そのなかの一つの屋根の羽目がこのとき中から押破られて、そこに姿を現わしたのは、いったん水に呑まれた机竜之助でありました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それに、侍者の忠顕や行房とも一つになり、いわばしんがりのかたちにおかれたことも、逃げ難かった羽目を招いていたにちがいない。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さて、私は、自分の境遇を考えると、前述のような羽目になっている。どうしても、この際、家内を貰わなければならない都合になっている。
幕末維新懐古談:23 家内を貰った頃のはなし (新字新仮名) / 高村光雲(著)
半七捕物帳:14 山祝いの夜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
殺人迷路:05 (連作探偵小説第五回) (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話 (新字新仮名) / 林不忘(著)
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
現に、右左の羽目が、あの通り燃え殘つて居るのでも解ります。早く驅け付けて下すつた方が、みんなさう申して居ります。——こんな念入りな放け火は見たことがない——と
銭形平次捕物控:059 酒屋火事 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット (旧字旧仮名) / ウィリアム・シェークスピア(著)
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし (新字新仮名) / 高村光雲(著)
手をひくと、その手を払って、彼女は小屋の羽目へ顔を当てたまま、よよと、声をあげて、泣きじゃくった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭 (新字新仮名) / 林不忘(著)
馬子は提灯を羽目の一端にかけて置いて、床板を上げるその中から、空俵を程よくからげたのを一つ取り出しました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
半七捕物帳:36 冬の金魚 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幕末維新懐古談:41 蘆の葉のおもちゃのはなし (新字新仮名) / 高村光雲(著)
和尚が見えないのは裏からO町の例の家に行ったのに相違ない。そこには山野夫人が来ているのだ。もし和尚が見つかれば、夫人も一緒に恥をさらす羽目になるのは知れている。
すべてが兵馬に不利になってゆくから、気の毒にも兵馬は、獄に下されるよりほかに仕方のない羽目に陥りました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
場所といい、事件といい、主人持ちの彼に取っては迷惑重々であったが、よんどころない羽目と覚悟をきめたらしく、かれは検視の終るまでおとなしくそこに抑留されていた。
半七捕物帳:31 張子の虎 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ぜひなく、この当座の空駕籠は臨時のお客を入れて、再び小仏から摺差へ戻らねばならない羽目になりました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
半七捕物帳:33 旅絵師 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)