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ふりがな文庫
“
希有
(
けう
)” の例文
「もし、あなた様、
希有
(
けう
)
でござります。確かたった今、
私
(
わたくし
)
が、こちらへお客人をお取次申しましてござりましてござりまするな。」
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ひそかに郵便に附しても善からむに、かく気をかねて
希有
(
けう
)
なる振舞したまふを見れば、この姫こころ狂ひたるにはあらずやとおもはれぬ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
夜半から朝へかけて
希有
(
けう
)
の大暴風雨、深川本所は大出水でつぶれ家は到る所、まことに物凄い大荒れで祭礼はさんざんの始末。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
日本でも大安寺の
勝業
(
しょうごう
)
上人が水観を
成
(
じょう
)
じた時同じく石を投げ入れられて、これは
胷
(
むね
)
が痛んだという談があって、何も
希有
(
けう
)
な談でも何でもない。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
また時節柄、放火が流行するとか、しめりなくして乾きおるとかにて、火の心配たえず心にかかりおれば、かかる夢は
希有
(
けう
)
のことにもあらざるべし。
妖怪報告
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
▼ もっと見る
村川は、すぐ出るのが、本当だと思っていたが、かくれんぼをしているのを口実に、一秒でも二秒でも、長くこうした
希有
(
けう
)
の境遇に、身を置きたい気もした。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
守苑人美女を見て
希有
(
けう
)
の思いをなし速やかに王に告げ、今美貌成就せる少女ありて現に苑内にありという。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
戸棚
(
とだな
)
、
押入
(
おしいれ
)
の
外
(
ほか
)
捜さざる処もあらざりしに、
終
(
つひ
)
に
主
(
あるじ
)
を
見出
(
みいだ
)
さざる老婢は
希有
(
けう
)
なる
貌
(
かほ
)
して又
子亭
(
はなれ
)
に
入来
(
いりきた
)
れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
(本年五十六歳ノ夫ガ四十五歳ノ妻ノ裸体ニカクモ
憧
(
あこが
)
レルトイウヿハ
希有
(
けう
)
ノヿダ。ソレヲ考エテミルガヨイ)第四ノ目的ハ、ソウスルヿニヨッテ彼女ヲ極度ニ
辱
(
はず
)
カシメ
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
荘主
(
あるじ
)
かたりていふ。さきに
二三
下等
(
しづら
)
が御僧を見て、鬼来りしとおそれしも
二四
さるいはれの侍るなり。ここに
二五
希有
(
けう
)
の物がたりの侍る。
二六
妖言
(
およづれごと
)
ながら人にもつたへ給へかし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
もっともそういう連中の中には、修道院でも非常に名の通った、有力な人物も幾人かあった。たとえばその中の一人は、古参の僧で、偉大な無言の行者でかつ
希有
(
けう
)
の禁欲家であった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
この話が伝わると、誰が
発起
(
ほっき
)
ともなく、養生所の新築
披露目
(
ひろめ
)
をかねて、一つ、
希有
(
けう
)
な
大与力
(
だいよりき
)
の隠退を記念する
捕縄供養
(
とりなわくよう
)
をやろうではないか——イヤ、やらせようではないか、と
他
(
はた
)
から騒ぎだした。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おとなの知らない
希有
(
けう
)
の言葉で
青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
妙齡
(
としごろ
)
に
至
(
いた
)
らせ
給
(
たま
)
ひなば、あはれ
才徳
(
さいとく
)
かね
備
(
そな
)
はり、
希有
(
けう
)
の
夫人
(
ふじん
)
とならせ
給
(
たま
)
はん。
即
(
すなは
)
ち、
近
(
ちか
)
ごろの
流行
(
りうかう
)
の
良妻賢母
(
りやうさいけんぼ
)
にましますべし。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ひそかに郵便に附してもよからんに、かく気をかねて
希有
(
けう
)
なる振舞いしたまうを見れば、この姫こころ狂いたるにはあらずやとおもわれぬ。
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
わざわざ誰とも知れぬ人の何時の夢とも知れぬ夢などを死後の消息として書いてあるのは
希有
(
けう
)
なことである。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
支那では余り
希有
(
けう
)
な事でないらしく、おどけ半分に異史氏が評して馬万宝善く人を用ゆる者というべし。児童
蟹
(
かに
)
を面白がるが
鉗
(
はさみ
)
が
畏
(
おそ
)
ろしい。因って鉗を断ちて飼う。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その故は、かかる場合に夢の感通ありしは極めて
