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鼠
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ねずみ
ふりがな文庫
“
鼠
(
ねずみ
)” の例文
「馬鹿ッ、誰がこんなところに千両箱なんか持込むものか。あればせいぜい
鼠
(
ねずみ
)
の
糞
(
くそ
)
くらいのものだ。それよりは、音松の身体を捜せ」
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何かに食ひあらされたらしい血みどろな
鼠
(
ねずみ
)
の胴体が、方々に散らばつてゐた……。夜なかに、犬がやたらに
吠
(
ほ
)
えてかけまはつた……。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
丘の横の方から何か非常に考え込んだような風をして
鼠
(
ねずみ
)
いろのマントをうしろへはねて腕組みをして二人の方へやって来たのでした。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
全身、波のしぶきで
濡
(
ぬ
)
れ
鼠
(
ねずみ
)
になり、だらだらと
雫
(
しずく
)
をたらした宮崎運転士が帽子も吹きとばされたらしく、乱れた髪をなで上げながら
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
粗末な箱型をしたものに、
幌
(
ほろ
)
とはほんの名ばかりの、継ぎはぎだらけの
鼠
(
ねずみ
)
いろの布を
被
(
おお
)
っただけのものである。
馭者台
(
ぎょしゃだい
)
なんぞもない。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
▼ もっと見る
その中に玉村二郎の姿も見える。アア、警官も到着した。木戸口からなだれ込む数名の制服姿。アア、流石の魔術師ももう
袋
(
ふくろ
)
の
鼠
(
ねずみ
)
だ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
夕
靄
(
もや
)
と
金色
(
こんじき
)
の残照に包まれ、
薔薇
(
ばら
)
色した黄、明るい
鼠
(
ねずみ
)
、その
裾
(
すそ
)
は黒い陰の青、うるおいのある清らかさ、ほれぼれとする美しさだ。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
姪のライド嬢は実験室の隅で、針仕事をしながら、
鼠
(
ねずみ
)
のように静かにしている。ファラデーは時々うなずいたり、言葉をかけたりする。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
あるいは
鼠
(
ねずみ
)
色の紙をガラスと同じ大きさに切って当てます、その紙の地色によって、絵の調子を、強めたり弱めたりする事が出来ます。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
背伸
(
せの
)
びをして、三
尺
(
じゃく
)
の
戸棚
(
とだな
)
の
奥
(
おく
)
を
探
(
さぐ
)
っていた
春重
(
はるしげ
)
は、
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
から
重
(
おも
)
い
声
(
こえ
)
でこういいながら、もう一
度
(
ど
)
、ごとりと
鼠
(
ねずみ
)
のように
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
てた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それ御前の
御機嫌
(
ごきげん
)
がわるいといえば、台所の
鼠
(
ねずみ
)
までひっそりとして、
迅雷
(
じんらい
)
一声奥より響いて耳の太き下女手に持つ
庖丁
(
ほうちょう
)
取り落とし
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そして壁と鼻をつき合わして、じっと待ってるんです。一人ぽっちでいたいんです。
鼠
(
ねずみ
)
のように一人ぽっちで死んじまいたいんですの。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
海の
彼方
(
あなた
)
の隠れ里を故郷として、この人間の世界へ送りつけられたというものの中で、たった一つの迷惑
至極
(
しごく
)
なものは
鼠
(
ねずみ
)
であった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
……
畜生
(
ちくしゃう
)
、
兩方
(
りゃうはう
)
の
奴等
(
やつら
)
め!……うぬ!
犬
(
いぬ
)
、
鼠
(
ねずみ
)
、
鼷鼠
(
はつかねずみ
)
、
猫股
(
ねこまた
)
、
人間
(
にんげん
)
を
引掻
(
ひっか
)
いて
殺
(
ころ
)
しをる!
一二三
(
ひふうみい
)
で
劍
(
けん
)
を
使
(
つか
)
ふ
駄法螺吹家
(
だぼらふき
)
め!
