“黙殺”の読み方と例文
読み方割合
もくさつ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ハア」とぼくがかたくなると、今度は笑いだして、うしろに居た百メエトルのM嬢をふりかえり、「ねエ坂本さんの歌うまかったわねエ」「いや駄目だめですよ」と照れるぼくを黙殺もくさつして
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
若しや、あれを読んだ痴川が忽ち伊豆の内幕を見すかしたような憫笑びんしょうきざみ例の毒々しい物腰で苦もなく黙殺もくさつし去った場合を想像するに、体内に激烈な顛倒てんとうを感じるような苛立いらだちを覚えた。
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
孔子が公宮から帰って来ると、子路が露骨ろこつに不愉快な顔をしていた。彼は、孔子が南子風情ふぜいの要求などは黙殺もくさつすることを望んでいたのである。まさか孔子が妖婦ようふにたぶらかされるとは思いはしない。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)