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羽目
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はめ
ふりがな文庫
“
羽目
(
はめ
)” の例文
そのなかの一つの屋根の
羽目
(
はめ
)
がこのとき中から押破られて、そこに姿を現わしたのは、いったん水に呑まれた机竜之助でありました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
羽目
(
はめ
)
には、天女——
迦陵頻伽
(
かりょうびんが
)
が
髣髴
(
ほうふつ
)
として舞いつつ、かなでつつ
浮出
(
うきで
)
ている。影をうけた
束
(
つか
)
、
貫
(
ぬき
)
の材は、鈴と草の花の玉の
螺鈿
(
らでん
)
である。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それに、侍者の忠顕や行房とも一つになり、いわばしんがりのかたちにおかれたことも、逃げ難かった
羽目
(
はめ
)
を招いていたにちがいない。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
又
何方
(
どつち
)
が負けたにした所で、
真
(
しん
)
が
勢
(
いきほひ
)
を失ふといふ事にもならず、美が
輝
(
かゞやき
)
を減ずるといふ
羽目
(
はめ
)
にも陥る危険はないぢやありませんか
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「もうこの
羽目
(
はめ
)
になった上は、泣いても
喚
(
わめ
)
いても取返しはつかない。わたしは
明日
(
あす
)
にも店のものに、
暇
(
ひま
)
をやる事に決心をした。」
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
さて、私は、自分の境遇を考えると、前述のような
羽目
(
はめ
)
になっている。どうしても、この際、家内を貰わなければならない都合になっている。
幕末維新懐古談:23 家内を貰った頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
主人の振舞ってくれる酒では
羽目
(
はめ
)
をはずして飲むわけにはゆかないので、彼は喜三郎をいたぶって、今夜も存分に飲もうという
目算
(
もくさん
)
であった。
半七捕物帳:14 山祝いの夜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
差当り生活の為め必要な現金さえ此頃は妻が気を利かして里方から色々の口実で少しずつ引出して来るものを黙って使い繋いでいる
羽目
(
はめ
)
になっていた。
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
自然、津村が
一伍一什
(
いちぶしじゅう
)
を物語らねばならぬ
羽目
(
はめ
)
となった。(星田君、一体どうしたんだろう。病人みたいに無口で、その上あの死人のような
蒼白
(
あおじろ
)
さは)
殺人迷路:05 (連作探偵小説第五回)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして、その方の棟には、くらと時江が一つの寝間に、喜惣は涼しい場所とばかりから、牛小屋に接した、
破
(
わ
)
れ
羽目
(
はめ
)
のかたわらで眠るのが常であった。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
カンツリー・クラブは
緩
(
ゆる
)
い勾配の屋根の、
錆
(
さび
)
色の
羽目
(
はめ
)
の中二階で、簡素ないい趣味の建築である。バンガロー風で、正面と横とに広い階段がついている。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
出入
(
でいり
)
の戸もまた二ツある。女一人について窓と戸が一ツずつあるわけである。窓の戸はその内側が鏡になっていて、
羽目
(
はめ
)
の高い処に小さな
縁起棚
(
えんぎだな
)
が設けてある。
寺じまの記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
酒に
羽目
(
はめ
)
を
外
(
はず
)
してさんざん自身のことをしゃべった後、一服盛られて宵の内にあの世へ行ったのだった。
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
最初から尾州ではこんな長州征伐には反対だ、御隠居の
諫
(
いさ
)
めを用いさえすれば幕府もこんな
羽目
(
はめ
)
にはおちいらなかった、そう言って憤慨しないものはありません。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「御所造りの
羽目
(
はめ
)
に、五
色
(
しき
)
のペンキを塗ったくったのも?
