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錫
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すず
ふりがな文庫
“
錫
(
すず
)” の例文
この台所は広くて、まわりにはよく磨いた銅や
錫
(
すず
)
の食器がずらりと掛けてあり、ところどころにクリスマスの常緑樹が飾ってあった。
駅馬車
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
(7)ルグランが antennœ(触角)と言いかけたのを、ジュピターは tin(
錫
(
すず
)
)のことと思い違いをしたのであろう。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
しかしそう云う当人も冷えて来るのがこたえると見えて、
錫
(
すず
)
の銚子をアルコールの炉であたためながら、直ぐもう酒を始めるのであった。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あの砲は、銅と
錫
(
すず
)
とが百に十の割合を越すとすぐに破裂する。錫が多すぎれば弱くなって、火門の中に幾つもすき間ができる。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一九三五年に、国際
聯盟
(
れんめい
)
が、公衆保健の権威であるスタンパー博士を
箇旧
(
コチュウ
)
に派遣して、
錫
(
すず
)
鉱山の事情を調査させたことがある。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
▼ もっと見る
一本足の兵たいは、うれしくて/\、思はず
錫
(
すず
)
の涙がこぼれさうになりました。でも兵たいですから、涙なんぞを見せるわけにはいきません。
一本足の兵隊
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
勿論
(
もちろん
)
、彼には、アメリカへ返すイギリスの戦債が、前からシンガポールの
錫
(
すず
)
と護謨との上で呼吸していたのは分っていた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
女、酒々、と杉山氏はネクタイの解けたのをだらりと下げて、べたんと腰を下し、人生酒あるかなじゃ、さあ、社長殿、と
錫
(
すず
)
かんをつきつけた。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
其
(
その
)
奥に
仄
(
ほのか
)
に紅味のさした紫にぬりつぶされて、秀麗な
錫
(
すず
)
ヶ岳が西の天を限っていた。久振りで眺めた中禅寺湖畔の秋色は
矢張
(
やは
)
り勝れていると思った。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「そら、すぐそこに高い丘が見えるだろう、あれが肉弾戦で敵から奪った武威山、以前のブキテマの高地だよ、『
錫
(
すず
)
の山』という意味だそうだがね」
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
寂びた赤うるしで秋の柿の実を、鉄やいぶした
錫
(
すず
)
で面白く朽ち葉をあらわした火鉢に鉄瓶がかかっていた。炭がきれいにいかったまま白くたっている。
二つの庭
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
『それは
錫
(
すず
)
だ。それも、銅とはまた質のちがふもので、それを吾々は地の底に、人の力でつくり出すことの出来ない出来合のものを見つけ出すのだ。』
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
溝端
(
みぞばた
)
の
片陰
(
かたかげ
)
に、
封袋
(
ふうたい
)
を切って
晃乎
(
きらり
)
とする、薬の
錫
(
すず
)
を
捻
(
ひね
)
くって、伏目に辰吉の
彳
(
たたず
)
んだ
容子
(
ようす
)
は、
片頬
(
かたほ
)
に
微笑
(
ほほえみ
)
さえ見える。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
最初、
木槌
(
きづち
)
で
叩
(
たた
)
くと、
刃針
(
ランセット
)
が血管の上を滑ってしまう。そこでもう一度もっとしっかり手元を決めて叩くと、
錫
(
すず
)
の手桶のなかにどくどくと血が流れ出す。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
松山隆二はリュックサックから
錫
(
すず
)
のカップを
外
(
はず
)
し、細い流れまでいって、清らかに澄みとおった冷たい水を満たし、こぼさないように用心しながら戻った。
おごそかな渇き
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
劉備は、やむなく、肌深く持っていた
錫
(
すず
)
の小壺まで出してしまった。李は、
宝珠
(
ほうしゅ
)
をえたように、
両掌
(
りょうて
)
を捧げて
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
錫
(
すず
)
の
胴
(
どう
)
に水を盛って
雁首
(
がんくび
)
から
洩
(
も
)
れる煙がこの水の中を通って吸口まで登ってくる仕掛なのだから、慣れないうちは水を吸い上げて口中へ入れる恐れがある。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そしてどの仏の前にも——それはみんな
錫
(
すず
)
