“羽目:はめ” の例文
“羽目:はめ”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花18
泉鏡太郎9
中里介山9
岡本綺堂6
芥川竜之介5
“羽目:はめ”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 彫刻 > 彫刻史 各国の彫刻3.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.1%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行1.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
やがて背戸と思う処で左に馬小屋を見た、ことことという音は羽目はめるのであろう、もうその辺から薄暗くなって来る。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
きやうさんますかとまどそとて、こと/\と羽目はめたゝおとのするに
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのなかの一つの屋根の羽目はめがこのとき中から押破られて、そこに姿を現わしたのは、いったん水に呑まれた机竜之助でありました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
引返ひきかへして、木戸口きどぐちから露地ろぢのぞくと、羽目はめ羽目はめとのあひだる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
馬子は提灯を羽目はめの一端にかけて置いて、床板を上げるその中から、空俵を程よくからげたのを一つ取り出しました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それに、侍者の忠顕や行房とも一つになり、いわばしんがりのかたちにおかれたことも、逃げ難かった羽目はめを招いていたにちがいない。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すべてが兵馬に不利になってゆくから、気の毒にも兵馬は、獄に下されるよりほかに仕方のない羽目はめに陥りました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かりかへ羽目はめを、投遣なげやりに怠惰なまけり、格合かくかうをりから
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぜひなく、この当座の空駕籠は臨時のお客を入れて、再び小仏から摺差へ戻らねばならない羽目はめになりました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
カンツリー・クラブはゆるい勾配の屋根の、さび色の羽目はめの中二階で、簡素ないい趣味の建築である。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
手をひくと、その手を払って、彼女は小屋の羽目はめへ顔を当てたまま、よよと、声をあげて、泣きじゃくった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いけかこんだ三方さんぱう羽目はめいたはづれてかべがあらはれてた。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「もうこの羽目はめになった上は、泣いてもわめいても取返しはつかない。わたしは明日あすにも店のものに、ひまをやる事に決心をした。」
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼は国法できびしく禁制されている切支丹宗門の絵像を描かなければならない羽目はめに陥ったのである。
半七捕物帳:33 旅絵師 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
差当り生活の為め必要な現金さえ此頃は妻が気を利かして里方から色々の口実で少しずつ引出して来るものを黙って使い繋いでいる羽目はめになっていた。
とと屋禅譚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
主人の振舞ってくれる酒では羽目はめをはずして飲むわけにはゆかないので、彼は喜三郎をいたぶって、今夜も存分に飲もうという目算もくさんであった。
半七捕物帳:14 山祝いの夜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そして、その方の棟には、くらと時江が一つの寝間に、喜惣は涼しい場所とばかりから、牛小屋に接した、羽目はめのかたわらで眠るのが常であった。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
窓の戸はその内側が鏡になっていて、羽目はめの高い処に小さな縁起棚えんぎだなが設けてある。
寺じまの記 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
けつしてやうなことはござりますまいが、羽目はめをはづしてたべひますると、間違まちがひおこりやすいものでござります
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひさしたゞよ羽目はめなびいて、さつみづつる、はゞ二間にけんばかりのむらさきを、高樓たかどの
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私はその時、妻に一切を打明けなければならないような羽目はめになってしまいました。
二つの手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
其樣そのやう羽目はめとならば、わし最早もう駄目だめぢゃ。
場所といい、事件といい、主人持ちの彼に取っては迷惑重々であったが、よんどころない羽目はめと覚悟をきめたらしく、かれは検視の終るまでおとなしくそこに抑留されていた。
半七捕物帳:31 張子の虎 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
もし和尚が見つかれば、夫人も一緒に恥をさらす羽目はめになるのは知れている。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
美がかゞやきを減ずるといふ羽目はめにも陥る危険はないぢやありませんか
