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ろこつ
ふりがな文庫
“
露骨
(
ろこつ
)” の例文
葉子を確実に占領したという意識に裏書きされた木部は、今までおくびにも葉子に見せなかった
女々
(
めめ
)
しい弱点を
露骨
(
ろこつ
)
に現わし始めた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「そうですか……では私、お伺いしたいことがあるんですが、お互いに心の中をそっくりそのまま
露骨
(
ろこつ
)
に話せるようにして下さいな」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
この世をばわが世とぞ思う——と
露骨
(
ろこつ
)
に歌った藤原氏の栄華の方が、まだ夢を夢として追っている人々の
稚気
(
ちき
)
と詩があった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分は面白半分わざと軽薄な
露骨
(
ろこつ
)
を云って、看護婦を
苦笑
(
くしょう
)
させた。すると三沢が突然「おい氷だ」と氷嚢を持ち上げた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その場合には一見他の民主的な政党と異ならないように
偽装
(
ぎそう
)
するが、一度政権を握ったら、右にいうような独裁党の本質を
露骨
(
ろこつ
)
に
発揮
(
はっき
)
するのである。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
▼ もっと見る
「大分
露骨
(
ろこつ
)
ですね、あんまり教育家らしくもないビジテリアンですね。」と陳さんが大笑いをしながら申しました。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
後
(
あと
)
の
方
(
ほう
)
は、これに
比
(
くら
)
べるといくらか
露骨
(
ろこつ
)
に、
西行
(
さいぎよう
)
の
氣持
(
きも
)
ちを
出
(
だ
)
しすぎてゐるが、こゝまでつっこんで
歌
(
うた
)
つた
人
(
ひと
)
がないものですから、
一例
(
いちれい
)
としてあげました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
キンチャコフは、本性を
露骨
(
ろこつ
)
にあらわして、「火の玉」少尉に
擬
(
ぎ
)
したピストルをひっこめようとはしない。
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
露骨
(
ろこつ
)
に疑惑を現はして、彼女は私を眺めた。「いやだよ、私等まだそんなことして賣つたことはないよ。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
幾
(
いく
)
つもの大牧場を通って——
途中
(
とちゅう
)
でだいぶ自動車を
停
(
と
)
めた
露骨
(
ろこつ
)
なランデェブウにもお目にかかりました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
何
(
なん
)
のためだと
思
(
おも
)
ふと、
氣
(
き
)
を
靜
(
しづ
)
める
妙法
(
めうはふ
)
で——
露骨
(
ろこつ
)
に、これを
説明
(
せつめい
)
すると、やきもち
靜
(
しづ
)
め——その
澁
(
しぶ
)
さ、
床
(
ゆか
)
しさ、
到底
(
たうてい
)
女人
藝術
(
げいじゆつ
)
同人
(
どうじん
)
などの、
考
(
かんが
)
へつく
所
(
ところ
)
のものではない。
長谷川時雨が卅歳若かつたら
(旧字旧仮名)
/
直木三十五
(著)
髪
(
かみ
)
の毛はどうしたのと聞いてみたり、
父親
(
ちちおや
)
メルキオルの
露骨
(
ろこつ
)
な
常談
(
じょうだん
)
におだてられて、
禿
(
はげ
)
をたたくぞとおどしたりして、いつもそのことで
彼
(
かれ
)
をからかってあきなかった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかしそういう御事情で出京なさったということでもあり、それにS君の御手紙にも
露骨
(
ろこつ
)
に言えという注文ですから申しあげますが、まあほとんどと言いたいですね。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
氏は家庭にあって、
私憤
(
しふん
)
を
露骨
(
ろこつ
)
に
洩
(
も
)
らしたり、私情の
為
(
ため
)
に怒って家族に
当
(
あた
)
ったりしません。その点から見て、氏は自分を支配することの出来る理性家であるのでしょうか。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
天職
(
てんしょく
)
を
自覚
(
じかく
)
せず、また、それにたいする
責任
(
せきにん
)
を
感
(
かん
)
ぜず、
上
(
うえ
)
のものは、
下
(
した
)
のものに
好悪
(
こうお
)
の
感情
(
かんじょう
)
を
露骨
(
ろこつ
)
にあらわして
平気
(
へいき
)
だった、いまよりは、もっと
暗
(
くら
)
かった
時代
(
じだい
)
の
話
(
はなし
)
であります。
天女とお化け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
作者の言おうとしている思想なり観念なりが
露骨
(
ろこつ
)
に陳述されて、
唯
(
ただ
)
、演説されていて、読者は圧迫を感じながら、緊張を
強
(
し
)
いられながら、その説を聞いて居るような感じである。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
これは一
場
(
じょう
)
の
戯談
(
じょうだん
)
に過ぎぬが、ともかくそういう考えが
何人
(
なんぴと
)
にもある。もちろん今述べたごとく、
露骨
(
ろこつ
)
なる形式に現れなくとも、
如何
(
いか
)
ほど地位ある人にも起こり得る思想である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
