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布
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きれ
ふりがな文庫
“
布
(
きれ
)” の例文
また、あるものはバータムナスの像のまわりを花環のように取り巻いて、
布
(
きれ
)
のように垂れさがった枝はその像をすっかり
掩
(
おお
)
っていた。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
選んで入れる一つ一つの
布
(
きれ
)
について、そのうたはひろ子の胸に鳴った。そのうたの思いは、このような形で現実の内容をもって来た。
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そそけ
髪
(
がみ
)
の頭をあげて、母は幾日か夢に描きつづけた一男の顔を、じっと眺めた。涙が
一滴
(
ひとしずく
)
、やつれた頬を
伝
(
つた
)
って、枕の
布
(
きれ
)
を
濡
(
ぬら
)
した。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
また両の耳は、昔
流行
(
はや
)
ったラジオのラッパのように顔の側面に取りつけられ、前を向いたラッパの口には黒い
布
(
きれ
)
で覆いがしてあった。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
練り絹の裾だけに、堂や塔や伽藍や、武器だの鳥獣だのの刺繍をしている、白の
被衣
(
かつぎ
)
めいた長い
布
(
きれ
)
を、頭からなだらかに冠っていた。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
ダンスにはちがいないんだが、パァトナアをぼろっ
布
(
きれ
)
のように投げたり、ひきよせたり、ぐるぐる廻したり、たいへんな力技なんだ。
だいこん
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そのわけは、赤児を包んでいる
布
(
きれ
)
は
緞子
(
どんす
)
という立派な布で、お神さんが城下のお寺で、一度見たことがあるからということでした。
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
京助はもとよりこれに
就
(
つい
)
ても不審を抱かなかった。そうして
雪白
(
せっぱく
)
の
布
(
きれ
)
のかかって居るテーブルに着いて、ビーフステーキを食べた。
死の接吻
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
調べると、この間から主人が盜まれたと言つてゐた五十兩の小判が、泥のついたまゝ、ボロ
布
(
きれ
)
に包んで、
行李
(
かうり
)
の底に隱してあつたんです
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこでエミリアンは、さつそく町の方へいつて、大きな
鳥籠
(
とりかご
)
と、それをつゝむ黒い
布
(
きれ
)
と、
黄楊
(
つげ
)
の青葉をたくさん、買ひこんできました。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
何のためらいなく、
被
(
おお
)
われている物をズルズルと引っ張りだしてみると、その夕べ、弦之丞が
面
(
おもて
)
をくるんでいた紫紺色の頭巾の
布
(
きれ
)
……。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
芭蕉も今日に生れたとすれば、やはり本文は九ポイントにするとか、表紙の
布
(
きれ
)
は木綿にするとか、考案を
凝
(
こ
)
らしたことであらう。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
奈美子
(
なみこ
)
は
白
(
しろ
)
い
布
(
きれ
)
で
頭
(
あたま
)
をくる/\
捲
(
ま
)
いて、
寂
(
さび
)
しい
彼
(
かれ
)
の
送別
(
そうべつ
)
の
席
(
せき
)
につれ
出
(
だ
)
されて、
別室
(
べつしつ
)
に
待
(
ま
)
たされてゐたことなぞも、
仲間
(
なかま
)
の
話柄
(
わへい
)
に
残
(
のこ
)
された。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
暫らくすると女主人が入って来た。かなり老年の婦人で、急いで被ったらしい
頭巾
(
ずきん
)
をつけて、頸にフランネルの
布
(
きれ
)
を捲いていた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
それから、
布
(
きれ
)
をすつかり拡げて見ると墨竹があしらつてある。が、これは寿の字以上に
一気呵成
(
いつきかせい
)
で、ほとんど怒つて描いたやうな勢である。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
これは
布
(
きれ
)
の様子と油染みた所とから見ると、水夫が
辮髪
(
べんぱつ
)
を縛る紐らしい。それにこの結玉を見給へ。これは水夫でなくては出来ない結方だ。
病院横町の殺人犯
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
そうしたらぼくのそばに
寝
(
ね
)
ているはずのおばあさまが何か黒い
布
(
きれ
)
のようなもので、
夢中
(
むちゅう
)
になって戸だなの火をたたいていた。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
寝台の脚にかけたフランネルの
布
(
きれ
)
で靴を磨き上げた。自動車のマットで念入りに、拭い上げておいたものではあったが……。
