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已
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や
ふりがな文庫
“
已
(
や
)” の例文
どうか諸君も共に、この文明的運動の
新手
(
あらて
)
となって我々の働きに
一臂
(
いっぴ
)
の力を添えられんことを我輩は希望して
已
(
や
)
まぬ(拍手大喝采)。
吾人の文明運動
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
私の個性は或る
已
(
や
)
みがたい力に促されて、新たなる存在へ躍進しようとする。その力の本源はいつでも内在的である。内発的である。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
咽喉
(
のど
)
から流れるままに口の中で
低唱
(
ていしやう
)
したのであるが、
其
(
そ
)
れによつて
長吉
(
ちやうきち
)
は
已
(
や
)
みがたい心の苦痛が
幾分
(
いくぶん
)
か
柔
(
やはら
)
げられるやうな
心持
(
こゝろもち
)
がした。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
けれども、
此方
(
こちら
)
の請求を
容
(
い
)
れて下さらなければ
已
(
や
)
むを得んので、実は事は穏便の方が双方の利益なのですから、更に御一考を願ひます
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
で
已
(
や
)
むを得ず、ポーはジヨン、アランといふ
煙学者
(
えんがくしや
)
に養はれることになりました。がポーは間もなくそこを離れてしまつたのです。
ポーの片影
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
これは我が
国風
(
こくふう
)
でもあり、第一には武士道の感化でもあろうが、それだけに我がかたき討なるものが甚だ単調になるのは
已
(
や
)
むを得ない。
かたき討雑感
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
子供
(
こども
)
には、
話
(
はな
)
した
跡
(
あと
)
でいろ/\の
事
(
こと
)
を
問
(
と
)
はれて、
私
(
わたくし
)
は
又
(
また
)
已
(
や
)
むことを
得
(
え
)
ずに、いろ/\な
事
(
こと
)
を
答
(
こた
)
へたが、それを
悉
(
こと/″\
)
く
書
(
か
)
くことは
出來
(
でき
)
ない。
寒山拾得縁起
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
いささか幻滅の悲哀を感じながら、
已
(
や
)
むを得ず昨夜のスケッチを牛太郎に見せると、まあ、若太夫さんでしょう、ということになった。
ヒウザン会とパンの会
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
腕も抜群ですが、何よりの特色はその
軽捷
(
けいしょう
)
な身体で、もう一つの特色は、妨げる者は殺さずんば
已
(
や
)
まない、鬼畜のごとき残虐性でした。
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
既に幾たびも君が学資に窮して、休学の
已
(
や
)
むを得ざらんとするごとに、常に
仏
(
フランス
)
文の手紙が
添
(
そっ
)
て、
行届
(
ゆきとど
)
いた
仕送
(
しおくり
)
があったではないか。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いまだほどへざるに悲鳴
已
(
や
)
み、これに代えてさらに怖るべき物の
音
(
ね
)
を聞き出でたるがごとく、恐怖の流れ、
漲
(
みなぎ
)
り脈打つがごとき間。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
「
今日
(
けふ
)
は少し装置が狂つたので晩の実験は
已
(
や
)
めだ。是から本郷の方を散歩して帰らうと思ふが、君どうです一所にあるきませんか」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
理由なくママを
辱
(
はず
)
かしめ、木村さんを苦しめたと云ってパパを非難して
已
(
や
)
まないので、「そういうことに娘が立ち入って貰いたくない」
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
初めて
吻
(
ほっ
)
として、嬢は深い深い溜息を
吐
(
つ
)
いた。一昨日伯爵夫人を追跡したことから、
已
(
や
)
むを得ず警察局員に手錠をかけてもらったこと。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
それが彼女から取上げられて、家庭の不幸は生じたのであるが、それはやはり女の労働の軽減と、比例していたのだから
已
(
や
)
むを得ない。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
妻にして貞操を破るとすれば
忽
(
たちま
)
ち家庭の不和を生ぜずには
已
(
や
)
むまい。子女の教育についても母が正義の規範を示す資格を欠くことになる。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
已
(
や
)
むを得ず二束三文に売り飛ばすと、あとは商品を仕入れる余裕がないから、屑屋同様になって店を仕舞うという有様であった。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
帝
之
(