希有
(
けう
)
のことにて、人の夢の数と死亡の数とに比較するときは、億万の中にわずかに一度もあるかないかくらいのことにすぎぬ。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
彼の青年の一人は不幸にも Scabies impetiginosum に
冒
(
おか
)
されている。それは、わが国において
希有
(
けう
)
な皮膚病である。ことに艦内の衛生にとっては一つの
脅威
(
メナス
)
である。
船医の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
村方一同寄ると
障
(
さわ
)
ると、立膝に腕組するやら、
平胡坐
(
ひらあぐら
)
で
頬杖
(
ほおづえ
)
つくやら、変じゃ、
希有
(
けう
)
じゃ、何でもただ事であるまい、と薄気味を悪がります。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
天晴
(
あっぱ
)
れ立派に建ったるかな、あら快よき細工振りかな、
希有
(
けう
)
じゃ
未曽有
(
みぞう
)
じゃまたあるまじと為右衛門より門番までも、初手のっそりを
軽
(
かろ
)
しめたることは忘れて讃歎すれば
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
さてアントニウス尊者の伝を究めて吾輩のもっとも
希有
(
けう
)
に感じた一事は、この尊者壮歳父母に死に別れた時、人間栄華一睡の夢と悟って、遺産をことごとく知友貧人に
頒与
(
はんよ
)
し
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
や、二人の羅が、もとの通り、もとの処に
掛
(
かか
)
っている、
尤
(
もっと
)
も女中が来て、掛け直したと思えば、それまでなんですが、まだ
希有
(
けう
)
な気がしたのです。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
貴人の頭上に宝冠を戴くごとく
希有
(
けう
)
の動物の頭にかかる貴重物を授くと信じたからで、後世その出処がほぼ分ってもなお極めて高価な物は竜蛇の頭より出ると信じたのであろう。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
死に近づいている人の口臭は他の何物にも比べ難い
希有
(
けう
)
の香のするもので、俗に仏様くさいと云って怖れ忌むものであるが、まして死んでから幾日か経ったものの口を吸ったのでは
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
こゝに
希有
(
けう
)
な
事
(
こと
)
があつた。
宿
(
やど
)
にかへりがけに、
客
(
きやく
)
を
乘
(
の
)
せた
俥
(
くるま
)
を
見
(
み
)
ると、
二臺三臺
(
にだいさんだい
)
、
俥夫
(
くるまや
)
が
揃
(
そろ
)
つて
手
(
て
)
に
手
(
て
)
に
鐵棒
(
かなぼう
)
を
一條
(
ひとすぢ
)
づゝ
提
(
さ
)
げて、
片手
(
かたて
)
で
楫
(
かぢ
)
を
壓
(
お
)
すのであつた。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
アララット山に神智広大能く未来を言い
中
(
あ
)
つる大仙ありと聞き、自ら訪れて「汝に
希有
(
けう
)
の神智ありと聞くが、どんな
死様
(
しにざま
)
で終るか話して見よ」と問うと、「われは汝に殺されるべし」と答えたので
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
……たか/″\
人間
(
にんげん
)
の
仕事
(
しごと
)
だけに、
羽
(
はね
)
の
有
(
あ
)
る
船頭
(
せんどう
)
を
使
(
つか
)
ふても、
水
(
みづ
)
の
上
(
うへ
)
を
浮
(
う
)
いて
行
(
い
)
くだよ。
何
(
なに
)
も
希有
(
けう
)
がらつしやるには
当
(
あた
)
らぬ。あの
船
(
ふね
)
は、
私
(
わし
)
が
慰楽
(
なぐさみ
)
に
造
(
つく
)
るでがす。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
希有
(
けう
)
ぢやと申して、
邸内
(
ていない
)
多人数
(
たにんず
)
が
立出
(
たちい
)
でまして、力を合せて、
曳声
(
えいごえ
)
でぐいと
曳
(
ひ
)
きますとな……殿様。
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
却説
(
さて
)
、
大雷
(
たいらい
)
の
後
(
あと
)
の
希有
(
けう
)
なる
悲鳴
(
ひめい
)
を
聞
(
き
)
いた
夜
(
よる
)
、
客
(
きやく
)
が
蔀
(
しとみ
)
を
開
(
あ
)
けようとした
時
(
とき
)
の
人々
(
ひと/″\
)
の
顏
(
かほ
)
は……
年月
(
としつき
)
を
長
(
なが
)
く
經
(
へ
)
ても
眼前
(
まのあたり
)
見
(
み
)
るやうな、いづれも
石
(
いし
)
を
以
(
もつ
)
て
刻
(
きざ
)
みなした
如
(
ごと
)
きものであつた。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何とも
希有
(
けう
)
な通りものでござりまして、あの蛍がまたむらむらと、蠅がなぶるように御病人の寝姿に
集
(
たか
)
りますと、おなじ煩うても、美しい人の心かして、夢中で、こう
小児
(
こども
)
のように
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