破落戸
(
ごろつき
)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
今ジャヴェルが一種
傲然
(
ごうぜん
)
たる信任を彼に置いているとしても、それはおのれの
爪
(
つめ
)
の長さだけの自由を
鼠
(
ねずみ
)
に与える
猫
(
ねこ
)
の信任であるし
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
勤王に
之
(
ゆ
)
かんか、佐幕に之かんか。時代はその中間において
鼠
(
ねずみ
)
いろの生を
偸
(
ぬす
)
むことを
容
(
ゆる
)
さなかった。抽斎はいかにこれに処したか。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ふるぎつねは、腰かけ台の下へ
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
なりになって、ぴくりとも動かず、まるでぶち殺された
鼠
(
ねずみ
)
のように、死んだふりをしていたのです。
おくさま狐の御婚礼
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
先生の
白襯衣
(
ホワイトシャート
)
を着た所は
滅多
(
めった
)
に見る事が出来なかった。大抵は
鼠
(
ねずみ
)
色のフラネルに
風呂敷
(
ふろしき
)
の切れ
端
(
はし
)
のような
襟飾
(
ネクタイ
)
を結んで
済
(
す
)
ましておられた。
博士問題とマードック先生と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
阿弥陀如来の後ろから、巨大な
鼠
(
ねずみ
)
のような真っ黒な怪物が、さッと飛び出して、あたりのものを蹴散らかし、
一目散
(
いちもくさん
)
に逃げ出して行った。
死体蝋燭
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
判事は
鼠
(
ねずみ
)
を生け捕った猫が、それを味わうまえに十分
弄
(
もてあそ
)
ぶときのように、ゆっくりと、落ちつきはらって、まるで
他人事
(
ひとごと
)
のように語った。
予審調書
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
成経 彼らは
鼠
(
ねずみ
)
をたおすに用いる毒薬を食に盛って、父を毒害しようとしました。父が病死したと言って重盛をあざむくために。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
下駄
(
げた
)
の音がからころと響いて聞えた。橋の下には
鼠
(
ねずみ
)
色の
絨氈
(
じゅうたん
)
を敷いたような隅田川の水が、夢の世界を流れている河のように流れていた。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
『さて
此
(
この
)
鼠
(
ねずみ
)
に
何
(
なに
)
を
話
(
はな
)
してやらうかしら?
大抵
(
たいてい
)
皆
(
みん
)
な
變
(
へん
)
な
事
(
こと
)
ばかりだが、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
話
(
はな
)
しても
關
(
かま
)
はないだらう』と
愛
(
あい
)
ちやんが
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
電気が
煌々
(
こうこう
)
とついていた。部屋の隅に母が
鼠
(
ねずみ
)
よりも小さく私の眼に写った。父が、その母の前で、
巡査
(
じゅんさ
)
にぴしぴしビンタを殴られていた。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「なに
鴨
(
かも
)
の
宮
(
みや
)
の方の入口も、あれと同時に爆発して完全に閉じてしまったのです。化け物は
袋
(
ふくろ
)
の
鼠
(
ねずみ
)
です。もうなかなか出られやしません」
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
北支那の
市
(
まち
)
から市を渡って歩く
野天
(
のてん
)
の見世物師に、
李小二
(
りしょうじ
)
と云う男があった。
鼠
(
ねずみ
)
に芝居をさせるのを商売にしている男である。
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その後春陽堂からの物は大抵やらせて頂きましたが、中々に註文の難しい方で、大体濃い色はお嫌いで、茶とか
鼠
(
ねずみ
)
の色は使えませんでした。
泉鏡花先生のこと
(新字新仮名)
/
小村雪岱
(著)
「なんというべらぼうなこったか、干からびた
鼠
(
ねずみ
)
のような
俺
(
おれ
)
が——ここにはいるんだって? わしゃ、はずかしいわいなあ。」
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
枕を削る
山颪
(
やまおろし
)
は、激しく
板戸
(
いたど
)
を
挫
(
ひし
)
ぐばかり、髪を
蓬
(
おどろ
)
に、
藍色
(
あいいろ
)
の
面
(
めん
)
が、
斧
(
おの
)
を取つて襲ふかともの
凄
(
すご
)
い。……心細さは
鼠
(
ねずみ
)
も鳴かぬ。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
相手が
鼠
(
ねずみ
)
小僧や
石川五右衛門
(
いしかわごえもん
)
のような場合には、非常に複雑で困難な実験を必要とする。こそ泥くらいならば、ちょっとした実験ですぐ分る。
比較科学論
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
時には白いハンケチで
鼠
(
ねずみ
)
を造って、それを自分の頭の上に載せて、番頭から小僧まで集まった仕事場を驚かしたこともある。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
どうせ最後は静粛なる自然の中に葬られるにしても、少くとも山上の自分は、ゆうべ小舎の中で微小なる
鼠
(
ねずみ
)
一
疋
(
ぴき
)
に恐怖した自分ではなかった。
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