けむりを吐かぬ煙突
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
後甲板に活動写真をしているのを見に行く、写真のうつる
布
(
きれ
)
が風に吹かれているので、映写は
始終中
(
しょっちゅう
)
はためきどおしである。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
傍
(
そば
)
には
白
(
しろ
)
い
布
(
きれ
)
を
被
(
き
)
せた
讀經臺
(
どきやうだい
)
が
置
(
お
)
かれ、一
方
(
ぱう
)
には
大主教
(
だいしゆけう
)
の
額
(
がく
)
が
懸
(
か
)
けてある、
又
(
また
)
スウャトコルスキイ
修道院
(
しうだうゐん
)
の
額
(
がく
)
と、
枯
(
か
)
れた
花環
(
はなわ
)
とが
懸
(
か
)
けてある。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
手にしていた紅い
布
(
きれ
)
を傍にやってほつれ髪を掻きあげながら、ほうっとした顔付で三味線にあわせて口ずさむ女もあろう。
夕暮の窓より
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
サモワルはいつものやうに、綺麗に手入れがしてあつて、卓に被つてある
布
(
きれ
)
も雪のやうに白い。パンは柔かさうに
褐色
(
かちいろ
)
に焼けてゐて、薫が好い。
板ばさみ
(新字旧仮名)
/
オイゲン・チリコフ
(著)
先生の食卓には常の欧洲人が必要品とまで認めている白布が
懸
(
かか
)
っていなかった。その代りにくすんだ
更紗形
(
さらさがた
)
を置いた
布
(
きれ
)
がいっぱいに
被
(
かぶ
)
さっていた。
ケーベル先生
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
口辺を
蔽
(
おお
)
うて居る頭巾の
布
(
きれ
)
が、息の為めに熱く
湿
(
うるお
)
って、歩くたびに長い縮緬の腰巻の
裾
(
すそ
)
は、じゃれるように脚へ
縺
(
もつ
)
れる。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ええ、ええ、それは申すまでもございません。へえ、毎朝お蔵から出して台へ並べる時に、手前自身で
紅絹
(
もみ
)
の
布
(
きれ
)
で
丹念
(
たんねん
)
に拭きますんで、へえ。」
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
婦
(
をんな
)
が、
白
(
しろ
)
い
優
(
やさ
)
しい
片手
(
かたて
)
で
立
(
た
)
つ
時
(
とき
)
、
眼
(
め
)
を
拭
(
ふ
)
いた
布
(
きれ
)
が
姿
(
すがた
)
を
偲
(
しの
)
ぶ……
其
(
そ
)
の
紅絹
(
もみ
)
ばかり、ちら/\と……
蝶
(
てふ
)
のやうに
靄
(
もや
)
を
縫
(
ぬ
)
ひ……
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
主婦
(
あるじ
)
のお利代は盥を門口に持出して、
先刻
(
さつき
)
からパチャ/\と洗濯の音をさしてゐる。智惠子は白い
布
(
きれ
)
を膝に披げて、餘念もなく針を動かしてゐた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
椅子のそばには白いテエブル掛をかけた小さな食卓が据えてあって、茶碗や、土瓶や、小皿や、
布
(
きれ
)
をかけた料理のお皿などが並べられてあります。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
と慌てゝ頭巾の裏を返して見ると、白羽二重の
布
(
きれ
)
が縫付けて有りまして、それへ朱印が押してございますのを
熟々
(
つく/″\
)
視
(
み
)
て
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これを硝子の水筒に飼育して、色さま/″\な
布
(
きれ
)
の片々を沈めてやると、彼等はそれを水面まで引きあげる。水の表面に達すると慌てゝそれを離す。
サンニー・サイド・ハウス
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「おいおい
危
(
あぶな
)
い!」腕に青い
布
(
きれ
)
をつけた巡査がそう言って、留吉を電車線路から押しだして、
路
(
みち
)
よりもすこし小高くなった敷石の上へ連れていって
都の眼
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
粗末
(
そまつ
)
な
布
(
きれ
)
の
下衣
(
したぎ
)
しか
着
(
き
)
てゐないで、
足
(
あし
)
には
何
(
なに
)
も
履
(
は
)
かず、
眼
(
め
)
は
落着
(
おちつ
)
いてゐて、
別
(
べつ
)
に
驚
(
おどろ
)
いた
風
(
ふう
)
も
無
(
な
)
く、こちらを
見上
(
みあ
)
げた。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
墓地には、ひがん
花
(
ばな
)
が、赤い
布
(
きれ
)
のようにさきつづいていました。と、村の方から、カーン、カーン、と、
鐘
(
かね
)
が鳴って来ました。葬式の出る
合図
(
あいず
)
です。
ごん狐
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
此時焼跡から帰って来た巡査部長が白い
布
(
きれ
)
の上に拡げた焼け残りのガラクタの中に、
歪
(
ひず
)
んだ、吸入器の破片があった。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
