“空蝉:うつせみ” の例文
“空蝉:うつせみ”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花11
紫式部7
樋口一葉5
吉川英治5
木下尚江1
“空蝉:うつせみ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.9%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
死骸になっての、空蝉うつせみの藻脱けたはだは、人間の手を離れて牛頭ごず馬頭めずの腕に上下からつかまれる。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
をかしかるべき空蝉うつせみのとものにして今歳ことし十九ねんてんのなせる麗質れいしつ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あらゆる信念を喪失そうしつしかけて空蝉うつせみにも似た自分の影が、今宵もふわふわと暗い風の中を歩いている。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
源氏のじょうが何冊も、かたわらに重ねてある。小机にひらかれてあるのは、その中の「空蝉うつせみの巻」で、
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もすそたたみにつくばかり、細くつま引合ひきあわせた、両袖りょうそでをだらりと、もとより空蝉うつせみの殻なれば
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
空蝉うつせみなかすてヽおもへば黒染すみぞめそでいろかへるまでもなく、はなもなし紅葉もみぢもなし
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これまでは空蝉うつせみ階級の女が源氏の心を引くようなこともなかったが、あの雨夜の品定めを聞いて以来好奇心はあらゆるものに動いて行った。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
いくらくれないあや単襲ひとえがさねをきらびやかに着込んだって、たましいの無い人間は空蝉うつせみ抜殻ぬけがらです。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
老探偵は甥と肩を並べて、その近くまでを動く道路ベルト・ロードに乗って行き、空蝉うつせみ広場から先を、歩道にそってゆっくり歩いていった。
断層顔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
空蝉うつせみの如き冷たき藤野の屍骸です、去れど姉さん、貴嬢が独身で居なさらうとも、又結婚なさらうとも
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
灯影ほかげで見た空蝉うつせみの横顔が美しいものではなかったが、姿態の優美さは十分の魅力があった。
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
空蝉うつせみの尼君には青鈍あおにび色の織物のおもしろい上着を見つけ出したのへ、源氏の服に仕立てられてあった薄黄の服を添えて贈るのであった。
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
自分の冷淡さに懲りておしまいになったのかと思って、空蝉うつせみは心苦しかったが、源氏の病気をしていることを聞いた時にはさすがになげかれた。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そもや瀧口が此身は空蝉うつせみのもぬけのからにて、腐れしまでも昔の膽の一片も殘らぬか。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
この行燈で、巣にからんだいろいろの虫は、空蝉うつせみのそのうすもの柳条目しまめに見えた。灯にひとりむしよりも鮮明あざやかである。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「君の友情、丞相の芳恩、共にふかく心に銘じてはおるが、心はつねに劉皇叔の上にあって、都にはない。ここにいる関羽は、空蝉うつせみのようなものでござる」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると久しぶり、空蝉うつせみのくだりを美しいお声で読まれるのを伺い、聞いているうちに
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
空蝉うつせみが何かのおりおりに思い出されて敬服するに似た気持ちもおこるのであった。
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
などと右衛門佐は姉に言うのであった。今はましてがらでない気がする空蝉うつせみであったが、久しぶりで得た源氏の文字に思わずほんとうの心が引き出されたか返事を書いた。
源氏物語:16 関屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
あゝ、まぼろしのなつかしい、空蝉うつせみのかやうな風土ふうどは、かへつてうつくしいものをさんするのか、柳屋やなぎや艶麗あでやか姿すがたえる。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
空蝉うつせみの身をかへてけるのもとになほ人がらのなつかしきかな
源氏物語:03 空蝉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
空蝉うつせみになり脱殼ぬけがらになつてしまふのである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
羽衣のうすきにかはる今日よりは空蝉うつせみの世ぞいとど悲しき
源氏物語:42 まぼろし (新字新仮名) / 紫式部(著)
