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しん
ふりがな文庫
“
神
(
しん
)” の例文
一向
(
ひたぶる
)
に
神
(
しん
)
を労し、思を費して、日夜これを
暢
(
のぶ
)
るに
遑
(
いとま
)
あらぬ貫一は、
肉痩
(
にくや
)
せ、骨立ち、色疲れて、
宛然
(
さながら
)
死水
(
しすい
)
などのやうに沈鬱し
了
(
をは
)
んぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
神
(
しん
)
澄み、心和やかにして、一片の俗情さえも、断じて自分を遮りえないという、こういう境地に辿りつかないでは、うそだと思います。
苦楽:ある人の問いに答えて――絵を作る時の作家の心境について私はこう考えています。
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
神
(
しん
)
凝
(
こ
)
り、
鬼
(
き
)
沈
(
しず
)
み、星斗と相語り、地形と
相抱擁
(
あいほうよう
)
して
倦
(
う
)
むところを知らず。一杯をつくして
日天子
(
にってんし
)
を迎え、二杯を
啣
(
ふく
)
んで
月天子
(
げってんし
)
を顧みる。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
唯だ其性質の天晴
傾城
(
けいせい
)
の
神
(
しん
)
とも言はる可き程なるを見て、紅葉は写実の点より墨を染めたりと言はんより、寧ろ理想上の一紅唇
「伽羅枕」及び「新葉末集」
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
やや長じて東都に遊び、
巴人
(
はじん
)
の門に入りて俳諧を学ぶ。
夜半亭
(
やはんてい
)
は師の名を継げるなり。宝暦の頃なりけん、京に帰りて俳諧漸く
神
(
しん
)
に入る。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
わがこの薬は、
畏
(
かしこ
)
くも
月宮殿
(
げっきゅうでん
)
の
嫦娥
(
じょうが
)
、
親
(
みずか
)
ら伝授したまひし霊法なれば、
縦令
(
たとい
)
怎麼
(
いか
)
なる難症なりとも、とみに
癒
(
いゆ
)
ること
神
(
しん
)
の如し。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
すでに、返り血の
斑点
(
はんてん
)
を身に浴び、剣それ以外に何ものもない、無想境の
神
(
しん
)
に入った弦之丞は、仆れ重なった三個の死体に片足を踏まえて
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木像、
神
(
しん
)
あるなり。神なけれども霊あって来り
憑
(
よ
)
る。山深く、里
幽
(
ゆう
)
に、堂宇
廃頽
(
はいたい
)
して、いよいよ活けるがごとくしかるなり。
一景話題
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
凝重
(
ぎょうちょう
)
穎鋭
(
えいえい
)
の二句、老先生
眼裏
(
がんり
)
の好学生を写し
出
(
いだ
)
し
来
(
きた
)
って
神
(
しん
)
有り。此の
孤鳳皇
(
こほうおう
)
を見るというに至っては、
推重
(
すいちょう
)
も
亦
(
また
)
至れり。詩十四章、其二に曰く
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
嫁のまるでもう余念なさそうに首をかしげて馬小屋の物音に耳を澄ました
恰好
(
かっこう
)
は、いやもう、ほとんど
神
(
しん
)
の
如
(
ごと
)
くでした。
嘘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その後、帰安の一県は大いに治まって、獄を断じ、
訴
(
うった
)
えを
捌
(
さば
)
くこと、あたかも
神
(
しん
)
のごとくであるといって、県民はしきりに知県の功績を賞讃した。
中国怪奇小説集:16 子不語(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『否、
小子
(
それがし
)
こと色に迷はず、
香
(
か
)
にも醉はず、
神
(
しん
)
以
(
もつ
)
て戀でもなく浮氣でもなし、只〻少しく心に誓ひし仔細の候へば』。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
水が通じたというよりも、米友の
神
(
しん
)
が通じたのでしょう、たしかに見直した、もうこっちのものだ——という希望の光が、米友の意気を
壮
(
さか
)
んにしました。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
我儘娘は母親と毎度遣り合った経験上、兵を動かすこと
神
(
しん
)
に入っている。駈け出しの清之介君は到底敵でない。
女婿
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
西日本三十三ヶ国の秤の
司
(
つかさ
)
なる京都の
神
(
しん
)
善四郎と並んで、互に侵すことなく六十余州の権衡を
管轄
(
かんかつ
)
しました。
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
また我等の心、肉を離るゝこと遠く思にとらはるゝこと少なくして、その夢あたかも
神
(
しん
)
に通ずるごとくなる時
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
地に落ちた矢が
軽塵
(
けいじん
)
をも
揚
(
あ
)
げなかったのは、両人の技がいずれも
神
(
しん
)
に入っていたからであろう。さて、飛衛の矢が
尽
(
つ
)
きた時、紀昌の方はなお一矢を余していた。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
〔譯〕
誘掖
(
いうえき
)
して之を
導
(
みちび
)
くは、教の常なり。
警戒
(
けいかい
)
して之を
喩
(
さと
)
すは、教の時なり。
躬
(
み
)
に行うて之を
率
(
ひ
)
きゐるは、教の本なり。言はずして之を化するは、教の
神
(
しん
)
なり。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
