“すず”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:スズ
語句割合
26.6%
23.2%
18.3%
16.6%
4.2%
3.1%
珠洲1.7%
1.4%
1.4%
0.7%
冷涼0.7%
寿々0.3%
銅鈴0.3%
納涼0.3%
0.3%
鐸鈴0.3%
風鐸0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ああそうか。あすこはすずしいからな。将棋しょうぎをさしたり、ひるねをしたりするのにはいいだろう。」と、おとうさんはわらわれました。
おさらい帳 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すずしそうなアカシヤの下には石に腰掛けて本を開ける生徒もある。濃い桜の葉の蔭には土俵が出来て、そこで無邪気な相撲すもうの声が起る。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
(7)ルグランが antennœ(触角)と言いかけたのを、ジュピターは tin(すず)のことと思い違いをしたのであろう。
黄金虫 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
天皇はそのためにわざわざお宮の戸のところへ大きなすずをおかけになり、置目おきめをおめしになるときは、その鈴をお鳴らしになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
つちに砕けた飴の鳥の鶯には、どこかの手飼の、の首玉した小猫が、ちろちろとすずを鳴らしてからんで転戯じゃれる……
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
菅子はもうそこに、袖を軽く坐っていたが、露の汗の悩ましげに、朱鷺とき色縮緬の上〆うわじめの端をゆるめた、あたりは昼顔の盛りのようで、あかるい部屋に白々地あからさまな、きぬばかりがすずしい蔭。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
能登国珠洲すずヶ岬へふきはなされたまいし時、いま一度陸にうけて、ともかくもなさせ給えとて、北のかたくれないはかまに、からのかがみを取添えて、八大竜王に参らせらると、つたえ聞く
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
掻きわけて涼しきものはすずや月の夜ごろの山いもの花
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
雨よ、この燃える思をひややかに、亂れた胸をたひらかに、このさし伸べたねつの手をすずしいやうにひやせかし。おゝ、ぽつりぽつりやつて來た。……あゝ、さつとひとあめ……おや、もう月の出か。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
みすず刈る 信濃のすず
短歌集 日まはり (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
近くに𬵩釣の火が見え出し、沖に烏賊いか釣りの船の冷涼すずしくきらめき出した。
蝙蝠 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
湯女ゆなのお寿々すずは、持て余したように、上り口へ打っ伏したままでいる若い浪人の体から手を離して、呆れ顔に、ただ眺めてしまった。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『いいから、そう云ってお出でなさい。別所べっしょのお寿々すずが来ましたといえば、何を打ッちゃっても、飛んで出て来なけれやあならない義理合いがあるんだから』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は竹籠の中へもどって銅鈴すずを鳴らした。スルスルスルスル。えいや、えいや。上へあがるやいな彼はあたりへ向って黒裸こくらの両手をちゅうへ振ッて報告した。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「妙案妙案。出来でかしたぞ李逵。——だが百尺の地底からでは声も合図もとどくまい。その辺へ銅鈴すずを二ツ三ツくくり付けてゆけ。銅鈴が鳴ったら上から綱を引き上げてやる」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もう大抵判っているんだから、きょうはこのくらいにしておこう。おめえもかぞにここでいつまでも納涼すずんでもいられめえ。家へ帰ってかかあ熨斗餅のしもちを切る手伝いでもしてやれ」
半七捕物帳:17 三河万歳 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
固くなって聞いていた、二人とも身動きして、お若は愛くるしい頬を支えて白い肱に襦袢の袖口をからめながら、少し仰向いて、考えるらしくすずのような目を細め
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
呉用はやがて、片手の鐸鈴すずを振り鳴らしつつ、売卜ばいぼく先生がよくやる触れ口上を歌いながら、街をりんりんと流して行った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
風鐸すずおと四方よもに起りて春あさし隆恩殿に向ひて歩む
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)