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ほんそう
ふりがな文庫
“
奔走
(
ほんそう
)” の例文
悪罵
(
あくば
)
、
奔走
(
ほんそう
)
、
駈引
(
かけひ
)
きは、そののち永く、ごたついて尾を引き、人の心を、生涯とりかえしつかぬ程に
歪曲
(
わいきょく
)
させてしまうものであります。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼はすぐその朝から、
奔走
(
ほんそう
)
を始めようと決心した。パリーにはただ二人の知人があるばかりだった。二人とも同国の青年だった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そこは余が
奔走
(
ほんそう
)
して、見事にまとめて見せるから、その代り、園絵を神保へつかわすことは、そちの働き一つじゃ。よろしく頼む
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
で、あっちこっちと
奔走
(
ほんそう
)
しましたが相当の金を費やせばまた道の明くもので、ようやくネパールへ入る手続きだけは出来ました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そこには、お
三輪
(
みわ
)
と
乙吉
(
おときち
)
が、預けられていた。そして
常木鴻山
(
つねきこうざん
)
は、居所もさだめず、何かの
画策
(
かくさく
)
のため、
奔走
(
ほんそう
)
しているという。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
あの「半七塚」を造ったのは私であるが、いま「銭形平次塚」を神田明神に造ろうという話があって、守田勘弥君などが
奔走
(
ほんそう
)
してくれている。
平次と生きた二十七年
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おお、先生はよく覚えていて下さいました。実は、私もあの事件に関係がある人間なので捜査に
奔走
(
ほんそう
)
しましたが……」
空中墳墓
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そのころ町々は町会議員の選挙で
鼎
(
かなえ
)
のわくがごとく
混乱
(
こんらん
)
した、あらゆる商店の主人はほとんど店を
空
(
から
)
にして
奔走
(
ほんそう
)
した。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
が、残念なことには京阪の間を
奔走
(
ほんそう
)
すること三ヵ月、未だ
慶喜
(
よしのぶ
)
公に
見
(
まみ
)
えざるに、藩の有力者の手に
捕
(
とら
)
えられてそのまま国元へ送り返されてしまったのだ。
青年の天下
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
正作は五郎のために、
所々
(
しょしょ
)
奔走
(
ほんそう
)
してあるいは商店に入れ、あるいは
学僕
(
がくぼく
)
としたけれど、五郎はいたるところで失敗し、いたるところを逃げだしてしまう。
非凡なる凡人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
一別
(
いちべつ
)
以来の
挨拶振
(
あいさつぶ
)
りも、前年の悪感情を抱きたる様子なく、今度
浅草鳥越
(
あさくさとりごえ
)
において興業することに決し、御覧の如く一座の者と共に広告に
奔走
(
ほんそう
)
せるなり
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
休憩時間
(
きふけいじかん
)
には
控所
(
ひかえじよ
)
の
大勢
(
おほぜい
)
の中を
奔走
(
ほんそう
)
して
売付
(
うりつ
)
けるのです、
其頃
(
そのころ
)
学習院
(
がくしうゐん
)
が
類焼
(
るいしやう
)
して
当分
(
たうぶん
)
高等中学
(
こうとうちうがく
)
に
合併
(
がつぺい
)
して
居
(
ゐ
)
ましたから、
此
(
こゝ
)
へも持つて行つて
推売
(
おしう
)
るのです
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
仙台で生まれて、維新の時には国事に
奔走
(
ほんそう
)
して、明治になってからここに来て、病院を建てて、土地の者に慈父のように思われたという人の
石碑
(
せきひ
)
もあった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
安値
(
あんちよく
)
の
報酬
(
はうしう
)
で
學科
(
がくくわ
)
を
教授
(
けうじゆ
)
するとか、
筆耕
(
ひつかう
)
をするとかと、
奔走
(
ほんそう
)
をしたが、
其
(
そ
)
れでも
食
(
く
)
ふや
食
(
く
)
はずの
儚
(
はか
)
なき
境涯
(
きやうがい
)
。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そんな
状況
(
じょうきょう
)
であるから、
営業
(
えいぎょう
)
どころの
騒
(
さわ
)
ぎでない。自分が
熱心
(
ねっしん
)
奔走
(
ほんそう
)
してようやく
営業
(
えいぎょう
)
は人にゆずりわたした。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
この、韓国民の教育をはかるといる大目的のために、また一つには、私は本国の義兵参謀中将ですから、こうしてこの三年間、国事に
奔走
(
ほんそう
)
しているのであります。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
口数の少ない
曾
(
かつ
)
ての彼を
見馴
(
みな
)
れてゐるわれわれは、それだけで十分満足した。やがて、交際ずきなHの
