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鈴
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すず
ふりがな文庫
“
鈴
(
すず
)” の例文
こういって、
母親
(
ははおや
)
が
子供
(
こども
)
の
小
(
ちい
)
さな
肩
(
かた
)
から
下
(
さ
)
げているかごをはずして、
自分
(
じぶん
)
がそれを
今度
(
こんど
)
は
肩
(
かた
)
にかけて
鈴
(
すず
)
を
鳴
(
な
)
らしたのでありました。
煙突と柳
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
天皇はそのためにわざわざお宮の戸のところへ大きな
鈴
(
すず
)
をおかけになり、
置目
(
おきめ
)
をおめしになるときは、その鈴をお鳴らしになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
お庭には、世にもめずらしい花が
咲
(
さ
)
きみだれていました。なかでも、いちばん美しい花には、銀の
鈴
(
すず
)
がゆわえつけてありました。
ナイチンゲール
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
むかし旅人が
路
(
みち
)
に
行暮
(
ゆきく
)
れて、とある小社の中に仮宿すると、夜深く馬の
鈴
(
すず
)
の音が聞えてきて社の前に立ち
留
(
どま
)
り、こよいは何村に産があります。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
突然
(
とつぜん
)
、発車の
鈴
(
すず
)
がひびくと痩せた紳士は
慌
(
あわ
)
てて太った紳士にもう一度お辞儀をしておいて、例の麦稈帽子を
冠
(
かぶ
)
ると急いで向き直って歩き出した。
蝗の大旅行
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
▼ もっと見る
腰
(
こし
)
の
鈴
(
すず
)
がリリンリリンと、足をかわすごとに鳴りつづけ、やがて、リッ と鳴りやんだのが、大石先生の家の
縁先
(
えんさき
)
である。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
一味の者は誰も知らず、係りの平見
某
(
なにがし
)
は口を
緘
(
つぐ
)
んで殺され、その首領の柴田三郎兵衛は、
鈴
(
すず
)
ヶ
森
(
もり
)
で腹を切ってしまった。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
即
(
すなわち
)
荒木古童
(
あらきこどう
)
が『
残月
(
ざんげつ
)
』、
今井慶松
(
いまいけいしょう
)
が『
新曲洒
(
しんきょくさら
)
し』、
朝太夫
(
あさたゆう
)
が『お
俊
(
しゅん
)
伝兵衛
(
でんべえ
)
』、
紫朝
(
しちょう
)
が『
鈴
(
すず
)
ヶ
森
(
もり
)
』の
類
(
たぐい
)
これなり。
一夕
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ただ行長は桂月香のこの宝鈴も鳴らないように、いつのまにか
鈴
(
すず
)
の穴へ綿をつめたのを知らなかったのである。
金将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
(その銀の
鈴
(
すず
)
を
振
(
ふ
)
るような声の
響
(
ひび
)
きは、何かこう
甘美
(
かんび
)
な冷たい感じをなして、わたしの背筋を走った)——「ねえ、あなたをそう呼んでもいいでしょう?」
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
町中にある
鈴
(
すず
)
の
舎大人
(
やうし
)
(本居宣長)の遺蹟をのぞき、城址へのぼって、宣長文庫を見て降りる。冬の旅は、寒い寒い。腹もすきごろ、和田金のこんろを囲む。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
目を
鈴
(
すず
)
のように大きく張って、親しい
媚
(
こ
)
びの色を浮かべながら、黙ったままで軽くうなずこうと、少し肩と顔とをそっちにひねって、心持ち
上向
(
うわむ
)
きかげんになった時
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
おきあがりますと、からだのまわりがかちかちして、おまけに、ひと足歩くたびに、たくさんの
鈴
(
すず
)
がカランカランとなります。それをきいて、エルゼはびっくりしました。
りこうもののエルゼ
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
鈴
(
すず
)
の
屋
(
や
)
の
翁
(
おきな
)
以来、ゆかりの色の古代紫は平田派の国学者の間にもてはやされ、先師の著書もすべてその色の糸で
綴
(
と
)
じられてあるくらいだが、彼半蔵もまたその色を愛して
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
馬車別当が、こんどは
鈴
(
すず
)
をがらんがらんがらんがらんと
振
(
ふ
)
りました。音はかやの森に、がらんがらんがらんがらんとひびき、
黄金
(
きん
)
のどんぐりどもは、すこししずかになりました。
どんぐりと山猫
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
灯にはえるその顔が、みるみる蒼白くゆがんで、やがて
得
(
え
)
耐
(
た
)
えず、
鈴
(
すず
)
をはったような双の眼から、ハラハラと涙のあふり落ちたのは、きっと亡き父のうえをしのんだのでしょう。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
するとある日
猿
(
さる
)
が
来
(
き
)
て、
鈴
(
すず
)
なりになっている
柿
(
かき
)
を
見上