空蝉うつせみになり脱殻ぬけがらになってしまうのである。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しょうの肌身はそこで藻抜けて、ここに空蝉うつせみの立つようなお澄は、呼吸いきも黒くなる、相撲取ほど肥った紳士の、臘虎襟らっこえり大外套おおがいとうの厚い煙に包まれた。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
枕についた肩細く、半ば掻巻かいまきを藻脱けた姿の、空蝉うつせみのあわれな胸を、せた手でしっかりと、浴衣にかさねた寝衣ねまきの襟の、はだかったのを切なそうにつかみながら
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いつぞは正氣にかへりて夢のさめたる如く、父樣母樣といふ折の有りもやすと覺束なくも一日二日と待たれぬ、空蝉うつせみはからを見つゝもなぐさめつ、あはれ門なる柳に秋風のおと聞こえずもがな。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
空蝉うつせみの尼君の住んでいる所へ源氏は来た。
源氏物語:23 初音 (新字新仮名) / 紫式部(著)
と言って、空蝉うつせみは泣いてしまった。
源氏物語:23 初音 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「よし、よし。……二年見ぬまに、また一ばい大きくなったものだ。こう見れば、そちもはや、たれにも劣らぬ一人前の男よ。それにひきかえ、口惜しいが、この貞氏は空蝉うつせみに感じる。いかにせん、この病体」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
源氏が須磨すまへ引きこもったうわさも、遠い国で聞いて、悲しく思いやらないのではなかったが、音信をする便たよりすらなくて、筑波つくばおろしに落ち着かぬ心を抱きながら消息の絶えた年月を空蝉うつせみは重ねたのである。
源氏物語:16 関屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
空蝉うつせみ
沙上の夢 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
空蝉うつせみ
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かおりの高い薬を噛んで口移しに含められて、膝に抱かれたから、一生懸命に緊乎しっかりすがり着くと、背中へ廻った手が空をでるようで、娘は空蝉うつせみからかと見えて、たった二晩がほどに、糸のようにせたです。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いつぞは正気にかへりて夢のさめたる如く、父様ととさま母様かかさまといふ折の有りもやすと覚束おぼつかなくも一日ひとひ二日ふつかと待たれぬ、空蝉うつせみはからを見つつもなぐさめつ、あはれかどなる柳に秋風のおと聞えずもがな。
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しや其人なりとても、此世の中に心は死して、殘る體は空蝉うつせみの我れ、我れに恨みあればとて、そを言ふの要もなく、よし又人に誠あらばとて、そを聞かん願ひもなし。一切諸縁に離れたる身、今更ら返らぬ世の浮事うきことを語り出でて何かせん。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ここで覚めるのかと思う夢でない所を見ると、これが空蝉うつせみになって、二人は、裏の松山へ、湯どのから消失きえうせたのではなかろうか——仰山ぎょうさんなようであるが真個まったく……勝手を知った湯殿の外までそっと様子を見に行ったくらいです。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
世を忘れ人を離れて父子おやこただ二人名残なごりの遊びをなす今日このごろは、せめて小供の昔にかえりて、物見遊山ものみゆさんもわれから進み、やがて消ゆべき空蝉うつせみの身には要なきから織り物も、末はいもと紀念かたみの品と、ことに華美はでなるを選みしなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
近頃フィルムに現われる諸俳優について、一々いちいちの批評をして見た所で、その俳優に対する好き好きがあろうから無駄な事だが、私は過日帝国館で上場された改題「空蝉うつせみ」の女主人公に扮したクララ・キンベル・ヤング嬢などは、その技芸において頗るひいでたものであると信じている。
活動写真 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
はてな、ここらに色鳥の小鳥の空蝉うつせみ鴛鴦おしどり亡骸なきがらと言うのが有ったっけと、酒のいきおい、雪なんざ苦にならねえが、赤い鼻尖はなさきを、頬被ほおかぶりから突出して、へっぴり腰でぐ工合は、夜興引よこひきじじいが穴一のばらぜにを探すようだ。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いつぞは正氣しやうきかへりてゆめのさめたるごとく、父樣とゝさま母樣かゝさまといふをりのありもやすると覺束おぼつかなくも一日ひとひ二日ふたひたれぬ、空蝉うつせみはからをつゝもなぐさめつ、あはれかどなるやなぎ秋風あきかぜのおとこえずもがな。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一方空蝉うつせみや夕顔との恋は、源氏がいかに言い寄り女がいかに答えたかをきわめて詳細に描いているにかかわらず、この重大な御息所との恋は、右のごとくただ、「源氏が言い寄ってしいて関係した、だから冷淡になるのは気の毒であるのに冷淡になった、女は自分の年上を気にして苦しんでいる」と簡単に報告するのみである。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「女は、返すだろうが、女のからだは、元のとおりでは、返すまい。不死人のことだ。さんざん、楽しんだあげく、空蝉うつせみみたいな女のぬけ殻を、持って行くにちがいない。忠平に、そのあとを贈呈するのはおもしろい。……小次郎、おぬしも、あの大臣の顔を、時々、ながめるだけでも、愉快だろうが、しかし、いうなよ、その事は」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)