これ
)
を
然
(
さ
)
なりとは
聞召
(
きこしめ
)
したりけれど、
勢
(
いきおい
)
既に定まりて、削奪の議を取る者のみ
充満
(
みちみ
)
ちたりければ、
高巍
(
こうぎ
)
の説も用いられて
已
(
や
)
みぬ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
知られで永く
已
(
や
)
みなんこと
口惜
(
くちを
)
しく、
一
(
ひとつ
)
には妾が
眞
(
まこと
)
の心を打明け、且つは御身の恨みの程を承はらん爲に茲まで迷ひ來りしなれ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
已
(
や
)
むなく帰省して見れば、両親は
交々
(
こもごも
)
身の老衰を打ち
喞
(
かこ
)
ち、家事を監督する気力も
失
(
う
)
せたれば何とぞ
家居
(
かきょ
)
して万事を処理しくれよという。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
一、死して後
已
(
や
)
むの四字は、言簡にして義広し。堅忍果決にして、
確乎
(
かっこ
)
として抜くべからざるものは、これを
舎
(
お
)
きて術なきなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
彼が
躊躇
(
ちゅうちょ
)
するのを見た
長老
(
ルバック
)
の従者が、怒って棒切を投げつけ、彼の左の目を傷けた。
已
(
や
)
むを得ず、彼は鱶の泳いでいる水の中に跳び込んだ。
南島譚:01 幸福
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
〔譯〕
雲煙
(
うんえん
)
は
已
(
や
)
むことを得ざるに
聚
(
あつま
)
る。
風雨
(
ふうう
)
は已むことを得ざるに
洩
(
も
)
る。
雷霆
(
らいてい
)
は已むことを得ざるに
震
(
ふる
)
ふ。
斯
(
こゝ
)
に以て
至誠
(
しせい
)
の
作用
(
さよう
)
を
觀
(
み
)
る可し。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
母は薄暗い
行燈
(
あんどう
)
のかげでつづれをさしたり、網の
繕
(
つくろい
)
をしたりすると、お光は学校
已
(
や
)
めて後も
矢張
(
やっぱり
)
手習読書をせっせと勉強する。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
されば管理部は終にわれら従軍者のために宿舎を与へざりしなり。宿舎を与へられざれば
已
(
や
)
むなく従軍者自ら周旋して宿舎を借りたるなり。
従軍紀事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
どうもそれは
已
(
や
)
むを得ないことだと思った、それに我輩が誰れが何といって来ても芝居や映画等に同意しなかったものだから
生前身後の事
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
四宮理学士の絞殺も同一手段で行われたのであったが、学士が女史の
犯跡
(
はんせき
)
を握っていたので、
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず殺害したものらしい。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
但しこは彼が、好みて我より隱れしにあらず、
已
(
や
)
むをえざるにいづ、人間の
的
(
まと
)
よりもその思ふところ高ければなり 四〇—四二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
やはり海の中で物を失ったと一つ事であるから
已
(
や
)
むなくそのままにしてだんだん進んで、どうか今夜はテントのある辺まで着きたいもんだ
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
寒月君が「ちと
衒
(
てら
)
うような気味にもなりますから
已
(
や
)
めに致します。四百六十五行から四百七十三行を御覧になると分ります」
寒月の「首縊りの力学」その他
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
仮令
(
たとえ
)
親戚から離れ、人から
爪弾
(
つまはじ
)
きせられ、全く自分一人に生きなければ成らないような時が来ようとも、彼としてはそれも
已
(
や
)
むを得なかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
酋長は最初軍事的であるが後には政治的になつて来て、自分でその慾望に応じて獲得することを
已
(
や
)
めて、他の人々から支給をうけるやうになる。
社会的分業論
(新字旧仮名)
/
石川三四郎
(著)
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず、
松
(
まつ
)
の
東面
(
とうめん
)
の
方
(
はう
)
に
坑
(
あな
)
を
開
(
ひら
)
かうとして、
草原
(
くさはら
)
を
分
(
わ
)
けて
見
(
み
)
ると、
其所
(
そこ
)
に
掘
(
ほ
)
り
掛
(
か
)
けの
小坑
(
せうかう
)
がある。
先度
(
せんど
)
幻翁
(
げんおう
)
が
試掘
(
しくつ
)
して、
中止
(
ちうし
)
した
處
(
ところ
)
なのだ。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
皆自ら薦むるに急にして押し合ひ、一人も朗読の機会を得ずして
已
(
や
)
む。一人ありて短き句を唱へて、抜足しつゝ過ぎ去る。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
