めぐ)” の例文
旧字:
アネルセンに近い——は一八〇五年四月二日に豊かな伝説と古い民謡みんようとにめぐまれているデンマークのオーデンセという町に生れた。
絵のない絵本:02 解説 (新字新仮名) / 矢崎源九郎(著)
勇吉ゆうきちは、このおもいがけないめぐみに、どんなに勇気ゆうきづいたでありましょう。あたまげておれいをいうとすぐさましたのでありました。
一粒の真珠 (新字新仮名) / 小川未明(著)
アネルセンに近い——は一八〇五年四月二日に豊かな伝説と古い民謡みんようとにめぐまれているデンマークのオーデンセという町に生れた。
天平勝宝元年大仏殿において群臣に賜つた勅語にも、「食国をすくに天下あめのしたをば撫で賜ひめぐび賜ふとなも、神ながらおもほす」とある。
君臣相念 (新字旧仮名) / 亀井勝一郎(著)
あはれだとおおもひなすつて、母様おつかさんがおあしめぐむで、肩掛シヨールせておやんなすつたら、ぢいさんなみだおとしてをがむでよろこびましたつて、さうして
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
家庭的にもめぐまれず、年老いてから放浪の旅に出なければならぬような不運が、どうしてこの人を待たねばならぬのか。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
持っているという語は、厳格げんかくにいうと人間を物に見立てたようで面白くないから、天からめぐまれたという方が正しい。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
で、わたくしは一しょう懸命けんめいふか統一とういつはいり、過去かこの一さい羈絆きずなることによりて、一そう自由自在じゆうじざい神通力じんつうりきめぐまれるよう、こころから神様かみさま祈願きがんしました。
ただ有難いことに近畿地方における一つのめぐみは、京都の存在であります。誰も知る通り平安朝この方、実に千有余年の間、歴代の皇都でありました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
……云わばここは我々が幸運の星にめぐり逢うと云うめられたる場所だ。天が我々に与えたもうためぐみのとびらだ。……扉は今や開け放たれねばならない。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
ことによると、かれ世間せけんおもつてゐるほど、経済的けいざいてきめぐまれてゐなかつたのかもれなかつた。そしてそのはうむしろよりおほく、かれをあせらせてゐたかもれなかつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
きのふの雨のやどりの御めぐみに、まことある御方にこそと九九おもふ物から、一〇〇今より後のよはひをもて一〇一御宮づかへし奉らばやと願ふを、一〇二きたなき物に捨て給はずば
こちらは、めぐみぶかい心で、ていねいにつくられているように見えました。こちらのほうには、美しい山々や、低い谷や、ゆるやかにうねっている川がいくつも見えます。
「そりや、ねえさんがかげまわつてめぐんでゐるにちがひない。ハヽヽヽ。にいさんも余っ程呑気だなあ」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
借家しやくやして母屋おもやを取らるゝたとへなるべし、とはこれ大江戸おほえどありがたきめぐみならずや。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
この雨気、久しぶりの雨を地にめぐもうぞ。正成はこれより建水分たけみくまり神前みまえに、さっそく、お礼をのべに参る。——また郎党どもは、手分けして、郷々さとざと名主なぬしへ、同慶のよしを、触れ歩け。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくのごときめぐみが人生の中にかず限りなくあることを常に記憶にそんしておきたい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
創業の元勲として太祖の愛重あいちょうするところとなれるのみならず、西安せいあんに水道を設けては人を利し、応天おうてんに田租を減じては民をめぐみ、誅戮ちゅうりくすくなくすることを勧め、宦官かんがんさかんにすることをいさ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
すべきことを失ったようなぼくは、あなたのことを、やっと具体的に考える機会にめぐまれた訳ですが、ぼくの心のいやしさからか、遠すぎるあなたの代りは、身近くのあてもない享楽きょうらくを求めて
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
「おお神様、あなたの哀れな下僕げぼくめぐみをおれ下さいまし」
空気男 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
「性質のいい乞食こじきなのだ。一飯いっぱんめぐみにあずかりたいのだ」
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しあらば煙草たばこめぐめと
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
とこなつのはなは、自分じぶんだけが、とくにめぐまれたわけではないけれど、太陽たいようたいして、いいしれぬなつかしさをかんじていたのです。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
でも、いまからかんがえれば、わたくしにはこれでも生前せいぜんからいくらか霊覚れいかくのようなものがめぐまれていたらしいのでございます。
「あわれなものにめぐんでやるのじゃ。それほどいい気持のすることはない」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕は、ついに道に行きづまって、神にめぐみをうた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして永久えいきゅうに、ただあいめぐみとしからない、太陽たいようひかりは、いつも、うららかで、あかるく、平和へいわで、ぜんちていました。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
いや、なにごとも時世時節ときよじせつ……こうおあきらめがかんじんじゃ。あのような水音にさえ、はッと心をおくお身の上、さだめしおつらかろうとおさっし申すが、またいつか天運のおめぐみもあろうでな。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのひとは、数年前すうねんぜんに、あのいえまどしたとおった時分じぶんに、しんせつにめぐんでくれたそのひとそっくりでありました。
窓の下を通った男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
決してめぐみはかけぬ心底しんてい、必ず充分な腕を鍛えて来られねば相成らぬ
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ごろから、おとうさんのしゃく八に感心かんしんしている一家いっかのものだけれど、世間せけんひとたちが、はたして自分じぶんたちとおなじように感心かんしんするか、また感心かんしんはしても、かねめぐんでくれるだろうか
青い草 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それに、かわずはあめきで、あめるようにいつもうったえますので、わたしたちはみじかいのちあめのためになやまされるのでございます。どうぞ、おさま、わたしたちをおめぐみください。
太陽とかわず (新字新仮名) / 小川未明(著)
「はい、あげますよ。」と、わかおんなひとが、少年しょうねんにいいました。少年しょうねんは、このおもいがけないめぐみをありがたくおもって、やぶれた帽子ぼうししだすと、おんなはそのなかぜにをいれてくれました。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分じぶんこまっていたのですけれど、まだわずかばかりのかねっていましたので、そのかねなかから幾分いくぶんかを、子供こどもめぐんでやりました。子供こどもは、たいそうよろこんでいくたびもれいをいいました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたし今日きょうから、おまえをいけおうさまにしてやる。それにしては、わたしが、すべてのものにたいしてめぐふかいように、おまえは、いけなかのものにたいして、だれにでもしんせつでなければならない。
太陽とかわず (新字新仮名) / 小川未明(著)
二人ふたりのものに、ものをめぐんでくれたものは、このおじいさん一人ひとりだけでした。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしのちいさな紫色むらさきいろはなきますまでは、どうぞ毎日まいにちのようにおめぐぶかひかりらしてくださいまし。わたしは、いまからそのになって、また毎日まいにちあめるのが気遣きづかわしゅうございます。
太陽とかわず (新字新仮名) / 小川未明(著)
なぜならどんな植物しょくぶつ太陽たいようひかりなか生長せいちょうしたから、そして、ひかりめぐまれ、やわらかなあたたかなつちそだてられながら、どうして、生長せいちょうしないかということは、その理由りゆうがわからなかったからでした。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)