地境
(
じざかい
)
の松の頭をチョン切ったのも?」
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
現に、右左の
羽目
(
はめ
)
が、あの通り燃え殘つて居るのでも解ります。早く驅け付けて下すつた方が、みんなさう申して居ります。——こんな念入りな放け火は見たことがない——と
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
また古くさくもとへもどつて二十年前についていふと、小さい鏡を番頭さんが、
留湯
(
とめゆ
)
の桶と一緒に、グツと押出して來たものだつたが、近ごろは
羽目
(
はめ
)
一ぱいの鏡があるさうだ。
春
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お
京
(
きやう
)
さん
居
(
ゐ
)
ますかと
窓
(
まど
)
の
戸
(
と
)
の
外
(
そと
)
に
來
(
き
)
て、こと/\と
羽目
(
はめ
)
を
敲
(
たゝ
)
く
音
(
おと
)
のするに、
誰
(
だ
)
れだえ、もう
寢
(
ね
)
て
仕舞
(
しま
)
つたから
明日
(
あした
)
來
(
き
)
てお
呉
(
く
)
れと
嘘
(
うそ
)
を
言
(
い
)
へば、
寢
(
ね
)
たつて
宜
(
い
)
いやね、
起
(
お
)
きて
明
(
あ
)
けてお
呉
(
く
)
んなさい
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ロミオが
自害
(
じがい
)
でもなされたか? これ、
唯
(
あい
)
と
言
(
い
)
って
見
(
み
)
や、その
唯
(
あい
)
といふ
一言
(
ひとこと
)
が、
只
(
たゞ
)
一目
(
ひとめ
)
で
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
す
毒龍
(
コカトリス
)
の
目
(
め
)
にもまして、
怖
(
おそろ
)
しい
憂目
(
うきめ
)
を
見
(
み
)
する。
其樣
(
そのやう
)
な
羽目
(
はめ
)
とならば、
予
(
わし
)
の
身
(
み
)
は
最早
(
もう
)
駄目
(
だめ
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
羽目
(
はめ
)
に貼つたる
浅葱刷
(
あさぎずり
)
寄席風流
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
その
賤
(
いや
)
しい女一人のために、あれほどの地位を棒に振って、半生涯を
埋
(
うず
)
めてしまうような
羽目
(
はめ
)
に陥っておしまいになったのが情けない。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
廂
(
ひさし
)
に
漾
(
たゞよ
)
ひ
羽目
(
はめ
)
に
靡
(
なび
)
いて、
颯
(
さつ
)
と
水
(
みづ
)
に
落
(
お
)
つる、
幅
(
はゞ
)
二間
(
にけん
)
ばかりの
紫
(
むらさき
)
を、
高樓
(
たかどの
)
で
堰
(
せ
)
き、
欄干
(
らんかん
)
にしぶきを
立
(
た
)
たせて
散
(
ち
)
つたも
見
(
み
)
える、
藤
(
ふぢ
)
の
花
(
はな
)
なる
瀧
(
たき
)
である。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
全く
心柄
(
こころがら
)
ではないので、父の兼松は九歳の時から
身体
(
からだ
)
の悪い父親の一家を
背負
(
せお
)
って立って、扶養の義務を尽くさねばならない
羽目
(
はめ
)
になったので
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
八日
(
ようか
)
九日
(
ここのか
)
の
二日
(
ふつか
)
は出発前でいろいろの勤めがあるのは判り切っているので、今夜は思う存分に騒ぎ散らして帰ろうと、彼は
羽目
(
はめ
)
をはずして浮かれていた。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
己が日と時刻とをきめて、渡を殺す約束を結ぶような
羽目
(
はめ
)
に陥ったのは、
完
(
まった
)
く万一己が承知しない場合に、袈裟が己に加えようとする
復讐
(
ふくしゅう
)
の恐怖からだった。
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
手をひくと、その手を払って、彼女は小屋の
羽目
(
はめ
)
へ顔を当てたまま、よよと、声をあげて、泣きじゃくった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう云う
羽目
(
はめ
)
になって、面目ないの、きまりが悪いのと云ってぐずぐずしているようじゃやっぱり
上皮
(
うわかわ
)
の活動だ。君は今真面目になると云ったばかりじゃないか。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたくしは人に道をきく
煩
(
わずら
)
いもなく、構内の水溜りをまたぎまたぎ灯の下をくぐると、
家
(
いえ
)
と
亜鉛
(
トタン
)
の
羽目
(
はめ
)
とに
挟
(
はさ
)
まれた三尺幅くらいの路地で、右手はすぐ行止りであるが
寺じまの記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
考えて見れば、これが生の充実という現代の
金口
(
きんく
)
に
何等
(
なんら
)
の信仰をも持たぬ人間の
必定
(
ひつじょう
)
堕
(
お
)
ちて行く
羽目
(
はめ
)
であろう。それならそれを悔むかというに、僕にはそれすら出来ない。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
盗み聞きは悪いとは知りながら、
気拙
(
きまず
)
い
羽目
(
はめ
)
になって、つい出るにも出られぬ気持だった。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
高がいささか
羽目
(
はめ
)
の緩んだ流し者
風情
(
ふぜい
)
の小唄、取り上げてかれこれ言うがものもあるまいと、近江屋では初めのうちは相手にならずに居はいたもののこっちはこれですむとしても
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それがだん/\
嵩
(
こう
)
じて、のっ引ならなくなり、安宅先生は葛岡の勤めている学園などにはもう一ときもいられないと
駄々
(
だだ
)
を
捏
(
こ
)
ねて、その駄々をまた本当のことに捏ね直す
羽目
(
はめ
)
になり
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