クロッツ家を訪うと、女中が出て来て、皆さんが留守ですからといって拒絶したが、警察からだときいて、
已
(
や
)
むなくプライスたちの自由に任せた。
恐ろしき贈物
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
五形と書くゲンゲの方なら、一望の野を美しくするかと思うが、作者が御形と書いている以上、やはりハハコグサの
眺
(
ながめ
)
と解して
已
(
や
)
むべきであろう。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
わたくしには
已
(
や
)
むに已まれぬ訴えが胸にあるのです。この若い時代から一味の滋液が流れてわたくしの心に入ります。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
此の如きの輩もと学術の何たるを知らざるもの
須
(
すべから
)
くその面に唾すべしといへどもまた勢の
已
(
や
)
むべからざるなきに非ず。
史論の流行
(新字旧仮名)
/
津田左右吉
(著)
彼等が悟を説くや、到底城見物の案内者が、人を導きて城の
外濠
(
そとぼり
)
内濠をのみ果てしなく
廻
(
めぐ
)
り廻りて、
竟
(
つひ
)
に其の本丸に到らずして
已
(
や
)
める趣きあるなり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
ただ、いつの場合も、病後の静養か、仕事のためが多かったから、
已
(
や
)
むを得ざる旅であったとも云えない事はない。
解説 趣味を通じての先生
(新字新仮名)
/
額田六福
(著)
印度洋の
彼
(
かの
)
不可思議
(
ふかしぎ
)
な色をして
千劫
(
せんごう
)
万劫
(
まんごう
)
已
(
や
)
む時もなくゆらめく
謎
(
なぞ
)
の様な
水面
(
すいめん
)
を
熟々
(
つくづく
)
と見て居れば、引き入れられる様で、吾れ知らず飛び込みたくなる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「どうもそのね、北原君は
已
(
や
)
むを得ない仕事があって忙しいんで、困ってる。麦酒は
明日
(
あした
)
にしてもらえんかね。」
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
アヽ、諸君、——僕の言を借用なさらぬは、
必竟
(
ひつきやう
)
僕が平素の不徳に依るですから、
已
(
や
)
むを得ないです、が、先生を
間諜
(
かんでふ
)
と認めたのは、僕の観察では無い
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
決して立腹しないから真実のところを打ち明けてくれ、と、パトロンは頻りに妹を責めるので、
已
(
や
)
むなく吉川さんとの関係を白状してしまったそうですわ。
青い風呂敷包
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
(七一)
之
(
これ
)
に
彊
(
し
)
ふるに
其
(
そ
)
の
必
(
かなら
)
ず
爲
(
な
)
さざる
所
(
ところ
)
を
以
(
もつ
)
てし、
之
(
これ
)
を
止
(
とど
)
むるに
其
(
そ
)
の
已
(
や
)
む
能
(
あた
)
はざる
所
(
ところ
)
を
以
(
もつ
)
てする
者
(
もの
)
は
身
(
み
)
危
(
あやふ
)
し。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
自分
(
じぶん
)
の
收入以上
(
しうにふいじやう
)
の
暮
(
くら
)
しをして、
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ぬから
借金
(
しやくきん
)
を
續
(
つゞ
)
けて
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事態
(
じたい
)
であるからして、
左樣
(
さやう
)
な
状態
(
じやうたい
)
の
國
(
くに
)
には
金
(
かね
)
は
貸
(
か
)
さぬと
云
(
い
)
ふのが
英米
(
えいべい
)
の
立前
(
たてまへ
)
である。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
もしこれに応ぜずんば、
已
(
や
)
むなく政府は新自由党貴族を沢山作って貴族院に根本的改革を加うべしと威嚇した。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
もしまた
已
(
や
)
むに已まれない思いや心持があって、しかもそれが書けないのだとわかったら、それはむしろ一行の文章すら出来なかったのが不思議なのである。
文章を作る人々の根本用意
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
(『
無量寿経
(
むりょうじゅきょう
)
』に曰く、「
生死
(
しょうじ
)
の流転、
休止
(
くし
)
あることなし」と。また曰く、「生死窮まり
已
(
や
)
むことなし」と)
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
そして O
b
がゼロであることを
已
(
や
)
める以前に D
b
がゼロとなって、解法不能となるのでなければ
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
已
漢検1級
部首:⼰
3画
“已”を含む語句
已前
而已
已来
不得已
已下
已來
已上
已後
生滅滅已
已達
漢防已
而已歟
而已成
族而已
身子已是酥麻了
逝者已如水
我而已
成法已講
怨親已作平等心
已矣
...