でつくってあります——小さい
祭壇
(
さいだん
)
があって、そこには
聖
(
きよ
)
い水と、花と、火のともっているろうそくとがありました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その秋風の
昏倒
(
こんとう
)
の中で私は私の
錫
(
すず
)
いろの
影法師
(
かげぼうし
)
にずいぶん
馬鹿
(
ばか
)
ていねいな
別
(
わか
)
れの
挨拶
(
あいさつ
)
をやっていました。
インドラの網
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
梨子地には、
焼金
(
やききん
)
、
小判
(
こばん
)
、銀、
錫
(
すず
)
、鉛(この類は梨子地の材料で金と銀とはちょっと見て分り兼ねる)。
幕末維新懐古談:07 彫刻修業のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
片手に
錫
(
すず
)
製の湯差しを持ちもう一つの手に盆を持っていたが、その盆の上には二つの茶碗と、小さな
茶漉
(
ちゃこ
)
しとが置いてあった。そうして砂糖
壺
(
つぼ
)
とが置いてあった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ライオン歯磨の桐箱も今は
錫
(
すず
)
のパイプとなるからに親指の跡
凹
(
へこ
)
みし古下駄の化身、そも何となるべき。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
とやるので、
合手
(
あいて
)
は苦い顔をしてだまってしまう。私はそこにも
厭
(
あ
)
きて、
錫
(
すず
)
の
大壺
(
つぼ
)
に
酌
(
く
)
みいれてあるお水をもらって、飲んだり、眼につけていたりする人を眺めていた。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
これも丁抹国内で、一、二といわれる大富豪のノルディスク汽車製造会社長のグルネ・ビョルゲ氏邸で、昨年十月初め結婚十周年の
錫
(
すず
)
婚式記念夜会が催された時であった。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
同じ磁土がないために、
錫
(
すず
)
を用いた
失透釉
(
しっとうゆう
)
で陶土を被い、藍絵磁器に類似する特殊な手法へと進んだ。その乳白の味わい温かく、釉薬の厚みと相俟ち限りなき潤いを示す。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
海は一面に深い紺碧を湛へて靜まり、私達の船の航跡だけが長く二條の
錫
(
すず
)
を流して居ました。
初島紀行
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
それには、
錫
(
すず
)
色の帆も砲門の緑も、まるで年老いて、冷たい眠りに入ったかのようであった。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「しっかり者の
錫
(
すず
)
の兵隊」(これは私のすくない童話の中で自分でも気に入っているものですが。)など
喝采
(
かっさい
)
を博したものです。子供はいい、殊に素直な子供はいいものです。
聖アンデルセン
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
これ等の釜の列が広々とした床——それは土間である——を覆っている(図20)。釜は
錫
(
すず
)
か亜鉛に似た合金で出来ていて、火は日本を通じての燃料である所の木炭によって熱を保つ。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
「かがみっていうのは
錫
(
すず
)
の紙の事だろう、あれはかがみになりますかね。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
朝
(
あさ
)
には
患者等
(
かんじゃら
)
は、
中風患者
(
ちゅうぶかんじゃ
)
と、
油切
(
あぶらぎ
)
った
農夫
(
のうふ
)
との
外
(
ほか
)
は
皆
(
みんな
)
玄関
(
げんかん
)
に
行
(
い
)
って、一つ
大盥
(
おおだらい
)
で
顔
(
かお
)
を
洗
(
あら
)
い、
病院服
(
びょういんふく
)
の
裾
(
すそ
)
で
拭
(
ふ
)
き、ニキタが
本院
(
ほんいん
)
から
運
(
はこ
)
んで
来
(
く
)
る、一
杯
(
ぱい
)
に
定
(
さだ
)
められたる
茶
(
ちゃ
)
を
錫
(
すず
)
の
器
(
うつわ
)
で
啜
(
すす
)
るのである。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
Lot
鬮
(
くじ
)
、命、柵、
人集
(
じんしゅう
)
、Tin
錫
(
すず
)
、鉄板、貨幣、State 形勢、大臣、国家、Branch
枝柯
(
しか
)
、学派、血統、Arm 腕、力、
鎧
(
よろい
)
、Type 活字、記号、
病候
(
びょうこう
)
、Lime 石灰
平仮名の説
(新字新仮名)
/
清水卯三郎
(著)
ぼんやりとして、
錫
(
すず
)
色の円い輪が、空の中ほどを
彷徨
(
さまよ
)
っている、輪の
周囲
(
まわり
)
は、ただ混沌として一点の光輝も放たない、霧の底には、平原がある、平原の
面
(
プレーン
)
は
皸
(
ひび
)
が割れたようになって、銀白の川が
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
私が長崎に居るとき塩酸
亜鉛
(
あえん
)
があれば鉄にも
錫
(
すず
