“金口”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
きんぐち70.4%
きんくち14.8%
こんく7.4%
きんく3.7%
こんぐ3.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
俊助は金口きんぐち煙草たばこに火をつけると、気軽そうにこう云って、卓子テエブルの上に置いてある黄水仙きずいせんの鉢へ眼をやった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しかしそれにも係わらず事務長は言いわけ一ついわず、いっこう平気なもので、きれいな飾り紙のついた金口きんぐち煙草の小箱を手を延ばしてたなから取り上げながら、
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
平次は飛出しました。その頃の国府をくゆらすのは、今(昭和十一年当時)の金口きんぐちや葉巻にも匹敵する贅で、もぐりの香具師の好みにしては、少し変でないことはありません。
展望車の安楽椅子に金口きんぐちを輪に吹く紳士の鼻の淋しさは、何とも包むすべはないものでしょうか。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
器用に金口きんぐちをトントンとテーブルにたたいて、分らない笑顔えがおで答えた。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
暁葉子にかかりきって大鹿とのロマンス、大鹿の居所などを追っかけていた木介は、ギョッとして、金口きんくち副部長をふりかえり、
投手殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「そんなだつたら何もカアネギーに限つた事ぢやない。私だつたら肉饅頭どころか、ライスカレイがもう一皿あつたつて、それも皆と一緒に食べて見せる。そして食後には金口きんくちの巻煙草を一本づつ呉れてもい。」
二人は珍しくも面と向って互の眼の中を視詰みつめながら話しているのであるが、そのぎごちなさを隠そうとして殊更つけつけと物を云いながら細巻の金口きんくちを輪に吹いている妻の様子を、夫はいささか持てあまし気味に眺めていた。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
よき金口きんくち煙草たばこのむ。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
如來によらい金口こんくわれ聞く
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
序は、「釈迦如来、金口こんくに正しく説き給はく、等しく衆生しゆじやうを思ふこと、羅睺羅らごらの如しと。又説き給はく、愛は子に過ぎたるは無しと。至極の大聖すら尚ほ子をうつくしむ心あり。して世間よのなか蒼生あをひとぐさ、誰か子をしまざらめや」というものであり
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
僕の生活は相変らずくうな生活で始終している。そして当然僕の生涯のげんの上には倦怠けんたいと懶惰が灰色の手を置いているのである。考えて見れば、これが生の充実という現代の金口きんく何等なんらの信仰をも持たぬ人間の必定ひつじょうちて行く羽目はめであろう。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お許しがないのに殉死の出来るのは、金口こんぐで説かれると同じように、大乗の教えを説くようなものであろう。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)