狭
(
せま
)
いと
汚穢
(
きたなさ
)
とは我慢するとしても、
一
(
ひと
)
つ
家
(
や
)
の寒さは
猛烈
(
もうれつ
)
に彼等に
肉迫
(
にくはく
)
した。二百万の人いきれで寄り合うて住む東京人は、
人烟
(
じんえん
)
稀薄
(
きはく
)
な武蔵野の
露骨
(
ろこつ
)
な寒さを想い見ることが出来ぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その時相手がいかにも落着いた態度で出てきたら、手にペンでも(本でもいい)持って出てきたら、その時こそ惨めな自分が面と面を突きあわすことを
露骨
(
ろこつ
)
に感ぜさせられるだろう。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
妹
(
いもうと
)
も
自分
(
じぶん
)
のした
事
(
こと
)
でございますから、
余
(
あま
)
り
露骨
(
ろこつ
)
には
申
(
まう
)
しませんですけれど、
駈
(
か
)
けこんでまゐりました
時
(
とき
)
の、
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
といふのはございませんでした。
息
(
いき
)
も
切
(
き
)
れさうに
弱
(
よわ
)
つてをりました。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
一人が
仙骨
(
せんこつ
)
という号をつけると、みな骨という字を用いた号をつけようじゃないかという動議が出て、
破骨
(
はこつ
)
だの、
洒骨
(
しゃこつ
)
だの、
露骨
(
ろこつ
)
だの、
天骨
(
てんこつ
)
だの、
古骨
(
ここつ
)
だのというおもしろい号ができて
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
雀斑
(
そばかす
)
だらけの鼻の低いその嫁と比べて、お君の美しさはあらためて男湯で問題になった。
露骨
(
ろこつ
)
に俺の嫁になれと持ちかけるものもあったが、笑っていた。金助へ話をもって行くものもあった。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
卑下
(
ひげ
)
し過ぎる物腰など、主人の清兵衞は
露骨
(
ろこつ
)
にその前身を匂はせて居りますが、人間はさすがにふて/″\しく、伜を殺した相手が知れたら、本當に何をやり出すか判つたものではありません。
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
遇
(
ぐう
)
することおおよそこの類であった分けても彼が年若い女弟子に親切にしたり稽古してやったりするのを
懌
(
よろこ
)
ばずたまたまそういう疑いがあると
嫉妬
(
しっと
)
を
露骨
(
ろこつ
)
に表わさないだけ一層意地の悪い当り方を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかも実朝は、ひと目でそれと判るように
露骨
(
ろこつ
)
に人の句をとっている。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
そこで英国とロシアとが合同してチベットを取るというような事はむろん出来ない。
露骨
(
ろこつ
)
にいえば露国そのものが英国の領分を欲しいという訳ですから、とても合同の出来ない事はきまって居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
孔子が公宮から帰って来ると、子路が
露骨
(
ろこつ
)
に不愉快な顔をしていた。彼は、孔子が南子
風情
(
ふぜい
)
の要求などは
黙殺
(
もくさつ
)
することを望んでいたのである。まさか孔子が
妖婦
(
ようふ
)
にたぶらかされるとは思いはしない。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
次にルーシンは、皮肉屋で、
露骨
(
ろこつ
)
な
毒舌
(
どくぜつ
)
をふるう医者だが、彼女というものを一番よく見ており、また誰より深く彼女を愛してもいながら、そのくせ陰でも面前でも、彼女の悪口ばかり言っていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
撮影
(
さつえい
)
の
技量
(
ぎれう
)
では
自
(
じ
)
分が
露骨
(
ろこつ
)
にうまいなと
思
(
おも
)
はせられたからである。
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「ええ、とくべつ
露骨
(
ろこつ
)
なようです。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
彼は西洋の小説を読むたびに、そのうちに
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る男女の情話が、あまりに
露骨
(
ろこつ
)
で、あまりに放肆で、且つあまりに直線的に濃厚なのを平生から
怪
(
あやし
)
んでゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
すぐ眼にカドを立てて、かれの表面だけでなく、内部の心理までを読もうとする視線が
露骨
(
ろこつ
)
に向けられた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私、あんまり
露骨
(
ろこつ
)
でございました。御免遊ばせ。私、顏のことで訊ねられたとき、すぐさまお答へするのは
優
(
やさ
)
しいことではないと御返辭する筈でございましたの。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
世界最大を誇る大機械化兵団を集中中であった○○軍は最近にいたりついにわが
皇軍陣地
(
こうぐんじんち
)
に対して、
露骨
(
ろこつ
)
なる挑戦をはじめるに至り、しかも○○鉄道は、その方面へ
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それはしかし岡が葉子のあまりといえば
露骨
(
ろこつ
)