細君
(
さいくん
)
の
奔走
(
ほんそう
)
で、知合ひの夫人や令嬢を招いての夜会になつた。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
時光寺は本来小さい寺である上に、住職が本山反対運動に
奔走
(
ほんそう
)
しているので、その内証は余程苦しい。まして寺社奉行へでも持ち出すとすれば、また相当の費用もかかる。
半七捕物帳:25 狐と僧
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
宿のあるじの
奔走
(
ほんそう
)
で交趾へ行く船が見つかった。古ぼけた漳州(シンガポール)の二櫓船で、故郷へ帰る安南人が百人ほど広くもない胴ノ間に押せ押せに詰めあっている。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼は勝見の家を出ると定めてから、二三日間といふものは殆ど是が爲に
奔走
(
ほんそう
)
して暮した。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
ところが帰るや否や私は衣食のために
奔走
(
ほんそう
)
する義務がさっそく起りました。私は高等学校へも出ました。大学へも出ました。後では金が足りないので、私立学校も一
軒
(
けん
)
稼
(
かせ
)
ぎました。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其後
(
そののち
)
數年間
(
すうねんかん
)
は
春夏
(
しゆんか
)
の
際
(
さい
)
折々
(
をり/\
)
行
(
おこな
)
ふに
過
(
す
)
ぎざりしが、二十五六
歳
(
さい
)
の
頃
(
ころ
)
醫
(
い
)
を
以
(
もつ
)
て
身
(
み
)
を
立
(
た
)
つるに
及
(
およ
)
び、
日夜
(
にちや
)
奔走
(
ほんそう
)
の
際
(
さい
)
頭痛
(
づつう
)
甚
(
はなはだ
)
しき
時
(
とき
)
は
臥床
(
ふしど
)
に
就
(
つ
)
きし
事
(
こと
)
屡
(
しば/\
)
なりしが、
其
(
その
)
際
(
さい
)
には
頭部
(
とうぶ
)
を
冷水
(
れいすゐ
)
を
以
(
もつ
)
て
冷却
(
れいきやく
)
し
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
どうかして勤め口を見つけ
様
(
よう
)
と、人にも頼み自分でも
奔走
(
ほんそう
)
しているのだけれど、折柄の不景気で、学歴もなく、手にこれという職があるでもない彼の様な男を、
傭
(
やと
)
って
呉
(
く
)
れる店はなかった。
夢遊病者の死
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
サンドウィッチや弁当を食べた
後
(
のち
)
谷川の水で口を
嗽
(
すす
)
ぎさえすれば一日
奔走
(
ほんそう
)
しておっても決して水を飲むに及びません。夏の炎天に山を登るのでも今の通りにしておれば水を飲まずに済みます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
彼はしきり無しに負け、その
追償
(
おいじき
)
の
奔走
(
ほんそう
)
にミチは疲れ、若い二人は転落する二つの石の様に堕ちて行く先が知れなかった。ミチは勇の転落に引きずられ、ぎりぎりの処まで追い詰められて居た。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
請
(
こ
)
はゞやと
奔走
(
ほんそう
)
せしかどそれすらも
調
(
とゝの
)
はずして
新田
(
につた
)
は
首尾
(
しゆび
)
よく
勝
(
かち
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
時勢
(
じせい
)
の
然
(
しか
)
らしむるところとは申しながら、そもそも勝氏が一身を以て東西の間に
奔走
(
ほんそう
)
周旋
(
しゅうせん
)
し、内外の
困難
(
こんなん
)
に
当
(
あた
)
り
円滑
(
えんかつ
)
に事を
纒
(
まと
)
めたるがためにして、その
苦心
(
くしん
)
の
尋常
(
じんじょう
)
ならざると、その
功徳
(
こうとく
)
の
大
(
だい
)
なるとは
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
幸いにして何のこともなく一命は助かり、引き続き国事に
奔走
(
ほんそう
)
したが、世には随分念の入った
讒言
(
ざんげん
)
悪口がある。しかしこれがために軽々しく一命を捨て、ヤケとなり、あるいは他を
怨
(
うら
)
むことを要せぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
安値
(
あんちょく
)
の
報酬
(
ほうしゅう
)
で
学科
(
がっか
)
を
教授
(
きょうじゅ
)
するとか、
筆耕
(
ひっこう
)
をするとかと、
奔走
(
ほんそう
)
をしたが、それでも
食
(
く
)
うや
食
(
く
)
わずの
儚
(
はか
)
なき
境涯
(
きょうがい
)
。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それを大いに
天和堂
(
テンホータン
)
の主人も心配し、またその妻君も非常に
奔走
(
ほんそう
)
してくれまして、ちょうどよい人を見付けてくれた。それは
還俗僧
(
げんぞくそう
)
でテンバという人なんです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ドレゴは、話のわからない船主の間を辛抱強く訪ねて廻って、くりかえし砕氷船の売込みに
奔走
(
ほんそう
)
した。その結果、夕刻までにやっと一隻だけ、仮約束が成立した。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
