら
)
をしっかり捉えさしてその上にあがって見た。そこには二人の
女郎
(
むすめ
)
が戯れていた。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
かれかたる間も我等歩みを
停
(
とど
)
めず、たえず林を分けゆけり、即ち繁き魂の林なり 六四—六六
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
それよりいっそここに
停
(
とど
)
まられて変わった吾らの
生活
(
くらし
)
振りをご覧なさるも一興でござろう。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
M君が小諸に足を
停
(
とど
)
めたころは非常な勉強で、松林の朝、その他の風景画を沢山作られた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
深い
渓
(
たに
)
や、高い山を幾つとなく送ったり迎えたりするあいだに、汽車は
幾度
(
いくたび
)
となく高原地の静なステーションに
停
(
とど
)
まった。旅客たちは
敬虔
(
けいけん
)
なような目を
側
(
そば
)
だてて、山の姿を眺めた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
大日坂
(
だいにちざか
)
の下まで来ると、足を
停
(
とど
)
めて、一応
四方
(
あたり
)
を見廻しましたが、砂利屋が建て捨てた物置小屋の後ろへ廻ると、節穴だらけな羽目板へ
拳
(
こぶし
)
を当てて、二つ三つ妙な調子に叩きました。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
今やそのロイド・ジョージがこの軍国多事の際に当たって、とうとう総理大臣となったのである。私はしるしきたって彼を思いこれを思う時、筆を
停
(
とど
)
めて落涙するを禁じ得ざる者である。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
(海をめぐる峰々はおのずから屏のごとく、湾の曲折した奥に旅客を乗せた軽舟を
停
(
とど
)
む。
那
(
ノルウェー
)
の西部は七月の夏の気候にしてもなお浅く、眼に入る山や田の麦はようやく青さをみせている。)
南半球五万哩
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
天下の勢、
滔々
(
とうとう
)
として日に降り、以て今に至る。その由、
蓋
(
けだ
)
し一日に
非
(
あら
)
ざるなり。
且
(
しばら
)
く近きを以てこれを言わん。
墨使
(
ぼくし
)
、幕府に入り、仮条約を
上
(
たてまつ
)
る。天子これを聞き、勅を下してこれを
停
(
とど
)
む。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
間もなく次の電光は、明るくサッサッと
閃
(
ひら
)
めいて、
庭
(
にわ
)
は
幻燈
(
げんとう
)
のように青く
浮
(
うか
)
び、雨の
粒
(
つぶ
)
は
美
(
うつく
)
しい
楕円形
(
だえんけい
)
の粒になって
宙
(
ちゅう
)
に
停
(
とど
)
まり、そしてガドルフのいとしい花は、まっ白にかっと
瞋
(
いか
)
って立ちました。
ガドルフの百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
灯の河の
大街
(
アヴェニウ
)
を横断したり眠ってる
往来
(
リュウ
)
を過ぎたり、エッフェルが見えたり見えなくなったり、遠くの町を明るい電車が走っていたり
停
(
とど
)
まっていたり——とにかくぶうとセエヌを渡って、昼ならば
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
娘
(
むすめ
)
は
落
(
お
)
ちた
団扇
(
うちわ
)
を
流
(
なが
)
し
目
(
め
)
に、
呉絽
(
ごろ
)
の
帯
(
おび
)
に
手
(
て
)
をかけると、
廻
(
まわ
)
り
燈籠
(
どうろう
)
の
絵
(
え
)
よりも
速
(
はや
)
く、きりりと
廻
(
まわ
)
ったただずまい、
器用
(
きよう
)
に
帯
(
おび
)
から
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
して、さてもう一
廻
(
まわ
)
り、ゆるりと
廻
(
まわ
)
った
爪先
(
つまさき
)
を
縁
(
えん
)
に
停
(
とど
)
めたその
刹那
(
せつな
)
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
夏麻
(
なつそ
)
挽く、
海上潟
(
うみかみがた
)
の、沖つ州に、船は
停
(
とど
)
めむ、さ夜更けにけり。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「王よ。この部屋をわれに与えよ。われは
此処
(
ここ
)
に
停
(
とど
)
まろう。」
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
この職には死ぬまで
停
(
とど
)
まっていたのである。
レーリー卿(Lord Rayleigh)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