神
(
しん
)
を凝らし、もってますます妖怪の
蘊奥
(
うんおう
)
を究め、宇宙の玄門を開き、天地の大道を明らかにし、生死の迷雲を払い、広く世人をして歓天楽地の間に
逍遥
(
しょうよう
)
せしめ
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
天地
(
てんち
)
の二
神
(
しん
)
誓約
(
うけい
)
の
段
(
くだり
)
に
示
(
しめ
)
された、
古典
(
こてん
)
の
記録
(
きろく
)
を
御覧
(
ごらん
)
になれば
大体
(
だいたい
)
の
要領
(
ようりょう
)
はつかめるとのことでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
斯
(
かか
)
ること相話しながら、
神
(
しん
)
を二本の綸に注ぎ、来るか来るかと、待ちわびしが、僅に、
当歳
(
でき
)
魚五六尾挙げしのみにて、
終
(
つい
)
に一刻千金と当てにしたりし日も暮れぬ。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
推するに榛軒は貞白の
神
(
しん
)
定まるを
候
(
ま
)
つて金を授けたのであらう。自ら「嚢物常無半文儲」を歎じつゝも、友を救ふがためには、三十金を投じて惜む色がなかつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
諾威
(
ノルヴエー
)
の詩人ビヨルンソンが山嶽小説を讀む者、皆その若主人公アルネが山中に生長して、山の美、山の靈、山の
神
(
しん
)
にいたく心を動せるを知らざるはあらぬなるべし。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
心悸
臂揺
(
ひよう
)
し、茫然自失して筆を落し続け、写生はお流れ、それからちゅうものは日々憂鬱して
神
(
しん
)
定まらず「
浅茅
(
あさぢ
)
ふの小野の
笹
(
しの
)
原忍ぶれど、余りてなどか人の恋しき」
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「帝は万物の霊を生じ、これをして天功を
亮
(
たす
)
けしむ、
所以
(
ゆえ
)
に志趣は大にして、
神
(
しん
)
は
六合
(
りくごう
)
の中に飛ぶ」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
喜怒哀楽の状目前其の人を見るの興味有らしむるに至りては実に奇絶妙絶舌に
神
(
しん
)
ありと言う可し。
松の操美人の生埋:01 序
(新字新仮名)
/
宇田川文海
(著)
しかもその趣向が太祇の手に移ると、その得意の舞台であるためにそれが活動して描出されるのが、丁度大工や左官が菊五郎の畑であって技、
神
(
しん
)
に迫るのと同様である。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
北斎はその日から客を辞し家に籠もって外出せず、画材の工夫に
神
(
しん
)
を凝らした。——あまりに固くなり過ぎたからか、いつもは湧き出る空想が今度に限って湧いて来ない。
北斎と幽霊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一側面
猶
(
なほ
)
且
(
かつ
)
単純ならず、去れども写して
神
(
しん
)
に入るときは、事物の
紛糾
(
ふんきう
)
乱雑なるものを綜合して一の哲理を数ふるに足る、われ「エリオツト」の小説を読んで天性の悪人なき事を知りぬ
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その隙に盗賊はみるみる遠ざかったので、またあとを追うて行ったが、邪魔な首をふところへ入れてしまったせいか、男の逃げ足の速さはにわかに
神
(
しん
)
か
仙
(
せん
)
か
妖
(
よう
)
か、人間とは思えなんだ。
猿飛佐助
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
けだし
参
(
さん
)
と
信
(
しん
)
との花火芸術の最高を極め精を尽くし
神
(
しん
)
を
凝
(
こ
)
らしたものであった。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
キングス・カレッジの地下室で、一日中
神
(
しん
)
にこたえる高真空の実験に気を張りつめ、くたくたになって帰って来る。そういうときには、肉類よりも、まずこのサラダに手が出るのであった。
サラダの謎
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
印度
(
インド
)
にありては
梨倶吠陀
(
リーグヴエダ
)
(印度古代の経典)の中に、ソーマ
神
(
しん
)
の伝説がある。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
どんなにその人の変装が技
神
(
しん
)
に入ろうとも、大して興味のある話題ではない。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
猶
(
なほ
)
心
怠
(
おこた
)
らず
供養
(
きようやう
)
す。露いかばかり
袂
(
そで
)
にふかかりけん。日は
没
(
い
)
りしほどに、山深き夜のさま
三二
常
(
ただ
)
ならね、石の
牀
(
ゆか
)
木の葉の
衾
(
ふすま
)
いと寒く、
神
(
しん
)
清
(
す
)
み
骨
(
ほね
)
冷
(
ひ
)
えて、
三三
物とはなしに
凄
(
すざま
)
じきここちせらる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
真打
(
しんうち
)
として語った矢野津ノ子の「
双蝶々廓日記
(
ふたつちょうちょうくるわにっき
)
・八幡引窓の段」を、金五郎は恍惚となって聞いた。まだ二十五六歳の青年であるが、その語り口の巧妙さはほとんど
神
(
しん
)
に入っていると思われた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
その効能の顕著なことは、実に
神
(
しん
)
のようだということです。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
なめきっていた相手に、この、
神
(
しん
)
に似た剣腕があろうとは!