な言葉を恥じたのか、自分の心持ちをあばかれたのを恥じたのか葉子の迷いやすくなった心にはしっかりと見窮められなかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
人にしても、
辞令
(
じれい
)
に
巧
(
たくみ
)
な
智識
(
ちしき
)
階級の
狡猾
(
ずる
)
さはとりませんが、
小供
(
こども
)
や、
無智
(
むち
)
な者などに
露骨
(
ろこつ
)
なワイルドな
強欲
(
ごうよく
)
や
姦計
(
かんけい
)
を
見出
(
みいだ
)
す時、それこそ氏の、漫画的興味は
活躍
(
かつやく
)
する様に見えます。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
どちらも
今日
(
こんにち
)
から
見
(
み
)
ると、
少
(
すこ
)
しおもしろみが
勝
(
か
)
ち
過
(
す
)
ぎました。
趣向
(
しゆこう
)
を
凝
(
こら
)
してゐるところが
露骨
(
ろこつ
)
に
見
(
み
)
えるが、
赤人
(
あかひと
)
の
方
(
ほう
)
は、よく
讀
(
よ
)
み
返
(
かへ
)
して
見
(
み
)
ると、いかにもごた/\してゐるでせう。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
蝶子が親の所へ戻っていると知って、近所の金持から、妾になれと
露骨
(
ろこつ
)
に言って来た。例の材木屋の主人は死んでいたが、その息子が柳吉と同じ年の四十一になっていて、そこからも話があった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
僕
(
ぼく
)
は
自分
(
じぶん
)
でも、すこし
感情
(
かんじょう
)
を
露骨
(
ろこつ
)
にあらわしすぎたと
気
(
き
)
づいたので
世の中のために
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかし、翌日も、またその次の日も同じような皆の悪意が
露骨
(
ろこつ
)
で、病的になったぼくの神経をずたずたに切り
苛
(
さい
)
なみます。あなたに、
逢
(
あ
)
えないまま、海の荒れる日が、
桑港
(
サンフランシスコ
)
に着くまで、続きました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
宣伝やスローガンや
煽動
(
せんどう
)
では、この傾向が特に
露骨
(
ろこつ
)
になる。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
新吉の問は
露骨
(
ろこつ
)
です。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そう
露骨
(
ろこつ
)
に云うと、意味もない事になるが——まあ善いさ——精神は君にもよく通じている事と思うから。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
弦三の乗りこんだ地下電車が、構内を離れて間もなく、不穏分子の
振舞
(
ふるまい
)
は、
露骨
(
ろこつ
)
になって行った。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして、それが
群衆
(
ぐんしゅう
)
となると、いっそう
露骨
(
ろこつ
)
にぶえんりょに
爆発
(
ばくはつ
)
してくるのだった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は自分がこれほど
酷
(
むご
)
たらしい男だとは思わなかった。どうして
残虐
(
ざんぎゃく
)
な気持があとからあとから湧きだして、彼に
露骨
(
ろこつ
)
な言葉を吐かしたかが怪しまれだした。俺は悪党だ。俺は悪人だ。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
今更、彼女に向けて
露骨
(
ろこつ
)
に投げかけられるものでもなし、さればと云って胸に秘め籠めて置くにも置かれなくなっている。やっぱり手慣れた生きものの金魚で彼女を作るより仕方がない。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と
云
(
い
)
つて、
折角
(
せつかく
)
保養
(
ほやう
)
に
行
(
い
)
つた
轉地先
(
てんちさき
)
から
今
(
いま
)
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
たばかりの
夫
(
をつと
)
に、
行
(
ゆ
)
かない
前
(
まへ
)
より
却
(
かへ
)
つて
健康
(
けんかう
)
が
惡
(
わる
)
くなつたらしいとは、
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
で
露骨
(
ろこつ
)
に
話
(
はな
)
し
惡
(
にく
)
かつた。わざと
活溌
(
くわつぱつ
)
に
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかも国際関係はいよいよ
尖鋭化
(
せんえいか
)
し、その国の科学発達の程度如何によってその国の安全如何が直接
露骨
(
ろこつ
)
に判断されるという驚くべくまた恐るべき科学力時代を迎えるに至った。
『地球盗難』の作者の言葉
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
葉子の頭に描かれた夫人は
我
(
が
)
の強い、情の
恣
(
ほしい
)
ままな、野心の深い割合に
手練
(
タクト
)
の
露骨
(
ろこつ
)
な、
良人
(
おっと
)
を軽く見てややともすると
笠
(
かさ
)
にかかりながら、それでいて良人から独立する事の到底できない
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
“露骨”の意味
《名詞・形容動詞》
欲望や感情などをかくさずに、むきだしにしていること。包み隠さない様。
(出典:Wiktionary)
露
常用漢字
中学
部首:⾬
21画
骨
常用漢字
小6
部首:⾻
10画
“露”で始まる語句
露
露西亜
露出
露台
露店
露顕
露地
露草
露呈
露見