(
みあ
)
げてよだれをたらしました。そしてこんなにりっぱな
実
(
み
)
がなるなら、おむすびと
取
(
と
)
りかえっこをするのではなかったと
思
(
おも
)
いました。
猿かに合戦
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
鈴
(
すず
)
が
音
(
ね
)
の
早馬駅
(
はゆまうまや
)
の
堤井
(
つつみゐ
)
の
水
(
みづ
)
をたまへな妹が
直手
(
ただて
)
よ 〔巻十四・三四三九〕 東歌
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
細君が
指輪
(
ゆびわ
)
をなくしたので、此頃勝手元の
手伝
(
てつだ
)
いに来る
隣字
(
となりあざ
)
のお
鈴
(
すず
)
に頼み、
吉
(
きち
)
さんに見てもらったら、
母家
(
おもや
)
の
乾
(
いぬい
)
の
方角
(
ほうがく
)
高い処にのって居る、
三日
(
みっか
)
稲荷様
(
いなりさま
)
を信心すると出て来る、と云うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
奥羽
(
おうう
)
きっての勢力家で、小心で、大の野心家であった
伊達政宗
(
だてまさむね
)
さえ、この年少気鋭な三代将軍の承職に当たって江戸に上った際、五十人の切支丹の首が
鈴
(
すず
)
が
森
(
もり
)
ではねられるのを
眼
(
ま
)
のあたり見て
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
梅
(
うめ
)
の
精
(
せい
)
は
銀
(
ぎん
)
の
鈴
(
すず
)
のようなきれいな
声
(
こえ
)
で、そう
答
(
こた
)
えてキョトンとしました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
親に
仕
(
つか
)
へて、
此上無
(
こよな
)
う優かりしを、
柏井
(
かしわい
)
の
鈴
(
すず
)
とて美き娘をも見立てて、この秋には
妻
(
めあは
)
すべかりしを、又この
歳暮
(
くれ
)
には
援
(
ひ
)
く
方
(
かた
)
有りて、新に興るべき鉄道会社に好地位を得んと頼めしを、事は皆
休
(
や
)
みぬ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「らっぱはふけないから
鈴
(
すず
)
にするよ」とお美代はわらっていった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「
鈴
(
すず
)
の
屋
(
や
)
翁
(
おう
)
の書斎もその儘に残っているそうでございますよ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
東北
(
とうほく
)
に子の住む家を見にくれば白き仔猫が
鈴
(
すず
)
振りゐたり
東北の家
(新字旧仮名)
/
片山広子
(著)
ああ、耳に
鈴
(
すず
)
の
清
(
すず
)
しき、鳴りひびく
沈黙
(
しじま
)
の
声音
(
いろね
)
。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
裏側の水上署でカラカラ
鈴
(
すず
)
の鳴る音が聞える。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
『
水無月
(
みなづき
)
』
姫
(
ひめ
)
の
鈴
(
すず
)
まうし
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
帰
(
かえ
)
らぬことを
思
(
おも
)
っていると、チリチリチンと
鈴
(
すず
)
の
音
(
おと
)
がして、
八百屋
(
やおや
)
の
小僧
(
こぞう
)
さんが、やさいを
乗
(
の
)
せて、
自転車
(
じてんしゃ
)
を
走
(
はし
)
らせてきました。
はととりんご
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そしてそのとき、そりの
鈴
(
すず
)
の音や、むちの音が、ちょうど
挨拶
(
あいさつ
)
でもするように、雪だるまをむかえてくれました。
雪だるま
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
塩市
(
しおいち
)
と
馬市
(
うまいち
)
と
盆
(
ぼん
)
の
草市
(
くさいち
)
が一しょくたにやってきたように、夜になると、
御岳
(
みたけ
)
ふもとの
宿
(
しゅく
)
は
提灯
(
ちょうちん
)
の
鈴
(
すず
)
なり、なにがなにやら、くろい人の
雑沓
(
ざっとう
)
とまッ
赤
(
か
)
な
灯
(
ひ
)
であった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、そのおわびの
印
(
しるし
)
に、一ぴきの白いぬにぬのを着せ、
鈴
(
すず
)
の
飾
(
かざ
)
りをつけて、それを
身内
(
みうち
)
の者の一人の、
腰佩
(
こしはき
)
という者に
綱
(
つな
)
で引かせて、天皇に
献上
(
けんじょう
)
いたしました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
半蔵らに言わせると、あの
鈴
(
すず
)
の
屋
(
や
)
の
翁
(
おきな
)
こそ、「
近
(
ちか
)
つ
代
(
よ
)
」の人の父とも呼ばるべき人であった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
兄がきょうの昼ごろには、この先の
鈴
(
すず
)
ガ
森
(
もり
)
ではりつけにされることになっております。……
幻術天魔太郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これを見ますと、ハンスはおおいそぎでうちにひきかえして、小さな
鈴
(
すず
)
のたくさんついている鳥をとるあみをもってきて、それをエルゼのからだのまわりにかけておきました。