「このお菓子、気を付けて食べないと大変なのよ、お嬢様。うっかりパン屑なんかと一緒に置いとくと、
鼠
(
ねずみ
)
が出てきて、食べてしまうのよ。」
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
宗門のうちにての事をば残さず申しさずけんとて、まことに焼け
鼠
(
ねずみ
)
につける
狐
(
きつね
)
のごとくおどり上がりはしりつつ色をかえ品をかえて
馳走
(
ちそう
)
なり。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
剖葦
(
よしきり
)
はしきりに鳴いた。
梅雨
(
つゆ
)
の中にも、時々晴れた日があって、あざやかな
碧
(
みどり
)
の空が
鼠
(
ねずみ
)
色の雲のうちから見えることもある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
だくだく流れる顔の汗を
鼠
(
ねずみ
)
いろに汚れているタオルで拭きながら、春日町、春日町、と何度も
呟
(
つぶや
)
いて考えて下さいました。
千代女
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
王子どころか、生きたものは、
鼠
(
ねずみ
)
一
疋
(
ぴき
)
もゐません。そして可なり広い室の向ふの壁に、たゞ大きなラマ仏の木像が三つ立つてゐるつきりでした。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
すると、
弛
(
ゆる
)
んだ障子の根に添って見覚えの
鼠
(
ねずみ
)
がちょろちょろと這い出て来ると梶を見詰めたままじっと様子を伺っていた。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
谷間の
途極
(
ゆきとまり
)
にて
甕
(
かめ
)
に落たる
鼠
(
ねずみ
)
のごとくいかんともせんすべなく
惘然
(
ばうぜん
)
として
胷
(
むね
)
せまり、いかゞせんといふ
思案
(
しあん
)
さヘ出ざりき。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
やっと起きて喪服のやや濃い
鼠
(
ねずみ
)
の服の着古して柔らかになったのを着た姫君の顔に
笑
(
え
)
みが浮かぶようになると、源氏の顔にも自然笑みが上った。
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
彼は
亜米利加
(
アメリカ
)
より法学士の免状を持ち帰りし名誉を
顧
(
かえり
)
みるの
遑
(
いとま
)
だになく、貴重の免状も
反古
(
ほご
)
同様となりて、戸棚の隅に
鼠
(
ねずみ
)
の巣とはなれるなりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
おまけに下はこの宴席、なんぼなんでも
鼠
(
ねずみ
)
の出るわけはなし、それに! ねず公にしてはちと重すぎる動きが感じられる。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
土肥君は余の同郷、小学校の
同窓
(
どうそう
)
である。色の浅黒い、
顋
(
あご
)
の四角な、
鼠
(
ねずみ
)
の様な可愛いゝ黒い眼をした
温厚
(
おんこう
)
な子供であった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
(3)昼間でもよく天井で
鼠
(
ねずみ
)
が騒いでゐたし、それに困つて、お爺さんお婆さんが
仔猫
(
こねこ
)
を飼つたくらゐだから、きつと、鼠のしわざにちがひない。
仔猫の裁判
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
のみならず千恵は、すくなくもこの実習の期間中は病院のさだめに従つて、
鼠
(
ねずみ
)
色の質素な見習看護婦服のほかは一さい着ることができないのです。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
まっさおな顔をした彼は
鼠
(
ねずみ
)
色の沖から吹き来る浜風に身をふるわせながら出島の渡しのわきにたたずみ、一舟一舟、七
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
それでもなお余ったのが
烏
(
からす
)
や
鼠
(
ねずみ
)
の
餌
(
えさ
)
となるのだが、中にはそれらの動物の目にも触れないで、
撓
(
た
)
わんだ枝のまま地に
埋
(
うずま
)
って腐っているのもあった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
然
(
し
)
かのみならず、自分より下に
向
(
むかっ
)
て威張れば上に向ては威張られる。
鼬
(
いたち
)
こっこ
鼠
(
ねずみ
)
こっこ、実に馬鹿らしくて面白くない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「勘太郎が鬼退治をするとよ、
鼠
(
ねずみ
)
が
猫
(
ねこ
)
を
捕
(
と
)
りに行くよりひどいや。
阿呆
(
あほ
)
もあのくらいになると
面白
(
おもしろ
)
いな。」と言った。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
形、
鼬
(
いたち
)
に似て鼬より小さく、尾、
鼠
(
ねずみ
)
より短くして毛あり。形状をもっていわば、小鼬と呼ぶところ相応せり。色、おおむね鼠色にして黄色を帯べり。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
“鼠”の意味
《名詞》
ねずみ。
(出典:Wiktionary)
“鼠(ネズミ)”の解説
ネズミ(鼠)は、哺乳類ネズミ目(齧歯目)の数科の総称である。ハツカネズミ、ドブネズミ(ペットとしてはファンシーラット)など、1300種あるいは1065-1800種が含まれ、一大グループを形成している。英語では大型のものを「Rat」、小型のものを「Mouse」と呼ぶ。
(出典:Wikipedia)
鼠
漢検準1級
部首:⿏
13画
“鼠”を含む語句
鼠色
溝鼠
田鼠
鼠麹草
海鼠
鼯鼠
鼹鼠
栗鼠
野鼠
藍鼠
木鼠
鼠鳴
南京鼠
白鼠
鼠賊
土鼠
銀鼠
銀鼠色
二十日鼠
鼬鼠
...