此
(
この
)
時などは実に
日夜
(
にちや
)
眠
(
ねむ
)
らぬほどの
経営
(
けいえい
)
で、
又
(
また
)
石橋
(
いしばし
)
の
奔走
(
ほんそう
)
は
目覚
(
めざま
)
しいものでした、出版の事は
一切
(
いつさい
)
山田
(
やまだ
)
が
担任
(
たんにん
)
で、
神田
(
かんだ
)
今川小路
(
いまがはかうぢ
)
の
金玉出版会社
(
きんぎよくしゆつぱんくわいしや
)
と
云
(
い
)
ふのに
掛合
(
かけあ
)
ひました
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
信長の着用する
蜀江
(
しょっこう
)
の小袖の袖口につかう
金縒
(
モール
)
を捜すため、京都中を
奔走
(
ほんそう
)
してようやく適当な品を見出したというほど、金力と人力がそれまでには
費
(
かか
)
っていたものである。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それがうまくいったら、筆屋の油御用のほうも、
奔走
(
ほんそう
)
して
纏
(
まと
)
めてやろう——そうは言わないが、いわなくても解っている。山城守と長庵のあいだの、
言外
(
げんがい
)
の交換条件であった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ワグナーのために
斡旋
(
あっせん
)
奔走
(
ほんそう
)
して、ワグナーの真価を認めさせるために骨を折ったりした。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
雑誌なんかで
法螺
(
ほら
)
ばかり吹き立てていたって始まらない、これから
性根
(
しょうね
)
を
入
(
い
)
れかえて、もっと着実な世間に害のないような職業をやれ、教師になる気なら心当りを
奔走
(
ほんそう
)
してやろう
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先年
板垣伯
(
いたがきはく
)
の内務大臣たりし時、多年国事に
奔走
(
ほんそう
)
せし功を
愛
(
め
)
でられてか内務省の高等官となり、
爾来
(
じらい
)
内閣の
幾変遷
(
いくへんせん
)
を
経
(
へ
)
つつも、専門技術の素養ある
甲斐
(
かい
)
には、他の無能の
豪傑
(
ごうけつ
)
連とその
撰
(
せん
)
を
異
(
こと
)
にし
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
永い間姿を隠していたのは、その間に何か真相を
発
(
あば
)
く
手掛
(
てがかり
)
を
掴
(
つか
)
んだのか、
或
(
あるい
)
は証拠がための為めに
奔走
(
ほんそう
)
していたに違いないと思ったので、私は橘の探偵談を聞き
度
(
た
)
くて、話をその方に向けてみたのだ。
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一身
(
いつしん
)
つかれて
痩
(
や
)
せに
痩
(
や
)
せし
姿
(
すがた
)
、
見
(
み
)
る
兄君
(
あにきみ
)
の
心
(
こヽろ
)
やみに
成
(
な
)
りて、
醫藥
(
いやく
)
の
手當
(
てあて
)
に
手
(
て
)
づからの
奔走
(
ほんそう
)
いよいよ
悲
(
かな
)
しく、
果
(
はて
)
は
物言
(
ものい
)
はず
泣
(
なみだ
)
のみ
成
(
な
)
りしが、
八月
(
やつき
)
の
壽命
(
じゆみやう
)
此子
(
このこ
)
にあれば、
月足
(
つきた
)
らずの、
聲
(
こゑ
)
いさましく
揚
(
あ
)
げて
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ただ金これ万事を処するといったようなところに眼を着けて、金を貯える事に非常に
奔走
(
ほんそう
)
尽力
(
じんりょく
)
して居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
おそらく、黒田官兵衛が、
奔走
(
ほんそう
)
して、買入れて来たものであろう。旧式な
石火矢
(
いしびや
)
や
大筒
(
おおづつ
)
を捨てて、陣前の
井楼
(
せいろう
)
に、
南蛮製
(
なんばんせい
)
の大砲を城へ向けてすえつけたのも、秀吉がいちばん早かった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
烏啼天駆
(
うていてんく
)
といえば、近頃有名になった奇賊であるが、いつも彼を刑務所へ送り込もうと全身汗をかいて
奔走
(
ほんそう
)
している名探偵の
袋猫々
(
ふくろびょうびょう
)
との何時果てるともなき一騎討ちは、今もなお
酣
(
たけなわ
)
であった。
奇賊悲願:烏啼天駆シリーズ・3
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もし
貸
(
か
)
してやらないと
自分
(
じぶん
)
の
信用
(
しんよう
)
に
關
(
かゝ
)
わるつて
奔走
(
ほんそう
)
してゐるんですからね。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
まさか
兵家常習
(
へいかじょうしゅう
)
の策略とは思わず、もしこれが成功すれば、北陸の商権は、両家の縁によって、自分の一手に
占
(
し
)
められる——と、かれはかれの野心のもとに、両家のあいだを、
奔走
(
ほんそう
)
した。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“奔走”の意味
《名詞》
あちこち駆け回ること。
忙しく立ち回って世話をすること。
(出典:Wiktionary)
奔
常用漢字
中学
部首:⼤
8画
走
常用漢字
小2
部首:⾛
7画
“奔走”で始まる語句
奔走費