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しばらく吾が
神
(
しん
)
を王にせん哉。
木曽駒と甲斐駒
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
蒼ざめたバットの
殻
(
から
)
に
神
(
しん
)
を閉づ
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
むしろ年と共にその騎乗奮戦の技は
神
(
しん
)
に入って、文字どおり
万夫不当
(
ばんぷふとう
)
だ。まったく戦争するために、神が造った不死身の人間のようであった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
神
(
しん
)
ならず、
仙
(
せん
)
ならずして、
然
(
しか
)
も
其
(
そ
)
の
人
(
ひと
)
、
彼處
(
かしこ
)
に
蝶鳥
(
てふとり
)
の
遊
(
あそ
)
ぶに
似
(
に
)
たり、
岨
(
そば
)
がくれなる
尾
(
を
)
の
姫百合
(
ひめゆり
)
、
渚
(
なぎさ
)
づたひの
翼
(
つばさ
)
の
常夏
(
とこなつ
)
。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「眼は見えないけれども、あれは心得たものじゃ、真剣の立合では
神
(
しん
)
に
入
(
い
)
っている、まさに驚くべきものじゃ」
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ひとり探景の詩文のみに就きて云ふにあらず、
凡
(
すべ
)
ての文章が
神
(
しん
)
に入ると神に入らざるとは、即ち此
境
(
さかひ
)
にあり。
松島に於て芭蕉翁を読む
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
天は
神
(
しん
)
をつかさどり、地は
鬼
(
き
)
をつかさどる。神は伸をつかさどり、鬼は
屈
(
くつ
)
をつかさどる。伸は
聚
(
しゅう
)
をつかさどり、屈は散をつかさどる。この二者は万物を生じ、万物を
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
至誠は
神
(
しん
)
を動かすとかうけたまはる。もし我に心のまことがなくば、かれも飽まで我を恨みませうぞ。天下の人に皆まことがあらば、高綱にも不足はござるまいに……。
佐々木高綱
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこで仕方なしに、せめてアノ
神
(
しん
)
凝
(
こ
)
り、
鬼
(
き
)
沈
(
しず
)
んだスバラシイ高踏的な気分だけでも味わいたいものだというので、
古馴染
(
ふるなじみ
)
の茶店から「茶精」というものを買って飲むんです。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
開天行道肇紀立極大聖至神仁文義武俊徳成功高
(
かいてんこうどうちょうきりつきょくたいせいししんじんぶんぎぶしゅんとくせいこうこう
)
皇帝の
諡号
(
しごう
)
に
負
(
そむ
)
かざる
朱元璋
(
しゅげんしょう
)
、
字
(
あざな
)
は
国瑞
(
こくずい
)
の
世
(
よ
)
を
辞
(
じ
)
して、
其
(
その
)
身は地に入り、其
神
(
しん
)
は
空
(
くう
)
に帰せんとするに臨みて、言うところ
如何
(
いかん
)
。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
我翁
(
わがおう
)
行脚
(
あんぎゃ
)
の頃
伊賀越
(
いがごえ
)
しける山中にて猿に小蓑を着せてはいかいの
神
(
しん
)
を
入
(
いれ
)
たまひければ……」
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
(「走れメロス」その義、
神
(
しん
)
に通ぜんとし、「駈込み訴え」その愛欲、地に帰せんとす。)
自作を語る
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
“神”の解説
神(かみ)は、宗教信仰の対象として尊崇・畏怖されるもの。
(出典:Wikipedia)
神
常用漢字
小3
部首:⽰
9画
“神”を含む語句
精神
女神
大神
神人
神々
神社
神秘
海神
鬼神
神聖
雷神
神座
神輿
神主
御神
水神
神巫
魔神
神前
神楽
...