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もとの脇廊下わきろうか其方そなたに、おごそか衣冠束帯いかんそくたいの姿が——其の頃の御館みたちさましのばれる——ふすま羽目はめから
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
己が日と時刻とをきめて、渡を殺す約束を結ぶような羽目はめに陥ったのは、まったく万一己が承知しない場合に、袈裟が己に加えようとする復讐ふくしゅうの恐怖からだった。
袈裟と盛遠 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
八日ようか九日ここのか二日ふつかは出発前でいろいろの勤めがあるのは判り切っているので、今夜は思う存分に騒ぎ散らして帰ろうと、彼は羽目はめをはずして浮かれていた。
鳥辺山心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さて、私は、自分の境遇を考えると、前述のような羽目はめになっている。
損をするだけならいいがきならぬ羽目はめおちる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
また古くさくもとへもどつて二十年前についていふと、小さい鏡を番頭さんが、留湯とめゆの桶と一緒に、グツと押出して來たものだつたが、近ごろは羽目はめ一ぱいの鏡があるさうだ。
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
この室の中の南と北は格子であります。東と西は羽目はめであります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
何度もこういう押問答を繰返した後で、とうとう私はその友人の言葉通り、テエブルの上の金貨を元手もとでに、どうしても骨牌かるたを闘わせなければならない羽目はめに立ち至りました。
魔術 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ひらりと紫に舞うかと思うと——羽目はめ浮彫うきぼりした、孔雀くじゃくの尾に玉を刻んで、緑青ろくしょうびたのがなおおごそかに美しい、その翼を——ぱらぱらとたたいて
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
羽目はめには、天女——迦陵頻伽かりょうびんが髣髴ほうふつとして舞いつつ、かなでつつ浮出うきでている。影をうけたつかぬきの材は、鈴と草の花の玉の螺鈿らでんである。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
羽目はめを新しくする、たなを造るとか、勝手元かってもとの働き都合の好いように模様を変えるとか、それはまめなもので、一家に取って重宝といってはこの上もないたちの人でありました。
羽目はめの中は、見たところ湯殿ゆどのらしい。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
米友はしきりにでえだらぼっちのことを言ってあてのないひじを張ってみましたが、それも暫くすると、眠気に負けたらしく、羽目はめへ寄りかかってコクリコクリとぎ出してしまいました。
だまつてきねえ、厭味いやみ加減かげんつてけ。此方こつち其處そこどころぢやねえ、をとこつかたないかと羽目はめなんだぜ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
——うちに、みぎおとが、かべでもぢるか、這上はひあがつたらしくおもふと、寢臺ねだいあし片隅かたすみ羽目はめやぶれたところがある。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やが脊戸せどおもところひだり馬小屋うまごやた、こと/\といふ物音ものおと羽目はめるのであらう、もう其辺そのへんから薄暗うすぐらくなつてる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
羽目はめに貼つたる浅葱刷あさぎずり
寄席風流 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
卍の富五郎に似も似たところから女に眼をつけられたのが百年目、誘われるままその隠家へ行った与惣次は、酒に羽目はめはずしてさんざん自身のことをしゃべった後、一服盛られて宵の内にあの世へ行ったのだった。
まるきし行衞ゆくへわかりません。いづれまよつてゐるとおもひますとね、閻魔堂えんまだうで、羽目はめかげがちらり/\と青鬼あをおに赤鬼あかおにのまはりへうつるのが、なんですか
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
早くも風呂の蓋を取って、やわらかに湯をきまわす音まで聞えましたから、お吉は躍起やっきの心持で、思わず台所を立って、そっと忍び足に風呂場の羽目はめからのぞいて見ますと、油の乗った年増ざかりの女の肌。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
笛の男 明後日あさってげいから、おやしろ祭礼で、羽目はめさはずいて遊びますだで、刈入時かりいれどきの日はみじけえ、それでは気の毒と存じまして、はあ、これへ出合いましたでごぜえますがな。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ずっとしけばかり続いたために、持ち船の北条丸ほうじょうまるは沈みますし、げ銀は皆倒れますし、——それやこれやの重なった揚句あげく、北条屋一家は分散のほかに、仕方のない羽目はめになってしまいました。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ゆうべは腹の皮がれたといった意味は、あの宴の後でおたがいが羽目はめをはずしたことをいうのだろうと思ったが——今朝の使者たちは各〻が別人のようなからこもって、何か改まった容子ようすを示していた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その相手の女というのは、女もあろうに身分違いの女であったということ、わずかに、そのいやしい女一人のために、あれほどの地位を棒に振って、半生涯をうずめてしまうような羽目はめに陥っておしまいになったのが情けない。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