以前
(
いぜん
)
の
持主
(
もちぬし
)
、
二度目
(
にどめ
)
のはお
取次
(
とりつぎ
)
、
一人
(
ひとり
)
も
仕込
(
しこ
)
んだ
覺
(
おぼ
)
えはないから、
其
(
そ
)
の
人
(
ひと
)
たちは
無論
(
むろん
)
の
事
(
こと
)
、
港
(
みなと
)
へ
出入
(
ではひ
)
る、
國々
(
くに/″\
)
島々
(
しま/″\
)
のものに
尋
(
たづ
)
ねても、まるつきし
通
(
つう
)
じない、
希有
(
けう
)
な
文句
(
もんく
)
を
歌
(
うた
)
ふんですがね
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二度目のはお
取次
(
とりつぎ
)
、一人も仕込んだ覚えはないから、其の人たちは無論の事、港へ出入る、国々島々のものに尋ねても、まるつきし通じない、
希有
(
けう
)
な文句を歌ふんですがね、
検
(
しら
)
べて見ると
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
般若の面の男 (
希有
(
けう
)
なる顔して)禰宜様や、
私
(
わし
)
らが事をおっしゃるずらか。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
居合せましたもの
総立
(
そうだち
)
になって、床下まで
覗
(
のぞ
)
きましたが、どれも札をつけて預りました穿物ばかり、それらしいのもござりませぬで、
希有
(
けう
)
じゃと申出しますと、いや案内に立った唯今の女は
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尚
(
な
)
ほ
恁
(
か
)
くの通りの
旱魃
(
かんばつ
)
、市内は
素
(
もと
)
より
近郷
(
きんごう
)
隣国
(
りんごく
)
、
唯
(
ただ
)
炎の中に
悶
(
もだ
)
えまする時、
希有
(
けう
)
の
大魚
(
たいぎょ
)
の
躍
(
おど
)
りましたは、
甘露
(
かんろ
)
、
法雨
(
ほうう
)
やがて、
禽獣
(
きんじゅう
)
草木
(
そうもく
)
に到るまでも、雨に
蘇生
(
よみがえ
)
りまする
前表
(
ぜんぴょう
)
かとも存じまする。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
渠は例の美しき姿と妙なる
技
(
わざ
)
とをもって、
希有
(
けう
)
の人気を取りたりしかば、即座に越前福井なるなにがしという金主
附
(
つ
)
きて、金沢を打ち揚げしだい、二箇月間三百円にて雇わんとの相談は
調
(
ととの
)
いき。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
案山子
(
かゝし
)
どもは
藁
(
わら
)
の
乱
(
みだ
)
れた
煙
(
けむり
)
の
如
(
ごと
)
く、
前後
(
あとさき
)
にふら/\
附添
(
つきそ
)
ふ。……
而
(
そ
)
して
祠
(
ほこら
)
の
樹立
(
こだち
)
を
出離
(
ではな
)
れる
時分
(
じぶん
)
から、
希有
(
けう
)
な
一行
(
いつかう
)
の
間
(
あひだ
)
に、
二
(
ふた
)
ツ
三
(
み
)
ツ
灯
(
あかり
)
が
点
(
つ
)
いたが、
光
(
ひかり
)
が
有
(
あ
)
りとも
見
(
み
)
えず、ものを
映
(
うつ
)
さぬでも
無
(
な
)
い。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
なおかくの通りの
旱魃
(
かんばつ
)
、市内はもとより近郷隣国、ただ炎の中に
悶
(
もだ
)
えまする時、
希有
(
けう
)
の大魚の躍りましたは、甘露、法雨やがて、
禽獣
(
きんじゅう
)
草木
(
そうもく
)
に到るまでも、雨に
蘇生
(
よみがえ
)
りまする前表かとも存じまする。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
希有
(
けう
)
な
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
くものぢや、
其
(
そ
)
の
理由
(
いはれ
)
は、と
尋
(
たづ
)
ねると、
老人
(
らうじん
)
の
返事
(
へんじ
)
には
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
希有
(
けう
)
な侵入者を見ると、一斉に伝吾に瞳を向けた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
美人も
希有
(
けう
)
なる
面色
(
おももち
)
にて反問せり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婆さんは
希有
(
けう
)
な顔して
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仔細
(
しさい
)
は
希有
(
けう
)
な、……
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仔細は
希有
(
けう
)
な、……
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“希有”の意味
《形容動詞・名詞》
希有(けう、「稀有」の「同音の漢字による書きかえ」)
滅多にないさま。まれであること。
(出典:Wiktionary)
希
常用漢字
小4
部首:⼱
7画
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
“希有”で始まる語句
希有燃料