私達わたしたち)” の例文
「御父さまはきっと私達わたしたちが要らない贅沢ぜいたくをして、むやみに御金をぱっぱっとつかうようにでも思っていらっしゃるのよ。きっとそうよ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あれと私達わたしたちとはなん關係くわんけいいやうなものの、あれも着物きもの私達わたしたちたがひ着物きものなんとなく世間せけんたいして、わたし氣耻きはづかしいやうでなりませんのよ
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
私達わたしたちはその日一にち歩きまはつた。夕方ゆふがたには、自分達じぶんたちの歩いてゐる所は一たいどこなのだらうと思ふほどもう三半器官はんきくわんつかれてゐた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
しかし父樣おとつさんには私達わたしたち二人ふたりほかに、ふものはござらぬ、二人ふたりにもしものことがありますれば、いへえてしまひまする。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
当時とうじ夏目先生なつめせんせい面会日めんかいび木曜もくようだったので、私達わたしたちひるあそびにきましたが、滝田たきたさんはよるって玉版箋ぎょくばんせんなどに色々いろいろのものをいてもらわれたらしいんです。
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ロボはもう向かってくる勢いもないから、私達わたしたちはその口へぼうをかませ、太綱ふとづなであごをしばった。いまはかれは、まったく観念したような目で私たちを見ている。
わからないだって? まあ、そんなばかげたことかんがえないほうがいいよ。おまえさんここにれば、あたたかい部屋へやはあるし、私達わたしたちからはいろんなことがならえるというもの。
私達わたしたちいままで日本につぽん古墳こふんと、そのなかから發見はつけんせられる樣々さま/″\遺物いぶつてまゐりましたが、これ品物しなものは、みなこのふる時代じだいひとつくつた美術品びじゆつひん工藝品こうげいひんであつて
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
さうしてこれはただ人事ひとごとではないのでした。私達わたしたちはよくみづかかへりみ、自らよく考へなければなりませぬ。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
「えゝ天人のものなんかは地の人間が買やしない。私達わたしたちがいつまでこれをもつてゐたところが何の用にもたりないから、いつそのことこれは竜宮様へ差し上げてしまへ。」
竜宮の犬 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
あの土藏どざう横手よこて石垣いしがきあひだには、土藏どざうばんをするとしとつたへびて、いまでも居眠ゐねむりをしてます。私達わたしたちはみんなおまへさんのお友達ともだちです。私達わたしたちをよくおぼえてくださいよ。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
食事後しよくじご気分きぶんまえよりも一そう打寛うちくつろいだものであつたが、彼等かれら或者あるものなお未練みれんがましく私達わたしたちそばつてて、揉手もみてをしながら「キヤンニユスピイク、イングリシユ?」を繰返くりかえした。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
私達わたしたちはかへらねばならない。水神松生ふるつゝみの下へ、あかりのうつる八幡樣の下へ。
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
わたしはかうしてみなさんにかこまれてゐると、氣持きもちいサナトリウムにでもてゐるやうですよ、私達わたしたちためにも、病院びやうゐんやサナトリウムが設備せつびされてゐたら、此間このあひだくなつたSさんなんか、屹度きつとまた
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
『さうよ』とつてあいちやんは、『私達わたしたち佛蘭西語フランスご音樂おんがくとをならつたわ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
(こゝで、私とつまとがおなじやうにつかれたといふことが、私達わたしたちの間に、大きな悲劇ひげきをもたらした原因げんいんであつた。)——
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
それだからにくいんだよ。あんな事を云って私達わたしたち当付あてつけるつもりなんだから……本当に財産も何も入らないなら自分で何かしたら、善いじゃないか。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私達わたしたち知識ちしきひろ學問がくもんためになる品物しなもの千差萬別せんさばんべつで、その種類しゆるいじつ無限むげんおほいのでありますから、これをみんなひとつの場所ばしよあつめて陳列ちんれつすることは容易よういでありませんし
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
それらの人達ひとたち目間苦めまくるしくつたりたりしてゐたが、ダンスひとがぎつちり鮨詰すしつめになつてゐた。音楽おんがくにつれて、いたりしずんだりする男女だんじよかおが、私達わたしたちにもえるのであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
不良ふりやう少女せうぢよ沒落ぼつらく」といふ標題みだしもとに、私達わたしたち前後ぜんごしての結婚けつこんを×あたりに落書らくがきされてから、みなもうまるねんすごしました。Kさんがまづ母となり、あなたも間もなく母となりました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
祖父おぢいさん、わたしはやがさめました。そのかはり何時いつまでもました。おとうとおそがさめました。そのかはりわたしよりさききました。私達わたしたちいまそのことでつてるところです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「まあ、勿體もつたいないわねえ、私達わたしたちなんのおまへさん……」といひかけて、つく/″\みまもりながら、おしなはづツとつて、與吉よきちむかひ、襷懸たすきがけの綺麗きれいかひなを、兩方りやうはう大袈裟おほげさつてせた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ふん、また一孵ひとかえり、ほかくみがやってたよ、まるで私達わたしたちじゃまだりないかなんぞのようにさ! それにまあ、あのなかの一なんみょうちきりんなかおをしてるんだろう。あんなのここに入れてやるもんか。
「ジウラさん、しつかりなさいよ! 私達わたしたち、助けに来たのよ!」
ラマ塔の秘密 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
私達わたしたちのことを、ほんとに、畜生ちくしやうもないもんだ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
つかれてはいけない。つかれると判断力はんだんりよくがなくなるものだ。私達わたしたちつかれた心でまた家をさがしに出かけていつた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
社交家しやこうかのM、H夫人ふじんが、私達わたしたちのためになに飲料のみものでも斡旋あつせんしやうとして、ボオイにはかつてみたけれど、今夜こんやさわぎなので、これといふものもなかつた。たゞ曹達水そうだすいがあるばかりであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)