)
を附けることが出来ると云うことを
聞
(
きい
)
て
知
(
しっ
)
て居る。
夫
(
そ
)
れまで日本では
松脂
(
まつやに
)
ばかりを用いて居たが、松脂では
銅
(
あかがね
)
の
類
(
るい
)
に錫を流して
鍍金
(
めっき
)
することは出来る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「まあ、百二十円ね。銀ですわ。私は
錫
(
すず
)
の積りだったの」
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
錫
(
すず
)
製の莨セットとがおいてありました。
アパートの殺人
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
錫
(
すず
)
の
小函
(
こばこ
)
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だから羊皮紙に湯をかけて丁寧に洗い、それから
錫
(
すず
)
の
鍋
(
なべ
)
のなかへ頭蓋骨の絵を下に向けて入れ、その鍋を炭火の
竈
(
かまど
)
にかけた。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
錫
(
すず
)
の鉱石の中に、酸化
砒素
(
ひそ
)
というやつが入っていますんで、日がな一日細かい鉱砂を吸っている
奴等
(
やつら
)
は、砒素に中毒しているんです……しかし
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
それは青と赤の服を着た、小さな鉄砲をかついだ、小さな
錫
(
すず
)
の兵たいでした。すつかりで、ちようど二十五人ゐました。
一本足の兵隊
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
庚申山の右には笠ヶ岳、続いて
錫
(
すず
)
ヶ岳の秀麗な姿が
宿堂坊
(
しゅくどうぼう
)
山かと想われる者の左上に顕われる、積雪の有様から推すと、笠も錫も大分木が繁っているらしい。
望岳都東京
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
母の心を酌みかねて、劉備がおろおろというと、母はやにわに、眼の前にあった
錫
(
すず
)
の小さい茶壺を取上げ
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悦子の好きな
蝦
(
えび
)
の巻揚げ、
鳩
(
はと
)
の卵のスープ、幸子の好きな
鶩
(
あひる
)
の皮を焼いたのを
味噌
(
みそ
)
や
葱
(
ねぎ
)
と一緒に
餅
(
もち
)
の皮に包んで食べる料理、等々を盛った
錫
(
すず
)
の食器を囲みながら
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
手拭
(
てぬぐい
)
を持たせて、
錫
(
すず
)
の箱入の薫の高いしゃぼんも持たせて、紫のゴロの
垢
(
あか
)
すりも持たせる処だった。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
錫
(
すず
)
のようなものや石油や、石炭が
無尽蔵
(
むじんぞう
)
にあって、それを使う方法を絶えず研究していたからです、あなた方はこの建物や街の様式を御覧になって気付かれたかも知れないが
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
その広間はどこの
居酒屋
(
いざかや
)
にも見られるようなもので、食卓、
錫
(
すず
)
の
瓶
(
かめ
)
、
酒壜
(
さけびん
)
、それから酒を飲んでる男や、
煙草
(
たばこ
)
をふかしてる男、中はうす暗くて、しかも騒然たる音を立てていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その右脇腹へフランネルの布の上から
錫
(
すず
)
板があてがわれ、電気のコードが接続された。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
というのは、はしなくその時の鏡が、古びた
錫
(
すず
)
鏡だったのに気がついたからである。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
野原のポプラの
錫
(
すず
)
いろの
葉
(
は
)
をちらちらひるがえし、ふもとの草が青い
黄金
(
きん
)
のかがやきをあげますと、その二つのうずのしゅげの
銀毛
(
ぎんもう
)
の
房
(
ふさ
)
はぷるぷるふるえて今にも
飛
(
と
)
び立ちそうでした。
おきなぐさ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「今すぐ持って来て上げる」と云いながら、折角空けた洋盃をそのまま
洋卓
(
テーブル
)
の上に置いたなり、勝手の方へ出て行った。茶の間を通ると、門野は無細工な手をして
錫
(
すず
)
の茶壺から玉露を
撮
(
つま
)
み出していた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“錫”の意味
《名詞》
(すず) 金属元素の一つ。
(出典:Wiktionary)
“錫(スズ)”の解説
スズ(錫、en: Tin、de: Zinn)とは、典型元素の中の炭素族元素に分類される金属で、原子番号50の元素である。元素記号は Sn。
(出典:Wikipedia)
錫
漢検準1級
部首:⾦
16画
“錫”を含む語句
錫杖
錫蘭
錫箔
留錫
崔禹錫
巡錫
錫張
掛錫
錫崙
劉禹錫
天錫
無錫
鈴錫
九錫
錫紙
錫蘭博物志
錫筒
錫秋
錫細工
錫蘭山
...