えれえ、えれえ。それでもぬるけりや羽目はめをたゝけ、」とひながら、濡手拭ぬれてぬぐひを、ひとりでに、おもはず向顱卷むかうはちまきで、せつないかほしてなみだをほろ/\とこぼした。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そんなわけで、いよいよ退引のっぴきならない羽目はめになって、わたくしも困っているところへ、この二日の晩に宗兵衛のおかみさんが駕籠で乗り付けて来て、ここの家にあずけてある蝋燭をかえしてくれというのです。その様子が何だかおかしい。
半七捕物帳:47 金の蝋燭 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
見る/\うちに、べら/\と紙がげ、桟がされたやうに、ありのまゝで、障子がせると、羽目はめ破目やぶれめにまで其の光がみ込んだ、一坪の泉水をうしろに、立顕たちあらわれた婦人おんなの姿。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
だが、ともかくも、最初の長州征伐の成功を、成功として見れば、これは尾張藩の成功に違いない。まして昔の加藤清正のように、敵対勢力のために、悲壮な心で、火中に栗を拾わねばならぬ羽目はめとは違い、宗家のために、兵を用いて功を奏したという面目になるのだ。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
全く心柄こころがらではないので、父の兼松は九歳の時から身体からだの悪い父親の一家を背負せおって立って、扶養の義務を尽くさねばならない羽目はめになったので、そのためとうとうこれというまった職業を得ることも出来ずじまいになったのであります。
君が面目ないと云うのかね。こう云う羽目はめになって、面目ないの、きまりが悪いのと云ってぐずぐずしているようじゃやっぱり上皮うわかわの活動だ。君は今真面目になると云ったばかりじゃないか。真面目と云うのはね、僕に云わせると、つまり実行の二字に帰着するのだ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そいつの売り込んだ金魚は勿論いか物に相違ありません。それで一杯食わせようとしたところが、やり損じて化けの皮があらわれて、宗匠からはむずかしく談じ付けられる。所詮しょせんは売った金を返さなければならねえ羽目はめになったが、もう其の金は使ってしまって一文もねえ。
半七捕物帳:36 冬の金魚 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
高がいささか羽目はめの緩んだ流し者風情ふぜいの小唄、取り上げてかれこれ言うがものもあるまいと、近江屋では初めのうちは相手にならずに居はいたもののこっちはこれですむとしても、それではすまないという理由わけはそこに世間の口のと申すうるさい扉無となしの関所がある。
それから、親分さん。これは何かお役に立つかもわかりませんが——、火の出たのは、確かに二ヶ所で御座います。裏の薪や炭を入れて置く物置と、炭俵を積んだ店と一緒に燃え上がりました。——これはもう間違ひございません。現に、右左の羽目はめが、あの通り燃え殘つて居るのでも解ります。
僕の生活は相変らずくうな生活で始終している。そして当然僕の生涯のげんの上には倦怠けんたいと懶惰が灰色の手を置いているのである。考えて見れば、これが生の充実という現代の金口きんく何等なんらの信仰をも持たぬ人間の必定ひつじょうちて行く羽目はめであろう。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
心中者が出来れば羽目はめはずして大騒ぎをやる、かりにも老中のお屋敷がバクチの宿となって、旗本がお手入れを食って逃げ出したとは、なんというみじめな有様だ、これで世が亡びなければ亡びないのが不思議だが、しかし、さすがに権現様の御威光は大したもので、これほどに腐りきった屋台骨が
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わたくしは人に道をきくわずらいもなく、構内の水溜りをまたぎまたぎ灯の下をくぐると、いえ亜鉛トタン羽目はめとにはさまれた三尺幅くらいの路地で、右手はすぐ行止りであるが、左手の方に行くこと十歩ならずして、幅一、二けんもあろうかと思われる溝にかけた橋の上に出た。
寺じまの記 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「数馬はがみでござりまする。しかしあの試合に勝って居りましたら、目録をさずかったはずでございまする。もっともこれは多門にもせよ、同じ羽目はめになって居りました。数馬と多門とは同門のうちでも、ちょうど腕前の伯仲はくちゅうした相弟子あいでしだったのでございまする。」
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それがだん/\こうじて、のっ引ならなくなり、安宅先生は葛岡の勤めている学園などにはもう一ときもいられないと駄々だだねて、その駄々をまた本当のことに捏ね直す羽目はめになり、いよ/\先生は来年の学課始めまでには学園の始末をつけて、どこか遠いところへ転任する相談が決まったらしい。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
まあ、名古屋の御留守居あたりじゃ、この成り行きがどうなるかと思って見ているありさまです。最初から尾州ではこんな長州征伐には反対だ、御隠居のいさめを用いさえすれば幕府もこんな羽目はめにはおちいらなかった、そう言って憤慨しないものはありません。なんでも、石州口の方じゃ、浜田の城も落ちたといううわさです。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と声々、ハヤ耳のあたりに聞えたので、又引返ひっかえして壁のくずれを見ると、一団ひとかたまりおおいなる炎の形に破れた中は、おなじ枯野かれのの目もはるか彼方かなた幾百里いくひゃくりといふことを知らず、犇々ひしひし羽目はめを圧して、一体こゝにも五六十、神か、鬼か、怪しき人物。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
沓脱くつぬぎをつかつかと、真白い跣足はだしで背戸へ出ると、母屋の羽目はめを、軒へ掛けて、森のようにからんだ烏瓜からすうりつる手繰たぐって、一束ひとつかねずるずると引きながら、浅茅生あさぢうの露に膝をうずめて、せなから袖をぐるぐると、我手わがてで巻くので、花は雪のように降りかかった。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)