文三は笑いを
停
(
とど
)
めて
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
明年となったら慎んで来ないようといって去った、狩人そこに
停
(
とど
)
まり一年猟続け
所猟
(
えもの
)
甚だ多く家巨富となった
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
するとその微小人間は、身体に似合わぬ大声を出して、そんな乱暴をするなと私を押し
停
(
とど
)
め、自分は逃げるつもりはないから、安心し、
吾
(
わ
)
れと語れといった。
最小人間の怪:――人類のあとを継ぐもの――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この橋の上に杖を
停
(
とど
)
めて見ると、
亜鉛葺
(
トタンぶき
)
の汚い二階建の人家が、両岸から濁水をさしばさみ、その窓々から
襤褸
(
ぼろ
)
きれを
翻
(
ひるがえ
)
しながら幾町となく立ちつづいている。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「罪なこッたね、悪い
悪戯
(
いたずら
)
だ、」と言懸けて島野は前後を見て、
杖
(
ステッキ
)
を突いた、辻の角で歩を
停
(
とど
)
めたので。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
偶々
(
たまたま
)
信濃新報を見しに、処々の水害にかえり路の安からぬこと、かずかず
書
(
か
)
きしるしたれば、
最早
(
もはや
)
京に還るべき期も迫りたるに、ここに
停
(
とど
)
まること久しきにすぎて
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
停
(
とど
)
め「ヤアお早う、諸君はナゼ僕の顔ばかり見て笑っています。顔に何かついていますか」書生の一
人
(
にん
)
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
しばらく、四天王寺に
停
(
とど
)
まっていた。そして、ふたたび
草鞋
(
わらじ
)
の緒を結ぶと、足を、
河内路
(
かわちじ
)
へ向けて、二月末の木の芽時を楽しむように、
飄々
(
ひょうひょう
)
と、
袂
(
たもと
)
を
東風
(
こち
)
にふかせてゆく。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悉く照らして
択
(
えら
)
ぶ所なければシャロットの女の眼に映るものもまた限りなく多い。ただ影なれば写りては消え、消えては写る。鏡のうちに
永
(
なが
)
く
停
(
とど
)
まる事は天に
懸
(
かか
)
る日といえども
難
(
かた
)
い。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此時漸く
庇
(
ひさし
)
に掛けた梯子に思い付き、少し遠回りながら、屋根から二階の窓へ飛付き、死に行く男姿の姉に必死と
縋
(
すが
)
りつきましたが、それは併し、
停
(
とど
)
めようの無い、恐ろしい破局で
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし疑いは疑いに
停
(
とど
)
まって一つも証拠が上らなかったので——それに博士は何んと云っても世界有数の大学者でもあるしリンネ大賞牌の受領者であって人格にも欠点がなかったので
物凄き人喰い花の怪
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その時に王は皆の前に馬を
停
(
とど
)
めて、左の拳を高く差し上げながら——
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
暗夜の寒風に
慄
(
ふる
)
へて急ぐ憂き世の人の足をさへ、
暫
(
し
)
ばし
停
(
とど
)
めしむ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
少女は軒下にて足を
停
(
とど
)
め、今一度青年の方を見たり。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
暗に
針綫
(
しんせん
)
を
停
(
とど
)
めて双蛾を
蹙
(
ひそ
)
む
連城
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
それでこの本館にさえいてくれれば、いざというときには私が直ぐかけつけて手当をしてあげられるわけだから、ぜひこの本館に
停
(
とど
)
まっていてもらいたいのだ。
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
甲走
(
かんばし
)
る声は鈴の
音
(
ね
)
よりも高く、静かなる朝の
街
(
まち
)
に響き渡れり。通りすがりの
婀娜者
(
あだもの
)
は歩みを
停
(
とど
)
めて
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
停
常用漢字
小5
部首:⼈
11画
“停”を含む語句
停車場
停止
立停
停留場
停車
停滞
停泊
調停
停車場前
停車塲
北停車場
御停止
停留所
新橋停車場
停泊用釜
停頓
鳴物停止
電車停留場
里昂停車場
横須賀停車場
...