どの家にも必ず付いている
物干台
(
ものほしだい
)
が、
小
(
ちいさ
)
な菓子折でも並べたように見え、干してある赤い
布
(
きれ
)
や並べた鉢物の
緑
(
みど
)
りが、光線の
軟
(
やわらか
)
な薄曇の昼過ぎなどには
銀座
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
目の下には、まるで、とても大きな
布
(
きれ
)
がひろげられているようです。そして、その布は、大小さまざまの、かぞえきれない四角い形にわかれています。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
わたくしは小石川田町の何とかと云つた呉服屋から大幅の
金巾
(
かなきん
)
の
布
(
きれ
)
を買い求め、下宿に帰つて、鏡におのが姿を写し、顔をしかめて画像のモデルとした。
本の装釘
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
起きてすぐ、ギタを、
布
(
きれ
)
で
磨
(
みが
)
いた。いとこの慶ちゃんが遊びに来た。商大生になってから、はじめての御入来である。新調の洋服が、まぶしいくらいだ。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そして恐る恐る扉を開けた。この室は他の室とは違っている。壁には
肘掛
(
ひじかけ
)
の
布
(
きれ
)
があり、
床
(
とこ
)
には絨氈が敷いてある。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
わたしが注意したけれども、
肯
(
き
)
かないではいってしまったと言うのです。それはどんな人たちだと訊くと、新聞とかいた白い
布
(
きれ
)
を腕にまいていたと言う。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その玩具棚の一番前の棚には、白い
布
(
きれ
)
のふとんの上に高さ二尺もあろうという大きな人形が一つすえられていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
眼の下に動く兵卒等の軍帽を包んだ紺の
布
(
きれ
)
や、防寒用の新服はいずれも
酷
(
ひど
)
く汚れて、風雪の労苦が思いやられた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その女達は暗くなつてから、腰卷や襦袢の
布
(
きれ
)
などを買つてもどつてきた。いゝ聲で、何人もで、歌をうたつてくるので、それとすぐ、家の中にゐる人には
防雪林
(旧字旧仮名)
/
小林多喜二
(著)
更に解いた着物の
布
(
きれ
)
をしんし張にする為に、
端縫
(
はぬ
)
ひすることや、簡単な紐のくけ方などをも教はつた。そして私もこんな仕事にかなりの興味をもつ様になつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
お
爺
(
とっ
)
さん、手拭を持っているかい、その手拭を河原へ行って
濡
(
ぬ
)
らしておいで、
絞
(
しぼ
)
らないでいいよ、それから、足へ捲く
布
(
きれ
)
が欲しいな、その三尺で結構、ナニ、
晒
(
さらし
)
を
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そんなことが何のあてになろう。(沖を見る。ふるえる)どうしたのだ。(打ち負かされたるごとく)あの船の帆は
死骸
(
しがい
)
の顔にかける白い
布
(
きれ
)
のようにわしに見える。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
わたしの見たいのは、役者が白い
布
(
きれ
)
をかぶって一つの蛇のような蛇の精を両手に捧げているのと、もう一つは黄いろい
著物
(
きもの
)
を
著
(
き
)
た虎のような虎が躍り出すことである。
村芝居
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
彼の頭は
嫁菜
(
よめな
)
の汁で染められた
藍色
(
あいいろ
)
の
苧
(
からむし
)
の
布
(
きれ
)
を巻きつけ、腰には継ぎ合した
鼬
(
いたち
)
の皮が
纏
(
まと
)
われていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
それはボール紙を切りぬいてこしらへたのですけれど、それでも着物は上等のいゝ
布
(
きれ
)
で出来てゐて、くびから肩へかけて、細い青いリボンの
襟
(
えり
)
かざりがつけてあります。
一本足の兵隊
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
僕等は
埃及
(
エヂプト
)
模様の
粗樸
(
そぼく
)
な
趣
(
おもむき
)
のある
布
(
きれ
)
を数枚買つた。絵葉書屋へ
入
(
はひ
)
ると奥まつた薄暗い
一室
(
ひとま
)
へ客を連れ込んで極端な怪しい写真を売附けようとするので驚いて逃げ出した。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
“布”の意味
《名詞》
(ぬの)綿や絹といった繊維から織り上げたもの。衣服などの材料となる。
(出典:Wiktionary)
“布”の解説
布(ぬの)とは
織物の総称。織ったもののこと。古くは、(絹(絹織物)と対比して)麻・葛 (くず) などで織ったものを「布」と言っていたが、のちに木綿も含めた。
(広く)繊維類を薄く加工したもの。(織物に限らず、メリヤス生地やレース(編み物の類)、フェルト、不織布まで含めた概念)
(出典:Wikipedia)
布
常用漢字
小5
部首:⼱
5画
“布”を含む語句
毛布
麻布
被布
白布
赤毛布
絹布
画布
頭布
敷布
帆布
布地
財布
布片
小布
撒布
卓布
垂布
昆布
布衣
上布
...