本尊
(
ほんぞん
)
は、まだ
瞬
(
またゝき
)
もしなかつた。——
其
(
そ
)
の
内
(
うち
)
に、
右
(
みぎ
)
の
音
(
おと
)
が、
壁
(
かべ
)
でも
攀
(
よ
)
ぢるか、
這上
(
はひあが
)
つたらしく
思
(
おも
)
ふと、
寢臺
(
ねだい
)
の
脚
(
あし
)
の
片隅
(
かたすみ
)
に
羽目
(
はめ
)
の
破
(
やぶ
)
れた
處
(
ところ
)
がある。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
馬子は提灯を
羽目
(
はめ
)
の一端にかけて置いて、床板を上げるその中から、空俵を程よくからげたのを一つ取り出しました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これは前週の火曜日、即ち二月十三日の午後七時前後の事でございます。私はその時、妻に一切を打明けなければならないような
羽目
(
はめ
)
になってしまいました。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
所詮
(
しょせん
)
は売った金を返さなければならねえ
羽目
(
はめ
)
になったが、もう其の金は使ってしまって一文もねえ。苦しまぎれに悪気をおこして……。ねえ、そこらでしょう。
半七捕物帳:36 冬の金魚
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ゆうべは腹の皮が
縒
(
よ
)
れたといった意味は、あの宴の後でおたがいが
羽目
(
はめ
)
をはずしたことをいうのだろうと思ったが——今朝の使者たちは各〻が別人のような
殻
(
から
)
に
籠
(
こも
)
って
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
羽目
(
はめ
)
を新しくする、
棚
(
たな
)
を造るとか、
勝手元
(
かってもと
)
の働き都合の好いように模様を変えるとか、それはまめなもので、一家に取って重宝といってはこの上もない
質
(
たち
)
の人でありました。
幕末維新懐古談:41 蘆の葉のおもちゃのはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
和尚が見えないのは裏からO町の例の家に行ったのに相違ない。そこには山野夫人が来ているのだ。もし和尚が見つかれば、夫人も一緒に恥をさらす
羽目
(
はめ
)
になるのは知れている。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
挙止動作から
衣服
(
きもの
)
の着こなし方に至って、ことごとく
粋
(
すい
)
を尽くしていると自信している。ただ気が弱い。気が弱いために損をする。損をするだけならいいが
乗
(
の
)
っ
引
(
ぴ
)
きならぬ
羽目
(
はめ
)
に
陥
(
おち
)
る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
默
(
だま
)
つて
聞
(
き
)
きねえ、
厭味
(
いやみ
)
も
可
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
云
(
い
)
つて
置
(
お
)
け。
此方
(
こつち
)
は
其處
(
そこ
)
どころぢやねえ、
男
(
をとこ
)
が
立
(
た
)
つか
立
(
た
)
たないかと
云
(
い
)
ふ
羽目
(
はめ
)
なんだぜ。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
すべてが兵馬に不利になってゆくから、気の毒にも兵馬は、獄に下されるよりほかに仕方のない
羽目
(
はめ
)
に陥りました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
数馬は
切
(
き
)
り
紙
(
がみ
)
でござりまする。しかしあの試合に勝って居りましたら、目録を
授
(
さずか
)
ったはずでございまする。もっともこれは多門にもせよ、同じ
羽目
(
はめ
)
になって居りました。
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
場所といい、事件といい、主人持ちの彼に取っては迷惑重々であったが、よんどころない
羽目
(
はめ
)
と覚悟をきめたらしく、かれは検視の終るまでおとなしくそこに抑留されていた。
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
当時経済界の大変動から、彼女の父は
弥縫
(
びほう
)
の出来ない多額の借財を残し、商売をたたんで、
殆
(
ほとん
)
ど夜逃げ同然に、
彦根
(
ひこね
)
在の一寸した
知
(
し
)
る
辺
(
べ
)
をたよって、身を隠さねばならぬ
羽目
(
はめ
)
となった。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いづれ
迷
(
まよ
)
つてゐると
思
(
おも
)
ひますとね、
閻魔堂
(
えんまだう
)
で、
羽目
(
はめ
)
の
影
(
かげ
)
がちらり/\と
青鬼
(
あをおに
)
赤鬼
(
あかおに
)
のまはりへうつるのが、
何
(
なん
)
ですか、ひよろ/\と
白
(
しろ
)
い
女
(
をんな
)
が。……
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ぜひなく、この当座の空駕籠は臨時のお客を入れて、再び小仏から摺差へ戻らねばならない
羽目
(
はめ
)
になりました。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何度もこういう押問答を繰返した後で、とうとう私はその友人の言葉通り、テエブルの上の金貨を
元手
(
もとで
)
に、どうしても
骨牌
(
かるた
)
を闘わせなければならない
羽目
(
はめ
)
に立ち至りました。
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は国法できびしく禁制されている切支丹宗門の絵像を描かなければならない
羽目
(
はめ
)
に陥ったのである。隠密という大事の役目をかかえている彼は、手強くそれを
刎
(
は
)
ねつけることが出来ない。
半七捕物帳:33 旅絵師
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
やがて背戸と思う処で左に馬小屋を見た、ことことという音は
羽目
(
はめ
)
を
蹴
(
け
)
るのであろう、もうその辺から薄暗くなって来る。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
羽
常用漢字
小2
部首:⽻
6画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“羽目”で始まる語句
羽目板
羽目框