りこうもののエルゼ
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
四国の方にはススタマ・スズタマ等の
清音
(
せいおん
)
の例があって、
鈴
(
すず
)
や
笹
(
ささ
)
の実のスズなどが
聯想
(
れんそう
)
せられるが、さらに今一段と古い時代に
溯
(
さかのぼ
)
ると、『倭名抄』その他の
名彙
(
めいい
)
にはツシタマ
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
入れちがいに、一礼して立ちあがった愚楽老人は、人形がお風呂敷をかぶったような恰好で、御拝領羽織をだぶだぶさせながら、大奥から、お
鈴
(
すず
)
の
間
(
ま
)
のお畳廊下へ出ていきました。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
大石先生のけががアキレス
腱
(
けん
)
がきれたということも、二、三か月はよく歩けまいということも、それらはみんな、
腰
(
こし
)
に
鈴
(
すず
)
をつけて歩きまわっているチリリンヤが聞いてきたものだった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
そうして、ひろい田んぼ
道
(
みち
)
に出ると、よくすんだ、うつくしい声で、
馬子
(
まご
)
うたをうたい出すので、馬もいい気持ちそうに、シャン、シャン、
鈴
(
すず
)
を
鳴
(
な
)
らしながら、げんきよくかけ出して行きました。
たにしの出世
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
朝床に聞こえつつゐる
馬
(
うま
)
の
鈴
(
すず
)
われの心をよみがへらしむ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
鈴
(
すず
)
鳴る……あはれ、
今日
(
けふ
)
もまた
恐怖
(
おそれ
)
の
予報
(
しらせ
)
。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その
着物
(
きもの
)
をおしいただいて、いまやそこを
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
ろうとしたときであります。うしろへ
小
(
ちい
)
さな
足音
(
あしおと
)
がして、
鈴
(
すず
)
をふるような、さわやかな
声
(
こえ
)
で
羽衣物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
茜染
(
あかねぞめ
)
の暖簾や、紋を染めぬいた浅黄の暖簾などもある。或る
楼
(
うち
)
の暖簾には、鈴がついて、客が割って入ると、
鈴
(
すず
)
の
音
(
ね
)
を聞いて、遊女たちが、窓格子まで寄って来た。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
青いフウリンソウと、小さな白いマツユキソウとが、まるで、
鈴
(
すず
)
でも持っているように、チリンチリンと音をたてながらはいってきました。ほんとうにゆかいな音楽です。
イーダちゃんのお花
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「何をそんなにお
騒
(
さわ
)
ぎになる。
宮人
(
みやびと
)
のはかまのすそのひもについた小さな
鈴
(
すず
)
、たとえばその鈴が落ちたほどの小さなことに、宮人も村の人も、そんなに騒ぐにはおよびますまい」
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
けれども、だれもかれも、カランカランという
鈴
(
すず
)
の音をききますと、どうしても戸をあけてくれようとはしませんでした。ですから、エルゼはどこにもとめてもらうことができなかったのです。
りこうもののエルゼ
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
鈴
(
すず
)
の
屋翁
(
やのおきな
)
画詠、
柿本大人
(
かきのもとのうし
)
像、
師岡正胤主
(
もろおかまさたねぬし
)
恵贈としたものがそこにあった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
艶
(
なま
)
めかぬほど、
頬
(
ほ
)
にゑみて
鈴
(
すず
)
もほそぼそ
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そして、
目
(
め
)
は
鈴
(
すず
)
を
張
(
は
)
ったように
美
(
うつく
)
しく、
唇
(
くちびる
)
の
色
(
いろ
)
はとこなつの
花
(
はな
)
のように
紅
(
あか
)
く、
髪
(
かみ
)
は
黒
(
くろ
)
く
長
(
なが
)
く
肩
(
かた
)
へ
垂
(
た
)
れて、まれに
見
(
み
)
るような
美
(
うつく
)
しさでありました。
木と鳥になった姉妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
後世の水戸学者は、これを評して「彼の
狡奸
(
こうかん
)
だ」といった。また「耳を
掩
(
おお
)
って
鈴
(
すず
)
を盗む
類
(
たぐい
)
の芝居だ」と酷評した。しかり、どんな人間も、
純一無垢
(
じゅんいつむく
)
な涙にはなりきれない。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“鈴”の意味
《名詞》
(すず)中空で中に玉等が入っていて、振ると音が出る鳴物。
(りん、れい)仏前で鳴らす鐘
(出典:Wiktionary)
“鈴”の解説
鈴(すず)とは、音を出す道具のひとつ。
(出典:Wikipedia)
鈴
常用漢字
中学
部首:⾦
13画
“鈴”を含む語句
馬鈴薯
電鈴
振鈴
呼鈴
鈴生
鈴懸
鈴索
馬鈴薯畑
鈴蘭
警鈴
鈴鹿
鈴木
鈴木三重吉
鈴鹿峠
五十鈴川
鈴虫
小鈴
唖鈴
鈴子
銅鈴
...